電子契約の現状におけるリスクとは?問題点を理解して安全に利用しよう!

2022/4/1 2022/04/01

電子契約システム

電子契約サービスで契約締結するビジネスパーソン

電子契約における問題点やリスクが気になり、契約業務の電子化に踏み切れないという企業も多いのではないでしょうか。本記事では、電子契約と書面契約との違いや現状におけるリスクと、その対策を解説します。また、証拠力が強いおすすめの電子契約サービスについても紹介するので、ぜひ参考にされてみてください。

電子契約とは?

電子契約とは、電子データの契約書に電子署名を付与して契約を締結する契約方法のことです。

従来の契約締結では、印刷して製本された契約書に、署名・捺印をして合意したことを証明し、収入印紙を貼付した上で保管する方法が一般的でした。しかし、電子契約では、契約書の印刷や捺印をする必要はなく、法令に定められた条件を満たすことで書面の契約書と同等の法的効力と証拠力を持つ契約の締結が可能です。

そのため、メールやチャットツール、電子契約サービスを利用することで、非対面、かつスピーディーな契約ができ、業務の効率化が実現できます。業務の軽減だけでなく、紙のコピー代や印紙税が不要となることから、コスト削減などのメリットも得られる、新たな契約方法なのです。

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電子契約と書面契約の違い

電子契約と書面契約には、以下のような違いがあります。

電子契約 書面契約
保管場所 クラウドサーバーなど キャビネットや倉庫
署名方法 電子署名やタイムスタンプ 署名・捺印
(印鑑証明書の添付)
契約書類 PDFなどの電子データ 文書
印紙 不要 必要(200円~2,000円)

また、実際の契約フローについても比較してみましょう。

例えば、電子契約では、契約書の作成、契約内容の確認、契約当事者双方の電子署名の付与など、これらすべてのフローをオンライン上で完結させ、締結した契約書もサーバー上で保管します。

そのため、契約書の印刷代や郵送費の他、これらの作業にかかる人件費などは発生しませんが、多くの場合、電子契約サービスなどのシステムを利用することになるため、毎月の利用料が発生します。

一方の書面契約では、取引先用と自社保管用で契約書を2部用意し、対面もしくは郵送にて契約を行うことになるでしょう。契約書の印刷、製本、郵送にかかる人件費を含むコストの他、書面の契約書には、契約書に記載された契約金額に応じて印紙税が課税されるため、印紙代もかかります。

この印紙代は、同じ契約内容であっても、契約書が2部ある場合は、その両方に貼付しなければなりません。ちなみに、電子契約では、契約金額にかかわらず印紙税は非課税となっています。

法的な有効性の違い

最後に、気になる証拠としての法的な有効性の違いについてご説明しましょう。電子契約では、適切な電子署名やタイムスタンプを付与することにより、契約に法的な有効性を持たせることができます。

これは、書面契約における署名や捺印がされてこそ証拠として機能するという性質と同様であり、その方法が違っていたとしても証拠力に差はないと考えて良いでしょう。

つまり、電子契約はオンラインで時間や場所を問わずに契約の締結ができ、同時に業務効率の改善とコストの削減も実現できる契約方法なのです。

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電子契約の現状におけるリスクや問題点

電子契約には、コストの削減や業務の効率化など、さまざまなメリットがあります。実際に、近年の働き方改革やリモートワークの普及により、多くの企業で導入が進められています。

しかし、電子契約に、リスクがないわけではありません。ここでは、電子契約の運用で起こり得る4つのリスクや問題点について具体的にご紹介します。

(1)サイバー攻撃やウィルスなどのセキュリティリスク

株式会社東京商工リサーチの報告によると、2021年に個人情報の漏洩および紛失事故を公表した上場企業は120社で、漏洩した個人情報は574万9773人分に上るとされています。また、独立行政法人情報処理推進機構によると、2020年のウィルス届出件数は449件であり、前年の256件から大きく増加しているのです。

さらに、このような流出事故は、未上場の企業や官公庁などでも発生しているため、実際の件数はさらに上回ると推測されています。

電子契約では、やり取りをすべてインターネット上で行います。そのため、自社が使用している回線のセキュリティが弱ければ、サイバー攻撃やウィルス感染の被害を受ける可能性があるのです。

また、従業員による契約データの持ち出しなどにより、機密事項が含まれた契約内容が外部に流出することで、ビジネス機会を逸してしまうリスクもあるでしょう。情報漏洩が起こってしまうと、取引先からだけではなく、社会的な信用を失ってしまうことにもつながりかねない重要な問題になります。

(2)電子契約の有効性に関する法的リスク

契約書を交わすときは、誰と誰がどのような内容の契約をしたのかを証拠として残すことが必要となります。書面契約では書類に不備がない限り、特に対面での契約締結では、高い本人性が担保されるため、契約の法的な有効性も高いと言えるでしょう。

それに対し、電子契約では、完全に非対面で契約を締結することが可能です。そのため、本人性の確保として、電子証明書の仕組みがあるものの、契約当事者の電子証明書を必要としない、契約方法を選ぶこともできます。

実際の運用では、電子証明書を利用する「当事者型」と、メールで本人確認を行う「立会人型」は、状況や相手先との関係性などによって上手に使い分けられているため、さほど恐れる必要はありませんが、書面契約と比較して、本人性に疑義が生じる余地があるという程度に覚えておくといいでしょう。

(3)契約内容の改ざんリスク

このリスクは必ずしも電子契約に限った問題ではありませんが、電子契約では特に契約内容の改ざんに注意が必要です。

書き換えなどの痕跡が比較的発見しやすい書面の契約書に対し、電子データは、改ざんされてしまった場合に、その痕跡を発見するのが非常に困難となります。これは画像の加工が容易にかつ精巧にできてしまうのと同じです。

しかし、そのような改ざんのリスクを回避するための仕組みも用意されています。それが後に詳しくご説明する「タイムスタンプ」です。

また、セキュリティの安全性が低ければサイバー攻撃などを受け、遠隔操作により契約内容を改ざんされてしまう可能性もあります。常に最適なセキュリティ対策をしておく必要があるでしょう。

(4)書面化義務のある契約書を電子化するリスク

契約書類の中には、法律上書面での作成が求められているものがあります。そのため、書面化義務のある契約を電子契約で行ってしまうと、契約自体が無効となってしまうためご注意ください。

法律で書面化義務が定められている場合は、条文にて「書面の交付」という指定があります。例えば、借地借家法や宅建業法、特定商取引法などです。宅建業法34条の2第1項には、以下のように記載されています。

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

この法律により、現在の不動産売買契約では必ず書面を用いなければなりません。ただし、電子取引に関する各法令は緩和が進められており、今後、これらの契約もそのほとんどにおいて、順次電子化が認められることが既に決まっています。

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電子契約のリスクや問題点への対策方法

電子契約は、セキュリティリスクや電子契約の有効性、契約内容の改ざん、書面化義務のある契約書を電子化してしまうリスクを抱えています。

特にセキュリティリスクについては、サイバー攻撃やウィルスなどの報告件数が年々増加しており、安易に考えることのできない問題のひとつでしょう。

ここでは、電子契約におけるリスクや問題点に対する対策方法をご紹介します。

(1)情報セキュリティ教育を徹底する

株式会社東京商工リサーチの報告によると、個人情報漏洩が起きる原因の多くはウィルス感染や不正アクセスなどの外的な要因とされています。

しかし、メールの誤送信や記録媒体の紛失などに起因するケースも多く、従業員一人ひとりの情報管理に対する意識の低さ、危機管理能力が低下していることにより生じてしまったケースも少なくありません。

そのため、従業員に対する情報セキュリティ教育を徹底していくことも有効な対策方法のひとつであるといえます。「安易に添付ファイルやURLをクリックしない」、「不用意に外出先のWi-Fiなどに接続しない」「パソコンやスマートフォンは適切に取り扱う」といった、情報セキュリティ教育を行うことで従業員のセキュリティリテラシーを高めることが重要だといえるでしょう。

(2)電子署名型の電子契約サービスを導入する

電子署名は電子サインの一種であり、デジタル状に署名を記録することで、その文書を署名した本人が作成したことを示す仕組みです。従来の印鑑に例えると、電子署名は実印に、電子証明書は印鑑証明書に相当します。

電子署名には、ハッシュ関数と公開鍵暗号方式が用いられ、複雑な暗号技術によって付与されることにより、改ざんやなりすましのリスクを回避して、「真正性」と「本人性」を担保する仕組みになっています。現時点で電子契約における最も厳正な本人確認方法であり、電子証明書と一体で機能します。

このことから、電子署名型の電子契約サービスを導入することで、高いセキュリティ環境のもと、真正性が担保された電子契約を結ぶことができます。

(3)タイムスタンプを活用する

タイムスタンプとは、表記されている時刻に電子文書が存在していたことを証明する技術のことです。主に電子契約の改ざんを防ぐための対策として用いられます。

また、タイムスタンプは長期署名への対応や、電子帳簿保存法を遵守する目的でも用いられるため、電子署名と同様に電子契約の法的効力を証明する上でも重要な仕組みです。

タイムスタンプは、実際には「ハッシュ値取得→タイムスタンプ要求→タイムスタンプの発行」の流れで付与されます。付与された時点から電子契約の内容が変更されていないことを示すものであるため、契約締結時にタイムスタンプを付与しておくことで、「文書の存在」と「非改ざん性」をタイムスタンプによって証明することができます。

(4)弁護士にリーガルチェックを依頼する

リーガルチェックとは、法務確認のことを指します。契約書の内容は、法律の専門家でなければ理解しにくい部分も多く存在します。そのため、契約書の記載内容は十分か、契約内容に自社の不利益となるような記載が含まれていないか、違法な点はないか、といった確認については、社内に法務部門がない場合、専門家に依頼するのが得策です。

実際の流れとしては、契約書と自社の会社情報を用意し、合意したい内容を整理した上で弁護士に相談することになるでしょう。

(5)契約締結権限を確認できる資料を依頼する

電子契約は非対面・オンラインで締結するため、相手方の締結処理が実際どのように行われたか確認することが困難です。電子契約を締結する際にも、書面での契約書で締結する場合と同様に、相手方の契約締結権限を確認しなければなりません。

そこで、契約締結権限を確認できる資料の提出を求めることがリスク対策として大切です。

契約締結時には、会社に関する基本的な事項として、会社の存在、代表権の存在、代表者の同一性の3つの事項を確認します。この3つの事項に加え、契約締結について社内的な意思決定が完了していること、契約締結の名義人に締結権限の授権がおこなわれていることを確認しなければなりません。

(6)契約書のバージョン管理・チェック体制を徹底する

電子契約でファイルの改ざんや内容の不備が発生するパターンとして、以下の2点が考えられます。

  • 最終バージョンではないデータを用いて締結版が作成されている場合
  • 最終バージョンのデータ化の過程で意図的に改ざんされてしまった

このようなトラブルを防ぐには、バージョンの管理を行った上で、アクセス権限の設定やチェック体制を構築する必要があります。契約書の管理体制を一本化するために、どの部署の、誰が責任者であるのかなどを決定し、権限を絞って、特定の従業員のみが管理業務を執行できるようにしなければなりません。

ただし、多くの電子契約サービスでは、削除や修正のログが記録されるため、契約書の管理もしやすくなります。この利点を最大限に活用できるよう、チェック体制を整えておきましょう。

電子契約における本人確認の重要性となりすまし防止への対策について

証拠力の高い電子契約が可能な電子契約サービス4選

電子契約の「本人性」と「真正性」を担保する上での重要な機能として、電子署名やタイムスタンプ機能があることをご説明しました。

そこでここでは、これらの機能を備えた証拠力の高い電子契約が締結できる、電子契約サービスをご紹介します。

(1)GMOサイン

「GMOサイン」は、ITインフラ事業25年以上の実績を持つGMOが運営しており、知名度の・セキュリティレベル・シェアともにNo.1とも評される電子契約サービスです。

電子証明書の発行と電子署名の付与、書面の非改ざん性を証明をする認定タイプスタンプが標準装備されています。そのほか、証明書発行元の正当性を証明するルート証明書も取得できます。

信頼できる第三者機関から電子署名が発行されていることや、契約データごとにファイルを暗号化して保管していること、WAFで不正アクセスを制御していることから、信頼できる高いセキュリティレベルにあるといえるでしょう。

また、GMOサインでは、証拠力の高い「当事者型」と、利便性の高い「立会人型」の契約方法が選べる点も大きな特徴です。これらのサービスは、内部統制を必要とする大企業はもちろんのこと、個人事業主との契約が多く発生する企業や、システムのセキュリティ環境を重視したい企業におすすめです。

(2)CloudSign(クラウドサイン)

「CloudSign(クラウドサイン)」は、弁護士ドットコム株式会社が運営しており、弁護士監修のもと開発された電子契約サービスとして知られています。ベンチャー企業から大企業、自治体などで広く導入され、30万社以上を誇る国内大手の電子契約サービスです。

メール認証+2段階・2要素認証で本人性を担保、弁護士ドットコムの電子署名+タイムスタンプにより非改ざん性を担保していることから、万全のセキュリティ対策が構築されています。

豊富なAPI連携を利用したい企業、シンプルな操作性で直感的に使える電子契約サービスを利用したい企業におすすめの電子契約サービスです。

(3)freeeサイン(旧NINJA SIGN by freee)

「freeeサイン」は、日本最大級の資格試験学習サイトである資格スクエアを運営する株式会社サイトビジットが運営しています。2019年に提供を開始した比較的新しいサービスではありますが、導入企業は年々増加傾向にあります。

大きなメリットとして、Googleドキュメントが利用できること、相手方の企業がユーザー登録をしなくても使えることなどが挙げられます。

また、契約書類の作成は、テンプレート機能を使って簡単に行えるため、契約業務の大幅な効率化が期待できるでしょう。また、契約書以外の書類のペーパーレス化も推進できるツールのため、バックオフィス業務全体の書類電子化を検討されている企業におすすめです。

(4)ジンジャーサイン

「ジンジャーサイン」は、jinjer株式会社が運営する電子契約サービスです。

電子証明書の発行、電子署名やタイムスタンプ機能の他、2要素認証や操作ログ管理なども搭載されています。テンプレート機能や契約の進捗がひと目でわかるステータス管理機能もあるため、契約業務全体の生産性の向上が図れるでしょう。

使いやすいUIときめ細やかなサポート体制にも定評があり、電子契約サービスを始めて導入する企業や、業務のシステム化に不慣れな企業においても導入しやすいサービスです。無料トライアルが用意されているため、使用感が気になる場合は積極的に利用されると良いでしょう。

リスクと問題点を理解して安全に電子契約を利用しよう

電子契約の導入は、業務の効率化や経費の削減などさまざまなメリットが得られる一方、セキュリティリスクや改ざんのリスクなど注意すべき点もあります。

これらのリスクを回避するには、今回ご紹介したような証拠力の高い電子契約サービスを利用するのもひとつの方法です。電子契約サービスの各種機能や利便性を比較し、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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