飲食店でも外国人スタッフを採用できる?手続きの流れや在留資格について
人手不足が深刻化している飲食業界。2019年の出入国管理及び難民認定法の改正により、条件を満たせば飲食店でも外国人スタッフを正社員雇用できるようになりました。本記事では、飲食店における外国人スタッフ採用のメリットなどについて解説します。
目次
飲食店における外国人採用の現状
令和5年10月時点で、外国人を雇用している事業所数は、全国で約31万事業所に達しています。その中でも、宿泊業・飲食サービス業が占める割合は約14%で、約4.5万事業所に及んでいます。
これは、飲食業界においても外国人労働者が活躍していることを示しており、その数は年々増加しています。
[出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末時点)」]
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外国人採用には「在留資格」「在留カード」が必要
外国人を雇用する際には、まずその人物が適切な在留資格を持っているかどうかを確認することが重要です。在留資格とは外国人が日本に滞在するための資格のことで、身分による分類や活動できる内容によってさまざまな種類があります。
在留資格を証明するのが在留カードであり、このカードには、在留期間や就労可能な範囲が記載されています。雇用主はこの在留カードによって、雇用予定の外国人が労働の許可を持っているかを確認する義務があるのです。
飲食店で雇用可能な在留資格
外国人が飲食店で働くには特定の在留資格が必要です。アルバイト・正社員それぞれの場合の具体的な在留資格の種類とその詳細について見ていきましょう。
アルバイトの場合
外国人がアルバイトとして働くためには、いくつかの在留資格が必要です。代表的なものとしては「留学」や「家族滞在」があり、これらは勉学や家族との生活を目的に滞在する外国人に適用されます。
また、「永住者」や「定住者」、「日本人の配偶者」などもアルバイトを行うことができる在留資格です。これらの資格を持つ外国人は、飲食店でアルバイトとして働くことが許可されているのです。
正社員の場合
外国人が正社員として働く場合にも、特定の在留資格を持っている必要があります。例えば、「技能」や「特定活動(告示46号)」は特別な技術や知識を持つ人材に適用される資格です。
また、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」も正社員雇用でよく見られる資格です。さらに、「永住者」や「定住者」、「日本人の配偶者」などは、幅広い職種で正社員として働くことができます。
飲食店における外国人採用のメリット
ここでは、飲食店で外国人を採用するメリットについて紹介していきます。
日本語以外でのサービスを提供できる
外国人従業員を雇用することで、英語やその他の外国語を使ったサービスを提供することが可能になります。特に観光客や外国人居住者が多い地域の飲食店では、このような多言語対応が大きな強みとなるでしょう。
顧客のニーズに応じた言語でのコミュニケーションができることで、より満足度の高いサービスを提供できるようになり、リピーターの獲得にもつながります。
労働力不足を補える
日本の飲食業界では、慢性的な労働力不足が問題となっていまが、外国人労働者を採用することで人手不足の問題を解決することができます。
特に若い世代が減少している昨今においては、外国人労働者は貴重な労働力となり、店舗運営の安定化にもつながります。
職場が活性化する
外国人労働者を雇用することで、職場に新しい風を入れることもできます。
外国人労働者の高い就労意欲や、文化の違いによる考え方や価値観の違いに触れることで、ほかの従業員のモチベーションが向上し、職場全体の雰囲気が活性化するでしょう。多様なバックグラウンドを持つスタッフが協力することで、より創造的で活気のある職場環境が生まれるのです。
海外進出の足掛かりになる
海外進出を検討している国出身の外国人労働者を雇用することで、現地の文化やビジネス習慣についての貴重な情報を得ることもメリットの一つです。
外国人スタッフは通訳や情報提供の役割を担うことができるため、海外進出の際の大きな助けとなります。外国人スタッフの存在は、スムーズな海外展開を実現するための重要な足掛かりだといえるのです。
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飲食店における外国人採用の手続きの流れ
飲食店で外国人労働者を採用する際には、手続きの流れについて知っておく必要があります。ここではステップごとに詳しく見ていきましょう。
外国人労働者を募集する
外国人労働者を募集するには、いくつかの方法があります。人材紹介会社の利用や自社サイトでの募集が一般的ですが、日本語学校などの教育機関に求人情報を掲載することも効果的です。
また、SNSや外国人専門の求人サイトでの発信、ハローワークなどの公的機関を通じた募集も有効だといえます。募集をスムーズに進めるためには、複数の方法を組み合わせて行うことがポイントです。
外国人労働者を選考する
外国人労働者を採用する際も日本人の採用と同様に、書類選考や面接を通じて適切な人材を選びます。選考時には、応募者のスキルや経験だけでなく、日本での在留資格が適切であるかを確認することが重要です。
特に在留カードの確認は必須で、適切な資格を持っているかどうかを見極めなければなりません。選考の段階でしっかりと確認しておくことで、採用後のトラブルを防ぐことができます。
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雇用契約を締結・在留資格を申請する
外国人労働者を採用する際には、雇用契約の締結と在留資格の申請が必要です。これらの手続きについて、詳しく見ていきましょう。
国内在住者の場合
既に日本国内に在住している外国人を雇用する場合、在留資格の変更や更新が必要です。この手続きは、雇用契約を結んだあとに行います。
申請は、必要な書類を揃えて出入国在留管理局に提出することで行いますが、ここでは特に在留期間の確認や申請期限の遵守が重要です。
海外在住者の場合
海外に在住している外国人を日本に呼び寄せて雇用する場合、まずは在留資格認定証明書を取得する必要があります。この証明書は、日本国内の出入国在留管理局で申請します。その後、外国人労働者が現地の日本大使館や領事館でビザを取得する流れです。
手続きには時間がかかるため、余裕を持って準備を進めることが重要です。また、書類不備がないように、細心の注意を払うようにしましょう。
就労を開始する
新しい在留カードが交付され、査証申請が受理されると外国人労働者はいよいよ就労を開始します。就労開始後には、労働保険や社会保険への加入が必要です。
また、外国人雇用状況届出も忘れてはならない手続きの一つです。これらの手続きを確実に行うことで、労働者が安心して働ける環境を整えることができます。
飲食店における外国人採用の注意点
飲食店で外国人を採用する際には、いくつかの注意点があります。
不法就労助長罪に問われる可能性がある
在留資格がない、在留期限が切れている、または偽造された在留カードを使用している外国人を雇用した場合、これらの事実を知らなかったとしても、不法就労助長罪に問われる可能性があります。
雇用主として、外国人労働者の在留資格を厳重に確認し、不法就労を防がなければなりません。万が一、違反が発覚すると、企業にとって大きなリスクとなるのです。
日本の文化・風習についての教育が必要
外国人労働者を採用する際は、日本語だけでなく、日本の文化や風習についての教育も欠かせません。これらの知識が不足していると、接客の場面でクレームが発生する可能性があるためです。
文化教育には手間と時間がかかりますが、丁寧に行うことで、より円滑な業務遂行を期待できます。
外国人採用で飲食店の人手不足を解消しよう
外国人採用は、飲食店における人手不足を解消する有効な手段です。適切な在留資格の確認や文化教育などが必要ですが、しっかりと対策することで、優秀な人材を確保し、店舗運営を円滑に進めることができるでしょう。
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