カリギュラ効果とは?マーケティングに活用する方法や関係性・具体例について
日常において無意識のうちに影響を受けていると言われる心理現象の一つ「カリギュラ効果」。しかし実際は、どのような行動が該当するのでしょうか。カリギュラ効果とは何か、マーケティングに活用する方法や実生活における具体例をご紹介します。
目次
カリギュラ効果とは?
カリギュラ効果とは、禁止・制限されたことが、逆に気になってしまう現象であり、わかりやすく言うと、「するな」と言われると逆にしたくなる、「見るな」と言われると逆に見たくなるなど、反対の行動を取りたくなる心理を指すものです。
カリギュラ効果は、禁止・制限されたことにストレスを感じ、そのストレスへの反発が起こることによって表れるといわれています。そのため、カリギュラ効果を利用すれば、禁止・制限したことと逆の行動を誘導することが可能です。
カリギュラ効果の語源・由来
カリギュラ効果は、1980年に公開された映画『カリギュラ』に由来するといわれています。
映画『カリギュラ』は、主人公である第3代ローマ帝国皇帝「カリギュラ」の残忍さや放とうぶりを描いた作品で、描写があまりにも過激だったことから、一部の地域では上映が禁止されるほどでした。
しかし、上映が禁止になったことをきっかけに逆に興味を持つ人が増え、上映禁止地域に住んでいる人が上映されている地域までわざわざ足を運ぶなど、大ヒットにつながったのです。
このような現象が起こったことから、「禁止されると逆に気になってしまう」という心理現象を、カリギュラ効果と呼ぶようになりました。
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実生活におけるカリギュラ効果の具体例とは?
実生活におけるカリギュラ効果の具体例を4つ紹介します。
昔話
カリギュラ効果は昔話にもよく登場しています。
例えば、『鶴の恩返し』では、「はたを織るあいだは決して覗かないでください」と言われたにもかかわらず、おじいさんとおばあさんは戸を開けてしまいます。『浦島太郎』でも、「決して開けてはいけない」と言われた玉手箱を開けてしまい、主人公は一気におじいさんになってしまいました。
ほかにも、『舌切り雀』や『パンドラの箱』では開けてはいけない壺や箱を開け、『ロミオとジュリエット』や『ミセス・ロビンソン』では反対された結婚に熱くなるなど、さまざまなカリギュラ効果の描写が登場しています。
校則
学校の高速などでも、「茶髪禁止」「化粧禁止」「スカートを短くしてはいけない」「スマホ持込禁止」などの校則に、反抗したいと思ったことや、実際に校則を破ってしまった経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
「禁止されるとやりたくなってしまう」という心理であるカリギュラ効果は身近に存在しているのです。
ホラー映画
ホラー映画の予告で「心臓が弱い方は観ないでください」といった注意書きを見ると、「そんなに怖いの?」「どんな映画なの?」と、逆に興味が掻き立てられる経験がある方も多いはずです。
カリギュラ効果を利用して観客の興味を惹くという、「怖いもの見たさ」で注目を集める手法は、ホラー映画に限らず、激辛商品などのマーケティングなどでも活用されています。
化粧品
化粧品を提供する「ドモホルンリンクル」では、広告に「初めての方にはお売りできません」というフレーズを使用し、カリギュラ効果を活用したマーケティング戦略で成功しています。
無料お試しセットで効果を感じた人に販売するという戦略をとっているため、まずは消費者に無料お試しセットを使ってもらうことが必要でした。
そこで、「初めての方には無料お試しセットがおすすめです」というシンプルなフレーズではなく、あえて購入を禁止するようなフレーズを選び、カリギュラ効果によって無料お試しセットの利用を促したのです。
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カリギュラ効果とマーケティングの関係性とは?
「心臓が弱い方は観ないでください」というフレーズで観客の興味を惹いたり、「初めての方にはお売りできません」というフレーズで無料お試しセットの利用を促進したりするなど、カリギュラ効果は、行動を喚起する効果的なマーケティング手法の一つとして知られています。
「やりたい」「知りたい」「見たい」といった人間の好奇心や反発心理をうまく利用し、集客や購買行動の促進が期待できるため、カリギュラ効果とマーケティングは密接に関わっているといえるでしょう。
カリギュラ効果をマーケティングに活用する方法
カリギュラ効果をマーケティングに活用する方法としては以下の2つが挙げられます。
- 禁止・制限事項を盛り込む
- バーナム効果を組み合わせる
それぞれの方法について詳しくみていきましょう。
禁止・制限事項を盛り込む
ターゲットの行動に禁止・制限事項を盛り込みましょう。例えば、「ダイエットしたい人以外は買わないでください」、「ひとりでは見ないでください」など、ターゲットの行動を一部禁止・制限することで、ターゲットは逆に興味をそそられます。また、雑誌の「袋とじ」も、制限されることで購買意欲が湧く、カリギュラ効果を狙った仕掛けといえるでしょう。
カリギュラ効果はターゲットの興味を惹くことができるうえ、禁止・制限の要素を含んだフレーズはターゲットの目を引きやすいというメリットもあります。
バーナム効果を組み合わせる
バーナム効果とは、誰にでも当てはまるようなことを伝えているにもかかわらず、受け取った側が「自分のことだ」と感じる心理現象のことです。
このバーナム効果はカリギュラ効果と相性がよいといわれており、2つの心理現象を組み合わせて活用するケースが多くみられます。
例えば、女性向けの化粧品を売り出す際、「本気で綺麗になりたい人以外は使わないでください」というフレーズを使ったとします。化粧品の購入を検討している人の大半は「綺麗になりたい」という心理を持つため、フレーズ内にある「本気で綺麗になりたい人」と限定されることによってバーナム効果が生まれます。
そして、さらに「使わないでください」という禁止要素を含むことでカリギュラ効果が生まれ、より訴求力の高い表現にすることが可能です。
マーケティングにおけるカリギュラ効果活用の注意点
カリギュラ効果は、ただ単に「禁止・制限」しさえすれば、マーケティング効果を発揮するというものではありません。活用する際は以下3点に注意しましょう。
- 禁止・制限の理由を明確にする
- 制限ハードルは高くしすぎない
- 信頼関係を確立してから実行する
それぞれの注意点について1つずつ詳しく解説します。
禁止・制限の理由を明確にする
禁止・制限される側が理由を把握できなければ、ただ行動を禁止・制限されたことになるため、ターゲットはストレスや不満が溜まるのみです。
例えば、「クリックしてください」を、単に「クリックしないでください」と禁止する表現を使っても、ターゲットはなぜ行動を制限されているか分からず、カリギュラ効果は機能しません。理由がわからないことから、避ける行動を取ってしまうこともあるでしょう。
そのため、カリギュラ効果を活用する際は「痩せたくないならクリックしないでください」というように、必ず禁止・制限の理由を明確にすることが重要です。
制限ハードルは高くしすぎない
そもそもカリギュラ効果は、禁止・制限を乗り越えてターゲットに行動してもらうことが目的です。しかし、制限ハードルが高すぎると、「反発したところで乗り越えられない」というように行動する意欲ややる気が失われる可能性があります。
例えば、「先着1名」という制限はハードルが高く、ターゲットの行動意欲が失われるでしょう。この場合、「先着100名」といった適度な制限ハードルを設けることが大切です。
このように、禁止・制限する内容やハードルは、あくまでもターゲットが少し頑張れば乗り越えられるような内容にしましょう。
信頼関係を確立してから実行する
大前提として、行動を禁止・制限することはターゲットにストレスを与えるため、信頼関係を確立したうえでカリギュラ効果を実行することが大切です。
信頼関係の例としては、企業や商品・サービスの知名度、広告に起用するイメージキャラクターの認知度などが挙げられます。例えば、「痩せたい人以外は見ないで」というフレーズを一般人と有名トレーナーがそれぞれ発信した場合、有名トレーナーの言葉のほうが説得力を持ちます。
このように、カリギュラ効果を実行する際には、ターゲットとの信頼関係を確立できているかを事前に確認しましょう。
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カリギュラ効果をマーケティングに活用しよう
行動を禁止・制限することで、禁止・制限されたことが逆に気になってしまうというカリギュラ効果は、マーケティングにおいてよく活用されています。行動を禁止・制限するフレーズは、人々の目を引きやすいという性質を持つため、マーケティングの目的と相性がよい傾向にあることもその理由です。
カリギュラ効果でターゲットの行動を誘導しながら、効率的なマーケティングを実現しましょう。
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