病院・医療機関におけるBCP対策とは?重要性や策定ポイントを解説

2022/12/06 2022/12/06

BCP対策

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災害など緊急事態が発生した際にも、速やかに対応するための計画であるBCP対策は、とりわけ病院・医療機関においては、職員のほか多くの患者の命にもかかわる重要な対策となります。そこで本記事では、病院や医療機関のBCP対策について策定の方法やポイントを詳しく解説します。

病院や医療機関におけるBCP対策とは?

BCPは「Business Continuity Plan=事業継続計画」の略で、簡単に説明すると、自然災害や大規模停電などの非常事態が発生した際にも、被害を最小限に止め、中核となる事業や業務を継続するための計画を意味しています。

ただし、このBCPは一般企業で策定する内容と、医療機関で必要とされる内容や対策が若干異なることから、医療機関におけるBCPは、MCP(Medical Continuity Plan=医療継続計画)と分けて呼ばれることもあります。

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病院や医療機関におけるBCP対策の現状

平成30年に厚生労働省が実施した調査によると、病院のBCP策定率は災害拠点病院は71.2%、全病院では25%という状況でした。

その後、未回答またはBCP未策定であった245箇所の災害拠点病院を対象に追加調査を実施し、平成31年4月1日時点で、241箇所が「BCP策定済み」であることが確認されたことから、結果として、9割以上の災害拠点病院がBCPを策定していると考えられるでしょう。

この数字からも分かるように災害拠点病院のほとんどがBCP策定している一方で、災害拠点病院や救命救急センターなどを除いた病院では、策定率が20%程度の低い水準となっており、早急なBCP策定が求められます。

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参照元:厚生労働省「病院の業務継続計画(BCP)策定状況調査の結果

病院や医療機関におけるBCP対策の重要性

地震などの大規模災害が発生した場合、当然ながら、通常時に比べ多くの傷病者が一気に押し寄せることが想定され、イレギュラーな対応が求められることになります。病院自体が被災し、平時通りの業務遂行が難しくなることもあるでしょう。

しかし、病院などの医療機関では、たとえわずかな時間であっても、その機能が停止することは人命にかかわることでもあります。

そのため、従業員だけでなく患者の命と健康を守ることを第一の目的に、非常時にも医療活動を継続できる体制を整えておくこと、また、災害の影響を受けた場合にも、できる限り短時間で医療活動を復旧させる計画を立てておくことは、非常に重要な取り組みとなります。

そして、緊急事態においても、全従業員が、求められる役割を冷静かつ速やかに行うためには、BCPの策定が欠かせないと言えるのです。

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病院や医療機関でBCPを導入する手順

ここからは、実際にBCPを導入する手順を7つのステップに分けて説明します。

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1.専門チームを編成する

まずは、BCP策定の専門チームを召集することから着手します。

メンバーは、最初に院長や事務長などの一定の権限を持つリーダーを決め、そして、医師、看護師のほか、緊急時の行動に深く関わるであろう、システム担当者や施設管理の担当者など、「役割」を考慮しつつ選定していきます。

多くの予測できない事態の発生を念頭に置き、多角的な視点が得られるように部署や役割が偏ることのないよう選びましょう。

2.現状を把握する

次に、業務体制や施設、人員などの組織の現状を把握します。最低限、以下の項目に関しては、しっかり可視化しておくと良いでしょう。

  • 地理、立地状況(災害リスクや近隣の状況など)
  • 非常時における連絡手段
  • 職員や患者の安否確認方法
  • 建物や機材などの安全対策や減災対策
  • 施設、機材、インフラ、通信環境
  • 災害発生時の避難経路や指揮命令系統
  • 非常時における診療体制

非常時には、不明確な指揮系統の混乱や人員不足が必ず発生します。また、電気・水道などのライフラインが途絶えることも想定されるでしょう。しかし、現実的な対策でなければ、非常時にそれらが実行されることはありません。まずは、現状を把握し、可能かつ有効な対策の立案につなげましょう。

3.被害を予測する

次に、各自治体が出している被害状況を考慮して被害状況の予測を行います。

災害が発生した際、どの程度の傷病者が搬送されるのかを、近隣の医療機関の立地や世帯数などからある程度予測するなど、想定されるリスクを洗い出していきましょう。

診療スペースのほか、医療スタッフや医薬品の不足、連絡手段の断絶など、具体的なリスクを可視化していきます。

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4.業務を整理しておく

非常時には、誰もが混乱します。そのため、必須ながら流れ作業のように行なっている日常業務が、正常に遂行されないことも起こり得るかもしれません。

そのようなことがないよう、業務を整理し、部門ごとに災害時でも継続すべき業務と、発生するであろうイレギュラーな業務などを整理しておきましょう。

5.優先すべき業務を選別する

業務の整理ができたら、次に業務の優先順位を明確にしていきます。

災害時でも継続すべき業務と後回しにできる業務を分けておくことで、「今やるべきこと」に人員を集中させ、できる限り混乱を避けることができます。

6.BCP案をまとめる

現状や想定されるリスクや業務の優先度など、収集した情報をもとにBCP策定に取り掛かります。

基本方針を定め、具体的な対策を立案し、計画として文書化していきます。計画には、非常時の対策だけでなく、緊急事態に備えるため事前準備や訓練の実施などの計画も含まれます。

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7.BCP対策を全体で共有する

BCP策定後は、必ず全社的にしっかりと共有しましょう。

計画があっても、全従業員の理解がなければ、緊急時の混乱は避けられません。定期的な訓練や社員の理解度を確認するテストなどを実施し、形骸化させない仕組みづくりも重要です。

病院や医療機関のBCPを策定するポイント

最後に、BCPを策定する際の注意すべきポイントについて解説します。

行動に関するマニュアルを準備する

災害発生時には、責任者が不在であることも十分考えられます。

そのため、災害発生時、とりわけ「初動対応」に関する行動は、必ずマニュアルを準備し、全従業員に配布しましょう。

行動の優先順位を把握しておく

災害時における最優先すべき業務やその手段についても、全社員が緊急時にすぐ行動できるようにしておきます。

緊急事態に直面して、初めて配布されたBCP計画書を開く従業員がいるようでは、意味がありません。誰もが「役割」をすぐに遂行できる環境を整えましょう。

医療情報に関する対策も考慮する

医療行為に欠かせないカルテなどの医療情報ですが、電子化を進める医療機関も少なくありません。

しかし災害発生時は、通信環境などが影響を受けることも考えられます。普段から、こまめにバックアップを取るなどの対策を行い、オフライン環境でも閲覧できる体制を整えておきましょう。

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病院や医療機関に適したBCP対策が必要

病院や医療機関は、機能が停止することが、入院患者や災害による傷病者など、多くの人命にかかわる重大な事態へとつながってしまいます。

とりわけ災害時は、多くの重傷者が発生することも考えられるでしょう。そのような事態に備えるためにも、医療スタッフの安全を確保しつつ、可能な限り傷病者の治療を効率的かつ確実に行うためのBCP対策は、必ず策定しておきましょう。

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