ECサイト向けのCMSとは?メリット・デメリットやおすすめサービスを比較
Webサイト構築の主流となっている「CMS」。CMSにはWebサイト向けとECサイト向けの2種類があり、搭載機能に大きな違いがあります。本記事では、ECサイト向けのCMSについて、ECサイト構築に利用するメリット・デメリットや、おすすめ製品等を紹介します。
目次
ECサイト向けのCMSとは?
CMSは「Contents Management System」の略称で、専門知識がなくても簡単にWebサイトを構築・運用できるシステムです。CMSはコーポレートサイトやオウンドメディア向けと、ECサイト向けの製品に大別されます。
なかでもECサイト向けのCMSは、オンラインショッピングの運営に特化しており、商品の展示から販売までをスムーズに行えるように設計されています。ショッピングカート機能や決済システムや配送管理など、ECサイト運営に不可欠な基本機能が組み込まれている点が特徴です。ECサイトを手軽に立ち上げたい場合には、ECサイト向けCMSを選択した方が賢明と言えるでしょう。
▷【初心者向け】CMSとは?メリット・デメリットや種類、機能をわかりやすく解説
ECサイトの構築に必要なCMSの機能
ECサイト構築に欠かせない主要なCMSの機能について、詳しく紹介していきます。
顧客向けのフロント機能
一般的なECサイトの場合で必要となる顧客向けのフロント機能は以下の通りです。
- 検索機能
- 商品一覧画面
- ショッピングカート
- 決済サービス
- FAQ
- スマホ対応
ECサイト向けCMSには上記が標準搭載されているので、初心者でも迷わずに必要な機能を整えることができるでしょう。もし、これらの機能を通常のCMSで用意するとなると、複数のプラグインを活用する必要があり、ECサイト向けCMSと比較するとかなりの手間や費用が発生します。
管理者向けバックエンド機能
ECサイトを管理する側に必要な機能は下記の通りです。
- 商品・受注・在庫・配送の管理
- 顧客管理
- セキュリティ対策
- 売上集計管理
- レコメンド機能
これらの機能も、ECサイト向けCMSにはほぼ標準搭載されています。ECサイトには長年の商習慣で確立された「型」が存在するため、Webサイト自体に独自性を持たせる必要性はそれほど高くありません。それよりも、必要な機能をシンプルに整えて、素早く商品をリリースすることが大切です。ECサイト向けCMSは、そのようなニーズを確実に満たしてくれるでしょう。
ECサイトの構築にECサイト向けCMSを利用するメリット
ECサイトを専用のCMSで構築するメリットについて、以下に紹介していきます。
HTML/CSSなどの知識がなくても簡単にECサイトを構築できる
CMSを使用することで、HTMLやCSSなどの専門的なコーディング知識がなくても、誰でも簡単にECサイトを構築できます。
ECサイト向けCMSには、豊富なテンプレートやユーザーフレンドリーな作成ツールが最初から備わっており、初心者でも直感的なWebサイト構築が可能です。また、商品の追加、ページの編集、デザインの変更なども、基本的なクリック操作だけでカスタマイズが行えます。
ECサイト向けCMSを使えば、通常のCMSを利用するよりも圧倒的にスムーズに、プロフェッショナルなECサイトを立ち上げることができるのです。
商品の追加・修正などECサイトの更新作業を複数人でできる
ECサイト向けCMSを利用するメリットの一つに、複数のスタッフでECサイトの更新作業を行える点が挙げられます。
ECサイト向けCMSは、Webサイトのメンテナンスや商品情報の最新化が迅速に行えるように配慮されています。そのため、商品の追加や修正、プロモーションの更新などの作業を、異なる部署のスタッフとも共同で行うことができます。
これらは通常のCMSでも実現できる機能ではありますが、ECサイト向けCMSならばよりスムーズに導入することができるでしょう。
プラグインを追加することでデザイン・機能をカスタマイズできる
ECサイト向けCMSの強みの一つとして、プラグインの拡張性があります。これにより、Webサイトのデザインや機能を自由にカスタマイズすることが可能になります。
例えば、仮想通貨などの特殊な決済方法を実現するプラグインを導入すれば、より多くのユーザーが自由に買い物を楽しむことができるようになるでしょう。ECサイトに必要な機能はある程度限られているので、ECサイト向けCMSはこうした的を絞ったプラグインが、あらかじめ用意されています。
0からECサイトを構築するより費用を抑えられる
ECサイト向けCMSを使用することで、0からECサイトを構築する場合よりも、コストを大幅に削減することが可能です。この主な理由は、専門のデザイナーやエンジニアに依頼せずとも、テンプレートを活用して簡単にECサイトを構築できるためです。
さらに、継続的なWebサイトのメンテナンスやアップデートも、追加の費用をかけずに自ら対応できます。
▷【2024年最新】おすすめのCMS16選比較|種類や機能・選び方を解説
ECサイトの構築にCMSを利用するデメリット
ECサイト向けCMSでECサイトを構築するうえでは、一定のデメリットもあります。以下に解説します。
他サイトと類似したデザイン・構成になりやすい
多くのECサイト向けCMSでは、デザインに独自性をもたらすことが難しく、他のWebサイトと似た構成になりがちです。
豊富なテンプレートやカスタマイズ性が確保されているECサイト向けCMSが増えていることも確かです。しかし、そもそもECサイトは基本的な構造が決まっているため、デザインで差別点を生み出すことは難しいものです。結果として、自社独自のブランドアイデンティティを打ち出すことが困難になることがあります。
高度なカスタマイズをしたい場合はプログラミング知識が必要
ECサイト向けCMSを用いて、Webサイトに特定の機能やカスタムデザインを追加したい場合には、より高度な専門知識が求められることがあります。
高度なカスタマイズを実現するためには、JavaScriptやPHPなどのプログラミング言語に関する知識が求められます。プログラミング知識に詳しくない場合には、あらかじめ、求める拡張性を持つECサイト向けCMSを選ぶことがポイントになるでしょう。
セキュリティリスクがある
オープンソース型や広く普及しているECサイト向けCMSには、セキュリティリスクが伴うことがあります。
まず、オープンソース型CMSは、ソースコードが公開されているため、攻撃者にとってはターゲットとなりやすい側面があります。また、シェア率の高いCMSは攻撃者の標的になりやすいため、同じくセキュリティリスクを抱えがちです。
なお、無料のプラグインを利用する場合にも注意が必要です。これらのプラグインは非常に便利ですが、しばしば十分なセキュリティ対策が施されていないことがあり、Webサイト全体のセキュリティホールとなる可能性があります。ECサイト向けCMSを選ぶ際は、セキュリティ更新が十分に行われているか、開発者のサポート体制が整っているかをよく吟味しましょう。
▷CMSのセキュリティリスクとは?脆弱性や講じるべきセキュリティ対策
導入・運用費用がかかる
ECサイト向けCMSを利用するには、さまざまな費用が伴います。
具体的には、レンタルサーバーの利用料、ドメインの取得費用、そして商用であればCMSシステムの利用費などがこれに含まれます。これらの費用は、使用する製品やサービスの種類によって大きく異なります。しかし、Webサイトが成長しより多くのトラフィックやデータを扱うようになると、これらの費用はさらに増加する傾向があります。
一方で、ECサイト向けCMSを用いずにECサイトを独自開発する場合には、初期投資だけでなく、長期的なメンテナンスやアップデートにも高額なコストがかかることが多いです。それぞれの特徴を理解したうえで、目的に沿う方法を選択してください。
ECサイト向けのおすすめCMS比較
以下に、ECサイト向けのCMSを紹介していきます。
EC-CUBE
ECサイトの構築に特化したCMSとして、EC-CUBEが広く支持されています。
無料のオープンソース型、サポートやメンテナンスが組み込まれたクラウド型の2つのプランを選ぶことができ、推定3万5千店舗以上ものECサイト(開発元調べ)への導入実績を誇ります。自社システムや外部ツールとの連携はもちろん、オンライン予約・カスタムオーダー・LP型カート・リピート通販・ECモール・社内販売・オムニチャネルなど様々な販売形態を実現することができるでしょう。
提供元 | 株式会社イーシーキューブ |
初期費用 | Liteプラン:無料 Standardプラン:77,000円(税込) |
料金プラン | Liteプラン:7,480円(税込)/月 Standardプラン
|
機能・特徴 | ページ管理、フリーページ作成、ブロック機能、レイアウト管理、テンプレート機能、favicon設定、SEO管理、レスポンシブ対応、スマホ専用サイト機能、デバッグモード機能、プラグイン機能ほか |
URL | 公式サイト |
makeshop
makeshopはあらゆる業態・商材のECビジネスをサポートし、コストパフォーマンスに強みを持つECサイト向けCMSです。
売上手数料0円・カード手数料3.14%からと良心的な価格設定であり、売り上げが増えても手数料が増加しないシステムは、特に中小企業や個人事業主に人気があります。また、651つもの機能を備えており、どんな要求にも応えられるネットショップを実現してくれるでしょう。さらに、同一名義で複数の契約を結べば、2店舗目以降の初期費用が無料となるため、複数ショップを運営する際にも重宝します。15日間の無料体験がついているのも見逃せません。
提供元 | GMOメイクショップ株式会社 |
初期費用 | プレミアムプラン:11,000円(税込) makeshopエンタープライズ:110,000円(税込) |
料金プラン | プレミアムプラン:12,100円(税込)/月 makeshopエンタープライズ:60,500円(税込)/月 |
導入企業数 | 法人導入実績:12,000社以上(※2024年04月時点) |
機能・特徴 | 1クリックで越境ECサイト対応、かんたん出品連携、BtoB・会員制ショップ機能、クーポン・ポイント機能、SNS連携、文章AI生成、モールの一元管理、多彩な決済機能、デザインテンプレート、CSVでの一括登録ほか |
URL | 公式サイト |
Welcart
Welcartは、ネットショップに必要な機能を提供するオープンソースのフリーウェア(プラグイン)であり、WordPress上で動作することが大きな特徴です。
管理権限を集中させることで、ネットショップを構築、管理することでコストを極限まで下げることができるほか、構築からカスタマイズ、運用保守までをWelcartクラウドに任せることも可能です。また、 用途や運用に合ったオリジナルのネットショップを作るために、さまざまな拡張プラグインが用意されており、インストールすることで初心者でも簡単に機能を拡張することができます。
提供元 | 株式会社Welcart |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 無料 |
機能・特徴 | カート機能、定期購入商品の販売、商品登録、商品一括登録、配送方法の設定、送料個別課金、クレジットカード決済、コンビニ決済、会員システムの設定、会員ポイントの設定、HTMLメール、自動返信メール、受注数・金額の表示、ショップの設定、構造化データ、GA4自動連携ほか |
URL | 公式サイト |
ecbeing
ecbeingは15年以上中堅・大手企業のEビジネスを支えてきた、柔軟性&拡張性を兼ね備えたECプラットフォームです。
最大の強みは、売上を向上する為の課題や施策・仮説検証を可能とする、分析から施策実施の一連の流れを機能として提供していることです。キャンペーンの実施結果による売上把握だけでなく、ユーザーの属性やエリアなど付帯的な情報の取得や分析の絞り込み、セグメント化までを行えます。また、購買情報だけでなく、購買に結びつかなかった場合の分析も可能です。ボトルネックとなるページの離脱理由までを解析し、離脱防止の施策などの具体的施策も実施することができるでしょう。
提供元 | 株式会社ecbeing |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 | 最短2クリック購入、リッチサジェスト、多角的な商品訴求、会員登録時のEFO、注文状況を一目で確認、代理注文、見たまま操作できる、LP作成・ブログ機能、カスタマーサポート機能、基幹系システム・他サービスとの連携ほか |
URL | 公式サイト |
Shopify
Shopifyはその使いやすさと機能性から、世界中で広く利用されているECサイト向けCMSです。
特に小規模から中規模のビジネスに適しており、世界170か国以上、数百万を超えるユーザーに活用されています。Shopifyの魅力の一つは、その豊富なデザインテンプレートとカスタマイズオプションです。ブランドに合わせたユニークなWebサイトを作成することが可能となるほか、バックオフィスの効率化にも優れたサポートを提供してくれるでしょう。また、組み込まれているSEO機能、販売チャネルの統合(SNSやマーケットプレイス連携)、多言語対応など、国際的な販売をサポートする機能も充実しています。
提供元 | Shopify Inc. |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 年払い
月払い
|
機能・特徴 | オンラインストアビルダー、テーマストア、Shopifyアプリストア、Shop Pay、Shopify POS、マーケティングスイート、在庫管理、決済の追跡、資金管理ほか |
URL | 公式サイト |
ECサイト構築に使うCMSの選び方
ECサイトを成功させるためには、適切なCMSの選択が非常に重要です。ECサイト構築におけるCMSの選び方を紹介します。
ECサイト向けのCMSか確認する
CMSを選択する際には、製品がECサイトに特化しているかどうかを確認しましょう。
一般的なWebサイト向けCMSとECサイト向けCMSは、提供する機能に大きな違いがあります。ECサイト向けのCMSは、商品の展示から注文管理、決済処理に至るまで、オンラインでの販売に必要な全ての機能を網羅していますが、一般的なWebサイト向けCMSでは、これらの商取引特有の機能が含まれていないことが多いです。もし、手軽にECサイトの運営を始めたいのであれば、ECサイト向けCMSを選択するのがおすすめです。
ECサイトの規模・用途にあっているか確認する
ECサイトを構築する際には、CMSがサイトの規模や用途に適しているかどうかを検討することが重要です。
例えば、取り扱う商品の数や予想されるアクセス量に応じて、CMSが提供するデータ容量が十分かどうかを確認する必要があります。また、ECサイトが主に国内向けなのか、越境貿易を目指すのかによっても、必要な機能や対応言語、通貨のサポートが異なります。国内向けの場合は、日本語のサポートや消費税計算が正確に行えるか、越境向けの場合は多言語対応や国際配送の管理機能が充実しているかもポイントとなるでしょう。
管理者のスキルにあっているか確認する
CMSを選ぶ際には、そのシステムが現在の管理者の技術的スキルや、専門知識に適合しているかを検討することが重要です。
例えば、Webサイトのカスタマイズや特定の機能の追加にプログラミング知識を必要とする場合、管理者がスキルを持っていないと運用が困難になる可能性があります。そのため、CMS選びでは、利用者が直感的に理解しやすいかどうか、必要なトレーニングやサポートが提供されているかどうかを確認することが肝心です。
▷自社に適したCMSの選び方!選定のポイントや注意点を詳しく解説
CMSを利用してECサイトを構築する際の注意点
CMSを使用してECサイトを立ち上げる際には、いくつかの重要な注意点があります。以下に解説します。
費用・作業工数が増えるため例外的なページは作らない
CMSを利用してECサイトを構築する際には、キャンペーンページなどの例外的なページの作成は最小限に抑えるべきです。
これらのページは、一時的な存在であるにもかかわらず、設計、実装、テストといったプロセスが通常のページと同様に求められます。結果として、これらの一時的なページのためにかかるコストと時間は、Webサイト全体の運営効率を下げる原因となり得ます。
例外処理を可能な限り減らすことが、ECサイトの運営コストを下げるポイントです。
属人化しないよう運用体制を構築する
CMSを利用したECサイトの管理では、属人化を防ぐための運用体制の構築が不可欠です。
属人化とは、特定の個人に依存した運用状態を指し、その人が不在の場合、サイト運営に支障をきたすリスクがあります。属人化を防ぐためには、マニュアルの整備や作業の簡素化が重要です。マニュアルには、日常的な更新作業からトラブル時の対応策までを明確に記載し、誰もが容易に理解し実行できるよう工夫しましょう。また、定期的なスタッフの教育やトレーニングも、作業スキルの向上に効果的です。
CMSを利用してECサイトを簡単に構築しよう
ECサイト向けCMSを活用すれば、技術的な専門知識がなくても、誰でも簡単にECサイトを運営することが可能です。
ECサイト向けCMSは多様なテンプレートやユーザーフレンドリーな操作性を提供し、商品の追加や在庫管理、顧客対応といった日常業務を効率的に行うための機能を備えています。さらに、属人化を避けるための運用体制の構築や、多くの顧客を呼び込むためのマーケティング施策を備えれば、ECサイトの成功率はより高まるでしょう。ECサイト向けCMSの特徴を深く理解して、より優れたECサイトの運営に役立ててください。
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