DR対策とは?BCP対策との違いやバックアップ構築の最適な方法を解説

記事更新日:2022/10/12

BCP対策

DisasterRecovery(DR)の文字と手

自然災害などの緊急事態に備え、企業はDR対策に着手して、必要な対応を検討しておく必要があります。BCP対策と同様に注目されているDR対策ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、DR対策とBCP対策の違いに加えて、DR対策における最適なバックアップ構築方法や課題などを詳しく解説していきます。

DR対策とは?

近年の自然災害の頻発化・激甚化などを受け、企業や自治体においてDR対策の必要性が増しています。

ここでは、まずDR対策の意味や関連するキーワードについて解説します。

DR対策の意味

DRは「Disaster Recovery(ディザスタリカバリ)」の頭文字を取った言葉です。「災害復旧」や「システム復旧」といった意味合いがあります。具体的には、災害が発生した際、どのように復旧するのかという計画・手段をあらかじめ整えることです。

ここでいう「災害」には、地震や台風などの自然災害、通信障害、システム障害など、企業活動をとりまくさまざまな災害・障害が含まれます。

DR対策を講じることで、災害が発生した際にできる限り早くシステムを復旧でき、事業の中断や機会損失のリスクを最小限に抑える効果が期待できるのです。

RPO・RTO・RLOとは?

DR対策についての理解を深めるためには、「RPO」「RTO」「RLO」の3つのキーワードの意味を知っておくと良いでしょう。

RPO(Recovery Point Objective)は「目標復旧地点」という意味があり、災害が発生した際、どの地点までシステムを復旧させるかという目標を定めておきます。目標地点が現状復帰に近いほど、多くの人員・コストが必要になるでしょう。

RTO(Recovery Time Objective)は「目標復旧時間」のことで、システム復旧までに必要な時間を指します。復旧までの時間は短いほうが良いものの、短くする分多くのリソースを割かなくてはいけません。そのため、システムを復旧しなければならない最低限のラインと予算・人員を照らし合わせながら検討する必要があります。

RLO(Recovery Level Objective)は「目標復旧レベル」を指し、通常状態に対してどれくらいのレベルまでシステムを復旧させるかということです。重要なシステムは80%、事業への影響がそこまで大きくないシステムは50%というように、システムによってRLOを設定することが大切です。

DR対策とBCP対策の違い

DR対策は、災害発生を想定し、システムの復旧手段や計画を整えることを意味します。一方でBCP対策は、災害発生後に事業を継続するための計画を立てることを指します。

DR対策がシステムの復旧、BCP対策が事業継続を重視していることが大きな違いです。BCPは災害発生から復旧後の事業継続までの総合的な施策であることから、BCPの中にDRが含まれていると考えることもできます。

いずれにせよ、どちらも災害発生時に重要な指針になるため、災害が発生する前に整備しておくことが大切です。

DR対策が注目されている背景

DR対策が注目されるようになった背景には東日本大震災があります。震災時は建物や自宅などの物理的な破損だけでなく、サーバーやネットワークにも障害が発生しました。そこでサーバーやネットワーク障害への対策も行うDR対策が注目されるようになったのです。

システムがダウンすると、取引先や関連企業まで広範囲に影響が及びます。DR対策を講じることで、有事の際の影響範囲を最小限に抑え、損失も限定できます。地震をはじめとした自然災害が起きる前にDR対策に取り組んでおくことは、関連企業との信頼関係構築にもつながり、消費者や取引先からの信用の獲得にも寄与するでしょう。

DR対策におけるバックアップ構築の最適な方法

DR対策ではデータのバックアップが重要になります。具体的なバックアップの構築方法は次の2つです。

  • クラウド環境でのバックアップ
  • データセンターでのバックアップ

クラウド環境でのバックアップ

クラウド環境でバックアップを構築することで、災害が発生した際のデータの破損・消失リスクを抑えられます。デバイス上で保存したデータをクラウド上に再度保存するのも効果的です。しかし作業工程が増え二度手間となってしまいます。

作業の効率化を図りながらクラウド上でバックアップを取る方法は、はじめからクラウドサービスを利用してメイン業務を行うことです。バックアップの未実施を防ぐことができ、さらにインターネット環境さえあればどこでも作業ができるようになります。

導入の簡便さやコスト面での優位性から、近年クラウド環境でバックアップを構築する企業は増加傾向にあります。

データセンターでのバックアップ

バックアップの構築方法として、サーバー自体をデータセンターに移行する方法もあります。データセンターはハード・ソフトの両面において、外部からのリスクに強いといった特徴があります。

自然災害による建物への影響も受けにくく、ネットワーク環境などへのセキュリティ対策も十分なケースが多いでしょう。またデータセンターを活用することでデータを別のシステムに保存し、災害発生時に複製するといったことも可能になります。

一方でクラウドサービスよりコストがかかるため、予算を考慮しながら導入する必要があります。

DR対策にクラウドを使うメリット

ここからは、DR対策にクラウドを導入するケースとデータセンターを活用するケースで、メリットを比較していきましょう。まずは、クラウドを使うメリットを解説します。

社外からでも利用できる

DR対策にクラウドを使うことで、インターネット環境さえあればどこからでもデータにアクセスできるようになります。

災害発生時に道路の破損や混雑によって出社できない場合もあるでしょう。またオフィスの半壊や倒壊などのリスクがあるため、出勤できないケースも考えられます。そうした時でもクラウドサービスを利用していていれば、自宅などの遠隔地からでもデータにアクセスでき、業務を行えます。

クラウドを使用することで、いかなる状況でも事業の復旧・継続が可能になり、業務停止による機会損失を最小限に抑えることができるでしょう。

コストを削減できる

新しいシステム・サービスを導入する際に大きなボトルネックとなるのがコストです。特に、DR対策は効果が見えにくいため、施策が後回しになる傾向があります。その点、クラウドサービスはデータセンターに比べて低コストで導入できる点が魅力です。

サービスによっても異なりますが、初期費用無料で導入できるものもあります。またランニングコストも、データ量やユーザー数などに応じて柔軟にコントロールできるので、導入するハードルを下げられるでしょう。

安全にデータを管理できる

クラウドのサーバーは、サービス事業者が持つデータセンターに設置されていることがほとんどです。データセンターはハード面・ソフト面どちらとも強固であるため、データを消失する可能性を低く抑えられます。

地震や水害に強いエリアに設置されている場合が多いので、自社の施設でデータを管理するよりも、災害リスクを大幅に軽減できるでしょう。

DR対策にデータセンターを使うメリット

次に、DR対策にデータセンターを使うメリットを3つ解説します。

地震や火災からデータを守ることができる

データセンターは耐震構造でできているだけでなく、免震床を採用しているなど、大きな地震が来ても被害を最小化できる堅牢な施設となっています。

さらに火災にも強い作りになっており、仮に建物内に火が回った場合にも液体で消火するのではなく、消化ガスを使うなどしてデータを守る対策が施されています。

コストを削減できる

データセンターを使用すると自社でサーバーの管理を行うよりコストを削減できます。自社でサーバーを設置するとサーバー用のスペースや空調設備、それらを管理する人員が必要になります。

一方でデータセンターはそれらの設備を用意する必要がなくなるので、コストを削減しながらDR対策ができるようになります。

セキュリティ対策を同時に行える

データセンターは警備員によって365日24時間監視されています。許可のない部外者は建物内に入ることもできません。データの管理だけでなく、物理的なセキュリティを厳重化できるのも、データセンターのメリットです。

データセンターのような警備体制を自社で整えることは膨大なコストがかかるので、コスト削減効果も期待できるでしょう。

DR対策を実施する上での課題

企業において重要性が増すDR対策ですが、実施する上ではいくつかの課題をクリアする必要があります。ここでは主な課題を3つ挙げて解説します。

必要な体制を構築するまでの時間

一からDR対策に必要な体制を構築する場合は時間がかかります。人員の配置やシステムの導入、マニュアルの作成、定着支援などを実施する必要があるからです。

体制の構築までの時間を最小限に抑えるには、経営陣が積極的に参加することが大切です。経営陣がDR対策に深くコミットすることで、設備投資や組織再編などにかかわる承認が得やすくなり、スピード感を持って推進できるようになるでしょう。

DR対策に必要な人材の確保

DR対策には、ITやシステムに関する知識・スキル、経験が必要になるので、専門人材の確保が重要になります。ただし、DRやBCPの整備が求められる中、専門人材の需要が高まっており、思うような人材を見つけられないおそれもあります。

自社でIT人材が確保できない場合には、業務委託やコンサルに入ってもらうなど外部リソースの活用も検討する必要があるでしょう。

導入コストや運用コストの問題

DR対策によって新たなシステムを活用する場合、導入・運用にコストがかかります。目標レベルまでの復旧時間を短縮する場合、さらにコストが高くなる可能性があります。またクラウドかデータセンターか、自前でサーバーを構築するかなどでもコストは変動します。

復旧するための最低限のレベルを担保しつつ、機能を絞り込んだり、グレードを低くするなどして、予算に見合ったシステムを導入することが大切です。

DR対策を効果的に実施できる体制を整えよう

本記事ではDR対策について、BCP対策との違いやバックアップ構築の最適な方法などを解説しました。DR対策はクラウドまたはデータセンターを使用することで、安全かつ低コストでデータ管理ができるようになり、復旧後の迅速な事業再開につなげられます。

ぜひ本記事を参考にして、効果的なDR対策を実施できるように体制を整えましょう。

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