スタートアップとは?ベンチャーとの違いや特徴をわかりやすく解説!
「スタートアップ」は、起業したての会社を呼ぶ際に、よく使われます。しかし、具体的な意味やベンチャー企業との違いについて、知らない方は多いのではないでしょうか。本記事では、スタートアップとはどのような企業を指すのか、ベンチャーとの違いと併せて解説します。
・スタートアップとは革新的な技術やビジネスモデルを用いて、新規事業を立ち上げる企業のこと
・ベンチャー企業とはビジネスモデル、スモールビジネスとは成長の規模とスピードに違いがある
・国からスタートアップ企業に対して様々な支援策が講じられている
目次
スタートアップの定義
スタートアップとは、新たなビジネスモデルや技術を用いて、新規事業を立ち上げる企業のことを指します。これらの企業の経営は、時に高いリスクを伴いますが、その一方で大きな成長の可能性を秘めています。
スタートアップは、従来の産業に革新をもたらす可能性を持ち、経済の発展に大きく寄与する存在とも言えます。そのため、投資家や政府からの支援を受けることも多く、社会全体から注目を集めています。
スモールビジネスとの違いとは
スモールビジネスとスタートアップの違いは、目指す成長の規模とスピードにあります。スモールビジネスは、小規模な事業を行う企業や個人事業主などを指し、徐々に安定した成長を目指します。一方スタートアップは、新たなビジネスモデルや技術を用いて、急速な成長を目指すものです。
事業内容によっては、全国規模またはグローバルな市場がターゲットになることもあるでしょう。そのため、スタートアップは高いリスクを伴う反面、大きなリターンを得る可能性も秘めています。
ベンチャー企業との違いとは
スタートアップとベンチャー企業の違いとして、ビジネスモデルの違いが挙げられます。ベンチャー企業は既存のビジネスモデルをもとに新たな事業を展開するのに対し、スタートアップは革新的なビジネスモデルで急激な成長を目指すという点に違いがあります。
ただし、ベンチャー企業は起業したての会社や新規事業を行う会社など、幅広い意味で使われている言葉でもあります。そのため、スタートアップもベンチャー企業に含まれるといえるでしょう。
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スタートアップ企業の特徴
スタートアップ企業には、いくつかの特徴があります。ここでは、4つの主な特徴を詳しく説明します。
短期間での圧倒的な成長力
スタートアップ企業の特徴の一つに、短期間での事業成長を目指すことが挙げられます。新しいアイデアや技術を駆使して従来の産業に革新をもたらすことで、短期間で大きなシェアを獲得し、ビジネスを急速に拡大していきます。
そのため、成長を図で表すと「Jカーブ」と呼ばれる曲線を描くのが特徴です。新たな需要を創出することに成功すれば、市場を独占することになり、短期間で企業価値を高められるでしょう。このようなスピーディーな成長は、大企業ではなかなか達成できないもので、スタートアップ企業ならではの特徴と言えます。
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革新的なイノベーション・新たなビジネスモデルの創出
イノベーションによって社会に新たな価値を生み出すという点もスタートアップの特徴のひとつです。新しいアイデアや技術を活用して、従来のビジネスや産業の枠組みを超えた商品やサービスを生み出します。
ただし、革新的なイノベーションであっても自社の利益につながらなければ意味がありません。そのため、これまでになかったビジネスモデルを作り出し、それによって新たな需要の開拓を実現することが求められます。
計画的な出口戦略
出口戦略とは、事業を始める際に、その事業からどのように撤退するか、またはどのように利益を得るかを計画しておくことを指します。これは「イグジット」とも呼ばれ、スタートアップの起業家の多くが早期にイグジットを達成することを目指しています。
イグジットの方法は、主に以下の2つです。
- M&A:一定の規模に成長したら大手企業に売却する
- IPO:株式公開を行い、株式を売り出して利益を得る
これにより、初期の投資家や創業者は、投資した資本に対する高いリターンを得ることが可能になります。
多様な資金調達方法
資金調達とは、起業する際の資金や事業を成長させるための資金を獲得することを指します。
スタートアップの資金調達の方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 自己資本の利用
- 金融機関からの借り入れ
- 個人投資家からの出資
- 機関投資家からの出資
- 補助金・助成金制度の活用
- クラウドファンディング
スタートアップ企業の場合、はじめから創業者が潤沢な資金を持っていることはほとんどありません。そのため、新しいビジネスを立ち上げるためには借り入れや出資を受ける必要があります。
スタートアップ企業が注目されている背景
なぜいま、スタートアップ企業が注目されているのでしょうか。ここからは、スタートアップが注目されている背景について見ていきましょう。
新たなアイデア・技術を生み出すため
スタートアップの新たなアイデアや技術を生み出す力は、大手企業とは異なるスタートアップならではの特徴であり、注目を高める所以(ゆえん)でもあります。
大手企業は、既存のビジネスモデルや製品に依存していることが多く、新しいアイデアや技術を採用することに慎重になりがちです。一方、スタートアップ企業は、新しいアイデアや技術をビジネスに活かすことで、新たな市場を開拓したり、既存の市場で競争優位を得ることが可能です。
国からの支援強化が行われているのも、スタートアップが注目される理由のひとつといえるでしょう。経済産業省では「スタートアップの事業成長に貢献する知財人材のスキル・マインドセット」をまとめ、Webサイト上で公開しています。また、政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と定め「スタートアップ育成5か年計画」を発表しました。
これは、アメリカやヨーロッパ諸国と比較して、日本のユニコーン企業が少ないことが大きく関係しています。このような状況を打開するため、新たなアイデアや技術を生み出す可能性をもつスタートアップの起業が求められています。
[出典:経済産業省「スタートアップの事業成長に貢献する知財人材のスキル・マインドセット」]
[出典:内閣官房「スタートアップ育成5か年計画」]
投資によって莫大な利益を生み出すため
スタートアップが注目される理由として、投資によって莫大な利益を生み出す可能性があるという点も挙げられます。
新規事業や新しい技術を開発し、それが成功すれば大きな市場を獲得でき、急速に成長する可能性があります。そのため、IPOやM&Aによって短期間で利益を得ることが可能です。また、投資家は早い段階でスタートアップ企業に投資することで、その企業が成功した際に大きなリターンを得ることができます。
日本と海外のスタートアップの現状
近年、政府の支援や大企業の協力により、スタートアップへの投資が増えてきています。しかし、アメリカや中国のスタートアップと比較すると、その規模はまだ小さいのが現状です。
とくにアメリカのシリコンバレーでは、多くのスタートアップが輩出されていて、世界の企業の時価総額トップ10のうち6社がアメリカのスタートアップ企業です。これは、VC(ベンチャーキャピタル)などの投資家や、アクセラレーターによってスタートアップの成長を支援する文化が醸成されていることが関係しています。
一方日本は、アメリカのようなスタートアップエコシステムが形成されておらず、M&AやIPOによるイグジットで成功した例は多くありません。とはいえ、日本でも政府によるスタートアップ創出支援が活発化していることもあり、今後の動向に注目が集まっています。
代表的なスタートアップ企業
ここからは、日本の代表的なスタートアップ企業を5つ紹介します。
BASE株式会社
BASE株式会社は、2012年に設立されたスタートアップ企業で、誰でも簡単にオンラインショップを開設できるプラットフォーム「BASE」を提供しています。
このサービスは、商品の登録から決済、配送までを一元管理できるため、個人や小規模な事業者でも手軽にECサイトを運営することが可能です。このほかにも、オンライン決済サービスや資金調達サービスも提供し、個人や小規模事業者の可能性を広げることに取り組んでいます。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、2013年に設立された日本のスタートアップ企業で、フリマアプリ「メルカリ」を運営しています。個人間での売買を可能にすることで、手軽に不要なものを売り買いできるという利便性から急速にユーザー数を増やしています。
また、現在では海外でも広く利用されるアプリとなりました。同社は、このサービスを世界中に展開していくことで、人々がモノを大切に扱う循環型社会の実現を目指すことを掲げています。
株式会社SmartHR
株式会社SmartHRは、労務管理業務をクラウド化し、人事労務の業務効率化を実現するサービスを提供しているスタートアップ企業です。その成功の理由は、従来の手間のかかる人事労務業務を劇的に効率化することで、企業の生産性向上に寄与した点にあるといえるでしょう。
また、直感的で使いやすいUIと、高度なセキュリティ対策により、多くの企業から信頼を得ています。2021年には海外の投資家などを中心に156億円の資金調達を行い、株式の推定評価額が1700億円のユニコーン企業となっています。
株式会社タイミー
株式会社タイミーは、働きたい時間と働いてほしい時間をマッチングするスキマバイトアプリ「タイミー」を提供する企業です。このほかにも、地方で働いてみたい人と人手不足に悩む地方の事業者をマッチングする「タイミートラベル」などを展開しています。
2024年1月時点で株式は未上場ですが、今後もさまざまな産業の発展に貢献することが期待されています。
株式会社カカクコム
株式会社カカクコムは、インターネット上で商品価格の比較サイト「価格.com」を運営する日本のスタートアップ企業です。1997年に創業し、2003年には東証マザーズ、2005年には東証一部へと上場しています。
近年では求人の一括検索サイト「求人ボックス」や、読み物とショッピングを同時に楽しめる「キナリノ」アプリを手がけるなど、新規事業の創出と拡大に力を入れています。
革新的なビジネスモデルによる急成長こそがスタートアップ
スタートアップ企業とは、革新的なビジネスモデルによって急速に事業を成長させる企業を指します。また、社会課題の解決に向けた取り組みを行っているのも特徴のひとつです。これから起業を考えている方は、政府によるスタートアップ創出支援なども活用しながら、起業の準備を進めていきましょう。
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