製造業で注目されるデジタルツインの活用方法とは?導入事例も紹介!

2022/7/1 2022/07/01

デジタル化

製造業とデジタルツイン

近年、注目されるデジタルツインは製造業でどのように活用されているのでしょうか。本記事では、デジタルツインとは何かや製造業での活用方法、導入事例を紹介します。製造現場にデジタルツインを導入したいと思っている方はぜひ参考にしてください。

デジタルツインとは?

デジタルツイン(digital twin)とは、物理的なモノと対応する仮想モデルを作ることを意味します。デジタルツインを用いると、将来の事象についてデジタル空間で予測することが可能になります。

デジタルツインの対象となる「モノ」とは、自動車・ビル・橋・ジェットエンジンなどで、フィジカル(物理)空間のモノをデジタル空間に再現するのがデジタルツインの本質です。

物理的なモノに対応するデジタルなモノが、ツイン(双子)と呼ばれています。物理的なモノに接続したセンサーによってデジタルデータを収集することで、そのデータを仮想モデル上にマッピングします。

そうすることで、デジタルツイン(仮想モデル)を見る人が、その物理的なモノが現実の世界でどのように動いているかを理解できるようになります。

このようなデータからシミュレーションの実行や性能問題の調査、改良のための洞察が得られるのです。そのため近年、デジタルツインは、製造業をはじめ様々な分野で注目されています。

デジタルツインは、エンジニアやオペレーターが、製品の性能だけでなく、分析を行うためにも不可欠なツールとされています。

接続したセンサーからデジタルデータを収集・分析し、他の情報源と組み合わせることでより正確な予測ができるようになります。

デジタルツイン導入で得られるメリット

デジタルツインの導入には、以下の4つのメリットがあります。

(1)コストの削減やリスクの低減ができる

デジタルツインの活用は、コストの削減やリスクの低減に寄与します。たとえば、自動車のブレーキシステムをテストするエンジニアは、コンピュータシミュレーションを実行して、実際のさまざまなシナリオでシステムがどのように機能するかを理解します。

この方法は、実際に車を何台も作ってテストするよりも、はるかに迅速かつ低コストで行えるというメリットがあります。ブレーキシステムをテストする場合、人間がブレーキを踏む必要もなくなることから、安全に製品テストを実施できるのもメリットです。

(2)問題解決の精度やスピードを上げられる

デジタルツインを利用すれば過去製品の製造工程のデータなどを抽出できます。

過去製品の製造工程のデータを活用することで、新製品で問題が起きた際に、製造工程が原因で問題が起きたのか、設計段階が原因で問題が起きたのかを判断できるようになり、問題解決の制度やスピードを向上させることができるのです。

(3)設計や製造におけるリードタイムが短縮される

デジタルツインを利用することで、物理的な試作品を用意する必要がなくなります。これによって、試作品を作ることによる労力を削減でき、設計までの所要時間であるリードタイムを短縮することが可能です。

また同様に、製造におけるリードタイムの短縮も可能です。デジタルツインを利用することで、今この瞬間に製造現場で起きているプロセスを正確に再現することができます。

そのため、製造プロセスの稼働状況や製造機械に対する負荷をデジタルツインで再現することで、製造時のリードタイムを短縮することを可能とします。

(4)顧客のニーズに合った製品の開発ができる

デジタルツインを活用すれば、すでに現実世界で使用されている製品からデータを得ることも可能です。

製品の使用状況についてデータ収集することで、どのような影響を受け、どのような負荷がかかっているかを把握できるようになります。このデータを新製品の開発に活かすことで、より顧客のニーズに合った製品の提供が実現します。

製造業におけるデジタルツインの活用方法3選

製造業での活用が多いデジタルツイン。以下で3つの活用方法を紹介しています。

活用方法その1: 製品設計時

デジタルツインは製品設計時から活用することができます。部品や製品を仮想空間で設定したうえで、コンピューターネットワーク上のサイバー空間で試作品を作成。デザインを確認すれば、コストを削減しながら素早く安全に製品設計を確認することが可能です。

製造業において試作の手間を減らすことが、デジタルツインのポピュラーな活用方法です。

活用方法その2: 製品製造時

製品の設計時におけるデジタルツインの活用は急速に進んでいます。設備、機器などをデータ化し、仮想モデルで再現することで、製造プロセスの改善をはじめ、設備・機器の安全な利用を可能とします。

活用方法その3: サービス提供時

製品の設計時や製造時にだけデジタルツインが活用されているわけではなく、デジタルツインの活用はサービス提供時にまで広がっています。

例えば、バッテリーの消耗レベルをデジタルツインで再現することで、消費者に適切なタイミングで製品のサポート案内を送信できます。

製品が顧客の手に渡った後の状況をデジタルツインで再現することで、製品状況の把握や寿命を予測。適切なタイミングでのアフターフォローも実現が可能でです。

製造業におけるデジタルツイン活用事例

製造業の現場で、デジタルツインはどのように活用されているのでしょうか。以下でデジタルツインの活用事例を紹介しています。

(1)トヨタ自動車

トヨタ自動車は、スマートシティの取り組みを、NTTと協業で行うことを2020年に発表。スマートシティの実現に向けて注目されているのがデジタルツインです。

トヨタ自動車はデジタルツインを活用し、都市で起こる渋滞データをシミュレーション。自動運転車を制御することで、渋滞のない社会の実現を目指しています。

スマートシティをいきなり現実の世界に作り出すことは難しいため、まずはデジタル環境でリアルなスマートシティと同様の仮想モデルをつくることで、スマートシティの開発・設計に役立てているのです。

(2)デンソー

デンソーは乗⽤⾞・バス・トラックなどの多種多様なモビリティ(移動手段)をクラウドで一つに繋げることにより、仮想のデジタル都市空間で現実の交通社会を再現する技術の開発に取り組んでいます。

デジタルツインを利用してシミュレーションし、その結果を各種移動手段やサービスにフィードバックするシステムを開発。具体的な利用方法は交通予測です。

移動手段ごとにデータを収集して、天候の変化や交通状況を踏まえておすすめのルートを検索したり、渋滞が発生しないようにするシステムの開発に、デジタルツインが活かされています。

(3)BMW

BMWとエヌビディアは共同でバーチャルファクトリーの構築に着手。BMWでは、顧客に対して豊富な選択肢を提供するために、多種多様なモデルの車を製造しています。こうした多種多様な製造プロセスを効率化するためにデジタルツインを利用。

製造用のロボットはもちろん、作業員・施設建物・組み立て部品など、製造に関わるすべての要素をデジタルツインによってシミュレーションすることで、製造プロセスの最適化を目指しています。

(4)韓国MORAI

韓国MORAIは、自動運転システムについて仮想テストするためのソリューションを開発している企業です。同社は高精度の地図データをデジタルツインに変換することを強みとしています。

韓国MORAIのデジタルツインを活用することで、自動運転をテストするためのシュミレーションを行うことが可能です。

デジタルツインの活用は自動運転システムの安全性向上に寄与します。実際の都市空間で自動車をテストする必要がないため、安全かつ効率的に自動運転システムをテストできるようになります。

製造業DXの鍵はデジタルツイン?

デジタルツインの導入は、これから製造業におけるDX(Digital transformation)を進めていくために非常に重要です。以下では、DXの手段として、デジタルツインがどれだけ有効であるかについて説明していきます。

(1)DX成功の鍵は大量のデータ収集とその活用

DXを成功させるためには、大量のデータを収集し、それを活用しなければなりません。大量のデータを収集したとしても、それを現実の世界で活用するのは非常に困難です。しかし、大量データの収集と活用はデジタルツインによって解決することができるのです。

製造業において、センサーなどで収集した大量のデータは、様々な用途で活用可能です。日々の生産実績データを利用することで、生産プロセスの最適化を図ることができるでしょう。

一方、設備稼働データを利用すれば、製造量に対してどれくらいの設備稼働が必要か予測できます。このようにDXの成功の鍵は、大量のデータを収集しいかに活用するかにかかっています。

(2)デジタルツインがその役割を担う

デジタルツインを活用すれば、膨大なデータの収集・分析をデジタルの世界で完結させることが可能です。デジタルツインを利用しない場合、大量のデータを活用するのは困難です。

しかし、製品の設計や製造プロセスの効率化、そしてユーザーのニーズを調査する際も、デジタルツインを活用することで効率的かつ安全にシミュレーションすることが可能となります。

デジタルツインを使うことで仮想モデルを活用し、デジタル上で様々な目的を達成できるのです。こうしたシミュレーションを可能とするためには、大量のデータ収集が鍵となります。

つまり、DX成功の鍵は、データを収集し、それをいかに活用できるかにかかっており、デジタルツインがその具体的な手段となる可能性を秘めているのです。

デジタルツインでDXを飛躍的に推進

デジタルツインを上手く活用すれば、今後、DXを飛躍的に推進することができるでしょう。

特に、製造業におけるデジタルツインの活用度は、今後、会社全体の業績を左右するほど重要となる可能性があります。すでに大手の製造業はIT企業と協同しながら、設計・製造プロセスにデジタルツインの活用を進めています。

今後、DXの取り組みを推進するために、デジタルツインの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

次に読みたいおすすめ記事

  • ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームまたは、お電話からお問い合わせください。

    お問い合わせはこちら

    TEL:0120-987-053(無料)
    【受付時間】10:00~18:00(土日祝を除く)

ビズクロ編集部
「ビズクロ」は、経営改善を実現する総合支援メディアです。ユーザーの皆さまにとって有意義なビジネスの情報やコンテンツの発信を継続的におこなっていきます。

おすすめ関連記事

なりすましメールとは?仕組みや見分け方・有効な対策方法まで解説!

2022/8/5

メール配信システム

2022/8/5

メール配信システム

メルマガが迷惑メール扱いに?原因と回避するための13項目をチェック!

2022/8/5

メール配信システム

2022/8/5

メール配信システム

【簡単】業務フローマニュアルの作成方法!コツやおすすめツールを紹介

2022/8/5

マニュアル作成ツール

2022/8/5

マニュアル作成ツール

業務効率化とは?生産性向上との違いやメリット・有効な取り組みを解説

2022/8/5

業務効率化・業務改善

2022/8/5

業務効率化・業務改善

人時生産性とは?注目される背景や算出する計算式・向上施策を解説

2022/8/5

生産性

2022/8/5

生産性

エクセルで営業管理はできる?欠点やSFAを導入すべき理由について

2022/8/5

SFA(営業支援システム)

2022/8/5

SFA(営業支援システム)

業務改善コンサルティングとは?活用メリットや依頼費用の相場を解説

2022/8/5

業務効率化・業務改善

2022/8/5

業務効率化・業務改善

ダイバーシティと働き方改革の関係とは?企業の具体的な取り組みも解説

2022/8/5

ダイバーシティ

2022/8/5

ダイバーシティ

スマホで経費精算が便利!導入メリットやおすすめシステム17選を紹介

2022/8/5

経費精算システム

2022/8/5

経費精算システム

経費精算の業務改善ってどうやるの?今すぐやるべき4つの施策

2022/8/5

経費精算システム

2022/8/5

経費精算システム