CTIの導入によって顧客管理は効率化できる?失敗しないポイントやメリット
顧客管理システムと連携させるべきシステムとして挙げられる、CTI。どちらも電話対応業務を効率よく進めるために必要なシステムですが、CTIの導入で顧客管理を効率化できるのでしょうか。本記事では、CTIで顧客管理を行う方法や導入に失敗しないポイントなどを解説します。
目次
顧客管理とは?
顧客管理とは、企業が顧客に関する重要な情報を体系的に管理することです。具体的には、顧客の名前や連絡先、購入履歴などのデータを収集し、これらを整理、保管します。
こうした情報を管理することで、顧客との関係を強化し、最適なサービスを提供することにつながります。情報を分析し、顧客が必要なものを適切なタイミングで提供することで、顧客満足度を高め、長期的な顧客ロイヤルティを築くことができるのです。
顧客管理を支援するためのシステムとしては、CRM(顧客関係管理)が広く利用されています。CRMシステムは、顧客データの収集から分析、活用までを一元化するため、より効果的な顧客管理を実現可能です。
CTIとは?
CTI(Computer Telephony Integration)は、コンピューターと電話やFAXを統合する技術です。
この技術によって、例えば、受信した電話番号から自動的に顧客のデータベースを検索し、該当する顧客情報を画面に表示することができます。また、電話を使ったキャンペーンの結果をリアルタイムで分析することも可能です。
CTIは特にコールセンターや顧客サポートセンターで有効活用されている技術です。顧客からの問い合わせについてコンピューターで管理することで、オペレーターの業務効率を大幅に向上させることができます。
対応がスムーズになれば、顧客サービスの質の向上にもつながるでしょう。
▷CTIとは?導入する目的や搭載している機能・メリット、おすすめのシステムをわかりやく解説
CTIで顧客管理を行う方法
CTIを活用すると、電話対応業務が効率的になり、顧客とのコミュニケーションが一段とスムーズに進みます。ここでは、CTIで顧客管理を行う具体的な方法を見ていきましょう。
CTIシステムと顧客管理システムを連携させる
CTIシステムと顧客管理システムを連携させることで、顧客サービスの質を向上させることができます。
まずはシステム間の互換性を確認し、データの整合性が確実に保たれることを確認しましょう。また、セキュリティ対策をしっかりと行うことで、顧客情報の漏洩リスクを最小限に抑えることも重要です。
加えて、システムを導入する際には、オペレーターや担当者がスムーズに操作できるよう、適切なトレーニングを行うことも欠かせません。適切なトレーニングによってシステムの利用効率が高まり、顧客対応のスピードと精度が向上するでしょう。
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CTIシステムに顧客管理機能を追加する
CTIシステムに顧客管理機能を追加する際には、いくつかの注意点が必要です。
最も重要なのは、システムが顧客データを正確に処理し、保持できるようにすることです。データの一貫性と正確性を保証するために、データベースの構造を適切に設計することが求められます。また、システムを更新する際には、既存のデータに影響を与えないように慎重に行わなければなりません。
また、システム導入後は、継続的なメンテナンスを行いましょう。正しい顧客情報を保持することで、CTIシステムは強力な顧客管理ツールとして機能し、顧客満足度の向上につなげることができるのです。
CTIと顧客管理システムを連携させるメリット
CTIシステムと顧客管理システムを連携させることには多くのメリットがあります。ここでは具体的なメリットについて見ていきましょう。
顧客満足度の向上が図れる
CTIと顧客管理システムを連携することで、顧客満足度の向上を図ることができます。
CTIによって、電話をかけてきた顧客について、顧客管理システムに保存されている情報を画面上に即座にポップアップ表示することが可能です。これにより、オペレーターは電話を取る前にその顧客の過去の取引履歴や、これまでの対話の内容を確認でき、それらの情報を基にして対応を行うことができます。
顧客からの問い合わせに対して、より個別化されたサービスを提供することにつながるため、顧客満足度が向上するでしょう。
このように、CTIの技術は顧客との接点をより価値あるものに変え、顧客の期待を超えるサービスを提供する助けとなります。
顧客情報の共有が容易になる
顧客の個人情報や取引履歴などの重要なデータを一元管理することできる点も、CTIと顧客管理システムを連携させるメリットです。
システムを連携させることで情報の共有も容易になるため、部門間でのコミュニケーションもスムーズに行えるようになるでしょう。例えば、ある顧客への対応が必要な際に、異なる部門の社員も簡単に情報にアクセスすることができます。
このように、顧客に対するサービスの一貫性を保つことで、顧客体験を向上させることにもつながります。
顧客トラブル防止につながる
CTIと顧客管理システムを連携させると、過去の対話履歴やクレーム内容を一元管理できるようになるため、顧客とのトラブルを未然に防ぐことができます。
顧客サービス担当者やオペレーターが顧客とのこれまでのやり取りや過去に発生した問題、懸念を把握することができるため、類似の問題が再発するリスクを減らせるのです。
システムを活用して顧客情報を迅速かつ正確に把握し、顧客トラブルを効果的に防止するためにも、CTIと顧客管理システムを連携させましょう。
▷CTIの導入に失敗しない選び方!失敗事例や成功させるポイント
CTIと顧客管理システムを連携させるデメリット
CTIシステムと顧客管理システムを連携させることには多くのメリットがある一方で、デメリットも考慮しなければなりません。
特に、既存のシステムが互換性を持たない場合、新しいシステムへの移行や追加機能の導入には余分な費用が発生します。特に、新しいソフトウェアの購入費用だけでなく、システムの設定や従業員の再教育に関わるコストも必要な点には注意が必要です。また、システムを変更することで、一時的に業務効率が低下する可能性もあります。
これらのデメリットを事前に理解し、計画的に対策を講じることでCTIと顧客管理システムの連携を成功させましょう。
CTIの導入を失敗させないポイント
CTIシステムの導入を成功させるには、いくつか重要なポイントがあります。ここでは具体的なポイントについて解説します。
自社の顧客管理システムと連携できるか確かめる
CTIシステムを導入する際には、既に使っている顧客管理システムと連携が可能かを確認することが非常に重要です。互換性がない場合、システムの導入や利用の際に問題が発生することがあります。
自社のシステムとスムーズに連携できるかを確かめることで、不必要なコストや手間を避けることにつながります。
誰でも使いやすいシステムを選ぶ
CTIシステムの導入を成功させるためのポイントの一つとして、誰でも簡単に使えるシステムを選ぶことも挙げられます。
すべての従業員がパソコンスキルに長けているわけではないため、シンプルな操作性を持つシステムを選定するのがおすすめです。使いやすいシステムを導入することで、社内のトレーニングコストと時間を削減できるだけでなく、スタッフのストレスも軽減されるでしょう。
また、操作が簡単であれば、誤操作によるミスの発生確率が下がり、全体の業務効率が向上する効果も期待できます。ユーザーフレンドリーなシステム選びは、CTI導入の成功へと直結するのです。
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自社の事業形態に合ったシステムを選ぶ
CTIシステムは、自社の事業形態に最適であることが非常に重要です。
CTIシステムには、主にインバウンド型とアウトバウンド型の2種類があります。インバウンド型は顧客からの電話を効率的に受けることに特化しており、カスタマーサポートやヘルプデスクに最適です。一方のアウトバウンド型は、テレマーケティングやアポイントメントなど、顧客に発信する業務に適しています。
自社の主な業務が顧客からの問い合わせに対応することが多い場合はインバウンド型を、顧客へのアプローチが中心の場合はアウトバウンド型を選ぶようにしましょう。自社の事業形態に合ったシステムを選ぶことで、顧客サービスの質を向上させることができます。
▷CTIのアウトバウンド・インバウンドとは?違いや種類・おすすめツールを紹介
サポート体制が充実しているか確かめる
充実したサポート体制が整っているかどうかも、導入するCTIシステムを選定する際の基準になります。
技術的な問題や操作に関する疑問が生じた場合でも、迅速かつ適切に対応してくれるサポートサービスがあることで、システムのダウンタイムを最小限に抑え、業務の連続性を保つことができるためです。
また、良質なサポート体制があることで、システムのアップデートやセキュリティ対策の面でも安心を得られます。
サポートの可用性、対応時間、提供されるトレーニングの質などを事前に詳しく調べ、自社のニーズに合致するかを慎重に検討するようにしましょう。
CTIの導入事例
ここでは、実際にCTIシステムを導入した企業の事例を紹介します。自社にCTIを導入した場合をより具体的にイメージするのに役立つでしょう。
株式会社トゥレフェリーチェ
株式会社トゥレフェリーチェは、通信販売業界に特化したコールセンター業務を行っている企業です。
同社では、アウトバウンドである顧客への発信を手動で行っていたため、オペレーターに負担がかかっていました。また、ミスが発生してしまうことも手動だからこその課題でした。
そこでCTIシステムの導入を決定。自動発信機能(プレディクティブコール)のあるシステムを選んだことで、オペレーターが手動で番号を入力し、つながるのを待つ必要がなくなりました。オペレーターは顧客につながった電話に対応するだけで済むようになり、発信の手間が軽減され、呼び出しコール数も3倍に増加したのです。操作が簡単でトレーニングも短時間で済み、スムーズに活用できるようになりました。
[出典:株式会社アイ・ピー・エス・プロ「AmeyoJ導入事例:約1時間で使い始められるカンタン設計」]
オリックス・クレジット株式会社
金融サービスを提供するオリックス・クレジット株式会社は、2002年にコールセンターを立ち上げ、2007年以降オンプレミス型のCTIシステムを利用してきました。しかし、システム保守の負担が大きい点や音質の不安定さに課題を感じ、クラウド型のCTIシステムに切り替えることを決定したのです。
クラウド型にすることで、自社でのシステム保守の必要がなくなり、運用コストを10%以上低減することに成功しました。さらに、席替えに連動するシステムの設定変更も、ベンダーに依頼することなくアプリ上で行えるようになったため、本来の業務に集中できるようになったのです。
[出典:TIS株式会社「オリックス・クレジットが、TISの『TIS CTI Cloud』を採用~ オンプレミス環境からの移行で、システム運用コストの低減とコールセンター業務の効率化を実現 ~」]
株式会社ドリームファクトリー
株式会社ドリームファクトリーは、美容健康や医療機器などの製造販売を行っているメーカーです。カスタマーサービス課で顧客からの電話対応を行っていましたが、以前はコールセンター用のシステムを導入しておらず、出られる人が電話に出るという状況が続いていました。
2020年4月以降は新型コロナウイルス流行の影響でコールセンターを在宅でも行えるようにするという課題が生じ、CTIシステムの導入を決定したのです。在宅でもコールセンターの業務ができるようになったことで、子育てや介護といった家庭の事情を抱える従業員も柔軟に働けるようになりました。
[出典:株式会社アイ・ピー・エス・プロ「AmeyoJ事例集:在宅リモート事例」]
CTIを導入し顧客管理を効率化しよう
CTIシステムを導入し、顧客管理システムと連携させることで、顧客管理の質と効率を大幅に向上させることができます。CTI技術を活用して、顧客管理の新たな可能性を探求しましょう。
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