新卒採用が難しい理由とは?求めている人材を採用するための対処法を解説
就職活動の早期化や新卒売り手市場の影響から、「新卒採用が難しい」と感じている企業が増えています。自社の今後を担う人材を採用するためには、どのように対処すればよいのでしょうか。本記事では、新卒採用が難しい理由と、求めている人材を採用するための対処法をあわせて解説します。
目次
新卒採用を難しいと感じている企業が多い傾向
近年、新卒採用に対して難しさを感じている企業が多く、思うように採用活動が進まないケースが増えています。2024年卒採用においても、3年生の3月末時点で内定率が5割に迫るといった、就職活動の早期化や新卒売り手市場の影響が強まっています。
株式会社学情が2024卒採用を行った企業に対して実施したアンケートでも、約8割の企業が「新卒採用が難しい・やや難しい」と回答しました。
[画像引用元:株式会社学情「人事担当者アンケート」]
難しいと感じている理由としては、下記のような要因が考えられます。
- 就職活動の早期化により、例年と同時期に採用広報を開始すると選考参加者数が少ない
- 3月の広報解禁時に企業探しを終えている学生が多い
- 複数の企業から内々定をもらっている学生が多く、承諾に至らない
このような要因からも、就職活動の早期化や新卒売り手市場の影響が強まっていることがわかります。
[参考出典:株式会社学情「人事担当者アンケート」]
新卒の内定受諾率も低い
企業が直面しているもう一つの大きな課題は、新卒者の内定受諾率の低さです。内定を出しても実際に入社に至る確率は低下しており、企業は人材獲得のためにさらなる努力を強いられています。
株式会社リクルート リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査(2024年卒、大学院卒含む)によると、大卒求人倍率は1.71倍まで上昇しており、コロナ禍前の売り手市場に戻りつつあります。
[画像引用元:株式会社リクルート リクルートワークス研究所「第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)」]
このような状況から、新卒者が複数の企業から内定をもらうことも多く、全体的に内定受諾率が低くなっています。
新卒採用が難しい理由
新卒採用が難しくなっている理由としては、大きく4つの要因が関係しています。
採用ノウハウが不足している
多くの企業では、効果的な新卒採用のためのノウハウが不足しています。市場の変化に迅速に対応するための戦略が欠けているため、求める人材を惹きつけることが難しくなっているのです。
近年では、採用イベントのみならず、動画やSNSを活用した広報活動が取り入れられています。そのため、時代に合わせて採用プロセスを見直し、ブランディングの強化と候補者とのコミュニケーション方法の改善が必要です。企業がこれらの要素に焦点を当て、積極的に改善策を講じることで、採用ノウハウの不足を補い、より多くの優秀な新卒者を惹きつけることが可能になります。
売り手市場で競合が多い
現在、新卒採用市場は有効求人倍率が高く売り手市場であり、企業間の競争は非常に激しくなっています。
優秀な新卒者には多くの選択肢があり、自身にとって最も魅力的なオファーを選びます。そのため、企業は優れた人材を確保するために、より良い条件、キャリアの成長機会、働きがいのある環境などを提供する必要があるのです。
競合他社との差別化を図るためには、明確なビジョンとより良い労働条件の打ち出し、候補者に対する真摯なアプローチが欠かせません。
学生に対するアピールポイントがない
多くの企業で、新卒者を惹きつけるアピールポイントの欠如が新卒採用を困難にしています。
学生は単に給与や福利厚生だけではなく、キャリアの成長機会や研修制度、職場の雰囲気など、より包括的にその企業で働くメリットを重視しています。企業が自社の魅力を十分に伝えることができなければ、学生の関心を引くことは難しくなるでしょう。
企業は独自の強みと魅力を明確にして、それを効果的に学生に伝えることが重要です。
採用リソースの確保が難しい
多くの企業では、有効な採用リソースの不足が新卒採用の障壁となっています。
質の高い採用プロセスには時間と人員、金銭的な投資が必要ですが、これらのリソースは常に十分に確保されているわけではありません。特に中小企業において、限られたリソースで競争力のある採用戦略を実行することは一層困難です。
採用に必要なリソースを確保し、有効に活用するためには、戦略的な計画立案と効率的なリソース管理が求められます。
新卒採用が難しい場合の対処法
新卒採用の難易度が上がっており、思うように新卒人材の採用が進まないとお悩みの採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
ここからは、新卒採用が難しい場合の対処法を4つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
さまざまな採用手法やPRを展開する
新卒採用における成功の鍵は、多様な採用手法と効果的なPR活動にあります。従来の採用イベントや求人広告に加えて、SNSを活用したデジタルマーケティングや、企業文化を前面に出したブランディング戦略を展開することが重要です。
具体的な採用手法やPRは、主に以下のようなものがあげられます。
- インターンシップを導入する
- SNSを活用する
- 新卒のリファラル紹介制度を導入する
- 合同説明会を開催する
- 採用ページをブランディングする
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
インターンシップを導入する
インターンシップとは、学生が実際に就業体験を行うことです。学生に実際の職場体験を提供することで、企業は自社の魅力を直接アピールでき、学生のスキルや適性を事前に評価する機会も得られます。
インターンシップを通じて、学生は企業文化を理解し、キャリアに対する具体的なイメージを持つことが可能です。この経験は、学生が就職活動を進めるうえで重要な判断材料となり、企業にとっても長期的な人材育成と採用の成功につながります。
SNSを活用する
SNSの活用は、新卒採用における有効な手段です。最近では学生も就活用のSNSアカウントを開設することが多く、SNSから情報を収集している人も多いといえます。
企業はFacebook、X(旧Twitter)、InstagramなどのSNSを通じて学生と直接つながり、魅力的な職場環境や働き方、企業文化をリアルタイムで紹介できます。
自社の魅力が伝わるコンテンツやビデオ、社員の体験談などの共有によって、学生は自社に対する理解と興味を深めることが可能です。また、SNSは学生との双方向のコミュニケーションを促進し、採用イベントやインターンシップの告知にも役立ちます。
新卒のリファラル紹介制度を導入する
リファラル紹介制度とは、自社の社員が自分の知り合いから採用する人材を推薦するシステムです。新卒のリファラル紹介制度を導入することで、採用コストを抑えながら優秀な新卒人材を紹介してもらえる可能性が高まります。
推薦された候補者は、自社の社員からの情報を通じて企業に対して既に肯定的なイメージを持っていることが多いため、採用プロセスがスムーズに進む傾向があります。入社後のミスマッチも生じづらいでしょう。
また、社員は自分の推薦が企業に貢献していると感じられることで、モチベーションの向上にもつながります。
合同説明会を開催する
合同説明会は、多くの企業と新卒者が出席するイベントで、採用活動において重要な役割を果たします。
学生にとっては、さまざまな業界の企業を一度に比較検討でき、自分に合った企業を見つけやすくなります。企業は、ブースの設置やプレゼンテーション、個別相談などを通じて、自社に興味を持つ学生と直接対話してポジティブな第一印象を残すことが重要です。
合同説明会を効果的に行うことで、多くの有望な学生と接触し、採用の成功率を高められます。
採用ページをブランディングする
企業の採用ページは、新卒者に対する企業の顔ともいえます。魅力的で情報量が豊富な採用ページを作成することで、企業は自らのブランドを強化し、ポジティブなイメージを構築できます。
特にビジュアルやコンテンツを工夫し、企業文化、キャリアプラン、実際に働く社員の声など、学生が知りたい情報を明確に提供することが重要です。文字や写真だけではなく動画も活用することで、より魅力的で記憶に残るページになります。
採用ページを通じて、企業の個性と価値を効果的に伝えることで、新卒者の興味と関心を引くことが可能です。
採用業務に専念できる社内環境を整える
新卒採用を成功させるためには、採用業務に専念できる体制の構築が欠かせません。採用担当者がさまざまな業務を一度に抱えず、採用業務に適切なリソースを割けるように調整することで、計画的かつ効率的な採用活動が可能になります。
また、社内のコミュニケーションを強化し、採用活動が会社全体の目標と連動しているかを確認することも重要です。なぜなら、採用業務を成功に導くためには、戦略的な視点と継続的な改善が必要であり、これには組織全体のサポートと協力が不可欠だからです。
採用業務に特化した環境を整えることで、企業は有能な新卒者の獲得という共通の目標に向けて効果的に進むことができます。
エントリー後の連絡はスピーディーに行う
新卒採用において、エントリー後の迅速な対応は非常に重要です。学生からの問い合わせやエントリーに対して、速やかに回答したり選考結果を連絡したりすることで、学生は不信感や不安を抱かずに済み、他社との差別化を図れます。
連絡が遅延すると、学生の興味が薄れ、他社のオファーを受け入れる可能性が高まります。そのため、エントリーがあった際には、応募者に対して予定されている選考の内容や選考結果などについて、明確な情報を迅速に提供することが重要です。
このようにスピーディーな対応を心がけることで、採用成功率の向上に寄与し、企業イメージも向上できます。
内定後のフォローを丁寧に行う
内定者に対する丁寧なフォローを行うことで、企業は内定者の入社意欲を高め、実際に職場に馴染んでもらうための基盤を築けます。内定者が抱える不安や疑問に迅速かつ適切に対応し、入社前の交流イベントなどを通じて、企業文化や将来のキャリアパスについて理解を深めてもらうことが大切です。
具体的には、以下のようなフォローがおすすめです。
- 個人面談の実施
- 内定者懇親会の開催
- 社内イベントへの参加
- 職場見学の実施
- 必要資格がある場合、取得のサポート など
このように、内定者との積極的なコミュニケーションは安心して入社するためのサポートとなり、長期的な人材育成と組織の成長に寄与します。
新卒採用力を高め優秀人材の確保につなげよう
新卒採用は多くの企業にとって難易度が高くなっていますが、戦略的にアプローチを見直し、効果的な措置を講じることで、この難題を乗り越えることが可能です。
さまざまな採用手法やPR活動を展開し、インターンシップやSNSの活用、リファラル紹介制度の導入など、多角的なアプローチを取り入れましょう。また、合同説明会や魅力的な採用ページのブランディングにより、企業の魅力を一層際立たせることが大切です。
採用業務に専念できる体制の整備、エントリー後や内定後の丁寧なフォローによって、優秀な人材との強い絆を築き、学生が新たな環境で輝けるようサポートしましょう。これらの取り組みを通じて、企業は新卒採用力を高め、優秀な人材の確保につなげることができます。
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