【解説】BCP対策の事例集!業種・災害別の取り組み事例を紹介

記事更新日:2022/10/13

BCP対策

ヘルメットを持つ作業着の男性・BCP

企業の事業計画性を保つために必須とされているBCP対策。昨今、日本でも地震や自然災害が増加している中、果たして企業はどのような対策を行っていく必要があるのでしょうか。本記事では、BCP対策について、業種・災害別の取り組み事例を交えて解説していきます。

BCP対策とは?

BCP対策とは自然災害や事故などの非常事態発生時に、被害を最小限に抑え、事業を早期復旧・継続するための計画のことです。Business Continuity Planの頭文字をとった言葉で、「事業継続計画」と訳されます。

緊急時に倒産や事業縮小といった事態を引き起こさないためにBCPの策定は欠かせません。また、BCPの策定により顧客や取引先の信用を得られ、企業価値を高めることにもつながります。

BCP対策の日本企業における策定状況

内閣府の「令和元年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、BCPを策定済みと答えた大企業は68.4%、中堅企業は34.4%でした。また、策定中と答えた企業と合わせると大企業は83.4%、中堅企業は52.9%にのぼります。

よって、BCPの策定は大企業を中心に進んでおり、中堅企業でも徐々に策定が進みつつあると考えられるでしょう。

[出典:内閣府「令和元年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」]

BCP対策が必要とされている理由

BCP対策が必要とされている主な理由には、以下の2点が挙げられます。

  • 緊急事態が発生しても事業を早期復旧・継続できるようにするため
  • 信頼できる企業として企業価値を高めるため

緊急事態が発生しても事業を早期復旧・継続できるようにするため

緊急時、混乱の中で冷静な判断を下すことは極めて難しいでしょう。たとえ被害が小さくても復旧作業が遅れると自社の製品やサービスが提供できず経済的損失が大きくなり、顧客や取引先を失いかねません。

よって、災害時の事業の早期復旧・継続を可能にするため、平常時から防災体制を整えたり行動計画を策定するなど、組織を挙げて備えておく必要があるのです。

信頼できる企業として企業価値を高めるため

災害により企業が倒産・事業縮小してしまうと、顧客や取引先にも大きな影響を及ぼします。また、緊急時の対応の遅れや不適切な対応により企業イメージに傷がつく場合もあるでしょう。

BCP対策を行うことで、緊急時でも経営が傾きにくいという評価につながり、取引先や顧客からの信頼を得られます。その結果、企業価値を高めることができるのです。

BCP対策の事例集|業種・災害別の取り組み事例

BCP対策といっても業種や災害の内容によって対応は異なるでしょう。ここでは、「地震対策」と「自然災害対策」に分け、複数の業種におけるBCP対策の取り組み例を紹介します。

地震対策の事例

まず、地震対策についての取り組み例を業種別に紹介します。

製造業

製造業は製造ラインの破損や従業員が出勤できない状況に陥ると事業の継続が危ぶまれるでしょう。また、納品先との連絡が途絶えてしまうと緊急時の連携が上手くいかず、信頼低下にもつながりかねません。

そこで、製造業における地震対策として、以下の点に取り組む必要があります。

  • 商品・機器の転倒・落下防止などの安全対策
  • 従業員の安否確認システムの導入
  • 緊急時における納品先との連絡手段の確保
  • 自社被災時の製造場所の確保
  • 仕入れ先被災時の代替調達ルートの確保
  • 復旧する事業の優先順位設定
  • BCPマニュアルの従業員への配布

このように、自社の製造ラインの損害を最小限に抑えつつ、被災時も製造が完全にストップしない体制を整えることが大切です。また、従業員の安否確認や納品先への事情説明など、電話がつながりにくい場合の連絡体制も整える必要があるでしょう。

卸売業

卸売業は商品を確保できなければ事業を継続できません。また、従業員が何らかの事情で出勤できなくなってしまうと事業が止まってしまうでしょう。そこで、卸売業における地震対策としては以下のことが挙げられます。

  • 被災時における仕入れ先との協力体制の構築
  • 仕入れ先被災時の代替調達ルートの確保
  • 連絡手段の確保
  • 被災時における地域住民への支援策の策定
  • 従業員の安否確認方法の設定

卸売業は商品が確保できないと事業がストップしてしまうため、商材確保のために仕入れ先と提携していたり、類似品の代替調達ルートを確保しているケースが多いでしょう。また、取引先がいないと成り立たない事業のため、連絡手段の確保も重要になります。

販売業

販売業は店舗が倒壊したり、従業員が出勤できなかったり、商品が入荷しない状況になると事業の継続が危ぶまれます。また、賞味期限のある食品を扱う場合、多くのフードロスを生んでしまうこともあるでしょう。

そこで、販売業における地震対策としては以下の点が有効です。

  • 商品棚の耐震補強
  • 帰宅困難者用の食料・生活必需品の備蓄
  • 従業員の安否確認方法の設定
  • 災害時の販売ルール決め(購入制限など)

非常時、小売店は地域住民にとって貴重な食料・生活必需品の供給源となるでしょう。したがって、平常時から食料・生活必需品を備蓄している企業も多くあります。

自然災害対策の事例

次に、水害、土砂災害、風災など自然災害対策についての取り組み例を、業種別に紹介します。

製造業

製造業は浸水による機器の故障はもちろんのこと、停電で設備を動かせなかったり従業員が出勤できない状況に陥ると事業が行えません。そこで、台風など大雨による水害と大規模停電が発生した場合を想定した以下のようなBCP対策が重要になります。

  • 洪水ハザードマップによる浸水地域の把握
  • 安否確認システムの導入
  • 備品の棚上げ
  • 製造機器の基礎上げ
  • 製造設備を2階などの高所にも設置
  • 自社で発電可能な太陽光発電の設置

被害を受けても生産を完全にストップさせないために、設備の配置を工夫したり電力を確保できるような対策が大切です。また、他企業と応援協定を結び、一時的に生産委託ができるように対策をしている企業もあります。

建設業

建設業は高所での作業や重い資材を扱うことが多いため、有事の際は従業員の命が危険に晒される可能性が高い業種です。また、被災後の修繕作業依頼も多く、人員・資材の確保も大切です。そこで、建設業における自然災害対策としては、主に以下の点が実施されています。

  • 自然災害対応マニュアルの作成
  • 被災後の修繕依頼に関する電話対応マニュアルの作成
  • 被災後の資材仕入れルートの確保
  • 他社との人員・建設機械の支援協定

災害発生時は従業員の安全の確保が最優先事項です。また、被災後は建造物の修繕依頼や安全確保のための依頼の電話が増えるため、電話対応マニュアルを作成している企業もあります。

食品運搬業

食品運搬業は賞味期限のある商品を扱うため、フードロスを生まないようにすることが大切です。また、被災時の従業員の安全確保も行う必要があります。そこで、食品運搬業における自然災害対策としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 食品庫取り扱いマニュアルの作成
  • 停電時のための非常用発電機の設置
  • 従業員の連絡手段の確保
  • 冷凍庫内外への無線機設置

冷凍庫内外に無線機を設置するなど、災害発生時に従業員を命の危険から守る取り組みがされています。また、勉強会の開催など、従業員一人ひとりのBCPへの意識を高める施策を行うことも大切です。

BCP対策の事例から学ぶ成功のポイント

最後に、事例から得られるBCP対策のポイントについて解説します。ポイントは次の5点です。

  • BCP対策の目的を明確にする
  • 生命の安全を第一に考える
  • 具体的な状況を想定する
  • 地域の人々の安全も重視する
  • 重要なデータのバックアップを行う

BCP対策の目的を明確にする

BCPは災害発生時に事業を早期復旧・継続させるための取り組みです。また、自社における重要度の高い事業を見極めたり、取引先からの信頼を得るために行う場合もあるでしょう。

目的が明確になれば、BCPの策定範囲や事業の優先順位などを正確に決められます。より実効性のあるBCPを策定するために、自社がBCP対策で何を重視するのかを改めて考えることが大切です。

生命の安全を第一に考える

事業を早期復旧・継続させるためには人の力が欠かせません。したがって、BCP対策を行う際は人の命を第一に考える必要があります。従業員の安全を守るための対策が十分になされているか、勤務時間内・時間外問わず従業員の安否確認ができる体制が整っているかなどを確認しましょう。

具体的な状況を想定する

緊急時の対応は状況によって変わります。BCPを策定しても抽象的な内容では実用性がなく、いざというときに現場の混乱をさらに加速させてしまいます。したがって、地震・台風・火災といった災害の種類や、それによって被災する場所などを具体的に想定することが大切です。

地域の人々の安全も重視する

BCPを通じて地域の人々の安全を守ることも重視されています。具体的には、非常時に備蓄食料や生活必需品を提供したり、帰宅困難者に施設を開放するといった取り組みが挙げられるでしょう。地域全体の安全確保に貢献することで、企業のイメージ向上にもつながります。

重要なデータのバックアップを行う

事業の復旧・継続に必要なデータは必ずバックアップをとりましょう。非常時は機器の破損や回線の不調が起こりやすく、重要なデータにアクセスできなくなる恐れがあります。また、データの消失や破損により利用できなくなることもあるでしょう。

したがって、重要なデータはバックアップを行い、非常時でもすぐにアクセスできる体制を整えることが大切です。近年では、クラウド上に重要なデータのバックアップをとる企業も増えています。

BCP対策の事例から学べる大切なポイントを把握

BCPを策定している企業は年々増えていますが、まだ策定できていない企業も多いのが実情です。災害発生時に自社事業を早期復旧・継続させるためには、平常時からのBCPの策定が欠かせません。

BCP対策は事業を守るだけではなく、企業価値を高めるためにも必要です。取引先や顧客からの信頼を得るためにも策定しましょう。今回紹介した事例とBCP策定のポイントを参考にして、目的の明確化や現状把握から着手してみてはいかがでしょうか。

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