ソフトウェア開発の流れ|プロセスの種類や必要な準備・種類を解説
日々の生活やビジネスをより便利にするために欠かせない、「ソフトウェア開発」。不具合の少ない質の高いシステムを開発するために、基本の流れや必要な必要な準備について知っておきましょう。本記事では、ソフトウェア開発の流れについて、プロセスの種類なども併せて解説します。
目次
ソフトウェア開発とは?
ソフトウェアとは、特定の処理を実行するようコンピューターに命令するプログラムを指し、これを設計・開発し、リリースするプロセスがソフトウェア開発です。
ソフトウェアは、私たちが日常的に使うアプリケーションやシステムの動作を支える重要な要素です。例えば、スマホのアプリから企業の業務システムまで、すべてがソフトウェアを基盤にできています。
これらのソフトウェアを開発するプロセスには、設計、コーディング、テスト、リリースなど多くの工程が含まれます。
ソフトウェア開発の基本の流れ
まずは、ソフトウェア開発の基本的な流れを解説します。流れを理解することで、全体像を把握しやすくなるでしょう。
要件定義
要件定義とは、ソフトウェアに必要な機能や依頼者の要求を明確にまとめる作業です。開発の初期であるこの段階で、要求を満たすにはどのような機能が必要か、またはどのような問題の解決が求められているのかを具体的に洗い出します。
要件定義をしっかりと行っておくことで、開発途中の修正が減り、スムーズな進行を実現できます。要件定義が適切かどうかはプロジェクト全体の成功にも大きく影響を与えるため、非常に重要です。
▷システム開発の要件定義とは?作成の流れや進め方のポイント・必要なスキル
設計
設計は、要件定義を基にソフトウェアの構造や動作を具体化するプロセスです。
まず初めに取り組むのが、全体の大まかな設計である「基本設計」です。ここでは、システムの全体像や主要な機能を決定します。次が、詳細部分まで設計する「詳細設計」です。この段階では、プログラムの各部分がどのように動作するかを細かく定義します。
こうした設計がしっかりと行われることで、あとの開発工程がスムーズに進行し、品質の高いソフトウェアを実現できるのです。
開発
設計が終わったあとの開発の工程では、設計書に基づいて実際にプログラムコードを記述し、ソフトウェアを作成します。
具体的な流れとしては、まず、プログラマーが各自の担当部分のコードを書き、動作するプログラムを組み立てます。その後に、全体を統合します。
テスト
ソフトウェアが依頼者の要求を満たし、正常に動作するかを確認するための重要な工程がテストです。
まず、個々のプログラムが正しく動作するかを確認する「単体テスト」を行います。次に実施するのが、複数のプログラムが連携して動くかを確認する「結合テスト」です。さらに、システム全体が正しく動作するかを検証する「システムテスト」を行い、最終的に依頼者が求める機能がすべて満たされているかを確認する「受け入れテスト」を実施します。
プログラムが想定通りに動かない場合は、バグや問題を解決し、再度テストを行います。テストを繰り返し行うことで、品質の高いソフトウェアを提供することができるのです。
納品
テストが無事完了したら、ソフトウェア開発を依頼した依頼主への納品が行われます。納品の際には、システムの設計書やプログラム、運用マニュアルも併せて受け渡されるのが特徴です。
これらの資料があることで、顧客はソフトウェアの使用方法やメンテナンス手順を理解しやすくなります。
保守
ソフトウェアを導入したあとは、安定的に稼働し続けるための運用・メンテナンスを行う保守作業が始まります。不具合の修正や、システムの更新、機能の追加なども保守作業の一環です。適切な保守を行うことで、日々変化する業務環境やユーザーのニーズに対応し続けることができます。
また、セキュリティ対策も重要な保守の一環です。ソフトウェアが正常に動作し続けるためには、定期的なチェックと迅速な対応が欠かせません。保守は、ソフトウェアの長期的な価値を維持するための重要な活動だといえるのです。
ソフトウェア開発に必要な準備
続いては、ソフトウェア開発に必要な準備について見ていきましょう。
依頼者へのヒアリング
依頼者へのヒアリングは、ソフトウェア開発を始める際の非常に重要なステップです。営業担当、プロジェクトマネージャー(PM)、エンジニアが協力して、依頼者のニーズや希望を詳しく聞き取ります。
さらに、既存システムの課題や改善点を明確にするための情報収集も行います。十分な情報を集めることで、依頼者の要望を的確に反映した要件定義が可能となり、プロジェクト全体の成功につながるのです。
ヒアリングは、依頼者との信頼関係を築く重要なプロセスであるといえるでしょう。
既存システムの把握
実際にソフトウェア開発を始める前に、既存システムについて把握しておく必要があります。具体的には、依頼者が現在使用しているシステムの構造や作動環境を詳しく確認します。
これにより、新システムとの互換性や移行の際の課題を事前に認識することが可能です。また、既存システムの問題点や改善点について詳しく把握しておくことで、新しいソフトウェアの設計に役立てることができるでしょう。
また、既存システムについての情報を適切に把握することで、円滑なシステム移行と高い品質のソフトウェア開発が可能となるのです。
ソフトウェアの提案
ヒアリングした内容に基づいてソフトウェアの企画を行い、依頼者に提案します。依頼者のニーズや希望を的確に反映させ、認識のずれが生じないように詳細に説明することが、提案段階でのポイントです。
具体的な機能やメリット、導入後の効果を明示し、依頼者にとって最適な解決策を提示しましょう。依頼者の期待に応え、プロジェクトの方向性を明確にすることで、スムーズな開発進行の基盤が築かれるのです。
ソフトウェア開発プロセスの種類
ソフトウェア開発プロセスには、いくつかの種類があります。具体的にどのような種類があるのかを見ていきましょう。
ウォーターフォール型
ウォーターフォール型とは、ソフトウェア開発のプロセスが上流から下流へという流れに沿って進行する手法です。各工程が完了してから次の工程に進むため、計画が明確で管理しやすいのが特徴です。
メリットとしては、進行状況の把握が容易であり、全体像が見えやすい点が挙げられます。一方、一度完了した工程に後戻りすることが難しいため、変更に柔軟に対応しにくい点がデメリットです。
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アジャイル型
アジャイル型は、柔軟性と迅速性を重視したソフトウェア開発手法です。短い開発サイクル(スプリント)を繰り返しながら、機能を段階的に追加・改善していきます。
メリットとしては、変更に柔軟に対応でき、ユーザーからのフィードバックを反映しやすい点が挙げられます。一方、デメリットとしては、計画の変更が頻繁に発生するため、プロジェクト全体の管理が難しくなる可能性がある点です。
プロトタイプ型
プロトタイプ型は、早期に試作品(プロトタイプ)を作成し、ユーザーからのフィードバックを基に改良を重ねる開発手法です。この手法のメリットは、ユーザーのニーズに沿った開発が進められるため、最終的な製品の品質が高まることです。また、ユーザーと開発者の間で認識のずれが少なくなります。
一方、デメリットとして、プロトタイプの作成と改良に時間とコストがかかる点が挙げられます。
スパイラル型
スパイラル型は、ソフトウェア開発のリスク管理を重視した手法で、プロジェクトを複数の反復サイクル(スパイラル)で進めます。各サイクルは計画・リスク分析・開発・評価の4つのフェーズから成り、これを繰り返しながら段階的にシステムを完成させるのです。
メリットとしては、リスク管理がしやすく、複雑なプロジェクトにも対応できる点が挙げられます。一方、デメリットは、各サイクルごとの計画と評価が必要なため、時間とコストがかかる点です。
ソフトウェア開発の一連の流れ・必要な準備を理解しよう
ソフトウェア開発は、要件定義から設計、開発、テスト、納品、保守までの一連のプロセスを経て行われます。依頼者からのヒアリングや既存システムの把握、適切な開発手法の選定など、しっかりとした準備を行い、適切な手法を選ぶことで、プロジェクトを円滑に進めましょう。
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