福利厚生の特別休暇とは?種類やメリット・ユニークな特別休暇の事例を紹介

最終更新日時:2024/04/08

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特別休暇とは

福利厚生の1つである「特別休暇」。従業員のモチベーションにも直結する制度として多くの企業が取り入れていますが、有給休暇とは何が違うのでしょうか。本記事では、福利厚生の特別休暇とは何か、特別休暇の主な種類や導入のメリット・デメリットを、有給休暇との違いと併せて解説します。

特別休暇とは?

特別休暇とは、企業が独自に設ける休暇制度のことを指します。企業は従業員に対して法律で定められている一定の休暇を与える義務がありますが、それに加えて、従業員の福利厚生を考え、特別休暇として法定外の休暇制度を設けることができるのです。

労使で決めた就業規則などに従い、育児や介護、ボランティア、リフレッシュなどの目的で特別な休みを設定します。

特別休暇は有給休暇?無給休暇?

特別休暇を有給にするか無給にするかは、企業の方針によって決めることができます。

たとえばボランティア休暇は無給、リフレッシュ休暇は有給といったように、柔軟に設計できるのが特別休暇の特徴です。従業員のニーズと会社の事情を考慮し、適切に制度設計することがポイントといえます。

特別休暇(法定外休暇)と法定休暇の違い

法定休暇と特別休暇(法定外休暇)は異なる特徴を持っています。簡単に違いをまとめたものが以下の表です。

種類概要特徴主な休暇の例
法定休暇労働基準法等の法律に基づき、企業が従業員に必ず提供しなければならない休暇
  • 従業員にとって最低限保証される休暇
  • 使用義務がある
年次有給休暇、産前産後休暇、育児休業、介護休暇など
特別休暇(法定外休暇)企業が独自に設定する休暇で、法律による提供義務はない
  • 企業が自由に設定
  • 福利厚生の一環として提供されることが多い
結婚休暇、慶弔休暇、ボランティア休暇など

法定休暇に対し、特別休暇は企業が従業員の多様なニーズに合わせて自由に設計できる、柔軟性の高い制度といえます。経営層と従業員の建設的な対話を経て、需要のある魅力的な休暇制度を整備するとよいでしょう。

福利厚生とは?種類や必要性・導入メリット、企業事例を簡単に解説

福利厚生の特別休暇の主な種類

企業は法定休暇に加えて、さまざまな特別休暇を設けることで従業員の私生活の充実を図ることができます。ここでは、一般的な特別休暇の種類を紹介しましょう。

慶弔休暇

慶弔休暇とは、家族の冠婚葬祭時に取得できる休暇です。身内が亡くなった場合の「忌引休暇」や、従業員本人や子の結婚時の「結婚休暇」などが慶弔休暇に当てはまります。多くの企業で導入されている特別休暇で、親族の範囲や続柄に応じて、一般的に3日間から10日間程度が付与されることが多いようです。

ボランティア休暇

ボランティア活動への参加を目的に取得できる休暇がボランティア休暇です。一般的には無給と設定されますが、社会貢献の一環として企業が推奨する活動に参加する場合は有給扱いになる場合もあります。

最短で1日から、中期であれば2週間程度、または海外などでの本格的なボランティア活動などを想定して1年以上の期間を申請可能な企業もあります。近年は社会から求められる企業の責任が高まっており、ボランティア休暇を設ける企業が増えつつあるようです。

リフレッシュ休暇

リフレッシュ休暇は、一定以上の勤続年数を有する従業員や、年に一度の特定のタイミングで付与される休暇です。勤続の慰労として与えられるため、有給であることが一般的です。この休暇を活用することで、従業員は心身をリフレッシュし、改めて仕事に打ち込むことができるでしょう。

バースデー休暇

従業員の誕生月に付与される休暇がバースデー休暇で、1日から3日程度の有給休暇として取得できることが一般的です。

この休暇は、従業員を企業の一員として尊重し、誕生日を祝福するために導入されます。誕生日当日に限らず、その月の希望する日に取得できるのが一般的です。コスト不要で手軽に導入できる制度として、中小企業でも広く取り入れられています。

病気休暇

病気やケガの影響によって長期の療養が必要な従業員に対して付与される休暇が病気休暇です。期間は企業によってさまざまで、半年から1年といった長期の休暇として取得できる場合もあります。

療養期間中は無給が基本ですが、有給と定めることも可能です。この休暇があれば、万が一の場合も退職せずに療養に専念できるため、従業員の雇用を守る意味でも重要な位置付けにあるといえるでしょう。

夏季休暇・年末年始休暇

夏季休暇と年末年始休暇は、お盆前後や年末年始の時期に取得可能な休暇です。通常は連続した休業日として企業が設定し、家族との時間を過ごしたり、長期の旅行に出かけたりする良い機会となります。

夏季休暇に関しては、働き方改革や混雑緩和などを目的に、8月のお盆の時期に3日間程度の休暇が一斉に付与される従来の形式から、従業員が「7月から9月の間で任意の3日間」を自分で選択し、夏季休暇として取得できる形式に変更する企業が増えています。

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福利厚生に特別休暇を導入するメリット

福利厚生としての特別休暇の導入には、従業員・企業の双方に多くのメリットがあります。ここでは具体的に4つのメリットを見ていきましょう。

従業員のリフレッシュになる

特別休暇を取得することで、従業員は心身ともに疲れを回復させて気分転換を図ることができるため、従業員のリフレッシュにつながります。

また、体調不良の場合ややむを得ない場合などにしっかりと休むことで、日々の業務に対する熱意や集中力が再び高まり、モチベーションの向上も見込めるでしょう。

離職を防止できる

特別休暇には、離職を防止できるという側面もあります。休暇取得の難しさや長時間労働は、従業員が退職を考える際の一般的な理由の1つです。そこで特別休暇を導入することで、従業員がプライベートと仕事をバランスよく両立できるようになり、離職率の低下が期待できます。

特別休暇を通じた働きやすい環境づくりは、従業員の満足度を高め、長期的な人材の確保にもつながるでしょう。

生産性が向上する

特別休暇は生産性の向上にもつながります。休暇を通じて従業員が十分にリフレッシュし、モチベーションが向上すると、業務の生産性も高まると考えられるのです。

特別休暇を利用して心身の健康を維持することで、日々の業務をより効率的に、かつ高い品質で遂行できるようになり、企業全体の成果にも好影響を与えるでしょう。

企業イメージが向上する

特別休暇を含む福利厚生の充実は、企業イメージ向上に貢献します。さまざまな特別休暇を設けることで、ワークライフバランスの重要性を理解し、従業員を大切にする企業であることを社外にアピールすることができるのです。企業の外部イメージが向上すれば、優秀な人材を集めることができるでしょう。

福利厚生を充実させるメリット・デメリット|デメリットを解消する秘訣を解説

福利厚生に特別休暇を導入するデメリット

福利厚生に特別休暇を導入することは、従業員の満足度向上やモチベーションの向上に大きく貢献しますが、一方でデメリットも存在します。

具体的に考えられるのが、特別休暇の取得によって生じる人手不足です。特に小規模なチームや繁忙期の場合、複数の従業員が同時に休暇を取得すると、残された従業員に過度の負担がかかる可能性があります。このような状況は業務の遅延やサービス品質の低下につながりかねず、企業にとって大きな課題です。

そのため、特別休暇を導入する際には、このような人手不足や業務負荷の増大を防ぐための対策を併せて講じることが重要です。たとえば、フレキシブルな勤務体系の導入や代替スタッフの確保、業務の効率化などを検討しましょう。

特別休暇を導入する流れ

特別休暇を導入するにあたっては、準備から運用に至るまでの流れをしっかりと理解することが重要です。従業員と企業の双方が最大限メリットを得られるよう、計画的に進めましょう。

特別休暇の目的を明確にする

制度導入の第一歩となるのが、特別休暇を導入する目的を明確にすることです。たとえば、従業員のモチベーション向上、ワークライフバランスの促進、離職率の低下など、多岐にわたる目的が考えられるでしょう。

どんな目的であるかが、休暇の種類、対象者、条件といった制度設計に直結するため、企業のビジョンや従業員のニーズを反映させて設定を行う必要があります。

休暇制度のルールや条件を定める

特別休暇を運用するうえでは、ルールや条件を定めることも重要です。たとえば以下のような項目が考えられるでしょう。

  • 対象者と取得条件: どの従業員が、どういった条件下で休暇を取得できるのか
  • 有給か無給か: 休暇が有給休暇なのか、無給休暇なの
  • 休暇日数: 休暇を取得できる日数の上限や条件
  • 取得申請のフロー: 休暇申請から承認までのプロセス

こうした項目を明確にすることで、休暇制度を公平で透明性のあるものにすることができ、従業員からの信頼を得ることにつながります。

社内に周知して取得しやすい環境を整える

特別休暇制度は導入して終わりではなく、社内に周知し、従業員が休暇を取得しやすい環境を整える必要があります。

具体的には、制度の詳細を社内ポータルやメール、会議などを通じて全員に伝え、質問にもスムーズに回答できる体制を整えるとよいでしょう。また、上司や同僚が休暇取得を支援する社内文化の醸成も欠かせません。

ユニークな特別休暇を導入した企業例

昨今では、従業員の健康やモチベーションを高めるために、多くの企業がユニークな特別休暇を導入しています。ここでは具体的に3社の事例を紹介します。

恋愛勝負休暇【株式会社サニーサイドアップ】

株式会社サニーサイドアップは、PRやイベント企画を手がける企業です。同社のユニークな休暇として、従業員が恋愛に専念するために特別に設けられた「恋愛勝負休暇」があります。

好きな人や恋人のためだけでなく、スポーツ選手やアイドルなどを応援する場合も対象となります。

参照元:株式会社サニーサイドアップ「32 BENEFITS

二日酔い休暇制度【トラストリング株式会社】

トラストリング株式会社はITサービスを提供する会社で、特別休暇としてお酒を飲みすぎた翌日、年に2回まで午前休を取得できる「二日酔い休暇」があります。無理に出社するのではなく半日休むことで、午後からの業務効率を上げることができます。

参照元:トラストリング株式会社「二日酔い休暇制度

スモ休【株式会社ピアラ】

株式会社ピアラはデジタルマーケティングを専門とする企業で、「スモ休」というユニークな休暇制度を設けています。スモ休は「スモーキング休暇」の略で、入社6か月以上で過去1年間非喫煙者だった社員に対して年間6日間付与される有給です。禁煙を試みる従業員にとって大きなモチベーションとなり、健康増進にもつながるでしょう。

参照元:株式会社ピアラ「福利厚生

特別休暇を導入して働きやすい環境を整えよう

特別休暇の導入は、従業員と企業の双方に多くのメリットをもたらします。目的や運用ルールを明確に設定したうえで、社内にしっかりと周知し、休暇を取得しやすい環境を整えましょう。

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