VPN接続で通信速度が遅い理由とは?原因と対策をわかりやすく紹介

VPN接続の課題の1つ「通信速度の遅さ」。快適な通信環境を求めてVPN構築をしたにもかかわらず、通信速度が遅く不満を感じている人も多いのではないでしょうか。本記事では、VPN接続で通信速度が遅い原因と対策をわかりやすく紹介します。
目次
そもそもVPNは通信速度が遅くなりやすい仕組み
VPNは、安全なインターネット通信を実現するための仕組みですが、その過程で通信の遅延が発生しがちです。VPNではデータを保護するために、以下の3つの処理が行われます。
仕組み | 役割 | |
トンネリング | インターネット上の特定の通信経路(トンネル)を作成し、認証パスがなければアクセスできないようにする。 | 異なる拠点間でプライベートなデータ交換を可能にする。 |
カプセル化 | トンネリングプロトコルでデータをカプセルのように包み、送受信の際に内容が見えないようにする。 | データの安全性とプライバシーを確保しながら、正確な送受信を行う。 |
暗号化 | データを読み取り不能な形式に変換し、権限のない第三者がデータを解読できないようにする。 | セキュリティを強化し、データを盗聴や改ざんから保護する。 |
こうした処理により、通信経路が長くなったり、データサイズが大きくなったりするため、通信速度が落ちやすくなるのです。VPNを利用する際は、セキュリティと速度のバランスを考慮する必要があります。
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VPN接続で通信速度が遅い原因
VPNを利用した際に起こる通信速度の低下は、仕組みによるものだけでなく、そのほかの原因によっても引き起こされます。主な原因を詳しく解説します。
通信回線が混雑している・プロバイダで通信制限がされている
VPN接続の遅さの一因として、利用する通信回線の混雑が挙げられます。多くの人が同じ回線を利用している時間帯には特に混雑しがちです。
また、インターネットサービスプロバイダ(ISP)が設備のトラブルやメンテナンスで一時的に通信制限を設けることも、速度低下を招く原因となります。
OSのアップデート・ウイルス対策ソフトのスキャンが行われている
OSがバックグラウンドでアップデートを行っていたり、ウイルス対策ソフトがシステム全体をスキャンしている場合も、インターネット速度は低下します。大量のデータのダウンロードやウイルスのチェックに時間を要するためです。
どちらの場合も、VPN接続を利用しているときに通信の遅れを感じさせる要因となることがあります。
デバイスとVPN機器のMTU・MSSの数値が合っていない
デバイスとVPN機器間のMTU(Maximum Transmission Unit:最大転送単位)やMSS(Maximum Segment Size:最大セグメントサイズ)の設定が合っていない場合も、パフォーマンスが低下します。
これらの設定が不一致であると、データの断片化や再送といった余計な処理が多く発生し、結果として通信速度が遅くなるのです。
デバイスやVPN機器の処理能力が低下している
古くなったパソコンやスマホ、VPNルーターの処理能力が低下すると、VPNの暗号化・復号化の処理に時間がかかり、結果として通信速度が遅くなってしまいます。
機器を新しいものに変えると改善される可能性があるでしょう。
VPNサーバーの性能が低い・負荷がかかりすぎている
VPNサーバー自体の性能不足であったり、データの暗号化処理が複雑でVPNサーバーに負荷がかかりすぎていたりする場合も、通信速度の低下につながります。
特に、データの暗号化・復号化に要する処理能力が不足している場合、速度低下は顕著になるでしょう。
デバイスとVPNサーバーの距離が離れすぎている
デバイスとVPNサーバーの物理的な距離が、通信速度に大きな影響を与えることがあります。
例えば、日本のオフィスから海外に設置されたサーバーを使用する場合、データが長い距離を移動する必要があるため、遅延が発生しやすくなります。これは、データがインターネット上で複数のネットワークポイントを経由するため、各ポイントでの処理時間が累積してしまうからです。
特に、VPNを利用する際にはセキュリティ対策としてデータの暗号化や検証が行われるため、さらに時間を要することがあります。できるだけ近い国や地域のサーバーを選ぶようにしましょう。
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VPN接続で通信速度が遅いときの対策
VPN接続で通信速度が遅くなる問題は、さまざまな原因によって引き起こされますが、効果的な対策を実施することで改善することが可能です。ここでは、具体的な解決策をいくつか紹介しますので、状況に応じて適切な方法を選んでください。
デバイスやVPN機器を再起動する
パソコンやスマホ、VPNルーター、モデムなどの機器を再起動してみましょう。
再起動により、機器内の一時的なエラーやメモリリークがリセットされ、通信速度が改善されることがあります。特に長時間同じ機器を使用し続けている場合は、定期的な再起動がおすすめです。
OSアップデートの時間帯を変える
OSがアップデートを自動で行っている最中は通信に影響を与えるため、アップデートの時間帯を、デバイスを使用しない夜間や休日に変更するとよいでしょう。
設定を見直せば、アップデートによる遅延を回避できます。
ウイルス対策ソフトの変更・設定を見直す
ウイルス対策ソフトはセキュリティを強化する重要なツールですが、そのスキャン処理が原因で通信速度が低下することがあります。特にリアルタイムスキャン機能は、通信データを常時チェックするため、影響が顕著です。
この問題を軽減するためには、ウイルス対策ソフトの設定を見直し、必要最低限の保護に留めるか、あるいはデバイスの処理能力に適した軽量なソフトウェアに変更することが有効です。
デバイスのMTU・MSSをVPN機器の数値に合わせる
デバイスとVPN機器間でデータパケットのMTUやMSSが合っていない場合、効率的なデータ転送が妨げられ速度が低下します。
これらの数値を調整し最適化することで、データの断片化を防ぎ通信速度を向上させることが可能です。
サーバー設置場所・暗号処理方法を考慮しVPNサービスを見直す
VPNサービスによっては、サーバーのスペックが低かったり距離が遠すぎたりするため遅延が生じます。また暗号化の方式によっても速度は変わります。
こうした点を考慮し、より通信が速いと思われるVPNサービスに乗り換えるのも一つの手です。近い距離にあるサーバーに切り替えることも検討してみましょう。
VPNポートやプロトコルを切り替える
特定のVPNポートやプロトコルがネットワークによって制限されていると、通信速度の低下を引き起こす原因となることがあります。
ポートやプロトコルの切り替えを行うことで、これらの制限を回避し、速度改善を図れるでしょう。
不具合などに関するプロバイダの情報を確認する
時には、インターネットサービスプロバイダ(ISP)側の不具合やメンテナンスが通信速度に影響を及ぼすことがあります。
プロバイダから提供される情報を定期的にチェックし、予定されているメンテナンスや発生している問題について確認するようにしましょう。
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VPNが遅い原因を突き止め通信速度を改善しよう
VPNの通信速度が遅い原因はさまざまです。回線の混雑やプロバイダの通信制限、デバイスやVPN機器の設定のミスマッチ、パフォーマンス不足などが考えられるでしょう。また、OSのアップデートやウイルス対策ソフトの動作、VPNサービスの問題が影響することもあります。
通信の遅延を改善するには、まず原因を特定し、機器の再起動や設定の変更など手軽にできる対処から試してみましょう。それでも解決しない場合は、VPNサービスの変更やプロバイダの確認など、さらなる対策が必要かもしれません。
遅延の原因を見極め、適切な対策を講じることで、快適なVPN利用を実現しましょう。
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