BCPと防災の違いとは?間違えやすい基礎知識をわかりやすく解説

記事更新日:2022/09/28

BCP対策

会社の防災対策のイメージ

大震災が起きた際、BCP策定を実施していた企業とそうでない企業で復旧率に差が出たため、BCPに注目が集まりました。本記事では、BCP対策と防災対策の違いについて、間違えやすい基礎知識から導入方法までわかりやすく解説します。

BCPと防災の基礎知識

近年の気候変動による自然災害の増加は、企業の防災意識を高める大きな原因となっています。また、災害発生時においても滞りなく事業を継続させるために、BCP策定に取りかかる企業の数も増えている状況です。

BCPと防災の関係性を見ていく前に、まずはBCPと防災それぞれの特徴を確認していきましょう。

BCPの特徴

BCPとは、「Business Continuity Plan」の略で、日本語で「事業継続計画」を意味する言葉です。

BCPでは、突発的に発生した緊急事態に対して、被害を最小限に抑え、迅速に復旧を図る計画を立てます。想定される緊急事態とは、地震などの自然災害やテロ行為、感染症の蔓延やサイバー攻撃などがその一例です。

緊急事態下において事業が停止してしまうことは、顧客やステークホルダーをはじめ、多方面に影響を及ぼす可能性があります。そのような連鎖的・間接的な被害の発生を回避するためには、様々な状況下における企業の対策を事前に計画しておくことが大切です。

そのためBCPは、顧客やステークホルダーからの信頼を獲得し、企業価値を高める経営戦略のひとつともいえます。

防災の特徴

防災とは、内閣府の定義によると、

国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する

ために様々な策を講じることです。

そのため、防災の目的は、人命や建物などの財産を保護することにあります。災害によって引き起こされる被害の未然防止、または被害発生後における被害範囲拡大の防止、そして被災からの早期復旧を図る取り組みが、防災における主な取り組みです。

[引用:e-Gov 「災害対策基本法 第一条」より]

BCPと防災の取り組み状況

中小企業を対象に実施した災害対応に関する調査では、自然災害への備えに関して、何かしらの取り組みを進めていると答えた企業は、大企業では約半数の54.9%であったのに対し、中小企業は33%という結果でした。

加えて、BCP策定状況に関する調査において、中小企業の策定率は16.9%でした。年々増加傾向にあるものの、まだまだ低水準の状況です。

[出典:中小企業庁「第5節 中小企業・小規模事業者を取り巻くリスクへの対応」]
[出典:帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2022年)」]

BCP対策と防災対策の違いとは?

「防災対策のためにBCP策定が必要」と考える人も一定数存在しますが、両者には異なる点が多々あります。

ここでは、BCP対策と防災対策のそれぞれの違いについて確認していきましょう。

対象の災害

BCPと防災それぞれの対策を立てる際には、何らかの災害を想定するのが一般的です。防災が自然災害を対象とするのに対して、BCPは自然災害を含めたすべての非常時を想定して対策を講じます。

ここで言う「すべての非常時」とは、停電や断水などによる外部インフラの断絶や、交通機関の停止等による物流機能の停止、感染症の蔓延などが含まれています。

対策を反映する対象

対策の策定においては、どのような視点を用いるかによって策定内容が異なります。BCP対策での視点は、自社を起点に社会全体へと向けられている点が特徴です。

これは自社で起こった損害が、顧客やステークホルダーにまで影響を及ぼす可能性があるため、考えられる最大範囲を網羅する対策を立てる必要があるためです。

一方、防災対策は、災害による損害から社員の命や建物などの資産を守ることを目的とします。そのため、対策を立てる際の視点は、自社の内側に向いている状態です。

対策を行うタイミング

災害の発生を起点とし、BCPと防災それぞれが対策を講じるタイミングも異なります。BCPは、災害発生時のアクションを通じて被害の最小化と早期復旧を図るものであるため、災害発生「後」が対策を実施するタイミングです。

一方で防災対策は、災害から社員の命や企業の資産を守ることを目的としているため、対策を取るタイミングは発生「前」になります。

BCPの導入方法

緊急時の対策と言われても、具体的にどのように計画を立てればいいのかイメージできない人もいるのではないでしょうか。

そこでここからは、BCPの導入手順を解説していきます。

1.現状を把握する

BCPは、起こりうるリスクやその波及範囲・深刻度などを想定して作り上げていくものです。そのため、まずは現状の体制にどのような脆弱性があるかチェックすることからスタートします。

確認するポイントとしては、組織体制や指示連絡系統、業務フローなどがあげられます。的確に現状を把握することで、精度の高い目標設定や方針の策定が実現可能です。

2.想定される被害を洗い出す

次に、想定されるリスクとそれが及ぼす被害を洗い出していきます。想定されるリスクの代表例は、次のとおりです。

  • 地震などの自然災害
  • インフルエンザなどの感染症の蔓延
  • サイバー攻撃
  • 機器の不具合
  • 外部インフラの停止

リスクが洗い出せたら、今度はそれぞれの緊急事態で起こりうる被害内容をリストアップしていきましょう。

3.被害の影響を分析する

リスクと被害内容が洗い出せたら、次は各リスクに優先順位をつけるために、各被害がもたらす影響レベルを分析していきます。ここでは、BIA(ビジネスインパクト分析)を用いて、災害発生時に事業が停止した際の影響レベルを、複数の指標を軸に分析するのが効果的です。

分析に用いられることの多い指標としては、復旧完了までにかかる時間を表す「目標復旧時間」や、復旧作業において許される最大の業務停止時間を表す「最大許容停止時間」などがあります。

たとえば、最大許容停止時間が短く、専門性や難易度の高い業務であるほど事業への影響が大きくなるため、優先順位は高くなります。

4.具体的なBCP案を策定する

次に、実際に運用するうえで必要なBCP案を策定していきます。

たとえば大手製造業であれば、原材料や部品の調達先を分散することが、優先度の高い対策と考えられるでしょう。なぜなら、大手製造業の場合、国内外複数のサプライヤーから部品が供給されることで事業が成り立っているためです。

ひとつのサプライヤーからの供給に頼ってしまうと、緊急事態が発生した際に事業が停止する可能性が高まるため、同じ部品を仕入れられるサプライヤーを複数確保しておく対策が有効です。

このように、自社の現状に沿った対策を考えながら、BCPに具体性を持たせていきます。

5.代替案が必要か検討する

BCPを周到に策定しても、想定外のことが起こる可能性はゼロではありません。そのため、必要に応じて各リスク対策への代替案を用意しておくとよいでしょう。

事業の継続には、人的資源、資金や原料、データなどの物的資源への備えが大切です。輸送手段を複数用意しておく、本店機能を臨時的に移管する仮拠点を定めておく、といったように、いざという時でも焦らず対応できる状態にしておかなくてはなりません。

策定したBCPを再度見直し、緊急事態が発生した場合でも事業継続に支障がないか、代替案を用意する必要がないか検討しておきましょう。

6.社員へ周知する

具体的な対策が固まったら、社員への周知を図りましょう。方法としては、説明会やeラーニングなどが一般的です。

BCPは、一部の策定に携わった人だけでなく、すべての社員が理解しておくべきものです。平常時における避難訓練や業務フローの改編などは、社員の理解と協力が求められます。

なぜこの取り組みが必要なのか、それによってどのようなリスクを回避できるのかといった点をしっかりと説明し、社員のBCP対策への意識レベルを高めましょう。

7.定期的に改善を行う

BCPは、一度作ったら終わりではありません。第一稿が完成したら試験運用の機会を設け、課題や修正箇所の有無をチェックしましょう。テストと改善を繰り返すことで、精度の高いBCP対策へと仕上げられます。

また、想定される緊急事態が変化しうることも忘れてはいけません。新たな感染症の流行が懸念される状況に陥った際は、流行前に対策を練っておくことで、自社への被害を最小限に収めましょう。

定期的な改善機会を設けておけば、緊急事態内容のアップデートや最新のBCP対策の導入が図れるようになるので、BCPの内容を最新状態に保てます。

BCP対策におすすめのツール

BCP対策を考えるうえで、検討しておきたいのが安否確認システムの利用です。緊急時に迅速な連絡を交わせるかどうかで、BCP対策の初動に大きな差が現れることでしょう。

そこでここからは、緊急連絡・安否確認のできるツールを2つ紹介していきます。それぞれのサービス内容や料金プランを確認したうえで、自社への導入を検討していきましょう。

エマージェンシーコール

エマージェンシーコールは、過去の東日本大震災や熊本地震においても、その安定した稼働実績が評価されている緊急連絡・安否確認システムです。

災害発生時の安否確認はもちろん、緊急避難指示や災害対策メンバーの招集など、通信規制下においても安定して連絡が取り合えるツールです。

提供元 インフォコム株式会社
初期費用
  • ライトプラン(300名まで):無料
  • ASP版:入会金22万円(税込)
  • パッケージ版:要問い合わせ
料金プラン
  • ライトプラン(300名まで):10,000円/月
  • ASP版:44,000円(税込)〜/月
  • パッケージ版:要問い合わせ
導入実績 4,600社以上
機能・特徴
  • 複数の連絡先に対し、回答があるまで安否確認
  • メール、アプリ、LINEの3つのいずれかで回答可能
  • スマホ、タブレット、PCなど複数端末を標準サポート
URL 公式サイト

ANPIC(アンピック)

ANPIC(アンピック)は、非常時・平常時の両方のシチュエーションで活用できる安否確認システムです。

産学連携システムによる安定稼働や、業界最安値の価格帯、直感的で使いやすいインターフェースなどが多くのユーザーに評価されています。

気象庁からの地震情報を受けての安否確認メールの自動送信、別デバイスからの代理報告、海外サーバー利用による災害時下での安定稼働など、運用担当者にとっても利便性の高い機能が搭載されたツールです。

提供元 株式会社アバンセシステム
初期費用 【ユーザー数別】

  • 〜50名:27,500円(税込)
  • 〜100名:55,000円(税込)
  • 〜300名:82,500円(税込)
  • 〜500名:11万円(税込)
  • 〜1,000名:16万5000円(税込)

※記載のないユーザー数の価格は、要問い合わせ

料金プラン 【ユーザー数別】

  • 〜50名:67,716円(税込)/年
  • 〜100名:72,732円(税込)/年
  • 〜300名:14万448円(税込)/年
  • 〜500名:20万8164円(税込)/年
  • 〜1,000名:28万2150円(税込)/年

※記載のないユーザー数の価格は、要問い合わせ
※マスタ連携、電話番号表示機能の利用には、別途費用が必要

導入実績 50万人以上
機能・特徴
  • 送信状況報告
  • 代理報告
  • 自動メール送信
  • 電話番号表示
  • マスタ連携
URL 公式サイト

BCPと防災の違いを把握したうえでの対策が必要

防災が社員の安全や企業資産を守るための施策であるのに対し、BCPは、緊急時に事業を継続できるよう策定しておく計画を意味します。BCPの中に防災対策が含まれているという構図をイメージすれば、それぞれの役割や目的の違いがはっきりと理解できるでしょう。

災害の多い日本において、BCPと防災の必要性は今後もさらに高まることが予想されます。BCPと防災に対する理解を深め、緊急時における自社の対策レベルを高めていきましょう。

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