ロット管理とは?メリットや注意点・トレーサビリティとの関係性について

2024/01/16 2024/01/24

在庫管理システム

ロット管理とは

ロット管理とは、主に製造業で利用される「ロット」と呼ばれる単位を活用した在庫や商品の管理方法です。特に現場において、円滑で効率の良い作業を実現するためにはロット管理が欠かせません。本記事では、ロット管理とはどのような管理方法なのか、メリットや注意点などを詳しく解説します。

この記事の要約

・ロットとは同一条件で製造される商品の出荷や保管などを行う際の単位のこと
・ロット管理とは、生産や物流の分野で使用される在庫や商品の管理方法のこと
・ロットを使用する上では、製造ロット、購入ロット、最小ロットの3種類がある

ロットとは?

ロットとは、同一の条件で製造される商品の製造や出荷、保管などを行う際のまとまった最小単位のことです。1ロットにおける数量は決まりがあるわけではなく、製造者や管理者が任意に設定を行います。

ロットを設定することで、商品を一つひとつ受注してから生産するのではなく、一定量でまとめて受注ができるため、効率的にコスト管理ができるメリットがあります。

ロット管理とは?

ロット管理とは、生産や物流の分野で使用される在庫や商品の管理方法です。商品のまとまりであるロットをもとにして、諸々の管理が容易に行えるようになります。

例えば、ロットをもとに製造日、原材料、生産ラインなどの情報を追跡できるため、万が一の問題が発生した際には、特定のロットに絞って対応することが可能です。これにより、企業は商品の安全性を保ちつつ、顧客満足度も高められます。

また、ロット番号を保管しておくことで、トレーサビリティを確保できる点もメリットです。

シリアルナンバーとの違い

シリアルナンバーとは、部品や商品ごとに設定される記号や番号のことです。ロット管理とシリアルナンバーの主な違いは、追跡の範囲と詳細度にあります。

ロット管理は、同じ条件下で製造された商品をまとめて追跡できるのに対し、シリアルナンバーは個々の商品を個別に識別して追跡できます。そのため、シリアルナンバーであれば、万が一リコールが発生した場合は確実にリコール品の特定が可能です。

しかし、一つひとつの商品にシリアルナンバーを付与して管理するため、製造者は手間やコストがかかります。

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ロットの使用方法

ロットの使用方法は、大きく分けて3種類あります。

製造ロット

製造ロットは、特定の期間や条件下で生産された商品のグループを指します。

製造ロットの設定によって在庫が把握しやすくなるため、余剰在庫が発生しないよう生産量を調整できます。また、万が一商品に問題が発生した場合でも、特定のロットに限定して原因を調査し対応することが可能です。

購入ロット

購入ロットは、商品を販売する際に指定される販売数のまとまりのことです。主に大量購入によるコスト削減や販売の効率化を実現するために用いられます。

例えば、在庫を余らせたくない場合は販売価格を安くして、購入ロットを多く設定するといった方法で販売数を調整することが可能です。商品の需要や市場動向を分析し、それに基づいて最適な購入ロットを設定することが、コスト削減や販売の効率化につながります。

最小ロット

最小ロットは、製造や購入ができる最小の単位を指します。例えば、1回の取引において50個以上販売しなければ利益が出ない商品は、最小ロットを50に設定することが可能です。

また、購入者側であれば、最小ロット以上の注文であれば問題なく受注してもらえます。場合によっては、最小ロット以下の注文であっても、販売価格を上げることで注文を受け付けてもらえる可能性もあるでしょう。

ロット管理とトレーサビリティの関係性

ロット管理は、トレーサビリティを確保するために不可欠な要素といえます。トレーサビリティとは、商品の詳細を把握し、生産から販売、消費までの流れを追跡可能な状態にすることです。

ロット管理によって、商品の製造時期や生産者、製造過程などがわかるようになるため、トレーサビリティを確保できます。

トレーサビリティには、大きく分けて「チェーントレーサビリティ」と「内部トレーサビリティ」の2種類があります。

チェーントレーサビリティ

チェーントレーサビリティとは、複数人が関わる商品製造の場面で、工程をまたいでも商品の移動が把握できる状態のことです。これにより、原材料の調達から最終製品の消費者への到達まで、商品の経路を正確に把握できます。

万が一の品質問題やリコール時には、迅速かつ正確に商品を特定し、適切な対応を行うことが可能です。一般的に、トレーサビリティとはチェーントレーサビリティを指す場合が多いといえます。

内部トレーサビリティ

内部トレーサビリティとは、製造過程においてメーカーなどの特定の範囲内で商品や部品の移動を把握できる状態のことです。

例えば、原材料や部品の仕入れ先や製造工程、出荷先などが内部トレーサビリティで追跡可能です。また、内部トレーサビリティは「製造工程のトレーサビリティ」や「部品管理のトレーサビリティ」など、該当する工程が細かく分かれていることも特徴といえます。

ロットの管理方法

ここからは、ロット管理の方法を詳しく見ていきましょう。

ロット番号を基準にして管理する

各商品群に割り当てられたロット番号を基に、商品の製造日、原材料、生産ラインなどの重要な情報を追跡できます。そのため、ロット番号を基準にして管理を実施しましょう。

万が一の品質問題やリコールが発生した場合でも、ロット番号を使って特定の商品群を迅速に特定し、適切な対応を行うことが可能です。このように、ロット番号を基準にして管理することで、効率的かつ正確な商品管理が実現でき、企業としての信頼性の向上が期待できます。

ロット管理に対応した在庫管理システムを導入する

ロット管理を効果的に行うためには、専用の在庫管理システムの導入が不可欠です。在庫管理システムは、ロット番号や製造データを管理し、商品の追跡と監視を簡単にできます。

具体的には、入庫する際に商品にバーコードを貼り付け、ハンディターミナルでバーコードを読み取るだけで、正確な情報管理が行えるようになります。入力作業が不要になるため、ヒューマンエラーも防止できるでしょう。

また、データベースによって商品の品質履歴やサプライチェーン上の位置を記録し、必要に応じて迅速な分析や対応が可能です。在庫管理システムは、効率的な生産管理、在庫最適化、顧客満足度の向上に大いに貢献します。

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ロット管理のメリット

ロット管理を行うことでさまざまなメリットを享受できます。

ここからは、ロット管理のメリットを3つ紹介します。

作業効率の向上

ロット管理を採用することで、在庫管理の効率が大幅に向上します。商品の追跡、在庫の数、品質管理、入荷日や出荷日の管理が簡素化され、生産プロセスがよりスムーズになるからです。

例えば、商品ごとのロット番号を利用することで、製造から出荷に至る各段階での追跡が容易になり、エラーの発生率が低下します。また、ロットごとの管理は、在庫の過不足を防ぎ、必要な原材料や部品の計画的な購入が可能です。

これにより、時間とコストの節約が実現され、全体的な業務の効率化に寄与します。

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正確な在庫管理

ロット管理は、在庫管理の正確さを大幅に向上させます。

商品ごとに割り当てられたロット番号を追跡することで、在庫の正確な数量と状態が常に把握できます。これにより、過剰在庫や不足のリスクが減少し、必要なときに適切な数量の商品を確実に供給することが可能です。

また、商品の入荷量や出荷量の推移が把握しやすくなるため、状況に応じて適切な受発注計画が立てられるようになります。

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トラブル時の迅速な対応

ロット管理は、トラブル発生時に迅速かつ効果的な対応を可能にします。

ロット番号から問題が発生した商品や材料の正確な特定が容易になり、原因究明や必要な措置の実施が迅速に行えることが特徴です。例えば、品質不良や安全性の問題が発生した場合、特定のロットの商品を素早く特定し、リコールや顧客への情報提供、商品の回収などを行うことができます。

これにより、消費者の安全と企業の信頼を守ることが可能となり、長期的な信頼関係の構築に貢献します。

ロット管理の注意点

ロット管理にはさまざまなメリットがあるものの、いくつか注意しておくべきポイントがあります。

社内の認識を統一する

ロット管理を成功させるためには、社内の全員がロットの基準やロット管理の方法について同じ認識を持つことが不可欠です。そのためには、従業員に対する適切な研修と情報共有が必要となります。

具体的には、ロットの使用方法や追跡システムの操作など、関連する知識とスキルを従業員に伝えることが重要です。また、ロット管理のプロセスが変更される場合は、その情報を迅速に社内に伝えることで、誤解やミスを防ぎ、効率的なロット管理を実現します。

顧客のニーズも意識する

ロット管理を行う際は、顧客が求める品質、数量、納期などの要望を満たす必要があるため、顧客のニーズも深く考慮する必要があります。

ロットごとの数量を決定する際には、顧客の注文パターンや市場の動向を分析し、要望に対応できる柔軟性を持つことが求められます。例えば、小ロットでも柔軟に注文に応じる体制を整えることで、顧客満足度の向上につながります。

また、顧客からのフィードバックをロット管理のプロセスに反映させることで、継続的な改善が可能となり、長期的な顧客関係を築く上で有効です。

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ロット管理をサポートする在庫管理システム

ロット管理を効果的に行うためには、適切な在庫管理システムの導入が欠かせません。ここからは、ロット管理をサポートする在庫管理システムを3つ紹介します。

zaico

zaicoは、ロット管理をサポートする在庫管理システムです。ユーザーフレンドリーなインターフェースと効率的な在庫状況の確認機能を提供し、中小企業から大企業まで幅広い規模のビジネスに対応します。

zaicoを使用することで、商品のロット番号ごとに在庫データをグルーピングし、適切な在庫管理や欠品や過剰在庫の回避が可能です。さらに、クラウドベースであるため、インターネット環境があればいつでもどこでもアクセス可能で、多様なビジネス環境に対応できる利点があります。

提供元株式会社ZAICO
初期費用無料
料金プラン
  • 無料プラン:無料
  • ミニマム:4,378円(税込)/月/3ユーザー
  • ライト:10,780円(税込)/月/3ユーザー
  • フル:43,780円(税込)/月/10ユーザー
  • エンタープライズ:10万円~
導入実績16万社(※2023年11月時点)
機能・特徴物品登録・編集、入庫・出庫、在庫確認、棚卸機能、外部連携ほか
URL公式サイト

AnyLogi

AnyLogiは、ロット管理と物流を強化するための在庫管理システムです。特に物流に特化しており、ロット・賞味期限別に在庫管理を一元的に行えることが可能です。

ECカート・モールとのシステム連携や、海外配送に特化した関税・送料の表示にも対応しており、ECサイトに導入するだけで出荷も完全に自動化できます。クラウドベースのためアクセスが容易で、受注情報の自動インポートや一括での集荷依頼もWeb上から容易に行えることが魅力です。

提供元AnyMind Group株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン【月額利用料金】
  • システム利用料:30,000円
  • 送り状発行料:30円/件

※越境EC物流コンサルサービス(オプション):30,000円

機能・特徴ECカート・モールとのシステム連携、関税・送料の表示、送り状発行、インボイス発行ほか
URL公式サイト

ロジクラ

ロジクラは、柔軟性と使いやすさを兼ね備えた在庫管理システムです。ロット管理をはじめとする在庫管理の各種機能を提供しています。

ロジクラを使用することで、商品の在庫管理や倉庫管理、検品やピッキングなどが容易になります。また、ユーザーフレンドリーなインターフェースにより、従業員が迅速にシステムを利用できるようになるため、生産性の向上に寄与するでしょう。

クラウドベースで提供されるため、どのデバイスからでもアクセスが可能で、在庫管理の効率化とリアルタイムのデータ分析が実現します。

提供元株式会社ロジクラ
初期費用無料
料金プラン

【月額契約】

  • ライトプラン:16,280円(税込)/月
  • プレミアムプラン:53,900円(税込)/月

【年間契約】

  • ライトプラン:14,080円(税込)/月
  • プレミアムプラン:44,000円(税込)/月

※ライトプラン:出荷300件を超える場合は、25円/1出荷(オーダー)の従量課金が発生

※プレミアムプラン:出荷2,000件を超える場合は、10円/1出荷(オーダー)、

5,000件を超える場合は、5円/1出荷(オーダー)の従量課金が発生

※契約から1年経過時より、毎年契約月に前年分の年間保守費用33,000円(税込)が発生

導入実績20,000社以上
機能・特徴在庫管理、​倉庫管理、入荷・入庫、受注、出荷予定、ピッキング、検品、送り状・納品書作成、追跡番号管理、受注システム連携ほか
URL公式サイト

在庫管理システムを活用してロット管理を効率化しよう

在庫管理システムを用いたロット管理は、商品の追跡と品質保持を効率的にする効果が期待できます。

リアルタイムでの在庫状況の更新や正確なデータ分析、迅速な意思決定が可能になるため、これによって在庫の過剰や不足のリスクを減らし、コスト削減と生産性向上が実現します。また、問題が発生した際には、対象のロットを素早く特定し、適切な措置を取ることが可能です。

在庫管理システムを活用することで、ロット管理はよりシンプルかつ効率的になり、ビジネスの競争力を高める重要な要素となります。

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