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コンピテンシー評価とは?項目例や導入の流れ、メリットとデメリットを解説

2024/06/19 2024/06/24

人事管理システム

コンピテンシー評価

人事評価方法の1つである「コンピテンシー評価」。近年、人事評価制度として導入する企業が増えていますが、コンピテンシー評価とはどのような評価制度なのでしょうか。本記事では、コンピテンシー評価について紹介し、評価項目例や導入の流れ、メリットとデメリットを詳しく解説します。

コンピテンシー評価とは?

コンピテンシー評価とは、企業内で高いパフォーマンスを発揮する人に共通する行動特性を評価基準にした人事評価のことです。公平な人事評価と戦略的な人材育成を通じて、従業員の能力を向上させ、企業の業績アップに繋げることを目的として導入されています。

コンピテンシー評価は、仕事に対する姿勢や行動を評価する明確な基準があるため、客観的で公平な評価ができる点がポイントです。評価に対する従業員の納得感も得られやすいでしょう。その結果、効率的かつ戦略的な人材育成が可能になるのです。

コンピテンシーの定義とは

コンピテンシーとは、高い業績を上げる人材に共通する行動特性のことを指します。元になった英語のCompetencyは、直訳すると能力・資格・適性といった意味です。

コンピテンシーは行動そのものではなく、行動に繋がる性格・動機・価値観といった要素を重視します。部署や職種ごとに求められる行動特性は異なるため、職種や役割ごとに設定するのが一般的です。

評価基準は、優秀な人材をモデル化したり、企業の理念や事業戦略などからモデルを作ったりするなどして設定します。

職務資格制度(能力評価)との違い

職務資格制度では、従業員の能力・知識・スキルなどを評価します。長期的な人材育成に適した制度で、ゼネラリストを育成しやすいのが特徴です。ただし、評価は責任感・確動性・協調性・積極性といった曖昧な基準でされるため、公平性を欠く可能性があります。

コンピテンシー評価との大きな違いは、評価の内容です。従業員の能力・知識・スキルなどを評価する職務資格制度に対し、コンピテンシー評価は行動特性を評価します。

また、評価項目の具体性にも違いがあります。コンピテンシー評価の評価項目は、「常に改善意識を持って効率的に業務にあたっている」などと具体的です。そのため、評価しやすくなるうえ、説得力も持たせられます。

コンピテンシー評価職務資格制度(能力評価)
評価基準業務遂行のための行動特性・行動方針業務に関わる能力・知識・スキルなど
項目例
  • ミスがあった際に迅速に対応している。
  • 部署を超えてコミュニケーションを取っている。
  • ○○の資格を取得している。
  • 責任感がある。
  • 協調性がある。
特徴
  • 実際に成果を上げている従業員を参考にするため、評価基準が明確になる。
  • 参考となる人材の選出や行動特性の特定など、導入までに手間がかかる。
  • 業務に必要な能力や資質を求めるため、長期的な人材育成に向いている。
  • 評価基準や項目に曖昧なものも多く、評価者の主観に左右されやすい。

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コンピテンシー評価のメリット

コンピテンシー評価を導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、コンピテンシー評価のメリットについて解説します。

効率的な人材育成ができる

コンピテンシー評価を導入することで、効率的な人材育成が可能になります。実際に高いパフォーマンスを発揮している人材の行動特性をモデルとするため、具体的で実践的な評価を実施できるためです。

評価に繋がる行動が明確になることで、従業員が自身の課題を見つけやすくなり、モチベーションの向上にも繋がります。従業員の能力が向上すれば、業務の生産性や業績アップも期待できるでしょう。

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評価者の負担を軽減できる

コンピテンシー評価では具体的で明確な評価基準が設けられるため、客観的な評価がしやすくなります。人事評価は時間と手間のかかる業務であり、評価に悩む時間を削減できることは大きなメリットです。

また職場の人間関係や評価者自身の私情で評価を歪めるリスクも低くなります。その結果、評価の透明性・公平性も高められるでしょう。

従業員の納得感が高まる

コンピテンシー評価は評価基準が具体的で明確なので、従業員は自身の何が評価されたのか・何が足りないのか納得しやすくなります。また、自身の課題も明確になるため、評価の意義を理解しやすくなるでしょう。

その結果、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できます。さらに、組織や上司との信頼関係も築けるので、離職率の低下にもつなげられるかもしれません。

人材管理がしやすくなる

コンピテンシー評価を導入することで従業員の行動傾向が把握しやすくなるため、人材管理をしやすくなるのもメリットです。適材適所の人材配置が可能となり、従業員が能力を発揮しやすくなるでしょう。

その結果、組織全体の生産性アップや従業員の不満の解消も期待できます。また、従業員の特性に合わせた能力開発やキャリア開発にも取り組みやすくなるでしょう。企業の目指す方向性と人事の方向性を揃えられるので、組織の求める人物像に合った人材を育成できます。

経営ビジョンや企業理念を浸透できる

コンピテンシー評価の基準は明確で、業務に直結しているため、従業員は評価項目を意識しながら日々の業務に臨みます。評価項目に経営ビジョンや企業理念を反映させることで、従業員にも浸透させられるのがメリットです。

コンピテンシー評価のデメリット

コンピテンシー評価にはメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、コンピテンシー評価のデメリットについて解説します。

コンピテンシーモデルや項目の設定に手間がかかる

コンピテンシー評価を導入するには、コンピテンシーモデルや項目の設定にさまざまな手間がかかる点がデメリットです。具体的には、評価のモデルとなるハイパフォーマーの選定やヒアリング・分析・評価項目の作成など多くの工程を経る必要があります。また、ハイパフォーマーの分析を評価項目に落とし込むのは難しく、導入ハードルは高いといえます。

さらに、コンピテンシーモデルや評価項目は職種や役割ごとに分けて設定する必要があり、事業規模が大きいほど大量のデータを分析しなくてはなりません。

経営状況の変化に対応しにくい

コンピテンシー評価は評価項目を細かく具体的に設定しているため、経営状況の変化に対応しにくいのもデメリットです。

事業の成長フェーズや社会情勢が変化すると、業務で必要とされる行動も変化します。同じ評価項目のまま運用し続けてしまうと、生産性の低下を招いたり、環境に合わず形骸化してしまう恐れがあるでしょう。

したがって、コンピテンシー評価を導入したあとも定期的に評価基準を見直し、改善していかなければなりません。しかし、評価項目の改訂作業には大きな手間と時間がかかるため、経営状況の変化に素早く対応しきれない可能性があるのです。

コンピテンシー評価のサンプル

コンピテンシー評価はどのように作成すればよいのでしょうか。ここでは、コンピテンシー評価のサンプルを紹介します。

全従業員向け

全従業員向けのコンピテンシー評価のサンプルとして、業務遂行力を例にしたものを記載します。

コンピテンシー項目の具体例
  • 業務やチーム・部署・組織全体に真面目に向き合い、誠実に働いている。
  • 業務の流れを正しく把握し、計画性をもって効率的に業務を進めている。
  • トラブル発生時にも適切な対応をしている。
評価レベル
  • レベル1:上司からの指示を受けて、一部の業務を進めている。
  • レベル2:与えられた業務を、手順通りに正しく進めている。
  • レベル3:自ら主体的に業務に取り組み、計画性をもって正しく進めている。
  • レベル4:自らの業務の領域を超え、チーム・部署全体の業務効率向上に貢献している。
  • レベル5:チーム・組織を横断した業務に関わり、組織全体の業務効率向上に貢献している。

営業職向け

営業職向けのコンピテンシー評価のサンプルとして、顧客対応能力を例にしたものを記載します。

コンピテンシー項目の具体例
  • 自社の商品について理解を深めている。
  • 顧客のニーズを理解し、適切な対応を行っている。
  • 顧客と適切にコミュニケーションをとりながら、信頼関係を構築している。
評価レベル
  • レベル1:自社商品・顧客のニーズへの理解が浅く、適切な対応ができていない。
  • レベル2:自社商品・顧客のニーズへの理解はできているものの、顧客とのコミュニケーションに課題がある。
  • レベル3:自社商品・顧客のニーズを理解しており、顧客と適切なコミュニケーションがとれている。
  • レベル4:顧客に合わせて柔軟に対応を変えることができ、顧客と信頼関係を構築している。
  • レベル5:顧客や競合の状況を把握しながら適切にコミュニケーションをとり、顧客の課題解決を行っている。

エンジニア職向け

エンジニア職向けのコンピテンシー評価のサンプルとして、専門的学識を例にしたものを記載します。

コンピテンシー項目の具体例
  • エンジニアとして業務に必要な言語・知識を習得している。
  • 習得した言語・知識を高度な業務にも応用できる。
  • 新たな言語・知識の習得に努めている。
評価レベル
  • レベル1:業務に必要な言語・知識を習得しておらず、対応しきれない業務がある。
  • レベル2:業務に必要な言語・知識を習得しているが、マニュアル通りの対応しかできない。
  • レベル3:業務に必要な言語・知識を習得しており、高度な業務にも応用できる。
  • レベル4:高度な業務も問題なく進められており、新たな言語・知識の習得に努めている。
  • レベル5:高度な業務も問題なく進められているほか、新たな言語・知識を習得しており、業務範囲を拡大している。

コンピテンシー評価を導入する際の流れ

コンピテンシー評価はどのように導入すればよいのでしょうか。ここでは、コンピテンシー評価を導入する際の流れについて解説します。

ハイパフォーマーを選出し分析する

まず、既存社員の中から高い成果を出しているハイパフォーマーを選出しましょう。選出した人材に対してヒアリングと観察を行い、ハイパフォーマーの行動特性を分析します。

ハイパフォーマーは評価項目を作成したい職種・区分からそれぞれ選出することが大切です。また、分析する際は成果や売上などの定量的なものだけではなく、実際の行動に対する思考や価値観などに注目しましょう。さらに、ハイパフォーマーの仕事に関する考え方や行動パターンも洗い出すことが大切です。

コンピテンシー項目を洗い出す

ハイパフォーマーの分析を元に、コンピテンシー項目を洗い出しましょう。コンピテンシー・ディクショナリーと照らし合わせながら、評価項目を作成していきます。

洗い出す項目は、具体的で評価の線引きがしやすい表現にすることが重要です。また、自社にとって適切な項目であるかもチェックしながら進めましょう。

コンピテンシー・ディクショナリーとは?

コンピテンシー・ディクショナリーとは、コンピテンシーモデルを作成する際のベースとなるコンピテンシーとコンピテンシー項目を包括的に表したものです。1993年にライル・M・スペンサーとシグネ・M・スペンサーが提唱しました。

以下の表のようにコンピテンシーは6つの領域に分けられ、さらに各コンピテンシー項目に分けられます。

コンピテンシーコンピテンシー項目
達成・行動
  • 達成思考
  • 秩序・品質・正確性への関心
  • イニシアチブ
  • 情報収集
援助・対人支援
  • 対人理解
  • 顧客支援志向
インパクト・対人影響力
  • インパクト・影響力
  • 組織感覚
  • 関係構築
管理領域
  • 他者育成
  • 指導
  • チームワークと協力
  • チームリーダーシップ
知的領域
  • 分析的思考
  • 概念的思考
  • 技術的・専門職的・管理的専門性
個人の効果性
  • 自己管理
  • 自信
  • 柔軟性
  • 組織コミットメント

[出典:京都産業大学「日本におけるコンピテンシー : モデリングと運用」]

コンピテンシー評価の項目例

コンピテンシー評価の項目例を以下の表にまとめて紹介します。

項目例評価軸の例
ヴァイタリティ
  • 体力・精神力に優れている
  • 競争心・上昇志向を持っている
  • 一度決めたことを諦めずに達成しようとしている
人あたり
  • 人からの印象が良く、過度な不安を相手に抱かせない
  • 思いやりと節度のある態度をとれる
  • 他人の意見を尊重できる
チームワーク
  • 人と軋轢を生まずに物事を進められる
  • チームに問題なく馴染める
創造的思考力
  • 新しいコンセプトを創造することが好き
  • 物事を柔軟に捉え、困難に立ち向かえる
  • さまざまな視点から発想し、解決案を出せる
問題解決力
  • 難しい問題や複雑な問題に意欲的に取り組む
  • 問題が生じたときに、解決に向けた合理的な策を講じられる
状況適応力
  • 自身の行動を客観的に見られる
  • さまざまな仕事への対応力がある
プレッシャーへの耐力
  • 感情的にならない
  • プレッシャーやストレスのかかる環境でも落ち着いていられる
  • 周囲から楽観的な人だと言われる
オーガナイズ能力
  • 計画を立てるのが得意
  • 問題察知能力がある
  • 問題に対して綿密な解決策を講じられる
統率力
  • リーダーとなりチームの統率ができる
  • メンバーのやる気を引き出せる
  • メンバーのフォローができる

コンピテンシーモデルの型を決定する

次に、コンピテンシーモデルの型を決めましょう。

コンピテンシーモデルの型は、モデル型・理想型・ハイブリッド型の3種類があります。それぞれの型の内容は以下の表の通りです。

コンピテンシーモデルの型内容
実在型(モデル型)ハイパフォーマーへのヒアリングや分析から作成したモデル
理想型企業理念・ビジョン・経営戦略などに基づいた理想的なモデル
ハイブリッド型実在型と理想型の要素を組み合わせたモデル

モデルにできるハイパフォーマーがいる場合は実在型がおすすめです。また、社内に相応しい人材がいない場合や、企業理念・ビジョンなどを取り入れたい場合は理想型やハイブリッド型を選択しましょう。

企業ビジョンや経営戦略とすり合わせをする

洗い出したコンピテンシー項目が企業ビジョンや経営戦略とマッチしてるかチェックします。企業ビジョンや経営戦略にマッチしない評価項目があると、適切な評価ができなかったり効果的な人材育成ができなくなったりするでしょう。

特に実在型のコンピテンシーモデルを採用した場合、丁寧なすり合わせが必要です。マッチしない評価項目は除外またはブラッシュアップし、コンピテンシー項目を確定させていきます。

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コンピテンシー評価シートを作成する

コンピテンシー項目が決まったら、コンピテンシー評価シートを作成しましょう。コンピテンシー評価シートには、評価項目・具体的な評価軸・評価項目の尺度を記載します。

コンピテンシー評価シートが完成したら、従業員に共有しましょう。また、各項目を設定した理由や経緯も説明し、従業員の理解を得ることも重要です。

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効果検証と改善を行う

コンピテンシー評価を導入したら、効果検証と改善を行うことが大切です。コンピテンシーモデルによる行動改善が実際の生産性と関連しているのか、評価基準が正しく機能しているかチェックしましょう。

効果検証を行った後は、必要に応じて評価項目の改善を行うことも重要です。また、導入時は問題なくても、経営状況の変化などにより改善が必要となる場合もあります。効果検証は定期的に行い、状況に応じて改善していきましょう。

コンピテンシー評価シートの書き方

コンピテンシー評価シートとは、コンピテンシー評価制度を運用する際に使用するシートのことです。評価項目・具体的な評価軸・評価項目の尺度などを盛り込むことが一般的で、役職や職種に応じた行動指針や目標が明確になっています。

ここでは、コンピテンシー評価シートに記載すべき3つの項目例について解説します。

評価項目

役職・職種に応じた評価項目を記載しましょう。具体的には、ヴァイタリティ・人あたり・チームワーク・統率力といった項目が当てはまります。

具体的な評価軸

各評価項目に対する具体的な評価軸を記載しましょう。例えば、管理職のコンピテンシー評価シートにおける評価項目「統率力」の場合、評価軸は以下のようなものが挙げられます。

  • 組織の目標やルール、仕事の手順を部下に指導し、徹底させる
  • 経営方針・企業のビジョンなどを部下に分かりやすく説明して現場に浸透させ、それに則った行動をさせる

評価項目の尺度

評価尺度とは、記号や数字で評価を表すもののことです。具体的には、S・A・Bや1・2・3といった段階が考えられます。また評価尺度には、共通基準と個別基準の2種類があることに留意しましょう。

共通基準は組織全体で共通の尺度のことです。評価者が設けた基準に対して、下回った・できた・上回ったかで評価します。全体で共通の尺度であるため、評価の公平性を担保できるのが特徴です。

一方、個別基準は個人の目標・項目に応じた尺度で評価します。具体的な尺度を設けることで、従業員が取り組むべき課題や足りない部分を認識しやすくなるのがメリットです。

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コンピテンシーモデルの具体例

コンピテンシーモデルの例として、WHOが公開している「WHO Global Competency Model」があります。「保健」に関する項目が多いため、自社に流用する場合は自社の業界に合った項目に置き換えましょう。

以下の見出しで「WHO Global Competency Model」の詳細について、三重県立看護大学が翻訳したものを紹介します。

コアコンピテンシー

1)確実で有効な方法でコミュニケーションを行う
定義:人々との会話や相互関係の上で、明確に自己表現でき、傾聴できる。また文章でのコミュニケーションもうまくできる。それによって情報の共有を確実にすることができること
適切な行い
  1. 対象となる相手のニーズにふさわしいコミュニケーションの方法や内容にそって、はっきりと話したり書いたりする。
  2. うまく組み立てられた確実な方法で、情報や意見を伝える。
  3. 人々が自らの考えを述べることを励まし、ゆっくりと時間をかけてその考えを理解し、熟考する。
  4. 間違いなくそのメッセージを聞き理解する。
  5. 人々に重要で関係の深い問題について知らせ続ける。
不適切な行い
  1. 他の人と有用な情報を共有しようとしない。
  2. オープンなコミュニケーションを殆ど促さない。
  3. 他人の意見に耳を傾けず、遮ったり、反論したりする。
  4. 人々との関わりの中でも、不適切に業界用語を用いる。
  5. 口頭や文書コミュニケーションでも、一貫性がなく、重要な点を見逃しがちである。
2)自分自身をよく知り、管理できる
定義:わかりにくい状況やプレッシャーに対して、自己反省しながらうまく対処すること。批判を建設的な発展の機会と考えて活用すること。継続的な学びの機会や、専門家としての成長の機会を求めること。
適切な行い
  1. 明確な情報や方向性が得られないような状況でも成果につながる仕事をする
  2. プレッシャーがあっても生産的でいられる(やらされ的な仕事でも前向き)。
  3. 困難な状況下でも前向きで、後退してもすぐ回復できる。
  4. 建設的な批判を活用して、能力改善につなげる。
  5. 以前の経験や失敗に学び、教訓を能力改善に生かす意思を示す。
  6. スキルや知識や能力を高めるためにフィードバック情報(人の意見)を求める。
不適切な行い
  1. わかりにくい状況に直面すると無力感を示す(どうしようもないとあきらめる)。
  2. 困難な状況では感情のコントロールができない。
  3. 建設的な批判に対しても、敵対的になり守りに入りすぎる。
  4. 知識を補い、技術的格差をうめる機会を逸してしまう。
  5. 変化すべきフィードバック情報が与えられても、同じような行動を継続してしまう。
  6. 自らのストレスや、圧迫感を他人にぶつけてしまう。
3)成果を出す
定義:良質な成果を生み出し、手渡すこと。成果実現に向けた活動を行うこと。
適切な行い
  1. 仕事に対して、系統的かつ効率的に取り組んでいる。
  2. 良質な成果を生み、顧客のニーズを満たすための現実的な解決策を編み出す。
  3. 目標に向けた前進を常に進行管理しつつ、必要に応じて修正活動を行う。
  4. 指示が無くても行動でき、問題を効果的に処理しながら変化をもたらす。
  5. 自分の仕事に責任を持つ。
  6. 仕事を完遂するまで見はなさない。
不適切な行い
  1. より重要な事柄を犠牲にして、ささいなことにこだわる。
  2. 不適切で他のニーズとぶつかるような解決策を見いだす。
  3. 成果よりもプロセスをより重視する。
  4. 不完全で不正確で厳密でない仕事を行う。
  5. 最終目標に向けた進行管理を怠り、期限を守らない。
  6. 意思決定が遅れ、行動が遅い。
4)変化する環境の中で前進する
定義:新しいアプローチやアイデアを受け入れて、提案すること。変化に前向きに対応して適応すること。
適切な行い
  1. 新しい考え方や仕事上の手法に対して受容的である。
  2. 改革活動を積極的に支援する。
  3. 改善の機会を認識して、現実的な解決法を提案する。
  4. 活動プロセスの改善に向けた新手法や新技術の適用に努める。
  5. 優先度や要求の変化に応じて、速やかにかつ効率的に対応する。
不適切な行い
  1. 新しい要求や課題に直面した時に、変化をいやがる。
  2. 新たな考え方に対して、柔軟な態度を示さない。
  3. 仕事上の環境変化にもかかわらず、旧来の考え方に固執する。
  4. 変化に直面すると前向きな展望を持てない。
5)連携とネットワークを育てる
定義:同僚やチームメンバーとの良い関係を創り育てること。争いをうまく建設的に処理できること。
適切な行い
  1. 成果を出すためにチームメンバーと協働する。
  2. 同僚のチームメンバーと協力をすすめ、良い関係を創れる。
  3. チームの決定に従って、支援し行動する。
  4. チームの成功や短所についても連帯責任を受け入れる。
  5. 争いを早めに見つけて、その解決を進める支援的行動を行う。
不適切な行い
  1. チームの目標を犠牲にして、個人的な目標達成にのみ重点を置く。
  2. 集団的な業務が求められるような状況で個別に活動する。
  3. 知識や情報や専門性をチームメンバーと共有しようとしない。
  4. チームに不和をもたらす。
  5. 争いをなだめようとしない。
  6. 同僚を支援せず、足を引っ張る。
6)個性や文化の違いを尊重し、奨励する
定義:様々な経歴や考え方を持った人々と、建設的に仕事をする能力を示すこと。違いを認め、全ての人が貢献できることを請け合うこと。
適切な行い
  1. 文化的、ジェンダー的な問題を理解し、配慮し、それを日常業務や意思決定に適用する。
  2. 異なった文化や、性や、経歴を持つ人々と良い関係を持ち、うまく仕事していく。
  3. 型どおりの反応をしないように、自分の行いや態度をふり返る。
  4. 他人の視点で物事を考えてみる。
  5. より効果的な成果をもたらすために、人々の様々なスキルや経験や知識を活用する。
不適切な行い
  1. 他人の視点から物事を考えようとしない。
  2. 人々や集団に対して、偏見を持ち差別する。
  3. 理解できる型にはまった考え方に従って判断する
  4. 同じような文化や宗教やジェンダーや階層の人々とのみ関係を持とうとする。
  5. 文化的な差違による全ての潜在的な争いを合理化してしまう。
7)手本となり模範となる
定義:WHOの専門家として、倫理的、法的制限の範囲内で活動を行い、その遵守を他の人にも促すこと。明確な個人的・組織的倫理観や価値観に従って行動し続けること。
適切な行い
  1. WHOの専門家としての倫理的・法的枠組みに従って理解し行動する。
  2. 表明された原則と行動との間に矛盾がなく一貫している。
  3. 他の人々とのつきあいが不透明でない。
  4. 他の人々が専門家らしくない振る舞いや、非倫理的行いをした時には対処する。
  5. 信頼を維持し、取り扱いに注意すべき微妙な情報は慎重に扱う。
  6. 自らの決定や活動に自信を持ち、それに責任を持つ。
不適切な行い
  1. 倫理的な基準を損なってでも、個人的事項を優先させる。
  2. 個人的・組織的倫理観や価値観にそぐわない行動を取る。
  3. 外部から圧力がかかると、組織のポリシーや規則や手順に反する行いをしてしまう。
  4. 熟慮や分別なしに、微妙な情報を扱ったりして、信頼を損なってしまう。
  5. 自らの活動や決定に責任を取らず、他人に責任を押しつける。
  6. 他人との合意や約束を守らない。

マネジメントコンピテンシー

8)エンパワメント的で、やる気の高まった状況を作り出す
定義:課題や目標の達成に向けてスタッフを導き、動機づけること。全ての段階で求められる成果を出すことを自らやり甲斐を感じて責任をもって行うこと。
適切な行い
  1. スタッフに明確な方向性を示し、彼らの目標を達成することを支援する。
  2. 役割、責任、報告ラインが明確に定められ、理解され、承認されていることを確認する。
  3. スタッフに適切に仕事を分配し、目標達成に必要な援助を行う。
  4. スタッフへの信頼感を示して、率先した活動を促す。
  5. スタッフと定期的に意見交換を行い、良い活動は認め、問題のある活動には対処する。
  6. スタッフを励まして、個人的・組織的目標達成を促す。
不適切な行い
  1. 自分の業務にのみ重点を置いて、マネジメントの責任を回避する。
  2. 不明瞭で部分的な指示しか与えず、期待される成果についてはっきり述べない。
  3. 他人をあまり信頼せず、他人に仕事を任さない。
  4. スタッフの可能性を認めようとせず、人材育成にあまり注意を払わない。
  5. 他人の貢献について認めようとせず、知ろうともしない。
  6. 「悪い知らせ」は伝えようとしない。
9)資源の効果的な活用を確実に行う。
定義:WHOの戦略的方向性にそって優先度を定めること。活動計画を策定し、実行し、必要な社会資源を組み立て、成果を進行管理し|ていくこと。
適切な行い
  1. 環境を変化させることに重点をおいた明瞭な目的に向けた計画を策定する。
  2. 優先度を決め、現実的な目標や時間計画を明らかにする。
  3. 成果達成に必要な財政的・人的資源を明確にし、組み立て、効果的に管理する。
  4. 予期せぬ事態にも対応して、速やかに資源を再配分したり、優先度を再設定できる。
  5. 資源や予定された活動の前進をモニターする指標を確立する。
  6. 経費をモニターし、最も費用効果的な手法を活用するよう努める。
不適切な行い
  1. 目標設定や実施計画が不明瞭で非現実的である。
  2. あらかじめ優先度を設定しなかったり、優先活動からしばしばはずれてしまう。
  3. チームや自分自身への影響をよく考えずに話をしてしまう。
  4. 仕事の達成に必要な資源を明確にせず、組み立てもしない。
  5. 変化に直面しても、資源の再配分や優先度の変更が遅れてしまう。
  6. 自分自身や他人の目標や活動や予算を進行管理しない。
10)部門組織をこえた協働を築き、推進する
定義:WHOに情報提供し、援助し、支援できる内外での協働を開発し、強化すること。組織間の協力や外部の協力者との連携を明確にし、活用すること。
適切な行い
  1. 機関の成功に向けて、WHO内部との業務連携や、外部の協力者との連携を理解し推進するよう努める。
  2. WHO内外で、相互に利益のある業務上の関係や連携を構築し維持する。
  3. 成果を出すためのネットワーク構築を他機関にも促し支援する。
  4. 成果を上げるためのWHO内外での協力推進の機会を作り出す。
  5. WHOの異なる部門の人々にも呼びかけて協働する。
不適切な行い
  1. WHO内外での良好な関係の構築や、相互活動の機会を進めることに、殆ど関心がない。
  2. 機関の利益よりも、自分の利益を考えてネットワークを築いていく。
  3. 互いにあまり影響を与えない個別の組織として、部門をとらえている。
  4. 自らの業務分野を固守しすぎて、部門相互間の活動や介入を妨げる。
  5. 孤立して仕事をして、機関内の他の活動の統合に向けた積極的な努力をしない。

リーダーシップコンピテンシー

11)WHOを将来的な成功へ推し進める
定義:健康課題や活動がより複雑になってきていることを、広く理解していること。目標を分かち合う魅力的なビジョンを創り上げ、人々の健康改善に向けた現実的な前進をうまく実現するための筋道を立てること。
適切な行い
  1. 国際的な公衆衛生に影響を及ぼしている要因の複雑な相互関係をよりよく理解している。
  2. 新しい傾向を予想しながら、WHOの長期的な目標を推進するための機会を明らかにする。
  3. WHOの明確で一貫したアイデンティティを開発し、明確にする上で積極的な役割を果たす。さらに、WHOの内外にこのことを表明する。
  4. WHOの使命に沿っていて、かつ競合する優先課題間でのバランスがとれた戦略計画を策定する。
  5. なしとげるために戦略を用いたり、すべての適切な手段を用いる。
不適切な行い
  1. より広い背景で考えられず、仕事を自分の技術分野に閉じこめてしまう。
  2. 戦略や計画を策定する際にも、狭く地域的な視点でしか発想できない。
  3. 他人と相談したり、一緒に考えたりすることなしに、戦略を策定する。
  4. 明確で長期的なビジョンに基づいて、基盤づくりや活動をうまく進められない。
  5. 矛盾した優先課題を含む計画を策定してしまう。
  6. 成し遂げるための適切なプロセスを明確にしたり、活用したりできない。
12)改革や組織的学習を進める
定義:学習や人材育成を促すような文化の創造を通じて、 WHOを活気付かせること。革新的なアプローチや問題解決方法を支持すること。
適切な行い
  1. 変化や改善を推し進めながら、WHOを成功に導く新しい方法を探り続ける。
  2. 成果を出すための改革を他の人にも促す。WHOの内外での学習と知識の共有を確実に行い、スタッフ間での学びあいを促す。
  3. 組織効率を高める方法を見いだすために意見を求めていく。
  4. 責任感を高め、WHOをエンパワメントしていく。
  5. WHOの中で学習と人材育成の機会を創り出す。
不適切な行い
  1. 継続的な学習や専門性向上を、殆ど進めようとしない。
  2. 他人からの改革的・創造的提案を無視し、現状肯定に偏っている。
  3. 他人と相談せず、結果を十分考慮せず、過激な方法でプロセスや手法を変えようとする。
  4. 組織効率についての意見を求めようとせず、意見も採り上げない。
  5. WHO内部での官僚主義的文化や階層的権力を維持しようとする。
13)保健のリーダーシップ上でのWHOの地位を高める。
定義:保健課題で、WHOをリーダーと見なすこと。WHOの使命に支援を求めること。対象者からの援助を導くような方法で、調整し計画しコミュニケーションすること。
適切な行い
  1. WHOの使命や事業をうまく推進する。
  2. WHO内外の人々とうまく交渉する。
  3. 活動がうまく展開できるように、他の人々との合意を得る。
  4. 他人との関係で、権威を示し、信頼される。
  5. 一連の適切な技術を用いながら、複雑で高レベルのメッセージを送る。
不適切な行い
  1. 重要な課題について弁明したり推進したりできない。
  2. 人々に影響を与えようとする時に、不適切な議論をしたり、有効でない協議を行ったりする。
  3. 持続可能な合意を取り付けられない。
  4. 信頼性に欠け、前向きな影響を与えられない。
  5. 対象者に込み入ったメッセージを送れない。

[引用:三重県立看護大学「WHOグローバルコンピテンシーモデル」より]

コンピテンシー評価を導入して、人材育成を促進しよう

コンピテンシー評価は公平な人事評価と効率的な人材育成を可能にする評価制度です。評価に対する従業員からの納得感も得られやすく、多くの企業で導入されています。

コンピテンシー評価の導入には多くの手間がかかりますが、適切に導入・運用すれば多くのメリットが得られます。今回の記事を参考に、コンピテンシー評価を導入して、人材育成を促進しましょう。

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