人事管理はエクセルで可能?実施するメリットやよくある問題点を解説
人事管理をエクセルで行う企業も多いと思いますが、メリットだけでなく問題点もあります。本記事では、エクセルで人事管理を行うメリット・デメリット、法的観点から見た問題点を紹介します。おすすめの人事システムも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
エクセルで人事管理は可能!
エクセルで人事管理を行なうことは可能です。
エクセルでは従業員名簿の作成や人事評価・勤続年数を一括で管理でき、マイクロソフト社がサイト内で提供しているテンプレートもあるため、利用することをおすすめします。
しかしエクセルだけですべての情報を管理することは容易ではありません。管理項目が多ければ多いほど、複数のファイルを同時に管理する必要があります。
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人事管理をエクセルで行うメリット
人事管理をエクセルで行う主なメリットは3つです。
- コストが抑えられる
- 関数などを使いこなせば作り込める
- CSVにすることで他の媒体に移行しやすい
それぞれ具体的に解説します。
(1)コストが抑えられる
エクセルで人事管理を行えばイニシャルコストやランニングコストの削減が可能です。
既にMicrosoft 365をインストールしていればイニシャルコストはかかりませんし、ほかの事務管理ツールに比べて安価といえるでしょう。
エクセルは人事管理だけでなく、ほかの事務作業で役立つツールです。エクセルをまだ導入していない場合は、ぜひMicrosoft 365のインストールを検討してみてください。
(2)関数などを使いこなせば作り込める
エクセルにはさまざまな機能が搭載されていますが、関数や計算式をうまく活用できれば人事管理が簡単にできます。
労働時間に基づく給与や時間外労働の確認・従業員の社会保険料の算出などもエクセルのみで完結します複雑な事務作業が既存の機能だけで対応できる点は、エクセルの大きな強みです。
(3)CSVにすることで他の媒体に移行しやすい
エクセル内で管理しているデータは、CSVというテキストファイルデータで保存でき、他媒体への移行や紙で共有できます。
CSVの取り込み機能があるシステムは多く、従業員への共有がしやすい点もエクセルで人事管理するメリットといえます。
法律で従業員の勤怠データは5年間保存する必要がありますが、紙のように保管する場所を取らないエクセルは非常に便利な活用方法といえるでしょう。
人事管理をエクセルで行うデメリット
人事管理を行う中でメリットが多いエクセルですが、デメリットもあります。
- セキュリティの担保が難しい
- ユーザーごとに編集権限等の付与ができない
- 業務の効率が良くない
メリットとデメリットを理解したうえで、人事管理にエクセルを活用するか検討してみてください。
(1)セキュリティの担保が難しい
表計算を目的としたエクセルは、セキュリティ面が弱いです。シートごとに閲覧や編集権限の設定が可能ですが、ファイル自体のアクセス制限は難しいのが現状です。
そのため、誤送信による外部からの不正アクセスや情報漏洩のリスクがあります。
人材データベースは従業員の個人情報だけでなく社内の機密情報も含まれているため、セキュリティ面の弱さは人事管理をエクセルで行う大きなデメリットといえるでしょう。
(2)ユーザーごとに編集権限等の付与ができない
不当な評価を防止するために人事評価はある程度オープンにすべきですが、各部署や職務に応じた制限が必要です。
エクセルでは、ユーザーごとのアクセスや編集の権限が付与できません。
情報共有しやすいエクセルですが、ユーザーごとにアクセス権限や編集権限の調整ができない点もデメリットといえます。
(3)業務の効率が良くない
エクセルでの人事管理は、業務効率があまり良くありません。
複数のユーザーで作業できるものの、同時に更新すると最新のファイルが分からなくなったり、データが崩れたりする場合があります。
各部署の評価を集計する際は集計用のファイルを別で作成する必要があり、手作業でデータを打ち込まなければなりません。
手作業でのデータ更新はミスが発生する可能性があるので、最終的な確認作業にも時間や手間がかかります。ミスがあった場合には再度修正をし直す必要があるため、業務効率が悪化するリスクがあるといえるでしょう。
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個人情報保護法から見る人事管理をエクセルで行う問題点
エクセルで人事管理を行なうことは可能ですが、個人情報保護の観点から考えると問題点もあります。
個人情報保護法によると、従業員の人事情報も個人情報として安全に管理する義務があるのです。エクセルで人事管理を行うと、下記のような問題点があります。- 管理方法は担当者の判断になり教育に時間がかかる
- いつ・誰が・なにを更新したかを把握することが難しい
- エクセルファイルの盗難や破損リスクがある
エクセルで人事管理を行うと個人情報保護の観点からもリスクがあり、必ずしも安全とはいえません。
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エクセルではなく人事管理システムを利用するメリット
人事管理システムを使用することで、次のようなエクセルの弱点を解決することができます。
- 人事評価データの可視化ができる
- 効率的に業務の遂行ができる
- セキュリティの確保ができる
- 人事評価制度の見直しができる
(1)人事評価データの可視化ができる
人事システムを使用した評価シートを共有すれば、人事評価データを可視化することができます。
従業員のスキルや個性をデータ化し一元化して管理すれば、従業員の定期性評価につながるでしょう。また従業員への人事評価や処遇をデータで共有すると、説得力を持たせることができます。
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(2)効率的に業務の遂行ができる
クラウド上で全業務の流れを管理する人事管理システムは、ネット環境があればどこからでも使用できます。
機能も豊富に搭載されており、人事管理をする上で必要なデータを見つけやすく操作性が高いものも多く、初めての人でも利用しやすいような設計になっており業務の効率化が見込めます。
特にペーパーレス化で業務の削減ができるので業務の効率化につながるでしょう。エクセルでは難しい組織図や就業履歴の作成なども容易に行えます。
(3)セキュリティの確保ができる
人事データには社内の機密情報や個人情報が含まれるため、厳重なセキュリティ管理が必要です。エクセルのセキュリティ対策は十分とは言えませんが、人事システムは情報漏洩の防止や個人情報の保護などのセキュリティ面が強化されています。
また使用する人事管理システムがクラウド管理型の場合、提供している会社の高度なセキュリティシステムを使用することが可能です。
(4)人事評価制度の見直しができる
人事管理をする上での評価は人によって基準を統一するのが難しく、実績や貢献度だけではなくあらゆる要素が絡むため、不具合が生じるリスクがあります。想定しているような評価を得られなかった場合には、従業員としても不満やモチベーションの低下につながってしまいます。
人事管理システムを導入することによって、評価制度の見直し・改善ができて公平な評価基準を定められます。公平な評価をすることによって従業員満足度もアップするので会社士気向上も期待できるでしょう。
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おすすめの人事管理システム
人事管理を行うにあたって人事管理システムの導入はとても便利です。ここでは、おすすめの人事管理システムを紹介します。
(1)jinjer労務
jinjer労務は、jinjer株式会社が提供している人事管理システムです。データベースの情報を更新するだけで、人事管理・勤怠管理・給与管理などすべてのデータを更新できます。
また初めてシステムを触る人でも簡単に操作できる設計になっており、専任のサポート担当者がつくので初めてでも安心です。
提供元 | jinjer株式会社 |
初期費用 | 330,000円(税込)※初回契約時 |
料金プラン | 330円(税込)/月、一人あたり |
機能・特長 | 書類の電子化と管理、労務管理、社会保険手続きなど |
URL | 公式サイト |
(2)SmartHR
株式会社SmartHRが提供している人事管理システムが、SmartHRです。
導入企業数は50,000社以上と、多くの企業で導入されています。
雇用契約や入社手続きの際には、従業員が情報を直接入力することで人事担当者の負担を減らすことが可能です。
提供元 | 株式会社SmartHR |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 要問い合わせ(¥0プラン有り) |
導入企業数 | 50,000社以上(※2023年02月時点) |
機能・特長 | マイナンバー管理、従業員データベース、ラクラク分析レポートなど |
URL | 公式サイト |
(3)カオナビ
株式会社カオナビが提供している人事管理システムがカオナビです。
従業員の顔写真を使って直感的に社員情報を把握できます。紙やエクセルでの煩雑な評価管理から脱却し、効率的に評価運用を行えるようになるでしょう。
提供元 | 株式会社カオナビ |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入企業数 | 約2,500社(※2022年03月時点) |
機能・特長 | 人材データベース、組織ツリー図、適性検査(オプション)など |
URL | 公式サイト |
(4)HRMOS
HRMOSは、株式会社ビズリーチが提供している人事管理システムです。MBOやOKR・360度評価など、幅広い評価制度に対応しています。また高いカスタマイズ性で、役職や役割に応じて評価シートを細かく設定できます。
提供元 | 株式会社ビズリーチ |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特長 | 選考管理、求人管理・求人媒体連携、エージェント管理・推薦など |
URL | 公式サイト |
(5)人事労務freee
人事労務freeeは、freee株式会社が提供している人事管理システムです。
勤怠から給与明細まですべてペーパーレス化し、アラート機能で今日・今月のやるべきことを可視化できます。
また初期費用が無料で、月額料金1,980円と低コストな点も魅力です。
提供元 | freee株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | ベーシック
プロフェッショナル
エンタープライズ:要問い合わせ |
機能・特長 | 勤怠管理、アラート機能、入退社手続きなど |
URL | 公式サイト |
(6)マネーフォワード クラウド人事管理
マネーフォワード クラウド人事管理は、株式会社マネーフォワードが提供している人事管理システムです。
従業員の情報をパソコンやスマホから簡単に収集し、ペーパーレス化を実現します。また、クラウド勤怠やクラウド給与など、ほかのマネーフォワードクラウドHRソリューションと連携が可能です。
提供元 | 株式会社マネーフォワード |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特長 | 入退社手続き、従業員・組織を一元管理、周辺サービスと連携・自動化など |
URL | 公式サイト |
(7)HRMOSタレントマネジメント
HRMOSタレントマネジメントは、株式会社ビズリーチが提供している人事管理システムです。
人事担当者が抱えるオペレーション業務を、システムにより自動化しています。また従業員が入社してからの移動履歴や組織図の変遷など、入社時から現在までの情報を一元管理できます。
提供元 | 株式会社ビズリーチ |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特長 | 組織目標設定、1on1管理、回答レポート分析など |
URL | 公式サイト |
エクセルだけでなく、人事管理システムの導入も視野に入れよう
人事管理をエクセルで行う問題点や、おすすめの人事管理システムを解説しました。エクセルだけでも人事管理は可能ですが、管理の大変さやセキュリティ管理の観点からあまりおすすめできません。
そのため、エクセルでの人事管理ではなく人事管理システムの導入を視野に入れるとよいでしょう人事管理システムを導入することで、効率的に業務を遂行できたりセキュリティを強化ができたりします。本記事で紹介した人事管理システムのメリットを確認して、ぜひ導入を検討してみてください。
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