“アソビゴコロ”が「新たな価値」創出の原動力 個性×強みを活かすキャリア支援で質の高いアウトプットを実現

取材日:2023/06/09

IT企業として独自性のあるデジタルクリエイティブを生み出す株式会社ジュニ。社員のプロフェッショナルなスキルや経験を活かした斬新で創造的、そして何より”アソビゴコロ”ある発想は、社員一人ひとりの個性を活かせる職場環境が鍵となっています。その取り組みを伺いました。※本文内、敬称略

お話を伺った人

  • 関田桃江さん

    関田桃江さん

    株式会社ジュニ

    広報

この事例のポイント

  1. 社員一人ひとりの興味・関心に合わせて案件をアサイン
  2. 新入社員からの逆指名ランチで交流の場を増加
  3. 社員の自己実現を支援。モチベーションと成果につなげる

コロナ渦でコミュニケーション希薄化のリスクに直面

御社は「アソビゴコロ×テクノロジーで世界をハッピーに」を理念として掲げています。アソビゴコロを大切にしている理由を教えてください。

関田:当社の強みは企画・技術・クリエイティブの各分野で質の高いアウトプットが実現できている点にあり、その原動力となっているのがアソビゴコロです。

当社はWebサイト制作などのデジタルプロモーションを中心に、サービス開発、アート分野の自社事業などを行っていますが、成果物として、単に見た目の美しさや使い勝手の良さを重視しているわけではありません。

もちろんその点も前提にしたうえでの話ですが、クライアントやユーザーの期待値を超える「新体験」ができる成果物を常に目指しており、そのためには、アソビゴコロをプラスすることを心がけています。

「期待値以上」を生み出す原動力が“アソビゴコロ”ということなんですね。では、そのアソビゴコロはどのようにして生まれるのでしょうか。

関田:まず、仕事へのモチベーションは欠かせません。どんな仕事であっても、与えられた仕事を責任を持って遂行してほしいとは思いますが、いつもワクワクした気持ちで楽しみながら仕事ができれば、さらなるクオリティを追求する姿勢にも現れてくると思います。

そこで、まずは担当する社員が、そのプロジェクトに興味を持ち、楽しむことが大事だと思います。そこから生まれる好奇心や、前のめりに仕事に「ハマる」マインドが、期待値以上の成果につながっていくと考えています。

アイデアを生み出す面では、社内コミュニケーションも重視されているとお聞きしました。新型コロナウイルス感染症の流行は、御社にどんな影響を与えましたか?

関田:当社もコロナ禍でテレワークを開始しましたが、例に漏れずコミュニケーションの希薄化は懸念事項としてあがりました。

具体的には、何気ない会話からアイデアが生まれる機会が減ってしまうことや、ちょっとした会話がしづらくなることでコミュニケーションロスが発生したり、特に若手社員が目の前の仕事だけにかかりきりになってしまったりする点を懸念していましたね。

同時に、2019年から2021年にかけて業務量の増加に合わせて、社員数も2倍に増えました。組織の規模に合わせた人事制度を整備する必要も感じ、働き方改革に着手することとなったのです。

取り組み内容をお聞かせください。

関田:まず、以前から利用していたチャットツールやZoomをより気軽に使える体制に整えました。大切にしたのは「会話」のようなスピード感のあるやり取りです。 最も使用するチャットでのコミュニケーションの意識を変えた点は、「いつでも、気軽に話せる」というテレワークにおける心理的安全性につながっているだけでなく、オフラインと同じような熱量でコミュニケーションが取れるようになっています。

特にコアメンバーはその意識が強いので、自分たちがボトルネックにならないように、即返信を実行していますね(笑)。

必要に応じてZoomも活用していますが、それもチャットツール上で「今お話できますか?」と気軽に呼びかけ、その時にすぐ相手とZoomで会話が出来るようなカジュアルな使い方を推奨しています。

一人ひとりのキャラクターを活かせるように会社が支援

モチベーションを上げるための施策についてはいかがでしょうか。

関田:「社員一人ひとりが持つキャラクターを、仕事でもプライベートでも最大限に活かし、楽しく働ける制度と社風」を目的に掲げ、個々の自己実現が叶うキャリア形成を始めました。

この「楽しい」は、単に気分を指すわけではなく、ポジティブに活躍した結果として生まれる楽しさです。

自己実現ができ、他者からの理解も得られる環境であれば、ポジティブに活躍できますし、結果的に高いモチベーションからアソビゴコロあるクオリティの高い成果物が生み出されます。ですから、本人がいかに活躍できるかが重要だと考えています。

そのためにも、社員それぞれの興味や関心、キャリアビジョンなどを踏まえ、その人の自己実現が叶うように会社が柔軟に制度や仕組みをつくり支援しています。

具体的に、どのような支援をされているのでしょうか。

関田:例えば、仕事は、社員本人の興味・関心、意向に基づいてアサインされています。

手を挙げた社員がいれば任せますし、そのほかにもエンジニアが独自に開発した技術を仕事に活かしたいという場合には、その技術を活用したデモを作成して新規案件の獲得に結びつけることもあります。

本人の興味や関心はどのようにして把握していますか?

関田:今のオフィスは1フロアのうち3分の1が休憩スペースで、くつろぎながら話すことができ、日常のちょっとした会話が相手の興味や関心を知るきっかけになっています。

また、社員が誰でも閲覧でき、気軽につぶやける社員個人のチャットもあり、そこでは仕事と無関係な内容もOKなので最新ガジェットの話をする人もいれば、趣味の話題をつぶやく人など、話題はさまざま。お互いを知るきっかけにもなるし、チャットをきっかけに仕事をアサインすることもありますね。

会社の範囲を超えた、個人のプライベート活動を応援

通常、業務に支障をきたすと思われることもある社員個人のプライベート活動についても、単に認めるだけでなく「応援」されることもあるそうですね。

関田:定型の制度は特に設けてはいませんが、前提としてプライベート活動がスキルアップにつながる場合、プライベートな活動を大事にしたい社員に対しては、それを実現できるように対応しています。

たとえば、あるエンジニアは、VJ(Visual Jockey)として活躍しています。一見すると、仕事とは無関係な活動に思えますが、実際は、エンジニアとしてのスキルを存分に活かした制作活動でもあるわけです。そのため、当人がイベントに参加すると決まった時には、当社としても社内外問わず広報を行い、活動を応援しました。

また、当社のリードデザイナーは、イラストレーターとしても活躍しており、そのスキルがWebサイト制作の案件に活かされているほか、デザイナーが生み出したキャラクターに至っては当社がプロデュースもしています。

職能と関わるクリエイティブな活動であれば、本人の自発的なスキル向上にもつながりますし、社員の知名度が上がれば、仕事として会社に還元されるチャンスも増えると考えています。

キャリアデザインについてもお伺いしたいのですが、御社の社員はどのようにキャリアを積んでいるのでしょうか?

関田:当社の場合は、一人ひとりの目指すキャリアが異なることを前提としているため、会社として明確なキャリアパスは設けていません。

デザイナーの場合、デザイナーとしてスキルを高めていく道とアートディレクターになる道があります。入社時や普段の会話を通じて本人の希望を聞き、その希望を叶えられるように、アサインする仕事を調整していくので、こうした希望に関しては、直属のリーダーだけではなくコアメンバーとも共有し、会社全体のバランスを見て進めるようにしています。

本人の希望と会社が期待するキャリアが合わない場合もあるのではないでしょうか?

関田:そうですね。組織として担ってほしい役割は、当然発生するわけですから、そこが本人の意向と必ずしもマッチするとは限りません。

ここは、じっくり話し合いをすることにつきますが、本人の希望と会社の期待のバランスを考慮した環境を用意し、納得感を持ってもらえるように心がけています。

案件ごとにチームを組むことで社内の交流機会を増やす

ここ数年で社員数が2倍になったとのこと。人数が増えると組織の一体感が失われがちですが、その点はいかがですか?

関田:当社の場合は、デザイナーやディレクターなど職種ごとのチームと、プロジェクトごとのチームの2つの形態があります。各社員ともに複数チームに所属することになるため、普段から垣根のないコミュニケーションが活発に行われるという風土が醸成されています。それぞれのチームとしての一体感も生まれていますし、それが組織としての一体感にもつながっていると感じますね。そのためか、社員の急増により当社のカルチャーが希薄になるような不安やリスクはありませんでした。

また、今時珍しいかもしれませんが、社員旅行もあるんです(笑)。今年は9月に金沢に行き、温泉に入り大宴会場でみんなで食事を楽しむ予定です。

昔ながらの社員旅行だと上司から終始小言を言われるようなネガティブなイメージもあるかもしれませんが、当社の場合は、とにかく社員自身が楽しみにしているイベントの一つです。こういったイベントも、組織の一体感につながっているのだと思います。

他には、どんな取り組みをしていますか?

関田:今年からは、新卒社員による「逆指名ランチ」も始めました。話してみたい先輩社員を新卒社員が指名しランチをするのですが、先輩社員の仕事に対する考え方や挑戦したいことなどを聞いて、仕事により前向きになれたという声があがっていますね。

そのほか、今年の研修では、先輩社員の体験談や失敗例を伝える取り組みも行いました。入社したばかりの頃は、自分の至らなさに落ち込むケースがありますよね。でも、誰にだって失敗した過去はありますし、失敗がなければ成功はありません。失敗例だけでなく、どのように失敗を予防しているのか、どのようなことを習慣にしているのかなどを伝えることで、若手社員は「この会社で自分もうまくやっていけるかもしれない」と思えるようになっています。

新型コロナウイルス感染症が5類に移行しましたが、働き方は変わりましたか?

関田:現在は、出社日を週3日以上とした、出社ベースの働き方にシフトしています。ただ、テレワークにも良さはあるので、家庭の事情に合わせて在宅で働くなど、柔軟さも残していますね。

また、年3回開催している納会も、今後は、社員全員で同じ体験を共有できる場を増やしていきたいと思っています。最近もエンジニアが開発したオリジナルゲームを社員全員で楽しみました。

今の目標をお聞かせください。

関田:年間目標は、「fall forward」で、「前のめりになる!」を意味しています。

この目標には、これからもベンチャーの気概を忘れず、守りに入らず攻めの姿勢を大切にするとの思いが込められています。

そのうえで、今後はNFTなどの技術やWeb3を扱った先進的な自社サービスにより注力していく予定ですし、これからも自社事業とクライアントワークを通じて、ユーザーに驚きや新体験を、どんどん提供していけたらと考えています。

「アソビゴコロ×テクノロジーで世界をハッピーに」の理念のもと、社員それぞれが自由にアソビゴコロあるアイデアを発揮できる職場環境を実現していきたいですね。

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