リフレーミングとは?意味や効果・具体例、活用するシーンをわかりやすく解説

最終更新日時:2023/09/25

業務効率化・業務改善

リフレーミングとは

メンタルヘルスの一環として取り入れる企業が増えている「リフレーミング」。リフレーミングによって物事をポジティブに捉える習慣が身に付き、ビジネスにも様々なメリットが期待されます。本記事では、リフレーミングの意味とは何か、効果や具体例、活用するシーンを解説します。

リフレーミングの意味とは?

リフレーミング(reframing)には、枠組み(frame)を捉え直すという意味があります。心理学的な手法のひとつであり、自分のネガティブな思考や出来事について、別の視点や意義を与えます。

リフレーミングの目的は、気持ちの持ち方を変えることです。自分の「弱み」に隠れている「強み」を考えたり、不満を感じていた出来事に意義を見い出したりと、発想を転換することで、ネガティブな気持ちをポジティブにする効果が期待できます。

物事を前向きに捉えられるリフレーミングは、ビジネスシーンにおいての活用も有効です。メンタルヘルス対策だけでなく、モチベーションや生産性の向上、人間関係の円滑化などにもつながるでしょう。

ポジティブシンキングとの違い

リフレーミングと混同されがちな概念として、「ポジティブシンキング」があります。

ポジティブシンキングとは、リフレーミングと同じように物事を前向きに捉える思考法です。しかし、ポジティブシンキングには事象の意味を捉え直すという工程がなく、単純に気持ちだけを前向きにします。

たとえば仕事でミスをしたとき、「誰でも失敗はするものだ」と前向きな気持ちになるのはポジティブシンキングです。一方リフレーミングでは、「失敗によって成長できた」と出来事の意義を考え直すことによって、気持ちを前向きにしていきます。

出来事に限らず自分の感情や性格においても、見方を変えることで気持ちをポジティブに変換するのがリフレーミングの特徴です。

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リフレーミングの種類

リフレーミングには以下の2種類があります。

  • 状況のリフレーミング
  • 内容のリフレーミング

それぞれの違いを説明します。

状況のリフレーミング

「状況のリフレーミング」とは、自分を取り巻く状況について捉え直すリフレーミング手法です。

たとえば、営業成績が上がらずに悩んでいる営業社員がいたとします。もしその社員が、本当は人との交渉よりも細やかな事務作業のほうが得意ならば、総務や経理などのバックオフィス業務のほうがパフォーマンスを発揮できるかもしれません。

以上のように、ネガティブと思える物事が、どの状況だったら高いパフォーマンスを発揮できるのかなどについて考え直します。

内容のリフレーミング

「内容のリフレーミング」とは、起きた出来事について、その意味や意義を捉え直すリフレーミング手法です。

現実に起きてしまった出来事を変えることはできませんが、自分の捉え方は変えられます。たとえば自分が望まない部署への人事異動を命じられた場合、「なぜ自分が異動しなければならないんだ」と不満が沸き上がってしまうことがあるかもしれません。しかし見方を変えると、人事異動は新たな業務に挑戦して自分を成長させるチャンスでもあります。

以上のように、一見ネガティブな出来事も視点を変えるとポジティブな側面があるものです。自分の性格やコンプレックスにおいても内容のリフレーミングを行うことで、新たな強みを見つけられるでしょう。

リフレーミングによる効果とは?

リフレーミングを行うことで、以下の効果が期待されます。

  • 意欲やモチベーションの向上が期待できる
  • 自分に自信が持てるようになる
  • 人間関係を良好にできる

リフレーミングはビジネスシーンにおいても良い効果を発揮します。それぞれ詳しく説明します。

意欲やモチベーションの向上が期待できる

リフレーミングを行うことで、意欲やモチベーションの向上が期待できます。

たとえば重要なプレゼンを行う際には、「失敗したらどうしよう」と不安や緊張を感じることは誰しもあると思います。緊張のあまり、普段の実力を発揮できない人も少なくないでしょう。

このようなシーンで役立つのがリフレーミングです。「こんなに重要なプレゼンを任されるなんて、自分は期待をされているんだ」と発想を変えることで、不安よりも自信が勝り、モチベーションが高くなります。

仕事にやりがいを感じられないときや意欲が出ないときに、リフレーミングは有効な手段といえるでしょう。

自分に自信が持てるようになる

リフレーミングを行うことによって、自分に自信が持てるようになるでしょう。なぜかというと、リフレーミングで見方を変えることで、これまで弱点やコンプレックスだと思っていた性格や出来事にもメリットがあることに気づけるからです。

たとえば、飽き性な性格で悩んでいる人がいるとします。「飽き性」というと、物事が長続きしないというネガティブなイメージがあるでしょう。しかしながら見方を変えると、好奇心旺盛であるともいえます。好奇心が旺盛であることは、さまざまなことを挑戦して経験できるという大きな強みになるのです。

以上のように、自分の「弱み」が実は「強み」になることに気づくことで、コンプレックスで悩む必要がなくなり、自信にもつながるのです。

人間関係を良好にできる

リフレーミングは人間関係を良好にするうえでも効果的な手法です。

「あの人はいつも批判的なことばかり言うから苦手だ」などと、苦手な同僚や上司がいる人は少なくないのではないでしょうか。しかしリフレーミングを行うことで、相手の性格や言動もポジティブに捉え直すことができます。

たとえば「いつも批判的な意見を言う人」は、「自分にない考えを提供してくれる人物」と捉えることもできます。また何か意見を言われた際にも、「批判された」のではなく「アドバイスをくれた」とも捉えられるでしょう。

リフレーミングを行うことで、自分が決めつけていた相手のイメージを変えることができます。苦手意識が緩和されることでコミュニケ―ションも取りやすくなり、良好な人間関係を築けるようになるでしょう。

リフレーミングの手法

リフレーミングには以下の5つの手法があります。

  • 言葉のリフレーミング
  • As IFのリフレーミング
  • 時間のリフレーミング
  • 解体のリフレーミング
  • Wantのリフレーミング

それぞれの方法を詳しく説明します。

言葉のリフレーミング

言葉のリフレーミングとは、言葉の意味を捉え直す手法です。短所のように思われる言葉も、見方を変えれば長所となる側面があります。

たとえば、以下のようなリフレーミングができるでしょう。

  • 心配性→物事に慎重
  • 大雑把→おおらか
  • 頑固→意志が強い

もしコンプレックスに感じる性格や思考があるならば、その性格が役に立った場面はなかったかを振り返ることで、リフレーミングがしやすくなります。

As IFのリフレーミング

As IFのリフレーミングとは、「もし~だったら」と状況を仮定をしながら新たな選択肢を探る手法です。

たとえば新たなサービスを構築するならば、「もし自分がユーザーだったら、この機能がほしい」などと考えることで顧客ニーズを満たすサービスを考案できるでしょう。また仕事で危機的な状況に直面した際も、「もし上司だったら、このように行動するだろう」と考えることで打開策が見えてくるかもしれません。

以上のように、As IFのリフレーミングでは、自分以外の人物や、現実とは異なる環境などに置き換えながら状況を捉え直します。

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時間のリフレーミング

時間のリフレーミングとは、過去や未来の視点から現在の状況を捉え直す手法です。

たとえば仕事でのミスは、現在の視点ではネガティブな出来事かもしれません。しかし未来から考えると「あのときミスが発覚したおかげで、深刻な問題にならずに済んだ」とも捉えられる可能性があります。

このほか、「過去の自分と比べると、今の自分は成長している」「5年後から見ると、今の自分は何をすべきなのだろうか」など、過去や未来の目線で現在の状況を捉え直します。

解体のリフレーミング

解体のリフレーミングとは、現在の状況を細分化し、枠組みを“解体”する手法です。

たとえば、多くの仕事を抱えていると、何から手を付ければよいのか混乱することがあるでしょう。その際、「一番早く終えるべきタスクは何か」「それぞれの仕事にどれほどの時間がかかるか」「誰がやるべきタスクなのか」など、状況を細かく整理します。

細分化することで、今の状況を冷静に把握できます。細分化する際には、5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように)に沿って整理することで、多角的に状況を分析できるでしょう。

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Wantのリフレーミング

Wantのリフレーミングとは、自分のWant(したいこと)に注目する手法です。自分自身の悩みや状況に対して「それならどうしたい?」と問いかけていきます。

たとえばキャリアに悩んでいるならば、「それならどうしたい?」と自分に問いかけます。転職をしたいという場合もあれば、スキルアップに向けて学ぶ意欲に気づく場合もあるでしょう。自分の答えが出たら、さらに「そのためにはどうしたい?」と問いかけを続けて解決策を見つけていきます。

Wantのリフレーミングは、自分の意思を尊重しながら視野を広げられる手法といえます。

リフレーミングの具体例

リフレーミングの種類について解説してきましたが、実際どのようにリフレーミングに取り組めばよいのでしょうか。ここでは、人間関係の場面と仕事の場面に分けて具体例を紹介します。

人間関係に関する具体例

たとえば、上司に普段より厳しく叱られて落ち込んでしまった際、以下のようなリフレーミングができます。

  • 上司は自分の能力を信じてくれているから指導してくれているのだ
  • もしかしたら上司は忙しくて余裕がなかったのかもしれない
  • いま指導されたおかげで、これから同じミスをしないよう気を付けられるだろう

もう一つ例をあげます。たとえば口数が少ない同僚に対し、「あの人はいつも無口で関わりづらい人だ」などと自分で勝手に相手のイメージを作り、距離を取ってしまっているとします。その際、リフレーミングで以下のように捉え直しが可能です。

  • 無口ではなく、落ち着いている人と捉えると好印象だ
  • もしコミュニケーションが上手な先輩なら、どのように接するのだろうか
  • 今は仕事に熱中しているだけかもしれない

特に人間関係におけるリフレーミングでは、相手の気持ちや状況を想像することで、新たな視点を得られるでしょう。

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仕事・業務に関する具体例

たとえば事務業務を担当している人が、仕事で伸び悩んでいるとします。その際、以下のようなリフレーミングができるでしょう。

  • 未来から考えると、今は成長している最中だ
  • 自分は人と話すのが好きだから、もしかしたら営業職が向いているかもしれない
  • 自分は本当は何がしたいのだろうか。そのためにはどんな行動をすればよいのだろうか

もう一つ例をあげます。仕事でミスをして落ち込んでしまった際は、以下のようなリフレーミングができます。

  • 未来から考えると、今回のミスは自分が成長するきっかけになった
  • 自分のミスのおかげでマニュアル作りの必要性が分かったから、ミスは無駄ではなかった
  • 入社当時の自分と比べると、より大きな仕事に挑戦できるようになっている

仕事や業務面におけるリフレーミングでは、過去や未来を振り返りながら自分を見つめ直すことで、仕事に対して前向きに向き合えるようになるでしょう。

リフレーミングを活用するシーン

リフレーミングは特に以下のシーンで活用することをおすすめします。

  • 新しいことに挑戦するとき
  • ネガティブな感情を抱いたとき

それぞれのシーン別に解説します。

新しいことに挑戦する時

リフレーミングは新しいことに挑戦する時におすすめです。

新しいプロジェクトや仕事など、新たなことに挑戦するときには不安を抱えることが多いものです。ときには不安に襲われて挑戦を断念してしまったり、自分の力が及ばず自信をなくしてしまったりすることもあるかもしれません。

そのようなときに効果的なのがリフレーミングです。「未来からみたらこの挑戦にはどのような意味があるか」「自分の尊敬する人はどのような行動をするか」「自分の欠点はどのように活かせるか」などを考えることで、前向きに行動できるようになるでしょう。

リフレーミングは自分自身のモチベーションや自信を高めたいときに効果的な手段となるのです。

ネガティブな感情を抱いた時

ネガティブな感情を抱いたときにも、リフレーミングが効果的です。

ネガティブな感情は、仕事で失敗をしたときや人間関係のトラブルが発生したときなど、自分にとって良くない状況に陥った場面に抱きやすいものです。しかし一見悪い状況に思えたとしても、別の角度からみると、むしろチャンスが隠れていることもあります。状況を客観的に整理し、視野を広げるためにも、ネガティブな感情になったときにはリフレーミングを行うことがおすすめです。

リフレーミングによって物事の視点が変化したり打開策が見えたりすることで、ポジティブな感情へと変化しやすくなります。悩みを払拭して前向きな行動を取りたいときに、リフレーミングは役立つでしょう。

リフレーミングの練習法

いざリフレーミングを行おうと思っても、「うまくできない」と悩む人もいるでしょう。そこで、リフレーミングの具体的な練習方法を解説していきます。

日々の生活において、少しずつリフレーミングの練習を重ねることで、リフレーミングは上達していきます。ぜひ、これから紹介する練習方法を参考にしてみてください。

自分自身の性格・言動・行動を振り返る

まずは自分自身の性格や言動、行動を振り返りましょう。どのような性格なのか、どのようなシーンでどのような言動を取る傾向があるのかを把握することで、思考の癖が分かります。

たとえば、大勢の前で発表をする際、緊張や不安に襲われる人もいれば、やる気が高まる人もいます。不安になる人の場合、「失敗して笑われたらどうしよう」という思考の癖があるかもしれません。一方やる気が高まる人は、「皆が自分の話を聞くために集まってくれたのだ」という思考を持っている可能性があります。同じ状況でも、考え方によって気持ちの持ち方は大きく変わるものです。

普段の自分の性格や言動をよく振り返り、傾向を把握することがリフレーミングの第一歩となります。

失敗したポイントを自己弁護する

何か失敗をしてしまった際は、失敗したポイントを自己弁護してみましょう。自己弁護といっても、失敗を他人のせいにしたり、言い訳をするということではありません。失敗が自分自身の性格や言動によって起こったことを認識したうえで自己弁護し、失敗に対する捉え方を変えていきます。

たとえば、せっかちな性格によって確認を怠り、ミスを起こしてしまったとします。その際は「せっかちな性格が原因でミスを起こしてしまった。これは、スピーディーに仕事をこなそうとしたためだ。」というような自己弁護ができるでしょう。

もちろんミスを防ぐ対策を考える必要はありますが、自己弁護は自分の強みを見つけるきっかけになるでしょう。

失敗をポジティブな意味として捉える

何か失敗をしたときには、失敗をポジティブな意味として捉えることを心掛けましょう。失敗は必ずしも悪いことではありません。たとえば、「失敗も自分の貴重な経験になった」「この方法では上手くいかないと気付くことができた」など、失敗が成功につながることは多々あります。

失敗をポジティブに捉えるためには、「失敗のおかげで何を得られたのか」に注目するとよいでしょう。しかし、自分自身の失敗に対して前向きに考えることは難しいものです。その際は、「もし同じ失敗を友人がしたならば、自分はどう声をかけるか」と想像すると考えやすくなります。友人を励ますつもりで、自分自身に向き合ってみましょう。

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リフレーミングを取り入れビジネスに活用しよう

本記事ではリフレーミングについて解説しました。リフレーミングを活用することで前向きな思考ができるようになり、仕事に対するモチベーションや生産性の向上が期待できます。

本記事を参考に、ビジネスシーンにおいてもリフレーミングを活用し、自分自身の成長につなげましょう。

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