労働派遣契約書の電子化は可能!法改正のポイントや導入方法について

2022/4/11 2022/04/11

電子契約システム

電子サインをするビジネスパーソン

現在、労働者派遣契約は法改正により契約書面の電子化が可能になっています。本記事では、法改正のポイントや電子契約の導入方法、おすすめの電子契約サービスまで網羅してご紹介します。契約にかかる工数を大幅に削減し、業務の効率化を進めましょう。

労働派遣(個別)契約とは?

人材派遣会社が派遣先の企業と交わす契約には「基本契約」と「個別契約」の2つの種類があり、それぞれの契約書に記載される内容は異なります。ここでは、労働派遣(個別)契約を理解していただくために、2つの違いを解説します。

1.基本契約

人材派遣会社と派遣先が交わす契約です。

主に記載されている項目

  • 契約目的
  • 個別契約にて定める事項の概要
  • 派遣会社の責任者、派遣先の責任者と指揮命令者について
  • 契約の有効期限
  • 派遣料金
  • 機密保持について

2.労働派遣(個別)契約

個別契約も派遣会社と派遣先の企業が交わす契約で、より具体的な条件を定める契約です。

主に記載されている項目

  • 派遣先の業務内容
  • 派遣するスタッフの人数
  • 就業場所
  • 就業日と就業時間、休憩時間
  • 時間外労働について
  • 休日について

労働派遣(個別)契約は、基本契約に比べ具体的な労働内容が記載されるため、派遣労働者にとっても非常に重要な契約となります。

電子契約書とは?仕組みやメリット・おすすめの作り方や注意点を解説

2021年から労働派遣契約書の電子化が可能に

労働派遣(個別)契約は労働者派遣法に基づき、2020年12月31日までは書面で締結する必要がありましたが、2021年に労働者派遣法の改正に伴い、e-文書省令の電子契約に関する内容も改正されて労働派遣契約書の電子化が可能になりました。詳しい改正ポイントは次の通りです。

改正前は、派遣社員への労働条件・就業条件などの通知は既にメールやSNSで行うことはできましたが、派遣会社と派遣先企業の派遣契約書のやり取りは書面で行うことが義務付けられていました。

しかし、2021年に施行された改正法により、派遣元企業と派遣先企業との間で交わされる労働者派遣契約(個別契約も含む)は、書面に代えて電磁的記録の作成、つまり電子化が認められることになったのです。

電子契約に関連する重要な法律まとめ!ポイントをわかりやすく解説!

労働派遣契約書の電子化が可能になった背景

そもそも、なぜ企業間の労働派遣契約のみが電子化を認められていなかったのかについては、以下の法律が関係しています。

労働者派遣法施行規則21条第3項には、

「労働者派遣契約の当事者は、当該労働者派遣契約の締結に際し法第26条第1項の規定により定めた事項を、書面に記載しておかなければならない。」

と定められています。

この定めにより、国は電子化を認めていなかったことになりますが、一方で、条文には、「契約書の作成自体」については明確に言及されていないことから、印刷できる状態であれば、契約形式を電子化しても問題ないのではないかという見解を示す自治体もあるなど、混乱状態にありました。

上記のような状況の統制を図るため、また、テレワークの普及により経済活動や企業のデジタル化が急加速的に進んだことなどから、労働派遣契約書も電子化が認められることになったと考えられます。

電子契約書で派遣契約を締結するメリット

書面での契約では、書類作成や修正、郵送などで、1件の契約を締結するにも1〜2週間程度の期間が必要でした。そのため、急を要する派遣要請であっても即座に対応できないデメリットが生じていたのです。

しかし、電子契約書が可能となったことで、最短1日で契約を締結することも可能になっています。

電子契約を導入するメリットはそれだけではありません。ここでは、電子契約書で派遣契約を締結するメリットを5つご紹介します。

(1)コストの削減

紙の契約書には意外と多くの費用がかかります。主な費用は「ペーパー代」「印刷代」「書類を管理する人件費」「書類の保管にかかるコスト」などです。

電子契約では、当然ですが、契約内容は全て電子データにてやり取りされるため、契約書の印刷や製本、郵送手続きといった事務作業は発生しません。

また、締結された電子契約書は、主にクラウドサーバーにて保管されるため、キャビネットや倉庫などの保管場所を用意する必要もなくなるのです。

電子契約サービスを利用するには、導入費用や利用料が発生しますが、事務作業の軽減による人件費の削減や、これらのコストカットが実現できるメリットは大きいと言えるでしょう。

(2)業務の効率化

電子契約書の導入により、業務の効率化を図ることが可能です。主な理由として、次の2つが挙げられます。

契約にかかる日数を短縮できる
従来は郵送で送っていた契約書も、電子契約システムにアップロードすれば契約が交わせるようになります。これまで1週間ほどかかっていた契約を、早ければ即日完結することも可能です。

必要な契約書がすぐ見つかる
紙の契約書は、その量が膨大となれば整理などの管理が大変なだけでなく、閲覧が必要になった際には、見つけるのも一苦労です。電子契約書なら、条件検索で必要な契約書をすぐに見つけることができます。

(3)利便性がアップ

電子契約では、契約内容の確認から締結のための電子サインや電子署名の付与までを、全てオンライン上で完結できるため、利便性や効率が格段にアップします。

・テレワークでの業務の進行が可能になる
電子契約書であればリモートでの作業が可能になるため、場所を問わずに業務を遂行することができます。

・場所や時間を問わず進捗状況を共有できる
紙の契約書にて契約業務を進める場合、その進捗は担当者のみが把握しているといったケースは少なくありません。電子契約書システムでは、各案件のステータスが、リアルタイムで確認でき、かつ共有もスムーズに行えます。

(4)書類の保管が簡易化

電子契約サービスを利用することで、書類整理の手間を削減することができます。

紙の契約書は、企業別・時系列などでファイリングし、整理しておかなくてはいけません。多くのクライアントと派遣社員を抱える派遣会社の場合、管理の手間は、相応の労力を必要とする作業となります。

また、これらの書類の保管には、書類管理サービスを利用することが一般的です。その場合、過去の資料の閲覧が必要になった際には、手間と時間、そして費用が発生することもあります。

電子契約サービスであれば、契約書が必要なときには、検索で迅速に見つけることが可能です。また、紙の契約書は紛失したり経年劣化したりするリスクがありますが、電子契約サービスを導入すればそのような心配もありません。

(5)セキュリティ面も充実

電子契約システムであればデータの暗号化や二段階認証といった、高いセキュリティ環境のもと、契約を締結することが可能です。

紙の契約書は、施錠できるキャビネットや倉庫で保管することも多いかと思います。しかし、担当者がうっかり鍵をかけ忘れてしまったり、保管場所は施錠していても、肝心の鍵の保管は、管理が徹底されてないケースもあるのではないでしょうか。そのため、紛失や情報漏えいのリスクが高く、万全のセキュリティ体制であるとは言い切れません。

電子契約システムでは、ファイルごとのアクセス権限の設定や、各電子データの修正や削除履歴も残すことが可能です。誰がいつ契約書を修正したのか明確にできるので、大事な契約書を無断で改ざんされるリスクもありません。

電子契約の法的効力とは?担保する仕組みや導入時のよくある疑問を解説

電子契約サービスの導入方法

電子契約書の導入にはさまざまなメリットが期待できますが、紙の契約業務からの順調な移行ができずに、業務に大きな支障をきたしてしまうケースも少なくありません。

ここでは、電子契約サービス導入への移行がよりスムーズにできるように、電子契約サービスを導入する流れをご紹介します。

(1)契約オペレーションの把握・整理

契約書管理体制を電子契約サービスに移行するために、現状の契約オペレーションを把握する必要があります。把握すべき具体的な事項は、「契約書の種類」「契約書作成の流れ」「社内の申請・承認フロー」「契約書の保管方法」などです。

この作業を丁寧に行っておくと、電子契約サービスの選択や業務フローの見直しにも役立ちます。

導入後は、すべての契約書を一気に電子契約に移行してしまうのではなく、一部の契約業務から段階的に範囲を広げていくようにすると良いでしょう。

(2)電子契約サービスの比較検討

現在は、多種多様な電子契約サービスが提供されています。そのため、機能や料金プラン、システムの使いやすさなど、企業の目的に合ったサービスを選ぶことが、導入後の効率化や満足度に大きく影響します。

使い勝手についての判断は、気になる電子契約サービスに無料のトライアル期間などがあれば、積極的に利用されることをおすすめします。特に、実際に使用する部署や担当者の意見・要望をしっかりとヒアリングすることで、使いづらい、必要な機能が備わっていないといったリスクを回避できるでしょう。

(3)業務フローや社内規定の見直し

社内規定と業務フローの見直しも、電子契約サービスを導入する際の大事なステップです。特に、システム導入により、契約に関する社内の申請・承認業務も併せてオンライン化する場合などは、フローが大きく変わることになるため、混乱が生じないよう、事前にマニュアルの整備と周知を徹底しておきましょう。

また、電子データの取り扱いや注意点をまとめた規定の策定、全従業員に向けたセキュリティ教育の実施などの対策も必要です。

(4)本格的な導入のために稟議書を作成

電子契約サービス導入の承認と決裁を得るための手続きには、稟議書の作成が必要となる企業も多いでしょう。稟議書には、「電子契約書のメリット・デメリットの検討」「電子契約サービスの比較」「新しい業務フローと社内規定」をまとめ、電子契約サービスの相見積もりを添付しましょう。

稟議書をよりわかりやすくするために、他の派遣会社の導入事例に関する資料を用意して添付してから回覧すると、稟議も承認されやすくなります。

(5)社内外へ電子契約導入をアナウンス

電子契約の導入が決定した際には、電子契約への移行を社内外に向けてアナウンスします。契約を締結する相手先企業に対しては、「電子契約で契約締結することへの合意」を、事前に得る必要があるため、余裕を持ったスケジュールでの事前告知も忘れずにおこないましょう。

また、よりスムーズな導入と移行に向けて、社内研修などの実施もおすすめします。電子契約サービスの中には、このような事前準備のサポートをしてくれるサービスもあるため、導入時の準備が不安な場合は、相談してみると良いでしょう。

電子契約の現状におけるリスクとは?問題点を理解して安全に利用しよう!

労働派遣契約で利用したい電子契約サービス5選

電子契約サービスとは、以下の契約にかかわる全ての業務がオンライン上でおこなえるシステムのことです。

  • 契約書の作成
  • 契約内容の申請・承認
  • 相手先への契約書の送信および確認
  • 電子署名やタイムスタンプの付与による契約の締結
  • 締結した契約書データの保管

さらに、電子契約サービスでは、契約業務と親和性の高い業務のシステムとの連携も可能なため、業務全体の効率化を図れるのがメリットです。

電子契約サービスは数多く存在しますが、ここでは派遣会社におすすめの電子契約サービスを5つご紹介します。

(1)クラウドサイン

弁護士ドットコム株式会社が運営している電子契約サービスであり、30万社以上の導入実績があります。

・特徴
弁護士監修のもと開発されたシステムのため、安心して使用できます。操作がしやすくセキュリティ機能が充実しており、メール認証+2段階・2要素の認証の他、「アクセスコードによる2段階認証」「アプリによる2要素認証」「IP制限」の設定も可能です。契約する相手がクラウドサインユーザーでなくても契約を締結することができるのも魅力だといえるでしょう。

・料金プラン
Light:月額11,000円(税込)
Corporate:月額308,000円(税込)
Enterprise:要問い合わせ

(2)電子印鑑GMOサイン

GMOグローバルサイン・ホールディングスクラウドが運営する電子契約サービスであり、導入企業社数は40万社以上です。

・特徴
一度に大量の契約書を送信することができ、圧倒的なコストパフォーマンスで、1送信にかかるコストはたった110円です。動画コンテンツ、電話サポートの他、導入支援などもおこなっているので、はじめて電子契約サービスを利用する企業にも向いているといえるでしょう。多国語対応で、日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語に対応しています。

・料金プラン
お試しフリープラン:0円
契約印&実印プラン:月額9,680円(税込)

(3)ContractS CLM

ContractS株式会社が運営する電子契約サービスであり、契約管理サービス市場ではシェアNO.1のサービスです(同社HPより)。

・特徴
自社に適した契約プロセスを構築し、契約に関わるすべての書類を一元管理できるので、契約締結をよりスピーディにできます。一斉締結機能を実装しているので、同種契約の締結であれば一度にまとめて締結することも可能です。契約書の作成は、Microsoft Wordのソフトを使えるので、電子契約サービスへの移行もしやすいでしょう。

料金プラン (2022年6月24日 (金)まで特別価格)
Standard:0円~(期間限定プラン)
Professional:0円~(期間限定プラン)
Enterprise:要相談

(4)freeeサイン(旧NINJA SIGN by freee)

株式会社サイトビジットが運営する、クラウドに特化して開発された弁護士監修の電子契約サービスです。

・特徴
よく使う契約書のテンプレート登録ができるため、必要項目を入力するだけで簡単に契約書を作成できます。また、契約業務に必要なプロセスをカバーするワンストップ型なので、契約業務の効率化が実現できるでしょう。

シンプルな操作性も特徴であり、システムの利用に不慣れな方でも安心して使用することができます。サポート体制が充実している点もポイントといえるでしょう。

・料金プラン
スタータープラン:月額1,078円(税込)
Lightプラン:月額 5,478円(税込)
Light Plusプラン:月額21,780円(税込)
Pro/Pro Plusプラン:月額55,000円(税込)

(5)DocuSign

アメリカのDocuSign, Inc.が運営する、電子契約サービスです。電子署名のパイオニアとも言えるサービスで、世界180か国以上の国々で採用され、44言語での署名が可能です。

・特徴
世界各国のセキュリティ基準を満たす厳しいリスク管理をしているため、安心して利用できます。複数の取引先に一度に送信ができる一括送信機能や他のアプリと連携できるインテグレーション機能を搭載。ドラッグ&ドロップで管理者の設定ができるなどシンプルな設計が特徴で、電子署名の付与も簡単なステップでできます。

・料金プラン
Personal:月額10ドル(年間一括払いの月額)
Standard:月額25ドル(年間一括払いの月額)
Business Pro:月額40ドル(年間一括払いの月額)

労働者派遣契約の電子化で工数を削減しよう

派遣の仕事は短期のものも多く、その都度契約書を作成しなくてはいけません。そのため、発生する契約件数も膨大になってしまい、契約書の管理だけでも、相当な労力と時間を必要とします。

しかし、これらの契約業務は、電子契約サービスの導入により、大幅な業務の簡略化が期待でき、コストの削減も可能です。契約業務の軽減を目指すのであれば、法改正が実施されたこの機会に電子契約サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

電子契約システムの平均費用は?導入コストや費用対効果について解説

中小企業におすすめの電子契約サービス14選!導入の必要性から手順まで

電子契約ができないケースとは?対応不可な書類や相手に拒否された時の対処法

次に読みたいおすすめ記事

  • ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームまたは、お電話からお問い合わせください。

    お問い合わせはこちら

    TEL:0120-987-053(無料)
    【受付時間】10:00~18:00(土日祝を除く)

ビズクロ編集部
「ビズクロ」は、経営改善を実現する総合支援メディアです。ユーザーの皆さまにとって有意義なビジネスの情報やコンテンツの発信を継続的におこなっていきます。

おすすめ関連記事

おすすめワークライフバランス書籍10冊!仕事と生活の両立に悩む方は必見!

2022/7/1

ワークライフバランス

2022/7/1

ワークライフバランス

経費精算の期限はいつまで?月またぎ・年またぎはできる?注意点を解説!

2022/7/1

経費精算システム

2022/7/1

経費精算システム

デジタルツインの最新事例6選!業界別の活用方法を具体例で解説!

2022/7/1

デジタル化

2022/7/1

デジタル化

生産性分析の手法と代表的な指標とは?企業が取り組むべき施策も解説

2022/7/1

生産性

2022/7/1

生産性

【最新】ビジネスで活用すべきおすすめデジタルツール10選!

2022/7/1

デジタル化

2022/7/1

デジタル化

デジタル時代の到来による変化とは?備えておくべき最低限の知識を解説

2022/7/1

デジタル化

2022/7/1

デジタル化

【2022年】IT導入補助金とは?概要・条件・申請方法をわかりやすく解説

2022/7/1

デジタル化

2022/7/1

デジタル化

ワークライフマネジメントとは?考え方や実現方法・企業の事例を解説

2022/7/1

ワークライフバランス

2022/7/1

ワークライフバランス

ワークライフハーモニーとは?ジェフ・ベゾスの哲学から生まれた新たな概念

2022/7/1

ワークライフバランス

2022/7/1

ワークライフバランス

ダイバーシティ推進によるメリット・デメリットとは?注意点も徹底解説

2022/7/1

ダイバーシティ

2022/7/1

ダイバーシティ