給与計算の年間スケジュールと毎月すべき定型業務まとめ

最終更新日時:2022/11/22

給与計算システム

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給与計算についての年間スケジュールの組み方や月ごとに行う作業など、項目別に細分化して説明しています。保険料や税金などについて、給与担当者の負担を軽減するための方法や、給与計算システムの導入メリットも解説しています。従業員の生活に関わる、大切な給与の正しい計算方法を把握するためのお役立ち情報です。

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給与計算の年間スケジュール

給与計算では、年間のスケジュールを立てることが業務の効率を上げることにつながります。

今回は、年間で発生する社会保険や税金の手続きや、住民税や社会保険、労働保険、年末調整など、関係各所に書類を提出するスケジュールを説明します。

きちんと年間スケジュールを確認し、給与担当者は頭に入れておきましょう。以下のように月ごとの大まかな流れを表にまとめ、活用するのも一つの手段です。

業務内容詳細
4月給与改定

社会保険

労働保険

給与支払報告に係る給与所得異動届出書の提出

3月分の健康保険料・介護保険料の改定

雇用保険料改定(締日によって異なるので注意)

5月住民税

賞与計算

各市区町村から届く住民税一覧をもとに「住民税年度更新」を行う
6月労働保険「労働保険年度更新」の手続きの開始(概算・確定保険料申告書)※7月10日締切

書類提出先→労働局、労基署

7月社会保険4月~6月の給与を元に「社会保険料算定」(月額算定基礎届)※7月10日締切

書類提出先→年金事務所、健保組合

8月社会保険4月の昇給者を対象とした随時改定者の社会保険料改定
10月年末調整

社会保険

賞与計算

年末調整書類の配布

7月に算定基礎届を提出した者の社会保険料改定

11月年末調整年末調整書類の回収
12月年末調整年末調整の実施と源泉徴収票の発行
1月法定調書の提出

給与支払報告書の提出

書類提出先→税務署、市区町村

給与計算の年間スケジュール作成における重要ポイント

上記で説明した通り、給与計算に伴う業務は、年間を通じてほぼスケジュールが決まっています。

数が多い中でも特に注意すべきポイントを解説していきます。

源泉徴収税の納期の特例

従業員が10人未満の企業の場合では、源泉徴収税の「納期の特例」を受けられることがあります。

通常であれば所得が発生した日の翌月10日に定められている源泉徴収税の納期を、1月20日と7月10日の年2回にまとめることができる制度です。

この制度を利用する際は、スケジュールを失念しないように留意しましょう。

社会保険料の決定

社会保険料の額は、1年に1度、4月〜6月に支払われた給与額を基準として算定されます。そして9月分以降の保険料に適用されます。

社会保険料の給与計算方法とは?会社と従業員の負担割合や注意点を解説

年末調整

毎年11月〜12月にかけては、源泉徴収票や給与支払報告書などを作成します。

その後、翌年の1月に提出するのが年末調整の流れです。年末調整業務は従業員に書類の作成や提出が必要な場面も多いので、早めに書類の準備を整えておくようにします。

なお、提出書類の不備や提出の遅延が生じた場合には、従業員ごとに個人で確定申告をしてもらわなければなりません。

その旨も事前にアナウンスしておくと、スムーズに手続きが行えるので理解しておきましょう。

年末調整とは?確定申告との違いや必要な書類について解説

年末調整の計算方法と流れ〜スケジュール・必要な書類について解説〜

給与計算の月間スケジュール

給与計算には、毎月の定例業務として、10日と月末に保険料と税金に関する手続きがあります。企業ごとの給与支給日を目安に、同時に計算・データ確認・振込手続きを滞りなく行えるように給与担当者は留意しておきましょう。

土日祝日がある給与付きの場合は給与計算と確認の実務日数が少なくなるため、各月のカレンダーを事前に確認し、きちんと業務スケジュールを組むことが大切です。

給与計算の業務一覧

給与計算に関連する業務は、さまざまなものがあります。

上記で説明した毎月のスケジュールに加え、新入社員や中途入社員、退職者があるとイレギュラーなタイミングで追加業務が発生します。

そのため、入社・退職・人事異動などは関連する業務を個別にまとめておくと、ミスがない業務が可能になります。年次と月次で業務内容を整理しておくとチェックも容易になるので、ひとつずつ見ていきましょう。

基本給のデータ入力

まず、毎月ではなく年次で行う業務を見ていきましょう。

  • 賞与計算
  • 年末調整(所得税)

各業務月には事前に書類などの準備をして、滞りなく進むようにしましょう。

従業員データの入力と更新

  • 諸手当のデータ入力
  • 勤怠の集計

これらはほとんどの企業で毎月行われる作業です。漏れがないようにチェック表などを利用して、ミスのないようにしましょう。

時間外手当の計算

  • 雇用保険および社会保険料の控除
  • 源泉所得税および住民税の徴収

重要な項目なので、間違いのないように計算しましょう。

労働時間15分切り捨ては違法?給与計算時に注意すべき勤怠時間について

給与控除の処理

  • 給与明細の配布
  • 賃金台帳の作成

給与控除をしたものや支給が終了した際に出力する賃金台帳を作成します。

退職者の処理

  • 退職者の雇用保険および社会保険手続き

退職者が発生した場合にもこれらの手続きは必要になります。担当者は漏れのないように業務を行いましょう。

退職した社員の社会保険料を控除した給与の計算方法

給与計算の流れ

毎月おこなわれる給与計算では、大枠で5つのステップに分けることができます。この流れに沿って業務に取り組むと漏れがなく、人的ミスも軽減されるので、参考にしてください。

①総支給額の計算

はじめに、従業員の勤怠情報をもとに変更箇所についての更新を済ませたら、給与の総支給額を算出します。

「基本給」、「各種手当の適用情報」の他に、欠勤や早退などの「欠勤控除」を算出して総支給額を計算します。総支給額は、基本給に各種手当を加算し、そこから欠勤や早退、遅刻にともなう減給分を差し引いた金額です。

②社会保険料の算出と控除

次に、各種保険料の計算をします。「社会保険」と「雇用保険」の他に労災保険もありますが、従業員の負担はないため給与計算の際には不要です。以下の方法でそれぞれの額を算出し、総支給額から控除します。

【社会保険料】

健康保険、厚生年金保険、介護保険の総称で、基本的には企業と従業員が双方で負担します。計算式する際の「標準報酬月額」とは、毎年4〜6月の給与報酬の総額を3で割って平均したものです。

この標準報酬月額にそれぞれの保険料率を乗じると、9月から翌年の8月までの社会保険料が決定します。

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【雇用保険料】

失業や雇用の継続が困難となった際に決められた額が給付されますが、その給付を受けるために加入する保険制度です。負担割合は農林水産や清酒製造、建設業など、業種ごとに異なるため注意が必要です。

厚生労働省に保険料率の記載があるので、そちらを参考にして算出します。従業員の負担分をそれぞれ算出したら、以下に続く税金などと一緒に「総支給額」から控除します。

③税金の控除額の算出

上記で説明した保険料のほかには、「住民税」と「所得税」の算出も必要です。なお、通常は給与から天引きする【特別徴収】ですが、従業員が自身で住民税を納める【普通徴収】を希望する場合には、給与から天引きしません。

【住民税】

住民税を給与から天引きする特別徴収の場合は、毎年5〜6月ごろに従業員が居住する自治体から企業へ住民税の決定通知書が送られてくるので、通知書に記載された月額を毎月の給与控除に入れましょう。

【所得税】

毎月の所得税は、給与の「課税対象額」を使って算出します。課税対象額とは、「総支給額」から「非課税対象の諸手当」と「雇用保険および社会保険」を差し引いた金額です。

ここで算出された「課税対象額」を、定められた「源泉徴収税額表」に当てはめると、所得税額を容易に確認できます。なお、確認する際は従業員の扶養人数が関連してくるため、前もって「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を求め、各従業員の扶養人数を確認しておきましょう。

所得税とは?給与計算における所得税の基本から計算方法まで

④労使協定による控除の計算

次に、労働協定で定められている控除額を算出します。労働協定による控除には、労働組合費や社宅など、福利厚生施設がある場合はその利用費、財形貯蓄などが含まれます。一般的には就業規則などであらかじめ規定されているケースが多いため、算出の際はそちらを確認します。

⑤支給額の算出

総支給額や各種控除額を算出したら、最終的な支給額を計算します。支給額は、総支給額からその後計算した控除の合計金額を差し引いて、実際の支給額を決定します。

給与明細に記載される項目とは?天引きされる税金や保険料を解説

給与計算するときの注意点

給与計算業務のミスを軽減するために、担当者は「労働基準法」や「所得税法」、「企業の就業規則」など、あらかじめ定められた多くの労務知識を念頭に入れておきましょう。

給与計算業務には気をつけていても防げない労務リスクもあり、住民税や保険料の見直しも6月にあります。

そのため、常に最新の情報に知識のアップグレードを行い、責任をもって業務に取り組めるよう留意しましょう。では、項目別に給与計算時の注意点について、ひとつずつ見ていきましょう。

賃金支払いの5原則

基本的に賃金の支払いには、労働基準法第24条に規定されている「賃金支払いの5原則」があります。

【賃金支払いの5原則】

  • 通貨支払いの原則
  • 直接払いの原則
  • 全額払いの原則
  • 毎月1回以上の原則
  • 一定期日払いの原則

この原則は、企業からの不当な搾取や賃金の未払いから労働者を守り、生活を安定させるためのものです。

これらの原則により、現在の日本では現金以外(貴金属や商品券など)で賃金を支給することや代理人に賃金を支払うことなどは禁じられています。

5原則は労働基準法に定められた法令であり、経営者はこれらを遵守して従業員への賃金支給を行う必要があります。

最低賃金の更新を確認

働いた賃金は、原則として地域別に設定された最低賃金額以上に支給しなければならないと規定されています。

この法律は、正社員や契約社員だけでなくパートやアルバイトも含めた、全雇用形態の従業員に適用される必要があります。最低賃金は、毎年秋に改訂されるので、担当者はその都度賃金額を見直す必要があります。

時間外労働の計算

基本的には、1日8時間および週40時間の法定労働時間を超えた残業を「時間外労働」といいます。企業は、時間外労働に対して、法定の割増賃金を支払う必要があります。

また、深夜の時間帯(22時〜翌5時)に労働する場合には、深夜手当として割増賃金を上乗せする必要があります。1カ月60時間を超える時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払うことが定められているので、給与担当者は失念しないようにしましょう。

6月に住民税・社会保険料の確認

住民税は、前年1月から12月までの所得に応じて決まる所得割と、所得の有無にかかわらず一律に負担する均等割などによって計算されます。そして当年6月から翌年5月までの間に納付する決まりになっています。

また、社会保険料は4月〜6月の3カ月間に支給された給与によって変動し、6月末に社会保険料が確定します。さらに、納付開始のタイミングが異なるため注意が必要です。

住民税は6月から、社会保険料は9月から新しい金額が適用になるので、該当する月は特に注意しながら給与計算を行いましょう。

手作業やエクセルで給与計算を行っている場合は都度確認が必要になるため、最近ではほとんどの企業がミスが軽減する給与計算システムを導入しています。

給与計算の基礎ステップ~初心者でもわかる基礎知識から計算方法まで

給与計算の初心者が抑えるべき重要ポイント【基礎知識まとめ】

給与計算ツールを活用するメリット

現在、給与計算業務に手間がかかっている場合には、給与計算ソフトを活用されることをおすすめします。給与計算ツールを導入するメリットについて見ていきましょう。

毎月の給与の計算と給与明細の作成をテンプレ化

毎月の給与の計算と給与明細の作成をラクにするポイントがあります。日々の勤怠管理をテンプレ化しクラウド上で行うことで、勤怠データをリアルタイムに集計でき、ワンクリックで給与計算・給与明細の発行が完了します。

法令改正や保険料率・税率変更など自動対応

適宜行われる法令の改正や保険料率・税率の変更は、人事労務担当者にとって、大きなイベントの1つであり負担になっていることも事実です。

最新の制度に準拠するようにソフトが自動でアップデートされるため、いつでも正しく法令に基づいた計算が行えます。

給与計算ツールはジンジャー給与がおすすめ

給与計算ツールの導入を検討している人におすすめなのは、クラウド型ツールのジンジャー勤怠です。

ステップに沿って情報を入力していくだけで、自動的に計算してくれるので、ミスなく給与を算出できます。

面倒な手間がかからず、正確に計算してくれるので、初めての方でも安心してり利用できます。

費用もリーズナブルなので、検討されている方は一度資料請求して詳細をチェックしてみてください。

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給与計算の年間スケジュールを把握しよう

これまで、給与計算業務の年間スケジュールについて、説明してきました。リモートワークやさまざまな働き方が求められるようになった最近の雇用情勢では、給与担当者は常に最新の情報を念頭に置いて給与業務に取り組む必要があります。

手作業で業務を行っているならば、企業のシステムを変えるだけでぐんと業務の効率がアップします。年間のスケジュールを組み、業務に取り組むだけではなく必要であれば給与計算ツールを導入することもおすすめです。

単に作業の効率化だけではなく、そこにかかる担当者負担の悩みを解決し、人材の育成や働き方のサポートをすることにもつながります。これからの企業のあり方として、給与計算ツールの導入を検討されることをおすすめします。

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