CMSを自作する方法とは?手順やメリット・種類を解説
Webサイト構築・運用に不可欠なツールとなっている「CMS」。世界中で多くのユーザーに利用されていますが、CMSは自作することも可能です。本記事では、CMSを自作する方法について、自作のメリットや手順をCMSの仕組みとあわせて解説します。
目次
CMSとは?
CMSとは「Content Management System」の略称で、誰でも簡単にWebサイトを構築するために開発されたシステムです。Webサイトを形成するテキストや画像、デザイン、レイアウトなどを一元管理し、必要に応じてデータを抽出してWebページを生成してくれます。
専門的な技術や知識がなくても、直感的な操作でWebサイトを構築できるため、世界中のWebサイト構築に広く利用されています。
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CMSの種類
CMSにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴があります。主要なCMSの種類を紹介し、それぞれがどのような用途に適しているかを解説します。
オープンソース型CMS
オープンソース型CMSは、ソースコードが公開されているため、誰でも無料で利用、改変、再配布が可能なCMSです。
オープンソース型CMSは、利用者の要望に応じて自由自在にカスタマイズできるため、特定のビジネスニーズに合わせたWebサイトやアプリケーションを構築することが可能です。また、世界中の開発者によって多様な機能が追加され、セキュリティが強化され続けている点も強みと言えるでしょう。
シェア率の高さから有志コミュニティによる技術サポートも充実しており、多くのユーザーが遭遇する問題に対する解決策が共有されています。このような特性から、オープンソース型CMSは初心者からプロフェッショナルまで、幅広い層に選ばれています。
パッケージ型CMS
パッケージ型CMSは、特定のベンダーが開発した製品をライセンス購入し、自社のサーバーに直接インストールして使用するCMSです。
パッケージ型CMSの最大の特徴は、製品が完成された形で提供されるため、導入後すぐに安定した環境で利用を開始できる点にあります。また、ベンダーから技術サポートやアップデートがこまめに提供されるため、技術的な問題が発生した際にも迅速な対応を受けることが可能です。
安全性や信頼性が求められるビジネスシーンでの使用に適しており、大企業や官公庁など、高いセキュリティと継続的なメンテナンスサービスを必要とする環境でも活用されています。
クラウド型CMS
クラウド型CMSは、インターネットを通じて利用するCMSです。物理的なサーバー設備を自社で用意する必要がなく、即座に運用を開始できる手軽さが魅力です。
サーバーの管理やシステムのメンテナンスをベンダーが全て行うため、ユーザーはシステムの運用に関する細かな心配から解放されます。特に小規模から中規模の企業に適しており、初期投資を抑えつつ迅速にCMSを導入できるメリットがあるでしょう。
また、アップデートやセキュリティ対策もベンダーによって常に最新の状態に保たれるため、初心者でも安心して使用することができます。クラウド型CMSは、手軽さとコストパフォーマンスの良さから、多くの企業に支持されています。
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CMSを自作するメリット
一定の技術力さえあれば、CMSは自作することが可能です。
自社向けにカスタマイズできるCMSを構築してしまえば、独自のビジネス要件に間然に適合したWebサイトを運用することができるでしょう。以下に、自作CMSがもたらす具体的なメリットを紹介します。
CMSのデザインや機能を自由にカスタマイズできる
自作CMSの魅力の一つは、見た目や機能を際限なくカスタマイズできる点です。既存のCMSでは用意されているテンプレートや機能に限りがありますが、自作CMSではあらゆる要求に合わせて、デザインや機能をゼロベースで設計することが可能です。
例えば、特定のデータの表示方法やユーザーインターフェースを自社の業務フローに最適化できます。また、運用中に新たなニーズが生じた場合でも、迅速にシステムへの反映が行えます。
こうした柔軟性は、Webサイトを市場の変化に対応させるための大きな助けとなるでしょう。つまり、既存のCMSに物足りなさを感じる場合には、自社でCMSごと作成することが最適解となる場合もあるのです。
バージョンアップをする必要がない
自作CMSの大きな利点として「無理なバージョンアップをする必要がない」という点が挙げられます。
既存のCMSでは、新機能の追加やセキュリティ更新のために定期的なバージョンアップが必須であり、システムの停止時間が伴うこともあります。また、バージョンアップによって既存の機能が影響を受け、都度調整を余儀なくされることも少なくありません。
しかし、自作CMSでは外部の更新スケジュールの影響を受けず、自社のタイミングで改修や機能追加を行うことが可能です。特に、メンテナンスによる稼働停止が厳しく制限される金融システムなどを扱う場合には、このメリットは決定的な強みとなるでしょう。
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CMSを自作する手順
CMSを自作するには、計画的なステップが必要です。必要な手順について、簡単な流れを解説していきますので、必要性を検討する材料としてください。
CMSを活用したWebサイト公開の仕組みを把握する
まずは、CMSがWebサイトを管理している仕組みを理解しましょう。
基本的には、Webサイトのコンテンツを管理しつつ、ユーザーに求められたデータを都度合成して、ユーザーに提供することがCMSの役割です。
CMSがWebサイト向けに作成されたコンテンツを保存し、ユーザーに提供するまでの大まかな流れは以下の通りです。
- コンテンツの入力: Webサイト管理者はCMSを使用して記事や画像などのコンテンツを入力する。
- データベースへの保存: 入力されたコンテンツはデータベースに保存され、インデックスごとに整理される。
- 情報の抽出 :ユーザーがWebサイトを訪れると、CMSはデータベースから適切な情報を抽出する。
- Webページの生成: 抽出された情報は、設定されたテンプレートに従ってWebページとして構成される。
- 情報の公開: 最終的に構成されたページがユーザーのブラウザに表示され、情報が公開される。
つまり、1〜5の工程を行える仕組みを任意のプログラム(JavaScript、PHP、MySQLなど)で構築し、分かりやすい管理画面を加えれば自作CMSが完成します。
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Webサイトに必要なインデックスを用意する
自作CMSでWebサイトを管理するには、情報の整理と迅速なアクセスを実現するためのインデックスが不可欠です。
インデックスとは、Webサイトのコンテンツを「カテゴリ、タグ」といった要素ごとに分類し、CMSが求める情報を素早く見つけられるように管理する仕組みです。コンテンツをパーツごとに細分化したものと考えるとイメージしやすいかもしれません。
インデックスは、主に次のような種別で構成されています。
- タイトル:各コンテンツの主題を表すクリアな表記
- カテゴリ:コンテンツを大まかに分類する項目
- サブカテゴリ:カテゴリ内でさらに細分化された分類
- タグ:コンテンツの内容を表すキーワードや短フレーズ
- 制作日:コンテンツが作成された日付
これらのインデックスを事前に細かく設定しておくことで、CMSはコンテンツの更新や公開をスムーズに行うことができるようになります。インデックスが付与された情報(後にコンテンツとなるパーツ)はデータベースに保存されるので、それらがどのように組み立てられるかをCMSに理解させれば、自作CMSが機能する土台が整います。
インデックスの適切な整備はコンテンツの表示速度にも影響するため、ユーザーのサイト体験を向上させるためにも重要です。
データベースに登録するための管理画面を作成する
インデックスの整備が済んだら、データベースに情報を登録するための管理画面を作成しましょう。自作CMSを効率的に運用するためには、直感的に操作できるGUI(グラフィカルユーザインタフェース)の管理画面が必要なためです。
管理画面の作成プロセスは、まず必要な機能を洗い出すことから始めます。なるべくWebサイトの運用者が直感的に操作できるような設計とし、フロントエンドはJavaScriptなどで構築し、バックエンドはPHPやPythonを使用してデータベースと連携するとよいでしょう。
適切に設計された管理画面は自作CMSの要であり、その使いやすさがコンテンツ管理の効率を大きく左右します。不要な要素は削減するなどし、システムの利便性向上を図りましょう。
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CMSは自作できる!仕組みを理解して挑戦してみよう
CMSは、外注せずとも自作することが可能です。一見すると複雑に見えるCMSの仕組みも、基本を理解すれば意外とシンプルだと理解できるはずです。当記事で紹介した手順を参考に、自社やプロジェクトに合ったCMSを作成し、より効率的なコンテンツ管理とWebサイト運用を推進してみてはいかがでしょうか。
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