副業(ダブルワーク)している人の年末調整する際の注意点|確定申告が必要なケースややり方
副業(ダブルワーク)で副収入を得ている方は、年末調整でどのような手続きをすればよいのでしょうか?税金の適正還付を受けるためには、正確な手続き方法の把握が重要です。本記事では、副業を行っている方を対象とした年末調整の注意点や、確定申告の必要性について解説します。
目次
副業(ダブルワーク)をしている人の年末調整における注意点
副業(ダブルワーク)をしている人は、年末調整を行う際に注意すべき点があります。年末調整にスムーズに対応するための基礎知識を、以下に解説します。
年末調整は1か所でしか受けられない
もし、複数の会社で働いていたとしても、年末調整を申請できるのは1か所のみです。
なぜなら、収入先ごとに年末調整をした場合には、所得控除が重複して計算されてしまうためです。納税額を正しく計算するために、年末調整は1か所でしか受けられないことを理解しておきましょう。
1か所で複数の年末調整をまとめて受ける
複数の企業で勤務している場合の年末調整は、より多くの給与が発生している本業の職場でまとめて年末調整を行うことが一般的になっています。
具体的には、副業先から受け取った源泉徴収票を本業の職場に提出し、すべての収入を集約したうえで年末調整を行う流れです。
もしくは、本業のみ年末調整を行い、副業部分は確定申告を行う場合もあります。万が一、年末調整を2か所で行ってしまうと、後に確定申告で納税額の再調整をする手間が発生します。
▷年末調整は自分でできる?確定申告との違いややり方・準備すべき書類
副業(ダブルワーク)で確定申告が必要か判断するポイント
副業(ダブルワーク)での収入がある場合には、年末調整ではなく確定申告が必要となるケースがあります。その判断ポイントについて、以下に説明します。
どこからも年末調整を受けていない
複数の企業で働き、どの企業からも年末調整を受けていなければ、必ず自分で確定申告を行いましょう。
この場合には、全ての収入を合算してから納税額を計算するため、申告内容に漏れがないように注意が必要です。
▷転職した時の年末調整はどうすべき?転職時期や必要な書類について
副業で20万円以上の収入を得ている
副業として20万円以上の所得があれば、確定申告を別途行う必要があります。
なぜなら、副業分の所得税は年末調整では考慮されていないため、20万円を超える副業収入があった場合には、不足分の税額が義務付けられるからです。なお、有価証券からの収入もこの「20万円以上の収入」に含まれることに注意しましょう。
所得20万円以下でも申請すべき場合もある
副業の所得が20万円以下であっても、確定申告で還付金が発生するケースがあります。
例えば、年末調整では対応できない「有価証券の損金繰り越し控除」などを受けるには、必ず確定申告を行う必要があります。
また、同控除は前年度の申請金額によっても適応が左右されるため、20万円以上という基準はあくまで目安と考えておくとよいでしょう。
副業(ダブルワーク)をしている人の確定申告のやり方
副業をしている方にとって、確定申告は毎年のルーティーンとなる作業です。基本的なやり方と注意点について、以下にわかりやすく解説します。
書類やデータを準備する
まずは、手続きに必要な書類やデバイスを揃えましょう。
確定申告には、給与所得の源泉徴収票、医療費控除などの領収書、そして副業の収入に関する明細や領収書といった書類が必要となります。また、電子申告を選ぶ場合には、マイナンバーカードやICカードリーダーが求められるでしょう。
なお、毎年の作業として手続きに慣れてくれば、確定申告で必要となる書類をあらかじめ保管しておく習慣がつくため、申告手続きをよりスムーズに進められるようになります。
申告に必要な資料を作成する
確定申告を行うには、まずは所得税の計算が必要です。
所得税とは、年間の総収入から必要経費や各種控除を差し引いた「課税所得」に対して課税される仕組みになっています。
つまり、自身の収入や控除内容をあらかじめ整理しておけば、スピーディに申告書を作成することできるでしょう。なお、各種申告書は税務署のWebサイトから電子的に作成できるため、自身で準備する必要はありません。
申告書と添付書類を提出する
確定申告書と添付書類は、申請を行った管轄の税務署へ提出する必要があります。
提出方法としては、税務署窓口での直接提出のほか、郵送やe-Taxと呼ばれるオンライン提出を選ぶことができます。e-Taxを利用すると、時間や場所に制約されず手続きができるため、忙しいビジネスパーソンには特におすすめです。ただし、専用のカードリーダーを別途購入する必要がある点に注意しましょう。
税金を納める・還付金を受け取る
確定申告後、さらなる納税を求められた場合には、銀行窓口やコンビニ、またはインターネットバンキングから支払いができます。
一方で、税金の還付がある場合では、確定申告時に指定した銀行口座へ還付金が振り込まれます。ただし、還付金の受け取りには数週間から数か月かかる場合もあります。
▷年末調整と確定申告の違いとは?関係性や控除の種類・両方必要となるケース
年末調整における住民税と副業収入の関係
副業の所得が20万円以下ならば、確定申告などの手続きは不要と思われがちですが、代わりに「住民税の申告」が求められます。具体的な注意点について、以下に解説します。
所得20万円以下でも住民税の申告は必要
副業の所得が20万円以下で確定申告を行わないケースでは、必ず「住民税」の申告を行ってください。
なぜなら、各市町村が住民税を算出する際には確定申告の情報が利用されるため、副業所得を正確に把握しなければ正しい計算ができなくなります。
住民税の申告は、確定申告と同じく2月16日から3月15日までの期間に、住民票のある市区町村の役場にて受け付けています。
年末調整で副業(ダブルワーク)は会社にバレる?
勤め先に許可なく副業をしていると、年末調整でバレてしまうのではないかと不安な方も多いでしょう。副業を行うリスクや、その対策について解説します。
年末調整でバレる可能性は低い
年末調整の時点では、許可のない副業がバレる可能性は低いです。なぜなら、年末調整の時点では副業の収入を報告していないため、副業に関する情報が見えないためです。
ただし、確定申告を進める段階からは注意が必要となります。
住民税や赤字申告からバレる可能性がある
副業がバレる理由の一つは、副業で一定以上の収益を上げると住民税の金額が引き上げられるためです。
また、副業で赤字が出た場合に「赤字申告」をすると住民税が減額されるため、やはり会社側に気づかれる可能性が高まります。どうしても副業を勤め先に知られたくなければ、住民税の設定や申告内容を工夫する必要があるでしょう。
副業(ダブルワーク)を会社にバレにくくする方法
ここからは、副業を会社にバレにくくする具体的な方法を紹介します。ただし、副業は会社の規則に則って行うことが原則ですので、状況に沿って活用を検討してください。
住民税を個人で納付する
副業の存在を会社に知られたくなければ、住民税を「普通徴収」に変更し、個人で納付する方法があります。
一般的に、住民税は本業の給与から天引きされる「特別徴収」として納付されますが、そのシステムを迂回して個人で納税する「普通徴収」という制度が存在します。確定申告書の「住民税に関する事項」という項目にて選択できるため、副業がバレたくない場合には、「自分で納付」を選びましょう。
この方法をとれば、住民税に関する通知が自宅へ直接届くようになり、住民税額の変更が会社に発覚する可能性は無くなります。
副業に関する情報を発信しない
副業をしていることを、可能な限り内密にしましょう。
とりわけ、SNSや同僚との会話で副業についての話題があがれば、その情報が会社に伝わるリスクが生まれてしまいます。基本的に、社内で副業の情報が伝わらないように備えておくと安心です。
社用の端末やアカウントと分ける
副業を行う際には、会社の端末を流用せず、個人用の端末やアカウントをしっかり用意しましょう。
なぜなら、社用端末やメールアカウントで副業に関する連絡を行えば、管理システムやログイン履歴から会社に気づかれるリスクがあるからです。また、個人情報やプライバシーの保護の観点からも、業務と副業の環境を分離しておくことが望ましいでしょう。
年末調整や確定申告に注意して副業(ダブルワーク)を始めよう
副業を始める際には、年末調整や確定申告についての理解が欠かせません。
適切な処理をこなさなければ、意図せず脱税のリスクを負ってしまうことや、本業へ悪影響を与えてしまうケースもあるでしょう。しかし、住民税の申告方法や、必要書類の準備、納税方法などを深く理解しておけば、正しく副業を行うことが可能です。
正しい知識のもとで副業を充実させ、より良い働き方を実現してください。
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