ふるさと納税は年末調整で控除できる?手続きや必要な書類・期限について
ふるさと納税は、地域の活性化や社会貢献を目的とした制度です。寄附することで、自治体ごとの返礼品がもらえるだけでなく、一定額の税額控除も受けられます。年末調整においても、ふるさと納税は活用できるのでしょうか。手続きや必要書類について解説します。
目次
ふるさと納税は年末調整で控除できない
ふるさと納税とは、好きな自治体や応援した自治体に寄附をする制度です。寄附をする自治体数に制限はなく、自分の故郷である必要もありません。寄附すると、お礼に返礼品を受け取ることができます。寄附金の使い道は、地域振興や環境保全、子育て支援や災害復興などさまざまです。
ふるさと納税を行うと、税金が控除されます。しかし、年末調整で控除はできないので、注意してください。
控除を受けられない理由
ふるさと納税が年末調整で控除を受けられないのは、寄附金額決定のタイミングが関係しています。詳しく解説しましょう。
ふるさと納税は、毎年1月1日から12月31日までの間に寄附した合計金額を基に控除額が決定します。多くの企業では11月~12月に年末調整を行いますが、その時点では、ふるさと納税の合計金額がまだ分かりません。したがって、年末調整では控除ができないのです。
会社員が制度の控除を受ける方法
ふるさと納税をした会社員が控除を受ける方法には、確定申告またはワンストップ特例制度があります。
確定申告とは、自分の所得を申告し所得税の金額を確定するための手続きを指します。勤務先から給与を受け取っている場合は、勤務先が年末調整により所得税額を確定してくれるので、基本的に会社員は確定申告をする必要はありません。
しかし、所得控除の対象にもかかわらず、年末調整で所得控除ができなかった場合は、自分で確定申告を行います。ふるさと納税の他にも住宅ローン控除や医療費控除を受ける際は、自分で確定申告を行いましょう。
ワンストップ特例制度は、ふるさと納税を行った会社員を主な対象とした仕組みです。ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告をしなくても控除を受けられます。寄附先が1年間で5自治体以下など利用には条件がありますが、便利な仕組みなので、条件に当てはまる人は利用するとよいでしょう。
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ふるさと納税ワンストップ特例制度の手続き
ワンストップ特例制度を利用する場合は、寄附先の自治体に申請書を提出しなければなりません。
まず寄附を申し込む際に、「ワンストップ特例制度を利用するかどうか」の記載欄があれば、「利用する」を選びます。その後、特例申請書に記入を行い、本人確認書類と一緒に寄附先の自治体に郵送してください。
複数の自治体に寄附をしているケースでは、各自治体に申請書を送らなければなりません。1つの自治体に複数寄附をしているときも、寄附した回数分申請書を送る必要があります。
ワンストップ特例制度を利用できるのは、ふるさと納税をした自治体が1年間で5団体以下の人のみです。同じ自治体に複数回申し込んだ場合でも、1自治体と数えられます。
勤務先から給与を受け取っている人は、もともと確定申告をする必要がありません。そのため、手間や時間の削減につながるので、ワンストップ特例制度の利用をおすすめします。
手続きするために準備する書類
ワンストップ特例制度の手続きには、特例申請書と本人確認書類が必要です。
特例申請書は、寄附金受領証明書と一緒に自治体から送られてくるので、届いたら大切に保管しましょう。もし紛失してしまったら、総務省のWebサイトからダウンロードできます。なお、自治体によって申請書が異なる場合があるため、納税先の自治体に確認しましょう。
本人確認書類は、次のいずれかを用意してください。
- マイナンバーカードの裏表のコピー
- マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票のコピー+運転免許証・パスポートのいずれかのコピー
- マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票のコピー+健康保険証・年金手帳・提出先の自治体が認める公的書類のうち2点以上のコピー
マイナンバー通知カードに記載されている住所や氏名が、住民票の記載事項と一致していない場合、マイナンバー通知カードは本人確認書類に使えないので気を付けてください。
申請期限には注意が必要
ワンストップ特例制度を利用するには、寄附を行った翌年の1月10日までに自治体に書類が届くように郵送しなければなりません。郵便事故で書類が届くのが遅れたり、書類の不備により再送付が必要になったりするケースも考えられます。寄附をしたタイミングで、できるだけ早く申請をするようにしましょう。
もし期限に間に合わなかったときは、確定申告で控除を申請してください。
ふるさと納税を確定申告で申請する際の手続き
確定申告は、その年の所得を申請し所得税額を確定するための手続きで、ふるさと納税の申告をすれば寄附金控除を受けられます。ワンストップ特例制度よりも書類の準備や申請に手間がかかりますが、医療費控除など他の控除を行う予定があれば、ひとまとめに申告できるのが利点です。
また、勤務先から給与を受け取っている人でも、一定額以上の副収入があれば確定申告をしなければなりません。一定額以上の副収入がある人や、6自治体以上にふるさと納税をした人は、確定申告をおすすめします。
申請する場合は、「税務署への持参」「税務署への郵送」「e-Tax(電子申告)で提出」から申請方法を選べます。
税務署に持参する場合は、確定申告書など必要書類を所轄の税務署に持っていき、手続きをしてください。
税務署に郵送する場合は、確定申告書など必要書類を所轄の税務署に郵送します。もし所轄の税務署が送付先に事務センターを指定しているときは、事務センターに郵送しましょう。送る際は、郵便か信書便を使ってください。
e-Tax(電子申告)で提出する場合は、国税庁のWebサイトにアクセスし、「確定申告書作成コーナー」で確定申告書を作成してインターネットを通じて提出します。確定申告書作成ソフトを利用している人は、確定申告書作成ソフトで作成しても問題はありません。e-Tax(電子申告)の利用には事前準備が必要なので、注意してください。
申請の手続きに必要な書類
確定申告で申請する場合は、寄附金受領証明書・源泉徴収票・本人確認書類・還付金受け取り用の口座番号・印鑑(e-Tax以外)が必要です。
寄附金受領証明書は、ふるさと納税を行ったあとに寄附先の自治体から送られてくるので、大切に保管します。紛失時は、自治体に再発行の相談をしてください。
源泉徴収票は、勤務先に年末調整の際にもらいます。不明点があれば、総務部や人事部など担当部署に尋ねましょう。
本人確認書類は、マイナンバーカードの裏表のコピーを利用できます。マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載された住民票を用意してください。運転免許証・パスポートのいずれかと組み合わせれば、本人確認書類として認められます。郵送の場合はコピーが必要ですが、e-Taxの場合は本人確認書類の提出は必要ありません。
還付金受け取り用の口座番号は、還付金を振り込んでもらう目的で用意します。銀行でも郵便局でも問題ありません。
印鑑は、税務署に持参・郵送する場合、申請書に押印する際に必要です。認印でも可能ですが、ゴム印の使用は認められていません。
ワンストップ特例制度とは申請期限が異なる
確定申告は、ふるさと納税をした翌年2月16日から3月15日までに行ってください。この期間は税務署が非常に混み合うため、不明点や疑問点があれば、前もって確認しておきましょう。
忘れてしまった場合は、確定申告書の提出期限から5年以内なら、更生の請求をすれば寄附金の控除が認められます。
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会社員がふるさと納税をする際の流れ
会社員がふるさと納税を行う方法3ステップについて解説します。これから利用を考えている人は、ぜひご一読ください。
寄附限度額を調べる
ふるさと納税を行うと税金が控除されますが、控除される金額には上限があるので確認しましょう。基本的には、寄附金額から2,000円を差し引いた金額が所得税や住民税から控除されます。控除限度額は、総所得額や家族構成によって変わります。
ふるさと納税サイトの中には、シミュレーターを用意しているところもあり、使うと簡単に控除限度額が分かるので便利です。
寄附する自治体を決める
続いて、寄附先の自治体を選びましょう。選び方に決まりはありません。ほしい返礼品がもらえる自治体に寄附しても構いませんし、寄附金の使い方を基準に選んでも構わないので、じっくり検討してください。同じ自治体に複数申し込むことも可能です。
返礼品の内容で選びたいときは、ふるさと納税サイトで検索・比較すると自分に合った寄附先を見つけられるでしょう。選び終えたら、ふるさと納税を申し込み、決められた費用を支払います。
手続きの申請を行う
ふるさと納税をしたら、自治体から返礼品と寄附金受領証明書が届くので、ワンストップ特例制度もしくは確定申告で控除を申請してください。申請し忘れると、控除されないので注意が必要です。
ワンストップ特例制度で申請すると、ふるさと納税を行った翌年6月から控除が適用されます。
会社員がふるさと納税をする場合の注意点
ふるさと納税は、返礼品がもらえるうえ、税金の控除が受けられるメリットがある一方で、行う際には注意が必要です。申し込む前に注意点を確認しましょう。
控除額や返礼品には上限がある
控除額や返礼品には上限があるため、申し込む際には注意してください。控除限度額以上に寄附をすると、上限を超えた分は控除されず自己負担になります。本人が希望すればいくらでも申し込めますが、控除を受けられないので、上限を超えてまでふるさと納税を行うメリットは少ないでしょう。
控除が適用されるのは翌年から
控除を申請しても、所得税が還付されるのは確定申告から最短で数週間後、住民税の控除は翌年の6月以降です。控除が適用されるまでは、寄附した金額は持ち出しとなります。
直近で大きな出費を予定していると、生活が苦しくなる可能性もあるでしょう。無理のない範囲内でふるさと納税を利用してください。
他の控除との併用は慎重に行う
税金の控除ができるのはふるさと納税だけではなく、住宅ローンや医療費も対象です。併用できますが、気を付けるべき点があります。
住宅ローン控除は、所得税から控除され、所得税から控除しきれない額については住民税からも控除されます。仮にふるさと納税で多く控除してしまうと、本来は住宅ローン控除で控除できた税金が控除できなくなってしまうのです。ふるさと納税の上限額を調べる際は、住宅ローン控除額が減少しないように注意してください。
医療費控除と併用して課税所得が減った場合も、同時にふるさと納税の控除限度額も下がります。
さらに、医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。ワンストップ特例制度と確定申告の両方を行うことはできません。したがって、ふるさと納税の控除と医療費控除の両方を受ける人は、ワンストップ特例制度が利用できない点に留意しましょう。
確定申告・ワンストップ特例制度申請を忘れずに行う
ふるさと納税を行ったら、必ず自主的に確定申告かワンストップ特例制度で控除を申請してください。申請しなければ、税金は控除されません。返礼品は受け取れても、振り込んだ金額は自己負担となり、本来ふるさと納税で得られるはずのメリットを享受できなくなるので注意が必要です。
ワンストップ特例制度を利用する場合は、必要な書類が揃ったらすぐに申請すれば、申請漏れを防げるでしょう。
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会社員は年末調整以外の方法でふるさと納税を活用しよう
ふるさと納税は年末調整の対象とはならないので、ふるさと納税を行った人は、ワンストップ特例制度または確定申告で申請しなければなりません。申請を忘れると、残念ながら控除が受けられないので気を付けましょう。
ワンストップ特例制度は利用できる対象者が限定されているため、自分が当てはまるかをチェックしたうえで、自分に合った方法で申請をしてください。
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