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給与所得控除とは?基礎知識や給与計算方法をわかりやすく解説

2022/06/17 2024/07/16

給与計算システム

給与所得控除とは

本記事では、年収から差し引く給与所得控除がある意義や、計算する際に重要となるポイントについて紹介しています。所得税を計算する上で、給与所得を求める必要がありますが、給与所得控除を知らないと算出される金額に誤りが生じます。確定申告や年末調整する際に知っておくべき控除です。

天野 美由紀

監修者 天野 美由紀 天野社会保険労務士事務所 代表 会計事務所、中小企業の総務経理部門の総責任者を経て、在職中に社会保険労務士資格を取得し独立開業に至る。 会社員時代にメンタル不調で退職せざるを得ない事象を幾度か経験し、職場環境がいかに重要であるか痛感する。1日の大半を過ごす場所でもあるため、人材の定着を重視し、働く環境を整えるサポートに注力している。また実務の経験を活かし、会計や税務を含めた多角度からの役員及び従業員の退職金制度設計や賃金制度設計、社会保険料最適化のプランを提供している。

給与所得とは?

労働によって得られる対価の全てを給与所得と呼び、従業員が基本支給される月給や日給、賞与などが含まれます。また、給与に適応する現物支給といったものも計算します。

しかし、給与所得の金額は、その年度で支給された月給などの給与に対して控除が可能な金額を取り除く必要があります。控除される金額は、年齢など条件に応じて変化します。

中には、特別支出の控除があった場合、特別支出控除額も計算するといった特例もあります。

給与計算における給与所得控除とは?

給与所得控除とは、所得税を計算する上で必要な給与所得額を知るために、支給される給料や賞与などの1年間の収入額から差し引く金額です。

年収は、源泉徴収される前の金額であり、その金額から給与所得控除も決まってきます。給与所得控除額は、年収が180万円超〜360万円以下ならば、「年収×30%から8万円を差し引いた金額」になります。

このように、年収に応じて細分化されており、給与所得控除額の一覧表から計算方法を確認できます。フリーランスなど自営業者が得ている事業所得の場合は、事業に関わった「必要経費が給与所得控除」となります。

給与所得控除と名前が似ている所得控除というものがありますが、生命保険控除や医療控除など個人の事情に応じて税が軽減されます。

給与収入の対象外となるもの

給与所得控除を差し引くことで導き出せる給与収入額は、何の金額が「給与収入の対象となるか」を知る必要があります。給与収入の対象となる基本的な金額は、源泉徴収される前の給与や賞与などです。

収入には残業手当や扶養手当などの手当も基本給に含まれています。ただし、手当の中でも対象外となるものが以下のようにいくつかあります。

  • 支給される限度額内の通勤手当
  • 出張などで支給される一定額の旅費

対象外となる給与収入は非課税となり、計算する必要はありません。しかし、まず何が対象となるのか知らないと給与収入として判断して良いか分からないでしょう。

天野 美由紀監修者天野 美由紀

事業所得の場合は、売上から経費を引いた額に税金がかかります。この経費に相当する額として、給与所得者にも一定の金額を控除して税金がかかる仕組みになっています。普段は目にすることがあまりないのでわかりにくいですが、計算される所得税額はすでにこの給与所得控除額が考慮されて計算されています。社員やアルバイトを問わず給与として受け取る方の全員が対象となります。

給与計算における給与所得控除の意義や役割

給与所得控除は、給与を支給される方の事情を考えられた上で設けられています。仕事をする際に指定の制服の着用を命じられることや、出張で移動する交通費などの負担を軽減させることが一つの理由です。

また、事業所得者との公平性を保ち、税務署の労力を極力減らす効果もあります。給与所得控除には一体どのような利点や意味があるのか確認していきましょう。

給与所得控除は経費の代わり

経費とは、個人事業主が得る事業所得の計算を行う際に、収入から差し引かれるものです。しかし、月給や賞与を得ている給与所得者には、年収から経費が差し引かれることはありません。

そこで経費の代わりになるのが、給与所得控除となるわけです。課税に当たる交通費や出張などの手当を含めた年収から給与所得控除額が大きくなります。月給などの給与に加えて手当も加われば、所得税の負担の軽減につながります。

公平性の実現のため

給与所得控除があるのは、給与所得者と事業所得者の公平性を保つのが一つの理由です。事業所得者では収入に対して経費から差し引けますが、もし給与所得控除がなければ、給与所得者と不公平であると見て取れます。

出張など出費がかさんだ場合に控除がない状態だと、所得税により手取り額が大幅に減ってしまうからです。しかし、給与所得控除が設けられていることによって、一律の基準が出来上がり、公平性を保てます。

給与所得者も増え続けているため、設けられている効果は大きいです。さらに、税務署側でも基準が設けられたので、個別ごとに経費の判断をせずに済みます。結果労力の軽減にもなっています。

天野 美由紀監修者天野 美由紀

事業所得の場合は事業に関連する経費として様々なものが控除できますが、給与所得の場合はその基準が難しいので、所得金額に応じた割合として一定額の控除額となっています。業務を行うために必要なスーツや事務用品などの負担を考慮して設けられている制度です。

給与計算の際給与控除額が認められる条件

給与所得者は、必要経費に代わって給与所得控除が認められ、年収から差し引くことができます。事業所得を得ている個人事業主は、事業のために使用した仕入原価やPCなどのネットワークを使う通信費用といった金額を必要経費として判断されます。

しかし、給与所得者の場合、どこまでが必要経費として扱われるのか明確な判断ができません。つまり、給与のために支払った経費の金額を正しく算出するのが難しいのです。

「必要経費」における計算の公平性を保つため、給与所得者には年収から給与所得控除を差し引くことを認められています。しかし、給与所得控除を計算する方法を知らなければ、給与所得を正しく算出できません。どのように計算をしていくのか確認していきましょう。

給与控除額

給与所得控除額の計算するとき、年収がいくらあるかによって差し引ける金額が変わってきます。算出する方法は、以下の一覧表を見ることで分かります。

給与などの収入金額給与所得控除額
162万5,000円まで55万円
162万5,001円以上180万円以下年収×40%-10万円
180万円超〜360万円以下年収×30%+8万円
360万円超〜660万円以下年収×20%+44万円
660万円超〜850万円以下年収×10%+110万円
850万円以上195万円(上限)

表は6分割されており、適用される手当などを含めた年収によって給与所得控除額を算出できます。しかし、一覧表は毎年正しいとは限らないため、年度ごとに目を通す必要があります。

過去に、平成28年分から1年経過して平成29年分から一覧表の内容が変更となっている事実があるからです。現在は令和2年分のものですが、給与所得を計算する際、給与所得控除額の一覧表が変わっていないか注意しておきましょう。

給与所得控除の特定支出とは?

給与所得控除に加えてもう一つ、特定支出控除というのが給与所得者に対して設けられています。年収から差し引けるものですが、特定支出の合計額が特定支出控除額で許容される金額を超えていた場合に可能です。

金額を超えている証明をするための書類を提出する必要があります。給与所得控除額は、経費が確かでないことから設けられたものに対して、特定支出は条件を満たす範囲の金額を必要経費として認められます。

しかし、特定支出と判断されない場合もあるため、どのような条件が認可されるのか範囲の理解を深めなければいけません。特定支出と認められる範囲はどのような支出なのか確認していきましょう。

特定支出と認められる範囲

交通費や残業代などを支給する手当がありますが、会社によっては社員が自己負担するケースもあります。この自己負担を支出と言い、手当がある方と比べると手取り額に影響を及ぼします。

しかし、以下の支出の項目は特定支出であると給与を支給する側に認められています。

  1. 通勤費(通勤と認められる支出)
  2. 転居費(勤務地が変わり、転居する際の支出)
  3. 研修費(職務で求められる技術や知識を得るための研修にかかる費用)
  4. 資格取得費(職務に必要な資格の取得にかかる費用)
  5. 帰宅費(単身赴任などで、勤務地や居場所から自宅までの帰宅のための旅費)
  6. 勤務の必要経費(書籍などの図書費、事務を行うときなどの衣服費、接待などの交際費)

上記の支出の中には、補てんがある場合があります。補てんに対して所得税が課税されなければ、補てんされる金額は特定支出に含まれません。

確定申告が必要

特定支出控除と認められるには、確定申告で書類の提出も行います。レシートや明細書といった特定支出に関係する書類の添付も必要です。

証明となるものがないと、特定支出か受け取る側が判断するのが難しくなります。控除を受けるためには、書類の整理を欠かさずに行うことも重要です。

給与所得控除の計算方法について

給与所得控除の計算をするために、まず年収がいくらかをまとめます。年収が低ければ、控除の割合も高くなります。実際に年収が400万円だった場合の計算をしていきます。

400万円は、360万円超〜660万円以下に含まれるので、年収×20%+44万円で計算します。

給与所得控除=400万円×20%+44万円=124万円

上記の計算の結果、給与所得控除額は124万円となります。特定支出控除も適用され、確定申告時に書類を提出できれば、年収から給与所得控除に加えて差し引いた金額が給与所得になります。

給与所得控除の考え方

他にも控除がありますが、給与所得控除は給与所得を算出する際に必要とします。年収が400万円だった場合の給与所得を計算すると以下の364万円となります。

給与所得=400万円-124万円=276万円

給与所得控除額が55万円未満だった場合は、それ以上金額が下がることはなく、現状一律で55万円と定められています。次に求める課税所得は、給与所得から所得控除を差し引いた金額です。

この所得税の中には、基礎控除という種類があります。給与所得や不動所得などの所得金額を合計した金額が2,400万円以下だった場合、申告書も提出することで48万円の控除を受けられます。

つまり、基礎控除が48万円で、給与所得控除の最低である55万円だったならば、給与収入が103万円以下の方は非課税になります。

103万円(年収)-(48万円(基礎控除)+55万円(給与所得控除))=0円(非課税)

課税所得があったときには、所得税を算出していきます。所得税の求め方は、以下の計算式を使います。

所得税=課税所得×税率-控除額(税率控除)

税率と控除額は、給与所得控除のときと同様、「所得税の一覧表」があります。課税所得額に応じて変わるので、所得税を計算する際に確認が必要です。改めて給与所得控除と他の控除を使用するところを整理していきましょう。

  • 給与所得控除→給与収入を求めるときに一覧表を見て使用する
  • 所得控除→課税所得を求めるときに、「適用される所得控除の種類」を使用する
  • 税額控除→所得税を求めるときに一覧表を見て使用する

上記のように、適用される控除を整理することで、非課税になるのかなど計算がしやすく間違いの防止につながります。

まとめ

本記事では、給与所得を算出するために用いられる「給与所得控除」の基本や計算方法、他の控除などについて解説していきました。

給与所得控除は、所得税を正しく算出するために必要なポイントですが、年度によって内容が変わることがあるので、確定申告や年末調整の際には注意して確認をしましょう。

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