業務効率化における目標設定とは?具体例や達成するためのポイント

最終更新日時:2022/08/15

業務効率化・業務改善

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近年、業務効率化を目標に掲げている企業は多いのではないでしょうか。しかし、業務効率化に取り組む際に何をすれば良いのか分からない方もいるかと思います。本記事では、業務効率化における目標設定や目標を達成するためのポイントを具体例をもとに解説します。

業務効率化とは?

業務効率化とは、既存の業務を改善することで、労働者一人あたりの生産効率を向上させることです。

業務内容を見直すと、既に不要になった作業、重複した手順、より高速で完了できるツールが利用できるものなど、さまざまな改善の余地が見つかります。

そのような部分を取り除いたり、他の方法に置き換えることによって、得られる成果はそのままに、業務に必要な時間を抑えることが可能になるのです。

このように業務をスムーズに、短時間で済むように工夫してコストを削減することが、業務効率化なのです。

業務効率化の目的

業務効率化の目的は、生産性の向上です。生産性の向上とは生産量を増やし、投入資源を抑えることで、最終的な利益を増やす取り組みのことです。業務効率化は、この投入資源を抑えることにあたります。

業務を効率化することで、必要な労働時間や設備の稼働時間が減少します。これにより、人件費や電気代などの諸経費を抑え、利益を増やすことができるのです。

業務効率化に取り組むメリット

業務効率化に取り組むことで得られる、具体的な4つのメリットを紹介します。

1.人的コストやミスの削減

業務効率化には、コスト削減とミスの減少効果があります。業務を効率化すると、必要な労働時間を少なくできます。労働時間が短くなると、残業による割増賃金が必要なくなるため、コスト削減につながるのです。

また、業務効率化の一環として、業務でミスが発生しやすい場所を見つけて対策をおこなうという方法があります。ミスの減少によって、損害の発生や、作業のやり直しを回避できるでしょう。

2.業務品質の安定化

業務品質の安定化も大きなメリットです。

業務効率化の方法として、ルールの統一・作業手順の明確化があります。従業員が決まったルールにもとづき業務をおこなうことで、成果の品質を均一にできます。

また、情報共有を促進することで、ノウハウや技術を社内全体で共有することが可能です。これにより、従業員の能力の底上げが期待できます。

3.作業の短縮化

業務を効率化することで、作業時間の短縮が可能です。作業時間が短縮されることで、余裕をもったスケジュールで業務を遂行できます。

業務効率化で生まれた時間は、別の業務をおこなったり、教育時間に充てることで、さらなる生産性向上につなげることができるでしょう。

4.従業員の満足度向上

従業員の職場への満足度が大きくなります。理由は2つあります。

1つ目は、従業員の可処分時間の増加です。業務効率化によって必要な労働時間が減るため、従業員は残業の必要がなくなります。そのため、プライベートを充実させることができるのです。

2つ目は、従業員の待遇の向上です。業務効率化によって生まれた利益は、給与やボーナスとして従業員へ還元できるようになります。待遇がよくなることで、従業員は業務に意欲的になります。

従業員の満足度が向上すれば、離職率を抑えられるだけでなく、待遇に魅力を感じた優秀な人材を雇用できるようになります。

業務効率化の目標を設定するためにすべきこと

業務効率化にあたっては、目標設定が重要です。目的からズレたものや、達成不可能な目標設定は、業務効率化を阻害する可能性があります。

ここでは、目標設定をおこなう上で必要なことを解説します。

1.業務における現状の課題を抽出する

現在、業務でどのような課題があるのか洗い出しましょう。以下のようなポイントに着目すると、課題の抽出がやりやすくなります。

  • 人的コスト
  • どれだけのメンバーが参加しているのか、かかっている人件費はいくらか。

  • 対象業務のフロー
  • 重複している工程はないか、無駄な作業はないか。

  • 対象業務が発生する頻度
  • 頻度の高いものほど、業務効率化の優先度が高い。

  • 対象業務で発生するミス
  • ミスの発生率が他の業務に比べて高くないか。

    ミスを防止する手順はどうなっているのか。

    作業手順自体に問題はないか。

  • 使用するツールや必要なスキル
  • 業務を遂行する上でどのような能力が必要か。

    現在利用しているツールはどのようなものか。

    業務効率を向上させられるツールはないか。

  • 完了までにかかる時間
  • 作業時間、作業期間はどれくらいになるか。

    時間を短縮させる必要性はどれだけあるか。

2.現場従業員の課題を取り入れる

次に、実際に作業をおこなっている従業員の意見を取り入れます。資料やデータからだけでは、業務の実態は見えません。

そのような状態では、現実離れしていたり、従業員に負担を強いる目標が生まれる原因になります。無理な目標を押し付けてしまうと、現場からの反発や、施策の破綻を招きかねません。

ヒアリングや普段のコミュニケーションから現場の声を集め、実態に合った課題設定をおこなうようにしましょう。

3.従業員のスキルを把握する

従業員が持っている現状のスキルを把握しましょう。業務の中には、高度なスキルを必要とするため、担当できる人材が限られているものがあります。

そのような業務に適切に人員を配置できるように、従業員の能力は把握しておかなければなりません。また、現状のスキルだけでなく、ヒアリングを通して従業員が希望するスキルも把握しましょう。

自発的に習得したいと考えているスキルを学ぶ機会を提供することで、従業員は高いモチベーションで学習に臨めます。

4.個人のKPIを見直す

KPIを利用して、業務の分担ができるようにしましょう。KPI(Key Performance Indicator)は日本語で「重要業績評価指標」と呼ばれます。

KPIは、目標達成までの進捗率を数値化し、どれだけ目標に近づいているのかを計測するのに用いられる指標です。KPIは計測可能な数値を利用するので、改善作業の状態を定量的に監視することができます。

たとえば、業務の作業量をKPIに用いることで、作業分担に役立てられます。作業量が数値化されることで、従業員ごとに適切な量を割り振れるようになるからです。

KPIは業務改善が終わった後の検証にも使われます。業務効率化を進める上で貴重なデータになるので、適時記録を取るようにしましょう。

5.他社の成功事例を参考にして目標設定を行う

目標設定には、他社の成功事例も参考になります。成功事例は、企業のWEBサイトやメディアのインタビュー記事などに掲載されています。課題、解決策、結果までが包括的に記載されているため、非常に貴重な情報源です。

事例は同業他社のものや、同じ業務の事例を調べるとよいでしょう。もし利用を検討しているシステム・ツールがある場合は、製品サイトに事例が紹介されている場合があるので、チェックしてみましょう。

成功事例をチェックすることで、目標達成までをイメージできるようになります。自社で取り入れられる施策がないか、考えながら読んでみるとよいでしょう。

6.目指すべき会社のあり方を従業員に共有する

自社のビジョンを従業員と共有することで、足並みを揃えて業務効率化に臨めます。業務効率化を考えるマネージャーと、実際に作業をおこなう人員には、視野に大きな差があります。作業者は割り振られた作業そのものに集中してしまうため、大局的な視点はなかなか持てません。

会社が目指す方向を従業員に周知することで、従業員は自分の作業の目的を理解し、全体を意識して動けるようになります。経営陣の意図を従業員が汲み取れるようになるため、良好な関係構築の助けにもなるでしょう。

業務効率化の目標設定を達成する方法

業務効率化を達成するために有効な方法をご紹介します。

1.自動化システムを活用する

業務を自動化することで、効率を大幅に向上させることができます。単純な業務や、複雑な計算が必要なものは、自動化に向いているでしょう。

人間がおこなうと時間がかかったり、ミスが頻発するようなものでも、自動化システムを利用すれば、短時間で正確におこなえるようになります。

たとえば、給与計算や勤怠管理は、システムを利用することで業務効率の向上が実現するでしょう。

2.業務効率化ツールを導入する

業務の効率化には、ツールが大きな助けになるでしょう。業務効率化ツールはさまざまな種類があります。たとえば、以下のようなものです。

  • クラウド上にデータを保管し、どこでも利用できるようにするオンラインストレージ
  • スケジュールを社内で共有するスケジュールツール
  • コミュニケーションを円滑にするチャットツール
  • 作業員の進捗を共有できるスケジュール管理ツール
  • 従業員情報や勤怠管理記録をもとに計算する給与計算ツール

このようなツールを活用することで、業務効率が大きく向上します。自社の課題に合った、適切なツールがないか探してみましょう。

3.ペーパーレス化を行う

ペーパーレス化を適切におこなうことで、業務効率を大きく向上させられます。ペーパーレス化は、紙媒体の資料、申請書、契約書などを電子化し、ファイルサーバーで保管・管理する方法です。

ペーパーレス化にはさまざまなメリットがあります。たとえば、以下のようなものです。

  • サーバーに接続できれば、場所を選ばずにデータにアクセスできる
  • 検索機能を使って資料を簡単に見つけられる
  • 資料の追加、削除、編集履歴が記録される
  • 紙資料の保管室が不要になり、物理的なスペースが増える
  • 自動バックアップ機能を利用して、データの破損・紛失を防げる
  • 紙、インク、印刷機器の費用を削減できる

社内の紙媒体をすべてペーパーレス化するには、膨大な作業量が必要になります。まずは、社内で完結している日報や議事録などを電子化するところから始めてみましょう。

4.スモールスタートで始める

業務効率化にあたっては、スモールスタートで始めることが大切です。会社全体で業務効率化をおこなう時は、大規模な改善をまとめてやろうと考えがちです。しかし、そのようなやり方はうまくいかない危険があります。

業務効率化のノウハウがない状態では、ミスやトラブルが頻発します。様々な改善を同時におこなうと、同じトラブルが同時におこり処理しきれなくなるかもしれません。

また、あまりにも大きな変化が起こると、現場がついていけなくなります。無理な変更は現場の反発を招くだけでなく、業務を停滞させるおそれがあります。

業務の効率化は、小規模な範囲で、対象を限定して始めましょう。はじめの改善作業では問題点や反省点が多数見つかるので、それらの対策を考え、次回に活かしましょう。PDCAサイクルを回すことで、改善作業がスムーズにおこなえるようになります。

大規模な改革は、スモールステップで経験を積んでから、おこなうようにしましょう。

5.スタッフ研修の見直しをする

スタッフ研修の見直しをすることで、短期間で業務に習熟できる教育体制を築けます。

スタッフ研修を見直す上では、以下の項目に注目しましょう。

  • 研修での目標
  • 研修のプログラム設計
  • 講師の選定・育成
  • 研修後の効果測定方法
  • 研修コスト

研修が大規模な場合や、人材が流動的で研修頻度が高い場合は、特にこの見直しは重要です。

また、研修内容が改善されれば、業務マニュアルにも反映することができます。社内で業務内容やノウハウを共有するために、横展開を意識しながら研修の見直しをおこなっていきましょう。

業務効率化を実践した事例

ここでは、業務効率化を達成した企業事例を3つご紹介します。

大日本印刷株式会社

大日本印刷株式会社ではメールが主な連絡手段でしたが、レスポンスが遅いという問題を抱えていました。いくつかチャットツールを使っていましたが、チャットルーム数に上限がある、データがPCに保存されない、などの不満があったそうです。

そのため、高速で複数のコミュニケーションが取れるツールを導入し、業務効率を向上させる必要がありました。

そこで、社内からの要望もあり、Chatworkの導入を決定しました。導入の決め手となったのは、Chatworkのセキュリティの高さです。Chatworkの運用体制は国際的なセキュリティ基準に則ったもので、大企業や官公庁も導入できるほどの信頼性の高さを誇っています。

同社は、Chatworkを運用する上で、ユーザー管理・ログ管理・IPアドレス制限といった、セキュリティ管理も厳格におこなっています。顧客情報をChatwork上でやり取りしないといったルールをしっかり定めることで、セキュリティトラブルを未然に防いでいるのです。

Chatworkの導入によって、連絡が高速におこなえるようになりました。また、案件ごとにグループチャットを作り、複数の人とコミュニケーションが取れるようになったことも、大きなメリットです。

株式会社富士薬局

株式会社富士薬局では、店舗数の増加にともない、店舗間の情報共有や連携に問題が出ていました。今まではメールでのやり取りが中心で、話題ごとの分別ができない、情報共有のために連絡を何度もする必要がある、などの問題がありました。

そのため、同社は複数の店舗との情報共有を効率的におこない、連絡内容を分別して可読性を高める手段が必要でした。

そこで導入したのが、取引先から勧められたChatworkです。Chatworkは情報の共有をグループチャットでおこなえます。メールのように大量の情報を受けるのではなく、自分から必要に応じてアクセスするという形態に変わり、スムーズに情報にあたれるようになりました。

こちらから情報を伝達する際も、グループチャットに送信するだけなので、共有が一度の作業でおこなえるようになりました。

その他にも、場所を選ばず連絡ができる、ファイルを簡単に発信できるなどのメリットもあり、仕事がやりやすくなったそうです。

また、同社はChatworkの利用にあたって、独自にルールを制定しました。チャットツールは簡単にコミュニケーションができる反面、議論も白熱しやすいという問題があります。そのせいか、チャットが荒れてしまうことがあったそうです。

そこで同社はChatworkの利用ルールを定めました。「 1日に最低1回確認する」、「依頼の期限を設定する」といった業務上のルールや、「22:00〜6:00は利用しない」「リアルなコミュニケーションを優先する」といった言い合いを避けるルールをさだめることで、従業員が適切な使い方ができるよう制限しました。

このような自社に合った独自の工夫をすることで、Chatworkの導入に成功し、業務の効率化に成功したのです。

川崎フロンターレ

プロサッカークラブ「川崎フロンターレ」では、チーム運営、イベント・キャンペーン企画ショップ運営、スクール運営など、さまざまな事業を展開しています。

しかし、主な連絡手段が事務所内でのメールだったため、連絡が遅れがち、大量の種類のメールで情報が埋もれる、緊急の連絡手段がない、などの問題がありました。

そのため、現在の非効率な連絡手段から脱却できる、使いやすく素早いツールが必要でした。そこで、Chatworkの導入を決めました。

Chatworkはどこでも利用できるため、時間をかけて事務所に戻る必要がなくなりました。また、グループチャットで連絡内容を分類することで、情報が埋もれることがなくなりました。

情報が必要な時に必要なグループチャットにアクセスすればいいだけなので、探す手間も格段に小さくなります。急な連絡もChatworkでおこなえるようになったのも、大きな効果です。

試合日のスケジュールなどは事前に紙で配布していましたが、当日に急な変更がおこると、情報伝達の手段が限られており、十分な共有ができませんでした。

Chatworkなら時間・場所を選ばずにグループで情報共有ができるため、緊急時の連絡手段として最適な方法です。Chatworkの導入により、川崎フロンターレではリアルタイムなコミュニケーションが可能になりました。

業務効率化を成功させるためには目標設定が重要

業務効率化は、目的を定めずにおこなうと失敗するリスクが高まります。ビジョンが明確でないと、改善計画は中途半端なものになり、結果的にプロジェクトが頓挫する可能性があるからです。

そのため、わかりやすく、現実的で、本当に効果が得られる目標を設定しなければなりません。適切な目標を設定することで、方向性がしっかり定まり、堅実な計画が立てられるようになります。

しっかりと事前調査をおこない、課題を見つけ、自社に必要な目標設定をおこないましょう。

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ビズクロ編集部
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