人事管理システム導入のメリット・デメリットとは?わかりやすく解説!

最終更新日時:2022/04/12

人事管理システム

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人的資源の最適化や正当な人事評価は経営戦略においても重要なマネジメント業務です。そして、人事管理システムは、これらの管理業務を能率的に行うことのできるシステムです。本記事では、人事管理システムの導入により、どのようなメリットやデメリットがあるのか、詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

人事管理システムとは?

人事システムは、その機能から大きく以下の2つのシステムに分けることができます。

労務・給与の管理

勤怠管理や給与計算の他、労務情報全般の管理ができるシステム

人事管理(マネジメント)

採用業務や人材評価に関連する情報と業務の管理ができるシステム

上記のうち、人事管理に含まれる採用や評価業務は、従来、紙やエクセルファイルを使用した管理が一般的でした。しかし、それらは運用の利便性や管理の手間などの点において、作業の非効率さや、管理の負担の大きさなど、多くの課題を含んだ管理方法でもあったのです。

とりわけ人材評価においては、評価項目が曖昧であったり、基準が属人化してしまっていたりなどの評価の不公平性につながる問題が起きやすいという実情にありました。

人事管理システムは、採用や評価に関わる人事情報の一元管理により、管理業務を効率化するだけでなく、人事評価に必要な情報をまとめて管理することで公正な人事評価が実現できるシステムなのです。

人事管理システムで利用できる機能

採用業務や人事評価の効率化が図れる人事管理システムですが、具体的にどのような機能があるのか、詳しく見ていきましょう。

人材分析

保存された従業員のデータを元に、従業員を分析できます。分析に用いるデータは、主に以下のような項目が挙げられます。

基本情報:雇用形態、勤続年数、役職

職務経歴:過去の職歴、保有スキル・資格

勤務状況:現在の職務、勤務時間、面談回数などの記録

評価情報:目標設定、プロセス、成果、過去の評価情報など

労働環境:勤務時間、人間関係

そのほか:モチベーションやエンゲージメントなどのマインドデータ

上記のような情報を人事管理システムにて一元管理し、総合的に分析することで、離職の防止や組織の生産性向上に役立てることができます。

また、どのような従業員が組織で高いパフォーマンスを発揮しているのかを分析することで、効果的な人材育成体制の構築や、優秀な人材の効率的な採用の実現も期待できるでしょう。

人材配置

人事管理システムには、配置シミュレーション機能が搭載されており、詳細な人事情報を確認しつつ、組織全体のバランスを考えながら、最適な人員配置のシミュレーションがおこなえます。

従業員のスキルや、職務状況、人件費など、さまざまな情報を見ながら配置がおこなえるため、人事異動を決定する会議などもスムーズに行うことができます。

その他にも、シミュレーションに基づきリアルタイムに人件費の計算をおこなうなど、面倒な作業を最小限に抑える設計がされています。

人事評価

人事評価をサポートする機能も搭載されています。

多くのシステムにおいて評価シート作成機能はカスタマイズ性が高く、社内の既存の評価シートをもとにカスタマイズすることで、システム導入時にも、大きな混乱なく使用することが可能です。

また、作成した評価を一覧で確認できるのも魅力の一つです。近年は、評価の不公平性を避けるため、立場の異なる複数名の従業員が、1名の評価を行う「360度評価」を導入している企業もあります。

このような評価システムにおいては、容易に共有でき、かつ進捗の確認も可能な人事管理システムを利用することで、情報連携が効率的におこなえるでしょう。

人事管理システムを導入する6つのメリット

人事管理システムを利用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは以下の6つのメリットをご説明します。

  • 人事管理における業務を効率化できる
  • 最適な人材配置の実現
  • タレントマネジメントにも対応可能
  • 離職データ分析により離職防止に取り組める
  • より精度の高い人材育成が行える
  • 従業員のモチベーションも上げることが可能

1.人事管理における業務を効率化できる

人事管理システムの魅力の一つが、業務を効率化できることです。

人事部門の業務は多岐に渡り、給与計算、採用・退職、勤怠管理、人材育成など、さまざまな業務をこなさなければなりません。また、個人情報を含む、多くの資料を扱う必要があり、資料の収集・整理に時間を多くとられてしまいます。

人事管理システムは、人事情報を一元管理するという方法で、その業務負荷を軽減させます。一元管理には、以下のような優れた特徴があります。

一つは、データの自動同期です。従業員の雇用・異動などで人事情報を更新する際、今まではさまざまな資料を書き換える必要がありました。これには、非常に手間がかかる、人的ミスのリスクが上がるなどの問題がありました。

データを一元管理することで、人事情報の更新は一つのデータを書き換えるだけでよくなり、作業の軽減とミスの回避が可能になります。さらに、給与計算や勤怠管理など、人事情報と親和性の高い業務システムと連携することで、人事業務全体の効率化が図れるでしょう。

二つ目は、データの共有です。エクセルなどのファイルデータをチームや部門内などで何度もやり取りしていると、どのファイルが最新かわからなくなる、更新した情報が反映されていなかった、などの問題が発生することがあります。

人事管理システムであれば、データはシステム上で閲覧・編集できるため、受け渡しの手間がありません。また、すべての作業者が常に最新の情報を参照できます。

このような理由から、人事管理システムは業務効率を大幅に上げることが可能なのです。

2.最適な人材配置の実現

人事管理システムを活用すれば、人材配置の最適化が叶います。

人材の配置には、さまざま要素を考慮する必要があります。人件費、スキル、経験、性格、本人の希望、組織全体のバランスなど、勘案すべき要素は数えきれません。

これらを考慮した上で何十・何百という従業員の配置を考えるのは大変困難であり、多くの企業では最適な人材配置がおこなわれていないのが実情です。

人事管理システムには、従業員の配置をシミュレーションできる機能が搭載されています。さらには、適切な社員を検索し抽出したり、配置変え後の人件費の自動計算などもおこなえるなど、人材配置をサポートする機能が充実しています。

従来に比べて適切な人材の選択が可能になり、内部リソースを効率的に扱えるようになるでしょう。

3.タレントマネジメントにも対応可能

人事管理システムはタレントマネジメントに活用できます。

タレントマネジメントは、従業員の能力やスキルを伸ばしパフォーマンスを最大化するための人材育成の方法です。しかし、タレントマネジメントは従業員それぞれの特徴を細かく把握し、共有する必要があるため、全社的な育成が難しいという問題がありました。

先にお伝えした通り、人事管理システムには、基本的な情報にくわえて、従業員の能力、経歴、面談記録や実績、育成計画、目標設定や目標達成までのプロセス、マインドデータといった従業員のさまざまな情報が記録できます。

従業員それぞれのスキルや個性を社内で共有できるため、経営戦略にあったタレントマネジメントを促進できるようになります。

4.離職データ分析により離職防止に取り組める

人材不足が深刻化する状況においては、優秀な人材の採用と同様に、従業員の離職を防ぐことも人事における重要な任務ひとつであるといえます。

しかし、「離職の原因」が不明であれば、効果的な予防策を講じるのは困難です。そこで、人事管理システムのデータから、離職した従業員を多角的に分析し、傾向を把握することが求められるのです。

面談回数の実施状況、勤続年数、勤務時間や仕事に対するモチベーションの状態など、どのような状況下で、なぜ離職が発生したのかを分析することで、それらを原因を解消する施策が打てるようになります。

ワーク・エンゲージメントの低下といった離職の予兆をいち早くキャッチし、離職率を低減することで、結果的に、組織全体の生産性の低下を防ぐことができるようになるでしょう。

5.より精度の高い人材育成が行える

人事管理システムには、人材育成のための機能が充実しています。

育成計画をシステム上で作成し、目標設定、データ分析、結果分析などが可能です。従業員のスキル・評価情報などがシステム内に保存され、教育担当者は育成に必要な情報を閲覧・共有できます。

スキルに応じて必要な人材を抽出する検索機能を利用して、優秀な人材のデータを分析し、育成方針やプログラムに反映することも可能です。社内の人材を俯瞰的に管理することで、会社に必要な能力を見つけ、能率的な人材育成体制が構築できるようになるでしょう。

6.従業員のモチベーションも上げることが可能

従業員のモチベーション向上にも、人事管理システムは活用できます。

従業員のモチベーションは、会社にとっても非常に重要です。高いモチベーションは、成長意欲や、自発的な行動へとつながります。逆に、モチベーションの低下は、生産性の低下だけでなく、ストレスの蓄積などにより心身の健康に支障を来してしまう場合もあるでしょう。

人事管理システムでは、従業員の能力やスキルを詳細に確認できるため、従業員に最適な人材配置がおこなえます。

適材適所な配置により、従業員のモチベーションを維持するだけでなく、パフォーマンスが下がっていたり、労働時間が過剰になっている従業員の情報から、モチベーション低下の兆候を察知することも可能です。

問題が深刻化する前に対策を講じることで、常に従業員が意欲的に働ける環境作りができるようになるでしょう。

人事管理システムを導入する3つのデメリット

人事管理システムはさまざまな面で大きなメリットがありますが、当然ながら、デメリットも存在します。人事管理システムを導入する際には、注意すべきデメリットについても把握しておくようにしましょう。

ここでは以下の3つのデメリットについて解説します。

  • 導入初期費用・ランニングコストが必要
  • セキュリティ面で不安が残る
  • 運用が中止されることがある

1.導入初期費用・ランニングコストが必要

人事管理システムは、導入の際の初期費用の他、月額利用料などのランニングコストがかかります。

月額の費用や料金プラン、搭載されている機能は、サービスによってさまざまです。そのため、必ずしも使用しない機能まで搭載したような、多機能・高価格なシステムを利用する必要はありません。

導入するシステムを選ぶ際には、自社の目的を明確にした上で、不要な費用が発生しないよう、搭載された機能を精査し、コストパフォーマンスの高いシステムを選ぶようにしましょう。

2.セキュリティ面で不安が残る

人事管理システムは、従業員に関する多くの個人情報を一元管理するため、万が一、不正アクセスや取り扱いの不備によりデータが流出してしまった際には、組織だけでなく、当該従業員が甚大な不利益を被る場合もあります。

そのため、利用に際してはセキュリティ対策を厳重におこわなければなりません。たとえば、以下のような対策が考えられます。

  • データへのアクセス権限は細かく設定する
  • 高いセキュリティレベルのシステムを選ぶ
  • 従業員のセキュリティ教育を徹底し、ITリテラシーを向上させる

とはいえ、セキュリティを厳重にしすぎるあまり、生産性に影響してしまうようでは、システム導入のメリットを享受できません。自社の実態に即した、現実的な対策をおこなうようにしましょう。

3.運用が中止されることがある

人事管理システムはサービス終了によって、運用が中止されるおそれがあります。運用が中止されると、サーバーそのものが停止し、データの取り出し自体ができなくなることもあります。

そのような事態が起こることは絶対にないとは言い切れないため、「備え」は必要です。データは、定期的にバックアップを保存するようにしておきましょう。

人事管理システムを導入する際の選び方

人事管理システムにはさまざまな種類のサービスがあります。自社の目的に合った適切なシステムを選べるよう、ここでは、サービスの選び方をご紹介します。

導入する目的と合っているか

人事管理システムはサービスごとに長所・短所があります。

たとえば、人事評価に特化したサービスでは、人事労務機能が十分ではない可能性もあります。そのようなサービスを業務効率向上のために導入しても、中途半端な効果しか得られません。

サービスのWEBサイトをよく確認し、自社の目的に合った特徴がアピールがされているか確認しましょう。

価格は適切か

サービスやプランの選択を誤ると、無駄な費用が発生してしまいます。人事管理システムにはさまざまな料金体系があるため、適切なものを選びましょう。

まず注意すべきなのはプランです。同じサービスであっても、利用規模や利用方法によってもプランが異なります。

また、オプションや機能にも注意しなければなりません。一見、定額料金が低価格であったとしても、最低限の機能しか利用できず、オプションを追加することで最終的に高額になってしまうようなサービスもあります。価格は、目的とする機能をリストアップした上で、総合的に判断しましょう。

導入形態は合っているか

自社に合った導入形態を選びましょう。代表的なシステムの導入形態は、オンプレミス型とクラウド型です。

オンプレミス型は、自前でサーバーを用意し、サーバーにシステムをインストールして利用する方法です。カスタマイズ性が高い、アクセスを社内ネットワークに限定してセキュリティを高められる、などのメリットがあります。

しかし、サーバーの設置・管理費用が発生する、ITインフラに精通した人材が必要、テレワークなどの社外からの利用が難しい、などの問題があります。

クラウド型は、クラウドサーバー上に構築されたシステムにアクセスしてサービスを利用する方法です。そのため、サーバーを用意する必要がなく、システムの保守・管理もサービス提供会社がおこないます。

オンプレミス型に比べて、比較的容易に導入することができ、初期費用も安く済む点がメリットと言えるでしょう。また、インターネット環境さえあればアクセスが可能なため、テレワークなど、オフィス外で仕事をすることの多い従業員でも利用できます。その反面、カスタマイズ性が低い、セキュリティ面がオンプレミス型に比べて弱い、などのデメリットもあります。

システムのカスタマイズは可能か

自社の業務や体制に合わせ、どの程度のカスタマイズができるか、既存のシステムとの連携は可能かなども事前に知っておかなければなりません。

求めるカスタマイズができずに、一連の業務がシステム上で完結できないとなれば、業務の効率化は望めません。対策としては、トライアルを利用して実際の業務をシミュレーションする、マニュアルを読み込む、などの方法が挙げられます。

サポート体制は十分であるか

サポートがしっかり受けられるものを選びましょう。

導入や運用で問題が発生した際は、サービス提供会社による、迅速なサポートが必要不可欠となります。特に導入初期は、使用上の不明点や自社だけでは対応できないトラブルが頻発することが予想されます。

そのような状態で、サポートからの返答に数日かかるようでは、業務にも影響が出てしまいかねません。「導入時の支援」、「問い合わせ方法」、「返答に要する時間」は、事前に確認しておくと良いでしょう。

システムの利便性に問題はないか

操作方法や操作画面の利便性については、トライアルを積極的に利用したり、トライアルがないサービスについては、提供会社にデモンストレーションの機会を用意してもらうよう依頼してみましょう。

必ず実際に使ってみることが大切です。

導入時の負担はどの程度か

新システムの導入や業務フローの変更は、想像以上の労力と時間を要するものです。

ちなみに、導入時の作業は大きく分けて3つあります。

1つ目が、サーバーの設置やネットワークの設定といったインフラ整備です。ただし、クラウド型のサービスの場合は、このステップは不要となります。

2つ目が、初期設定作業です。自社の運用に合わせて企業の情報、社員情報の入力、その他業務にかかる機能の設定などをおこないます。

最後3つ目が、業務フローの変更と社内アナウンスです。従業員が人事管理システムを利用できるように、研修を実施したり、マニュアルを作成・配布します。

これらの導入作業は、導入形態やシステムによって内容が大きく異なります。どのような作業が必要かを洗い出し、負担をあらかじめ確認しておきましょう。

人事管理システムのメリットを理解して導入しよう

人事管理システムは、人事にかかわる業務を効率的・効果的におこなえるようにサポートするシステムです。また、活用の仕方によっては、適切な人材配置や人材育成へとつなげられるげられる点も魅力といえます。

人事戦略を効果的に進めたいとお考えであれば、ぜひ一度、人事管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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ビズクロ編集部
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