中小企業が新卒採用に苦戦する原因|採用を成功させるポイントや施策を紹介

最終更新日時:2024/04/17

採用管理システム

中小企業の新卒採用

中小企業の課題としてよく挙げられる「新卒採用の苦戦」。大手企業も新卒採用に苦戦している人手不足の昨今において、中小企業が新卒採用を成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。本記事では、中小企業が新卒採用に苦戦する原因と採用を成功させるポイントを併せて紹介します。

中小企業の採用環境について

はじめに中小企業を取り巻く採用環境がどのような状況なのかを紹介していきます。

大企業と比較して新卒採用の予算が少ない

まず言えるのが、中小企業は大企業と比較して新卒採用に割ける予算が少ないということです。

マイナビが運営しているサポネットの新卒採用予算に関する資料によると、上場企業の新卒採用における採用費の総額平均が771.9万円であるのに対し、非上場企業の新卒採用における採用費の総額平均は267.4万円と半分以下の予算であるということがわかります。

大手は豊富な資金を用いて多彩な採用活動を行うことができるのに対し、予算の制約が厳しい中小企業は工夫を凝らした戦略が必要となるでしょう。

[参照:サポネット「新卒採用の予算について」]

新卒採用の目的とは?メリット・デメリットやフロー、中途採用との違いを解説

有効求人倍率が低い

中小企業の新卒採用において、有効求人倍率の低さは顕著な課題といえます。

リクルートワークス研究所が新卒採用を対象に行った求人倍率の調査結果では、従業員数300人未満の企業と5,000人以上の企業の有効求人倍率の差は以下の通りでした。

従業員数300人未満従業員数5,000人以上
2019年3月卒9.91倍0.37倍
2020年3月卒8.62倍0.42倍
2021年3月卒3.40倍0.60倍

調査結果からもわかる通り、大企業に比べ中小企業の求人に対する応募数が少なく、就活生の選択肢になりにくいというのが現実です。

[参照:リクルートワークス研究所「第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)」]

中小企業における新卒採用の課題・苦戦する理由

中小企業が新卒採用で直面する課題や苦戦する理由は多岐にわたります。ここでは、その具体的な理由を詳しく探っていきます。

応募者が少なく母集団を形成できない

知名度の低い中小企業では、応募者が少ないために母集団を形成できないという課題があります。結果として、狭い選択肢の中から選ぶことになるため、優秀な人材の確保が一層困難になるのです。

採用母集団の形成ができないことは人材獲得の機会を大きく減少させる結果につながるため、中小企業の成長にも影響を与えかねない課題といえるでしょう。

採用活動に時間・費用をかけられない

中小企業では、採用活動に充てることができる時間や費用が限られているのが現実です。特に大手企業と比較すると、採用に割ける予算の差は歴然であり、専任の採用担当者を置けないケースも少なくありません。

このようなリソースの限られた状況は、効果的な新卒採用活動を行ううえで大きなハードルとなります。

採用活動をスムーズに進めるノウハウがない

中小企業では、採用活動を効率的かつ効果的に進めるためのノウハウが不足している場合もあります。

採用活動を行うにあたっては、採用計画の策定、スケジュールの管理、目標とする採用ターゲットの明確化など、体系的なアプローチが求められます。こうしたことに対するノウハウが不足していると、採用活動全体の質と成果に影響を及ぼすでしょう。

内定を辞退する人が多い

中小企業に対しては、内定を辞退する人が多いことも課題です。特に、大企業の選考が本格化する6月以降に内定辞退者が増加する傾向にあります。

この時期は多くの学生が条件面や知名度で中小企業と大企業を比較するため、選択を変更するパターンが多いのです。中小企業はこうした状況に直面する中で、独自の魅力や働きがいをアピールする必要があります。

学生の就職観 |中小企業が意識すべきポイント

新卒採用のハードルが高い中小企業においては、学生がどのような就職観を持っているのかを把握することが非常に重要です。

ここでは、マイナビキャリアサーチの「2024年卒大学生就職意欲調査」を基にして具体的に紹介していきます。

大学生の就職観

現代の大学生は、「楽しく働きたい」という思いが強いことが明らかになっています。この回答は38.9%と最も多く、2年連続で増加傾向を示しています。

この結果は、働き方に対する価値観が変化していることを示唆しており、中小企業が採用活動においてアピールすべきポイントを定めるうえで非常に重要です。楽しく仕事ができる職場環境であることを示すことで、就活生の関心を集めることができるでしょう。

大手・中小企業の志望志向

大手企業への志望度は48.9%で、2年連続で半数を割っており、就活生の間で中堅・中小企業に対する関心が高まっていることが分かります。この傾向は、就活生が求める働き方や価値観の多様化を反映しているといえるでしょう。

中小企業はこのチャンスを活かし、自社の魅力を正しく伝え、志望企業として考えてもらえるよう戦略を練ることが重要です。

企業を選択する際のポイント

就活生が企業選択の際に最も重視するポイントは、企業が「安定していること」であり、これが48.8%を占め、5年連続でトップとなっています。この傾向は、経済の先行きの不安定さが増す中で、より安定した職場を求める学生が増えていることを示しています。

中小企業はこの点を踏まえて自社の安定性をアピールすることで、応募数の増加につなげることができるでしょう。

中小企業が新卒採用を成功させるポイント

ここからは、中小企業が新卒採用を成功させるうえでのポイントを紹介していきます。

採用ターゲットを明確にする

中小企業の新卒採用成功への鍵は、採用ターゲットの明確化にあります。能力、性格、価値観といった複数の側面から具体的な人材像を描くことで、より効果的な採用情報の作成や選考プロセスの構築ができるでしょう。

また、採用ターゲットの明確化は、時間とリソースの浪費を防ぐことにもつながります。

採用エリアを地方まで拡大する

都市部における採用競争の激しさを鑑み、中小企業の場合は採用エリアを地方にまで広げることも有効な戦略です。

地方には、都市部の忙しなさから離れ、地域に根ざして働きたいと考える人材が数多くいます。そこで地方を対象にすることで、これまで対象外だった人材リソースにアクセスし、企業としての多様性と機会を拡大することができるのです。

就活生へのアプローチの幅を広げる

中小企業が新卒採用で成功を収めるためには、アプローチの幅を広げることも重要です。就職サイトや求人サイトだけに頼らず、例えばダイレクトリクルーティング、人材紹介、SNSを通じた採用など、さまざまな手段を駆使する必要があるでしょう。

特に、SNSは若い世代とのコミュニケーションチャネルとして有効で、企業の人間的な魅力を直接伝えることができます。複数の方法を組み合わせて利用することで、より多くの潜在的な応募者にリーチし、採用の成功率を高められるのです。

新卒採用の手法について|トレンドやメリット・デメリット、適した手法を選ぶポイント

採用スケジュールを前倒しする

中小企業が採用競争において一歩先を行くためには、採用スケジュールを前倒しにすることが効果的です。

特に、大手企業が内定を出したあとに採用活動を開始する場合、すでに多くの優秀な学生が就活市場から姿を消していると考えられます。そこで早期から採用活動を行うことにより、より幅広い就活生と接触し、自社の魅力を伝える機会を増やすことができるでしょう。中小企業が人材確保において優位性を確立するうえでは、大手企業より先を行くことが重要なのです。

新卒採用スケジュールを策定する際のポイント|事前準備や早期選考のメリット

社内の協力体制を構築する

中小企業における新卒採用の成功には、社内の協力体制が不可欠です。就活生が企業に親近感を持ち、実際に働くイメージを得るためには、人事担当者だけでなく、他部門の社員とも接点を持つ機会を積極的に提供することが重要です。

実際の業務に関して社員の体験談を聞くことで、就活生はより具体的かつ魅力的な職場のイメージを築くことができます。このような社内の連携は、応募者に対して安心感を与え、企業への関心を高める効果があるのです。

仕事のやりがい・魅力を伝える

大手企業では味わえない、中小企業独自のやりがいや魅力を伝えるのもポイントです。

例えば、裁量の大きな仕事や、結果が直接反映される環境などがこれに該当します。自身の働きが会社に影響を与えているという実感を得られれば、職務の充実感を高めることができるでしょう。中小企業での採用活動においては、こうした魅力を前面に打ち出し、大手にはない部分を伝えることが重要です。

中小企業が新卒採用を成功させるための施策

新卒採用をするうえでは、さまざまな採用施策を実践していくことが非常に重要です。ここでは具体的な方法を紹介します。

自社の採用サイトを充実させる

自社の採用サイトを充実させることは、新卒採用において極めて重要です。コンテンツを充実させることにより、就活生の志望度や企業への理解度を向上させることができるためです。

また、自社独自の文化や働き方を紹介することで、他社との差別化を図ることにもつながります。就活生に対してできる限り詳細な情報を提供することで、結果的に最適な人材を引き寄せることができるのです。

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就職情報サイトに採用情報を掲載する

就職情報サイトへの採用情報の掲載は、中小企業の新卒採用戦略において非常に効果的な手段です。就職情報サイトを利用することで、就活生に対し企業の信頼感の向上と認知度のアップを図ることができます。

多くの就活生が利用する就職情報サイトに企業の特色や文化、求める人材像を具体的に紹介することで、企業と学生のミスマッチを減らし、より効果的な採用活動を展開することができるようになります。

多様な採用活動を取り入れる

中小企業は、新卒採用の成功のために多様な採用活動を取り入れるべきです。具体的には、一括採用のみに依存するのではなく、通年採用やリファラル(社員紹介)採用、ダイレクトリクルーティングなど、さまざまな方法を組み合わせることを意味します。

こうした複数の採用方法を組み合わせることで、年間を通じて幅広いタレントプールにアクセスし、より多くの潜在的な候補者と接触することができるでしょう。多様な採用手法を用いることで、単一の採用方法では出会えなかった人材を獲得し、組織の多様性と競争力を高めることができます。

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インターンシップを開催する

インターンシップを開催することも、中小企業にとって有力な戦略です。インターンシップは、学生が実際に企業で働いたり、職業体験をしたりするプログラムのことで、学生は働く環境や業務内容への理解を深めることができます。

中小企業にとって、インターンシップは学生に自社を深く知ってもらう絶好の機会です。実際に職場の雰囲気を体験してもらうことで、学生の興味や志望度を高めると同時に、優秀な人材を早期に確保することにもつながります。

合同説明会・WEB説明会を開催する

学生と直接接点を持つためには、合同説明会への参加が効果的です。さらに、説明会をWEB上で開催することにより、費用の削減や採用エリアの拡大、さらに企業の採用ブランディングにもつながります。

特に中小企業にとってこのような取り組みは、地理的な制約を越えて多くの学生にリーチするチャンスとなり、企業の認知度向上を期待できます。とりわけWEB説明会は参加しやすいため、より多くの就活生に自社を知ってもらう絶好の機会になるでしょう。

採用代行を利用する

採用代行とは、採用に関するノンコア業務を外部に委託することを指します。採用代行を用いることで、中小企業は採用のコア業務のみに集中できるようになり、効率的な母集団形成を実現できます。

中小企業はリソースが限られているため、採用プロセスの各段階を専門の代行サービスに任せることで、時間とコストを大幅に削減し、採用活動全体の質を向上させることができるのです。

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WEB選考を導入する

WEB選考の導入は、地方在住の就活生を含む幅広い応募者に対応するために有効です。エントリーや選考をオンライン化することで、地理的な制約なく多くの応募者と接触でき、選考プロセスをスムーズに進めることができるのです。

この方法は企業にとってだけでなく、就活生側の時間や費用の負担を軽減することにもつながります。

採用ノウハウを蓄積する

新卒採用を行うにあたっては、ノウハウを蓄積するようにしましょう。

採用活動においては、選考に進んだ応募者の割合や内定辞退の理由、内定者がどのような選考方法を経て採用に至ったかといったデータの蓄積が非常に重要です。これらの採用ノウハウを蓄積し、分析することにより、採用戦略や選考プロセスの改善を図ることができます。

個別面談・採用後のフィードバックをする

個別面談や採用後のフィードバック、キャリアに関する相談は、学生の不安を解消する効果的な手段です。こうした対話の機会を設けることで、学生に対する理解を深めると同時に、学生からの直接的なフィードバックも得ることができます。

企業が学生の真の関心や懸念を理解し、それに応じたアドバイスや情報提供を行う機会ともなるでしょう。学生の信頼を獲得し、長期的な関係を築く基盤とするためにもフィードバックを行うのがおすすめです。

課題に併せた施策で中小企業の新卒採用を成功させよう

中小企業の新卒採用を成功させるには、課題に応じた多様な施策を実施することが重要です。採用ターゲットの明確化、採用エリアの拡大、多様な採用活動の導入、インターンシップの実施、そして採用サイトの充実など、さまざまな手法を用いることで、効果的な人材獲得につなげましょう。

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