福利厚生の利用率が低い原因とは?向上させる秘訣や社員が求めている福利厚生について

最終更新日時:2024/03/14

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福利厚生の利用率が低い原因

福利厚生の導入後に分析したい「福利厚生の利用率」。利用率の低い福利厚生は、無駄なコストとなり利益を圧迫するため、廃止や見直しなど改善が必要です。本記事では、福利厚生の利用率が低い原因とは何か、利用率を向上させる秘訣や社員が求めている福利厚生について解説します。

福利厚生とは?

福利厚生とは、従業員やその家族の健康の維持・促進や生活の向上を目的とした制度で、企業が給与や賞与以外で提供する報酬の一種です。通勤手当や慶弔見舞金のように金銭を提供する制度もあれば、特別休暇やレジャー施設の利用のように金銭以外のサービスを提供する制度もあります。

福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。

前者は法律によって企業に義務付けられている福利厚生で、雇用保険や労災保険、健康保険、介護保険などが代表的な法定福利厚生です。法律によって内容が決められているため、企業が独自に見直したり廃止したりすることはできません。

後者は、通勤・住宅手当や特別休暇や予防接種の補助など、企業が自由に設けることのできる福利厚生です。独自性を打ち出せるため、他社との差別化を図る「自社の強み」として活用する企業も多いのが法定外福利厚生の特徴です。

福利厚生とは?種類や必要性・導入メリット、企業事例を簡単に解説

福利厚生の利用率の実態

企業は人材の定着や従業員のワーク・ライフ・バランスの実現のために、さまざまな福利厚生を用意しています。

実際には、どんな福利厚生が利用されているのでしょうか。具体例を見ていきましょう。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」によると、食事関連、余暇活動関連、健康関連、財産形成関連の福利厚生が高い利用率を示しています。具体的には、「食堂」(58.9%)、「社員旅行の実施、補助」(47.3%)、「診療所、健康管理センター等医療施設」(43.4%)、「社内預金制度」(39.5%)などが多く利用されているようです。

一方、利用率が低い福利厚生としては、介護関連や休暇関連、定年退職者関連などが目立ちます。例えば「法定を上回る介護休業制度」(1.6%)や「介護のための施設やサービス(ヘルパーなど)の提供」(2.0%)は、一部の従業員を対象としており、多くの従業員にとって利用する必要性がなかったため、低い数値になったと推測されます。

社内預金制度39.5
食堂58.9
食事手当53.4
外部飲食店で利用できる食券等の配布38.4
診療所、健康管理センター等医療施設43.4
人間ドック受診の補助37.6
法定を上回る介護休業制度1.6
介護のための施設やサービス(ヘルパーなど)の提供2.0
ボランティア休暇制度2.6
遺族・遺児年金2.8
運動会等のレクリエーション活動の実地39.3
社員旅行の実施、補助47.3
ノー残業デー等の設置38.1
定年退職後の医療保障3.4
OB会等定年退職後の親睦活動3.4

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」「図表3-5-2 制度・施策の利用の有無」より一部抜粋し、編集部にて作成

[出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査

福利厚生の利用率が低い原因

複数の福利厚生を用意していても、各制度の利用率にバラつきが見られる企業も少なくありません。従業員の利用率が上がらない原因について、解説します。

福利厚生が従業員のニーズに合っていない

利用率が低調な原因として考えられるのが、ニーズとのミスマッチです。例えば法定を上回る育児休暇を用意していても、社内に子育て世代が少なければ、おのずと利用者も限られ利用率は伸びません。

福利厚生の充実を図るため、他社で人気がある福利厚生を導入している企業もあるでしょう。もちろん成功する場合もありますが、従業員の年代や性別、働き方が異なれば、福利厚生に対するニーズも異なるはずです。そのため自社には合わず、利用率が低迷している可能性があります。

【男女別】福利厚生の人気ランキング!導入するメリットやおすすめの代行サービスを解説

労働環境の変化に伴ったアップデートがされていない

新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、テレワークを開始した企業も多いでしょう。そうした企業においては、テレワーク手当の利用が増える半面、通勤手当の利用は減っているはずです。

現状に合っていない福利厚生は見直し、「必要ない」と判断した場合は廃止も検討しましょう。ただし、労働契約法上の不利益変更とならないように、見直しや廃止を行う際は従業員に対して十分な説明をするよう留意してください。

福利厚生の存在を従業員が認知していない

いくら従業員のニーズに合った福利厚生を用意していても、従業員が福利厚生の存在や内容を知らなければ、当然利用されません。

有給休暇や社員食堂などの福利厚生は、入社時に説明を受けたり周囲の人が利用したりしていれば、自然と認知され利用も進みます。一方、レジャー施設の利用補助は、利用している従業員が少なければ話題に上る機会もなく、利用が進まないでしょう。法定を上回る介護休暇も、家族に介護が必要になるまでは関心を持ちにくい福利厚生なので、存在自体を知らない従業員もいるはずです。

利用率の低さが認知度の低さに起因しているのであれば、まず社内で周知を図る必要があると言えます。

福利厚生の利用手続きに手間がかかる

福利厚生の利用方法が、利用率の低下に影響を及ぼしていることも考えられます。

仮に福利厚生の申請に出社が必要な場合、テレワークをしている従業員にとっては利用のハードルが高いと感じられるでしょう。他にも、「申請が通るまでに複数名の承認が必要」「申請書の記入が複雑」「利用前と利用後の2回手続きが必要」など、申請フローが煩雑なケースもあります。

時間や手間がかかる申請フローを採用している場合、フローを見直して不必要な手続きを削減すれば、利用率の向上が期待できるでしょう。

福利厚生の利用率の向上で得られる効果とは?

福利厚生の利用率が上がれば、従業員と企業の双方にとってメリットがあります。

従業員にとっては、健康診断のオプション料金の補助やスポーツジムの利用補助は、従業員の健康の維持・増進に直結します。

資格取得支援制度によるスキルアップ、レジャー施設の利用によるリフレッシュなども、生産性への好影響が期待できるでしょう。従業員のワークエンゲージメントが高まり、モチベーション高く仕事に取り組んでもらえる効果は、企業にとっても大きなメリットになるはずです。

福利厚生の利用は高い節税効果にもつながる

福利厚生費は経費として認められるので、節税効果もあります。しかし、注意したいのは、福利厚生が従業員全員を対象としていなければならない点です。例を挙げると社員旅行を行う場合、職場の半数以上が参加しなければ福利厚生とは認められません。逆に言えば、福利厚生の利用率を高めれば、それだけ節税効果も高まるのです。

福利厚生の利用率を向上させる秘訣

従業員と企業の双方にとってメリットが大きい福利厚生ですが、どうすれば利用率を向上させられるのでしょうか。具体例をご紹介します。

福利厚生に関する従業員のニーズをくみ取る

福利厚生の利用率を高めるうえで、まず着手したいのが、従業員のニーズの把握です。アンケートなどを実施し、従業員のニーズを詳細にくみ取ることで、利用率の低さの原因が明らかになったり、ニーズにマッチする福利厚生を取捨選択するなど、利用率を上げる方法が見つかったりするかもしれません。

【中小企業向け】おすすめの福利厚生ランキング|導入手順や事例を解説

従業員に福利厚生の存在を周知する

従業員に福利厚生を認知してもらうことも大切です。まずは、入社時に福利厚生の内容や申請方法などについて説明する場を設けましょう。

また、社内報や社内SNS、社内ポスターの掲示などで定期的に情報を発信する機会を設けるのも効果的です。その際は、実際に利用した従業員の感想も載せると、興味を持ってもらいやすくなるでしょう。

福利厚生を利用したいと思っても、申請方法などがわからず諦めてしまう従業員もいるかもしれません。社内ネットワーク上に、福利厚生の情報を集めたページを用意すれば利用へのハードルが下がるうえ、ページを閲覧した従業員が認知していなかった福利厚生を知るきっかけにもなります。

福利厚生の利用手続きを簡単にする

簡素化できる事前申請や予約はできる限り省略し、従業員ができるだけ簡単に福利厚生を利用できるように、利用手続きを見直しましょう。

WEB申請ができるようになれば、テレワーク中の従業員でも手軽に申請できます。シフト制を採用している場合、決裁者から承認を得たくても、勤務時間が異なり承認をなかなか得られないケースも考えられますが、インターネット上で申請書を決裁者に送付できれば、そうした課題も解決できるはずです。

定期的に福利厚生に関するアンケートを実施する

従業員の不満や意見をくみ取るためにも、定期的にアンケートを実施しましょう。

アンケートは全従業員を対象とし、利用経験のある福利厚生や利用頻度、満足度を調査します。今後導入を希望する福利厚生などの意見のほか、利用率の低い福利厚生については、利用しない理由を回答してもらうことで、改善に役立てることができるでしょう。

従業員が求めている福利厚生の具体例

これから新たな福利厚生の導入を考えている企業もいるでしょう。従業員が求める福利厚生の具体例を、調査結果から見ていきましょう。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」では、従業員に対して「特に必要性が高いと思うもの」を尋ねています。

上位に挙がったのは、「人間ドックの受診の補助」(21.8%)、「慶弔休暇制度」(20.0%)、「家賃補助や住宅手当の支給」(18.7%)、「病気休暇制度(有給休暇以外)」(18.5%)でした。健康関連や住宅関連の福利厚生のニーズが高いことがわかります。

また、育児や介護関連の福利厚生については、「法定を上回る育児休業・短時間制度」(13.0%)、「法定を上回る介護休業制度」(10.4%)という結果でした。利用者が限定される制度にもかかわらず、一定のニーズを集めていることが見て取れます。

[出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」]

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健康に関する福利厚生

心身ともに健康な従業員は生産性が高く、従業員の健康維持・増進は企業の収益性の向上につながることから、多くの企業が、従業員の健康管理を戦略的に行う健康経営に取り組んでいます。

健康関連の福利厚生としては、健康診断の費用補助が挙げられます。健康診断や人間ドックのオプション検査などは、全て保険適用外なので費用が高額になりやすく、気になるものの検査の追加をためらう人も少なくありません。しかし、補助によって検査を受けやすくなることで、病気の早期発見や不安感の払拭に役立ちます。

また、スポーツクラブやジムの利用費の補助も、最近ではさまざまな企業で行われています。健康維持につながるだけではなく、リフレッシュ効果も見込まれるので、高い利用率が期待できるでしょう。

住宅に関する福利厚生

需要が高い福利厚生の1つが、住宅関連です。多くの従業員にとって、住居費は個人支出の多くを占めるものでしょう。住宅関連の福利厚生があれば家計負担は大幅に軽減可能なうえ、日常的に利用できるため、従業員が恩恵を感じやすいという特徴もあります。そのため、高い利用率が見込めます。

住宅関連の福利厚生の具体例としては、家賃の一部を補助する住宅手当や、持ち家を購入した場合に支給される住宅ローンの費用補助、社有社宅や独身寮が挙げられます。従業員がライフステージに合わせて福利厚生を利用できるよう、さまざまな住宅関連の福利厚生を用意しておくことをおすすめします。

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育児・介護に関する福利厚生

女性の社会進出が進み、共働き世帯が増加しています。しかし、育児や介護を理由に離職したり働き方を見直したりする人も少なくありません。

育児や介護に関しては育児・介護休業法など法整備も進んでいますが、さらに福利厚生で育児や介護の際に休暇を取れるようにすれば、仕事と家庭の両立がしやすくなるでしょう。これらの福利厚生は高い利用率だけではなく、育児や介護を理由とした離職を減らす効果も見込めます。

ニーズに合った福利厚生を導入し利用率を向上させよう

人材不足が深刻化する現在、福利厚生は採用や人材定着にも大きな効果が見込まれます。自社の従業員のニーズに合わせた福利厚生を導入し、利用率を高めるために、ぜひ本記事をお役立てください。

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