【BCP対策】自己診断チェックリストを活用してBCPを点検する方法

記事更新日:2022/10/08

BCP対策

BCPの文字が書かれた書類

企業や自治体は、災害や感染症などの被害を最小限に抑えるためにBCP対策を計画する必要があります。また、BCPは策定するだけでなく、点検や改善を重ねて強化することも大切です。本記事では、BCP対策の正確性や完成度を高めるため、自己診断チェックリストを活用して点検する方法について解説します。

BCPを点検する方法

策定したBCPの正確性や完成度を確かめるには、既存のチェックリストを活用する方法が効率的です。無料で活用できるだけでなく、自社独自の評価項目も自由に加えられます。チェックリストは、中小企業庁や自治体が提供しており、他社が策定したBCPガイドラインを利用する方法も効果的です。

ここでは、次の2つの方法について解説していきます。

  • 中小企業庁のチェックリストを活用する
  • 公開されているチェックリストを活用する

中小企業庁のチェックリストを活用する

中小企業庁は、BCPの完成度や改善点の有無を可視化するため、チェックシートを公開しています。設問内容は、企業経営に必要なヒト・モノ・カネ・情報の経営資源に関する内容です。

回答は、「はい」「いいえ」「不明」の3択から回答する形になります。下記の表にチェックシートの内容をまとめました。

表:BCPチェックリスト

カテゴリー 質問内容
人的資源
  • 緊急事態発生時に支援が到着するまで、従業員の安全や健康を確保するための災害対応計画を作成しているか?
  • 勤務時間内外を問わず自然災害が発生した場合に、従業員と連絡を取れる体制が、確立しているか?
  • 緊急時に必要な従業員が出社できない場合、代行できる従業員を育成しているか?
  • 避難訓練や初期救急、心肺蘇生法の訓練を定期的に実施しているか?
物的資源(モノ)
  • オフィスビルや工場は、地震や風水害に耐えられるか?
  • オフィスや工場内設備は、地震や風水害に耐えられるか?
  • オフィスビル周辺に潜む地震や風水害のリスク内容を把握しているか?
  • 社内設備の流動を管理し、目録を更新しているか?
  • 仕入先からの原材料納入がストップする場合に備え、生産や調達の代替手段を準備しているか?
物的資源(カネ)
  • 1週間又は1ヵ月程度、事業運営を中断した際の損失を把握しているか?
  • 災害後に事業を再開させる上で、現在の保険の損害補償範囲が適切であるかどうか、保険の専門家と相談しているか?
  • 事前の災害対策や被災時復旧を目的とした融資制度を把握しているか?
  • 1ヵ月分の事業運転資金に相当するキャッシュフローを確保しているか?
物的資源(情報)
  • 情報のコピーまたはバックアップをとっているか?
  • オフィス以外の場所に、情報のコピーまたはバックアップを保管しているか?
  • 主要顧客や各種公共機関の連絡先リストを作成するなど、緊急時に情報を発信・収集する手段を用意しているか?
  • IT機器システムが故障で使用できない場合、代替方法を確保しているか?
体制
  • 自然災害や人的災害に遭遇した場合、会社の事業活動を今後継続できるかについて、考えたことがあるか?
  • 緊急事態に遭遇した場合、どの事業を優先的に継続・復旧するべきかを考え、さらに具体的な対策を打っているか?
  • 社長が不在の場合、代行者が指揮をとる体制が整っているか?
  • 取引先や同業者と災害発生時の相互支援について取り決めているか?

[出典:中小企業庁「1.3 BCP取組状況チェック」]

公開されているチェックリストを活用する

インターネット上で公開されているチェックリストを活用するのも有効な手段です。既存のチェックリストをもとに、自社独自の項目を加えたアレンジもできます。

ここでは、大手事務用品メーカー・プラス株式会社ジョインテックスカンパニーが運営する「防災のキホン」が紹介しているチェックリストを活用します。なお、下表に掲載している内容は重要部分のみをピックアップした上で、一部アレンジを加えています。

表:防災のキホン(抜粋の上、一部編集)

カテゴリー 質問内容
予防対策
  • 大規模地震や職場内クラスターなど、緊急事態発生時のリスクを認識しているか?
  • 緊急事態が発生した場合、事業運営にどのような影響が生じるか?
  • データのバックアップやネットワーク環境の冗長化は、実施しているか?
  • 工場内の大型機器やオフィス機器で、従業員が怪我をしないよう、防災対策を実施しているか?
  • 全従業員に対し、BCPに関する教育機会を定期的に与えているか?
  • 全従業員の安否確認方法や連絡体制を決めているか?
  • 交通機関が止まった場合、どのような行動を取るべきかを決めているか?
応急対策
  • 緊急時のフローチャートを作成しているか?
  • 緊急事態が発生した場合、情報収集の方法や配信先を広報担当は理解しているか?
  • 安否確認の方法や緊急連絡先はリスト化し、書面として配布しているか?
  • 電話や通信が途絶した場合のガイドラインを従業員に周知しているか?
  • 避難の判断基準、避難先、避難経路を決めているか?
復旧対策
  • 事業復旧に必要な経営資源をリスト化しているか?
  • 原材料を調達できない場合の代替手段を確保できているか?
資料
  • 緊急時に必要な書類を用意できているか?
  • 従業員の安否確認や手書きができるチェックリストを印刷しているか?

[出典:プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー「BCP(事業継続計画)チェックリスト」]

BCPチェックリストの確認基準

どのチェックリストを使うかで基準は異なりますが、設問に対して「はい」と答えられた数が多いほど、策定したBCPの正確性は高まります。

たとえば、前掲の中小企業庁のチェックシートを活用した場合、一つの基準は「はい」の数が16個以上あるかどうかです。

合計20個設問が用意されており、16個以上「はい」と答えられた場合、80%以上の内容を網羅できていることになります。事業継続に向けたBCP対策が十分立てられており、今後も継続して取り組んでいくと、取引先や顧客から高い評価を獲得できます。

一方、「はい」の数が15個以下に終わった場合、BCPの見直しが必要です。「はい」の数が少ないほど、BCPの内容に改善点が多く、事業継続性を確保できていない状況です。どの分野の内容を盛り込めていなかったかを確認し、改善に努めてください。

なお中小企業庁では、「中小企業BCP策定運用指針」を公開しています。「はい」の数が15個以下の場合には、同指針を活用しつつ、BCPの改善や修正を加えていくとよいでしょう。

[出典:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」]

策定したBCPを点検する目的

BCPを定期的に見直す目的は、社内外の変化に対応するためです。BCP策定時に在籍していた従業員全員が、一人も欠けずに今後も在籍し続ける保証はありません。

仮にBCP策定を担当した従業員が退職した場合、引継ぎが上手くいかないとBCPの有効性が低下します。また、ここ数年は、新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ情勢など、社会構造を大きく変化させる出来事が発生しています。

いつ緊急事態が発生しても柔軟に対応できるよう、策定したBCPを更新する作業を毎年1回は、実施しましょう。

BCPチェックリストの活用ポイント

BCPチェックリストは手軽に計画内容の評価ができますが、詳細な箇所まではチェックしきれません。従業員に対して、策定した内容の具体的なイメージを持ってもらうためにも、BCP訓練を実施するのがのぞましいでしょう。

BCP訓練は、実際に自然災害やテロが発生したと仮定し、BCP計画で策定した内容通りに行動することです。BCP訓練を通して、改善点や不足箇所を見つけていきます。主なBCP訓練は全部で5種類あります。各訓練の特徴を下記の表にまとめました。状況に応じて使い分けてください。

表:BCP訓練の種類

訓練の種類 内容や特徴
机上訓練
  • BCPに記載した内容について議論
  • 計画の有効性について確認
  • 記載された内容に関して、5W1Hを確認
電話連絡網・緊急時通報診断
  • 緊急事態発生時に従業員と連絡が取れるかを確認
  • 緊急連絡網に記載された連絡先に電話やメールを送り、変更があれば連絡先を修正
代替施設への移動訓練
  • オフィスや工場が稼働できなくなった場合、代替施設で業務を行えるかをテスト
  • 代替施設へ移転を決める判断~代替施設で仮設の拠点を設置するまで、一連の流れを確認
  • 代替施設では、工場設備やシステムが稼働するかを実際にテスト
バックアップデータを取り出す訓練
  • 大規模な自然災害が起きていると想定し、電気や通信の代替手段を稼働
  • バックアップデータで事業復旧が望めるかを確認
  • 紙書類での検証も併せて確認
総合訓練
  • 緊急事態発生~復旧作業を始めるまでの一連の流れをテスト
  • 特定の災害と被害状況を想定し、複数の訓練を実施
  • 取引先や自治体と協力して訓練を行い、連携や信頼関係を強化

チェックリストはBCP対策の強化に必要

今回は以下の4点について解説してきました。

  • BCPチェックリストの紹介
  • BCPチェックリストの確認基準
  • 策定したBCPを点検する目的
  • BCPチェックリストの活用ポイント

中小企業庁や自治体、または他社が提供しているチェックリストの活用で、BCPの完成度を確認できます。設問では、経営資源を保護する体制が確立されているかどうかを問われます。多くの設問に「はい」と回答できれば、BCP対策が十分機能していると言えます。

一方、「はい」の数が少なければ、早急に改善する必要があるでしょう。見直しには中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」などが役立ちます。また、BCPの内容を定期的にアップデートしないと、従業員の入れ替わりや社会情勢の変化に対応できなくなるので、必ず見直しを行いましょう。

策定した内容が機能するかどうかを確かめるために、定期的にBCP訓練を実施し、実効性のあるBCP対策に取り組むことが重要です。

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