VPN接続ができない原因と対処法|windows・mac・iPhone別に解説

安全なインターネット環境を構築する「VPN」。リモートワークの普及により、自宅から社内ネットワークに接続するためにVPNを利用している人も多いなか、もしVPNが接続できないというトラブルが発生した際にはどうしたらよいのでしょうか。本記事では、VPN接続ができない原因と対処法を、Windows・Mac・iPhone別に解説します。
目次
VPN接続できない原因
VPNに接続できない場合、さまざまな原因が考えられます。それぞれ詳しく解説します。
デバイスがネットワークに接続できていない
VPNに接続できない典型的な原因は、そもそもデバイスがインターネットや社内ネットワークに正常に接続できていないことです。
この問題は、Wi-Fiの信号が弱い、ケーブルの接続が不完全、あるいはルーターの設定に問題がある場合に発生することがあります。
まずはデバイスのネットワーク接続状況を確認し、VPN以外の環境をチェックしましょう。
ファイアウォールによって接続が遮断されている
ファイアウォールの設定によって、VPN接続が遮断されてしまう可能性もあります。ファイアウォールは不正アクセスを防ぐために重要ですが、ときには正当なVPN接続までも遮断してしまうことがあるのです。
特に、企業のセキュリティポリシーが厳しい場合、ファイアウォールは標準設定でVPNトラフィックをブロックしていることが多いです。
IPアドレスやDNSサーバーが手動取得になっている
VPN接続の問題は、IPアドレスやDNSサーバーの設定方法が原因で起こることがあります。通常は自動取得になっている部分が手動で設定されている場合、予期せぬ接続問題が発生する可能性があります。
特に、IPアドレスを手動で設定する場合には注意が必要です。そのアドレスがネットワーク内で既に使用されていた場合、IPアドレスの衝突が起こり、VPNを含むインターネット接続が遮断されることがあります。
VPNルーターに問題がある
VPN接続できない問題の中で、VPNルーター自体に起因するケースも少なくありません。ルーターの電源が入っていない、正しくパソコンやネットワークに接続されていないなど、基本的な問題が原因であることがよくあります。
このような場合、まずはVPNルーターの電源が確実に入っているかを確認しましょう。接続ケーブルが適切に挿入されているか、またはWi-Fi接続が正しく設定されているかも合わせてチェックします。
ネットワーク制御機能が有効になっている
企業でよく使われるネットワーク制御機能が、VPN接続問題の一因となることがあります。
ネットワーク制御機能は通常、データの送受信を管理し、通信異常を防ぐために設計されています。これが適切に設定されていない場合、正常なVPNトラフィックまで遮断してしまうことがあります。特に、パケットフィルタの設定が厳しいと、VPNを通じたデータ通信がブロックされる可能性があります。
認証プロトコルが正しく入力されていない
VPN接続の際には、ルーターと端末側の間で認証プロトコルの設定が一致している必要があります。認証プロトコルが誤って入力されていると、接続の確立が妨げられる要因の一つとなります。
例えば、使用すべきプロトコルをPPTPとするべきところを、L2TPやSSTPと誤って設定してしまうと接続は成立しません。
プライベートネットワークのIPアドレスと重複している
VPN接続の際に取得したIPアドレスが、既に使われているプライベートIPアドレスと重複することがあります。このようなIPアドレスの重複は、接続エラーやネットワークの不具合を引き起こす原因となります。
特に、家庭や企業の内部ネットワークで使われるプライベートIP範囲内で重複が起こると、データの送受信が正常に行われなくなることがあります。
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【基本】VPN接続できない場合の対処法
ここではVPN接続ができない場合の対処法について紹介していきます。
ルーターを再起動・Wi-Fiを再接続して接続環境を見直す
VPN接続にトラブルがある場合、まず試してほしいのがルーターの再起動とWi-Fiの再接続です。これにより、VPN自体に関係のない不具合が解消される可能性があります。
ルーターを一度完全にシャットダウンし、数分待ってから再度電源を入れることで、接続状況をリフレッシュしましょう。また、Wi-Fiに再接続することで、接続設定の誤りや一時的なエラーをリセットできます。
▷VPN接続で通信速度が遅い理由とは?原因と対策をわかりやすく紹介
VPNのログイン資格情報を確認する
VPN接続がうまくいかない時は、ログイン情報に誤りがないかを確認してみましょう。ユーザー名やパスワードの入力ミスは、接続できない一般的な原因の一つです。
また、多要素認証が必要な設定の場合、その手順が正しく完了しているかも見直してください。資格情報を再度確認し、必要であれば管理者に正しい情報を確認することをおすすめします。
VPNルーターやソフトウェアを最新バージョンに更新する
VPN接続の問題が発生する原因として、使用しているVPNルーターやソフトウェアのバージョンが古いことがあります。セキュリティの強化やバグの修正を適切に受けるため、定期的にアップデートを行いましょう。
古いバージョンのまま使用していると、互換性の問題や既知の不具合により、VPN接続が不安定になることがあります。最新のアップデートを確認し、必要に応じてソフトウェアやルーターのファームウェアを更新してください。
認証プロトコルを合致させる
VPN接続の際にしばしば見落とされがちなのが、ルーターと端末の認証プロトコルが合致しているかどうかです。
認証プロトコルにはいくつかの種類があり、正しく設定されていないと接続エラーが発生します。ルーターと端末の間で使用するプロトコルを正確に合わせることが、安定したVPN接続を確保するうえで非常に重要です。
例えば、PPTP、L2TP/IPsec、OpenVPNなど、それぞれの設定を確認し、一致しているかどうかを慎重に検証する必要があります。
VPN接続の優先順位を高める
ローカルネットワークとVPN接続が同一のIPアドレス範囲を使用している場合、接続の問題が発生することがあります。
このような状況で効果的な解決策は、VPN接続の優先順位をシステム設定で高めることです。これにより、ローカルの接続よりもVPN接続が優先され、データ送受信時の競合を避けることができます。
具体的には、ネットワーク設定でVPNをデフォルトの接続として指定し、トラフィックがVPNを通過するような調整が必要です。
IPアドレスやDNSサーバーの情報を自動取得に変える
手動でIPアドレスやDNSサーバーの設定を行っている場合、しばしば接続問題が発生します。これは、手動設定がネットワークの他の要素との間で互換性がないことが原因です。
これらの設定を自動取得に切り替えて、問題が解決するか試してみてください。自動取得設定にすることで、デバイスはネットワークから適切なIPアドレスとDNS情報を受け取り、よりスムーズな接続が可能になります。
これは事業用回線などで、複数のデバイスが同一ネットワークに接続する環境において有効です。
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ファイアウォール・ネットワーク制御ツールを一時的に無効にする
ファイアウォールやネットワーク制御ツールを無効にすることで、VPN接続が確立する場合があります。これらのツールはセキュリティを向上させるために必要ですが、ときには正当なVPNトラフィックまでも遮断してしまうことがあるのです。
原因が判明したあとは、制御設定を変更するなどして対応し、再びセキュリティを有効にするのも忘れないようにしましょう。
パケットフィルタのパススルー設定を見直す
VPN接続の安定性を保つためには、パケットフィルタのパススルー設定を適切に管理することが必要です。特にIPsecやPPTPなど、VPN通信に必要なプロトコルがファイアウォールによってブロックされていないかを確認しましょう。
設定を見直す際には、これらの通信が遮断されずにネットワークを通過できるよう、ファイアウォールやルーターの設定を調整する必要があります。
VPNサーバーが正常に動作しているか確認する
VPN接続に問題が生じている場合、まず確認すべきはVPNサーバー自体の動作状況です。サーバーに接続できない、あるいは接続が不安定な場合、サーバーが過負荷状態にあるか、技術的な問題が発生している可能性があります。
このような状況を確認するためには、VPNサービスの管理画面やサポートに問い合わせて、サーバーの状態をチェックしてください。プロバイダーによっては、公式サイトでリアルタイムのサーバー状況をチェックできる場合もあります。
また、問題が解決しない場合は、異なるサーバーに接続を試みることが有効です。
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【ケース別】VPN接続できない場合の対処法
ここでは、Windows、Mac、iPhone・iPadのそれぞれでVPNに接続できない場合の対処法を紹介していきます。
WindowsでVPN接続できない場合の対処法
WindowsでVPN接続できない場合は、以下の手順で対処してみましょう。
- 『Windowsキー+Sキー』を押して、検索窓を開く
- 『イーサネット設定』と入力し、システム設定の[イーサネット設定]を選択
- 関連設定から[アダプターのオプションを変更する]リンクを選択
- 「イーサネット」を右クリックし、[プロパティ]を選択
- [インターネット プロトコル バージョン4(TCP/IPv4)]を選択し、「プロパティボタン」をクリック
- 『IPアドレスを自動的に取得する』『DNSサーバーのアドレスを自動的に取得する』がそれぞれ選択されていることを確認
- 『IPアドレス』、『DNSサーバー』の両方またはどちらかが未選択になっている場合は、チェックを入れて設定を保存
MacでVPN接続できない場合の対処法
MacでVPN接続できない場合は、以下の手順で対処してみましょう。
- アップルメニュー→システム環境設定から[ネットワーク]を選択
- [Ethernet(またはWi-Fi)]→[詳細]→[TCP/IP]と順に選択
- IPアドレス、DNSサーバーが『自動取得』になっていることを確認
iPhone・iPadでVPN接続できない場合の対処法
iPhoneやiPadの場合は上記と異なり、OSアップデートにより一部のプロトコルが使用できなくなっている場合があります。iPhoneであればiOS10以上から、接続プロトコル「PPTP」が使用できません。
以下の手順でプロトコルを確認しましょう。
- 「設定」アプリを開き、[一般]セクションから[VPN]を選択
- 登録されているVPNの種類が「PPTP」か否かをチェック
- 「IKEv2」「IPsec」「L2TP」などに設定を切り替える
ただしサーバーの種類によってはPPTPでしか接続できないこともあるため、その際はサーバー設定自体の変更が必要です。また、VPNアプリの更新やデバイス・ネットワークの再起動も有効です。
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VPN接続ができない原因を理解し適切に対処しよう
VPN接続に問題が生じた際は、さまざまな原因が考えられます。デバイスの設定、ネットワークの状態、VPNサーバーの問題など、トラブルの原因を一つ一つ確認し、適切な対処法を実施することが重要です。安全で安定したVPN接続のために、定期的な設定の確認と更新を心がけましょう。
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