VPN接続では固定IPアドレスが必要?関係性やメリット・デメリットを紹介
VPN接続には固定IPアドレスの利用がおすすめです。インターネット上の住所を指すIPアドレスですが、VPN接続時にはなぜ固定IPアドレスがよいのでしょうか。本記事では、VPNに固定IPアドレスが必要な理由・関係性を、メリット・デメリットと併せて紹介します。
目次
VPNとは?
VPNは「Virtual Private Network」の略で、仮想的なプライベートネットワークのことです。VPNは、2つの拠点間に仮想的なトンネルをネットワーク上に形成し、その中を通ってデータを安全に送受信します。
この技術は、データをカプセル化と呼ばれる方法で保護し、第三者からの不正なアクセスを防ぐ仕組みです。ビジネスの現場では、リモートワークやオフィス間の安全な通信手段として広く利用されています。VPNを使えば、公共のWi-Fiでも安心してインターネットを利用できるでしょう。
VPNの仕組み
VPNの仕組みは、主にトンネリング、カプセル化、暗号化の3つで成り立っています。
トンネリングは、ネットワーク上に仮想的なトンネルを作り、データを安全に運ぶ技術です。カプセル化は、このトンネル内で通信するデータをパケットと呼ばれる単位に分け、それぞれを保護する方法を指します。そして暗号化は、データを読み取れないようにするための処理です。
これらの技術が組み合わさることで、VPNは安全で信頼性の高い通信を実現しています。
VPNの種類
VPNにはいくつかの種類があります。以下の4つが代表的なものです。
- インターネットVPN:インターネットを利用して拠点間を結ぶ手軽なVPN
- IP-VPN:閉域網を利用した専用のIPネットワークを使用し、高度なセキュリティを提供するVPN
- エントリーVPN:インターネット回線と閉域網を組み合わせた、コストパフォーマンスの高いVPN
- 広域イーサネット:IP以外で広範囲の拠点を結べる、安全性と通信品質に優れたVPN
これらの種類から、企業のニーズに合ったVPNを選ぶことが重要です。
VPN接続に固定IPアドレスが必要な理由・関係性
固定IPアドレスとは、取得後に変更されることなく1つのデバイスに恒久的に割り当てられるIPアドレスです。VPN接続時のIPアドレスは固定(静的)でも動的でも利用可能ですが、動的IPアドレスの場合、IPアドレスが変わるたびにVPN環境の再設定をしなければなりません。
再設定の手間を避け業務を効率的に進めるためには、IPアドレスの固定が必要と言えるでしょう。固定IPアドレスにより、安定した接続と管理のしやすさが実現します。
VPN接続に固定IPアドレスを使うメリット
VPN接続に固定IPアドレスを使用することで、安定した通信環境を維持できます。それでは、具体的なメリットについて以下の項目で詳しく見ていきましょう。
社外から社内ファイルサーバーに安全にアクセスできる
固定IPアドレスを使うことで、特定のIPアドレスからの接続のみを許可する設定ができるため、社外からでも安全に社内のファイルサーバーにアクセスできる環境を構築できます。
特定のIPアドレスのみを許可することで、不正なアクセスを防ぎ、データの安全性を確保することが可能です。社員がリモートワークや出張先からでも安心して社内データにアクセスできるため、業務の効率化にもつながります。
IoT機器の反応に即座に対応できる
固定IPアドレスを設定することで、VPN接続が安定し、防犯カメラやセンサーなどのIoT機器の反応に即座に対応できるようになります。固定IPであればデバイスとの通信がスムーズに行われるため、異常が発生した際にも迅速な対応が可能です。
遠隔から防犯カメラの映像をリアルタイムで確認したり、センサーからの警報を即座に受け取ったりでき、セキュリティの向上や迅速な対応が実現します。
VPN接続に固定IPアドレスを使うデメリット
VPN接続に固定IPアドレスを使用することにはデメリットもあります。具体的なデメリットについて詳しく解説するので、留意しておきましょう。
固定IPアドレスが漏洩した際にセキュリティリスクが高まる
固定IPアドレスを使用するデメリットの一つは、万が一漏洩した場合にセキュリティリスクが高まることです。固定IPアドレスが知られてしまうと、ブルートフォースアタックやDDoS攻撃といった不正アクセスのターゲットになりやすくなります。
攻撃者は特定のIPアドレスを狙って繰り返しアクセスを試み、システムへの侵入を図ることがあるため、固定IPアドレスを使用する際は、強固なセキュリティ対策が必須です。
固定IPアドレス取得の際にコストが発生する
固定IPアドレスを使用するもう一つのデメリットは、取得にコストが発生する点です。
固定IPアドレスを提供するサービスには月額料金や初期費用がかかることが一般的で、企業が複数の固定IPアドレスを必要とする場合、そのコストはさらに増加します。したがって、コストパフォーマンスを考慮しながら固定IPアドレスの導入を検討する必要があります。
特に小規模な企業やスタートアップにとっては、この費用負担が大きなハードルとなるかもしれません。
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固定IPアドレスの設定方法
ここではWindowsとMacそれぞれの固定IPアドレスの設定方法を紹介していきます。
Windows 10で固定IPアドレスを設定する方法
Windows 10で固定IPアドレスを設定する方法は以下のとおりです。
- デスクトップのスタートボタンを右クリックし、メニューから「ネットワーク接続」を選択
- 「アダプターのオプションを変更する」を選択
- 「Wi-Fi」を右クリックし、「プロパティ」を選択
- 「インターネット プロトコル バージョン4(TCP/IPv4)」を選択し、「プロパティ」をクリック
- 「次のIPアドレスを使う」・「次のDNSサーバーのアドレスを使う」を選択し、固定するIPアドレスを入力
- 「OK」ボタンをクリックして設定完了
Macで固定IPアドレスを設定する方法
Macで固定IPアドレスを設定する方法は以下のとおりです。
- メニューバーから「システム環境設定」を選択
- システム環境設定画面から「ネットワーク」を選択
- 「接続済み」と表示されている項目を選択し、「IPv4の設定」をクリックして「手入力」を選択
- 「IPアドレス」・「サブネットマスク」・「ルーター」を入力
- 入力完了後、右下の「詳細」をクリックし、「DNS」を選択
- DNSサーバー設定画面が表示されるので、DNSサーバーのIPアドレスを入力
- 入力完了後、画面右下の「OK」ボタンをクリック
- 画面右下の「適用」ボタンをクリックして設定完了
VPN接続の安定性を高めるために固定IPアドレスを利用しよう
固定IPアドレスを利用することで、VPN接続の安定性が格段に向上します。特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可することでセキュリティが強化され、業務の効率化にもつながるでしょう。
固定IPアドレスは、リモートワークやIoT機器の管理など、さまざまなビジネスシーンで大いに役立ちます。コストやセキュリティリスクを考慮しつつ、固定IPアドレスの導入を検討してみましょう。
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