ダイバーシティにおける個人の考え方や身につけるべきスキルとは

2022/7/31 2022/07/31

ダイバーシティ

多様なメンバーによる意見交換・ダイバーシティ

多様な文化や価値観などを受け入れていくダイバーシティという考え方。グローバル化などに伴い注目されているダイバーシティですが、果たして個人が取り組むべきことはあるのでしょうか。本記事では、そんなダイバーシティにおける個人の取り組みについて詳しく解説していきます。

ダイバーシティとは?

ダイバーシティとは、性別、人種、文化、宗教、ライフスタイルなどさまざまな違いを互いに尊重し、共存していこうとする考え方です。

従来の日本では、価値観はある程度統一されており、大多数の人たちが同じ価値基準を共有していました。しかし、現在では在日外国人の増加、女性の社会進出、少子高齢化など、さまざまな理由で多様な層が社会に形成されるようになりました。

これからの社会では、異なった特徴や考え方でもお互いに協調し合わなければなりません。ダイバーシティの考えは、これからのビジネス・生活において欠かせないものとなるでしょう。

ダイバーシティが注目されている背景

ダイバーシティが注目を集めている理由はどのようなものでしょうか。ここでは、主な理由を4つ紹介していきます。

働き方の多様化

理由のひとつが、多様な働き方が認められるようになったことです。これには2つの要因があります。

1つは女性の社会進出です。女性労働者の増加にともない、男性は仕事、女性は家事という従来の枠組みが崩れていきました。共働き世代の増加、育児の分担などの変化に合わせて、労働形態も多様化が求められるようになっています。

2つ目がワークライフバランスへの意識の変化です。従来は、社会人は仕事優先で、余った時間をプライベートに充てるという価値観が一般的でした。

しかし、最近ではプライベートを大切にする考えが若者を中心に広がっています。そのため、画一的な労働形態は労働者のニーズと合わなくなっているのです。

これらの傾向は今後も続くものと考えられるため、ダイバーシティへの関心は今後ますます高まることでしょう。

少子高齢化による労働人口の減少

2つ目の理由は、労働人口の減少です。日本では、生産年齢人口(15〜64歳)が1995年をピークに年々減少しています。そのため、国内の人手不足が深刻になる前に、早急な対策が求められています。

最近では、フルタイム勤務や通勤が困難な人でも働けるように、柔軟な雇用形態や労働環境を提供する企業も増えてきました。また、女性、高齢者、外国人などを雇用対象にすることで、人手不足を防ごうと試みる企業も存在します。

このように、多様な人々が仕事に参加する環境が生まれていることもあり、ダイバーシティの考えは広く受け入れられるようになりました。

グローバル化

グローバル化によって、企業はさまざまな価値観を持つ人々に応える必要が出てきました。

今までは、日本国内のある程度統一された価値観に基づき、商品開発や企業運営を実施してきました。しかし、グローバル化が進むにつれて、そのような方法では顧客のニーズや市場の動きに対応できなくなったのです。

例えば、海外への市場進出を狙う場合は、その国の市場や事情に精通する必要があります。日本とは異なる常識や感覚を理解しなければ、トラブルの原因になったり、予定通りにプロジェクトが進行しなかったりする可能性もあるでしょう。

また、海外から日本にやってくる人材に対しても、ダイバーシティの考えは重要です。外国人労働者の数は年々増加しており、2020年には172万人に達しています。

適切なマネジメントのためには、彼らの文化・価値観を理解し、どのように人材活用をおこなうか考えなければなりません。グローバル化によって、ダイバーシティの考えはさらに重要になっていくでしょう。

[出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」]

ダイバーシティにおいて重要な個人の考え方

ここからは、ダイバーシティ社会において個人が持つべき考え方について解説します。

無意識バイアスの影響を認識する

自分では気づかない「ものの見方」「認識の歪み」を、無意識バイアスといいます。無意識バイアスは誰にでもあるものなので、それを自覚する必要があります。

人間は自分が普通で、公平に物事を見ていると思いがちです。しかし、実際は育った環境や周囲の価値観に強い影響を受けており、知らないうちに偏見や差別をしている可能性があります。

例えば、「飲み会に来ない人間は仕事ができない」「部下を怒鳴るのも、ときには必要」といったものです。このような考えは、ときに人を傷つけたり、トラブルを生んでしまったりすることがあります。

「自分の常識は他人の非常識」という言葉があるように、無意識バイアスをなくすことは困難です。したがって、まずは「自分には無自覚の偏見がある」と認識することからスタートしてみるとよいでしょう。

そうすることで、自分の言動や行動に注意するようになり、今まで見えていなかったバイアスに気づけるようになります。

帰属意識

ダイバーシティでは、人種、性別、文化、年齢を超えて、さまざまな人たちが同じ組織に集まります。こうした多様性あふれる人々を繋げるのは、帰属意識です。

自身が所属している組織に愛着を感じると、従業員は意欲的に仕事するようになり、パフォーマンスの向上、積極的な意見交換、離職率の低下など、さまざまなプラス効果が生まれます。

帰属意識を高めるには、企業が従業員の能力や経験を適切に評価し、本人に合った仕事を与えることが必要です。そのためには、人種や性別などの違いで差別せずに、平等に機会を与える企業文化を醸成しなければなりません。

多文化や多民族への理解

自分が所属する文化や民族の価値観を常識と考えると、他文化を非常識と捉えてしまいがちです。そのような考えでは、相手を否定するような排他的な考えが生まれてしまいます。

自分が育ってきた環境は、数え切れないほどある文化のひとつでしかない、と考えることが多文化理解の第一歩です。そうした意識が、他文化を受け入れ、違いを認め合える心を育てます。

さまざまな文化や民族が集まるダイバーシティ社会においては、相手を尊重し、受け入れるマインドが必要です。自分と考えの異なる人間と出会った時に、どう接し、どうやって理解するか考えることは、他者との繋がりを深め、コミュニティを活性化させる助けになるでしょう。

ダイバーシティにおける個人が身につけるべきスキル

ここでは、ダイバーシティ社会を生きるうえで役立つスキルを3つ紹介します。

コミュニケーションスキル

ダイバーシティにおいて、コミュニケーションは極めて重要な役割を持ちます。コミュニケーションはただの情報伝達手段ではありません。良質なコミュニケーションは、相手を安心させ、関係を密接なものにします。

また、積極的なコミュニケーションを継続することで、社内に話しやすい空気が生まれ、皆が好んでコミュニティに貢献するようになります。その結果、連帯感が生まれ、社内全体のモチベーションが高まっていくことでしょう。

コミュニケーションは組織のメンバーを繋げ、積極的に仕事に取り組む企業風土を作り出します。

感情をコントロールする能力

適切にネガティブな感情をコントロールできないと、他の従業員との関係を悪化させてしまうおそれがあります。

人間は、否定されたり、思い通りにいかないことがあると、強いストレスを感じる生き物です。我慢できずに大声を出してしまったり、強く反発してしまったりすると、周囲は萎縮します。

逆に、つらい気持ちを押し殺すと、積極的に動けなくなったり、精神的に疲弊したりしてしまうでしょう。

さまざまな人々が同じ組織に集まるダイバーシティ社会は、他者との衝突が起こりやすい場所です。そのため、自分の感情を管理することは、スムーズな労働に欠かせません。

感情のコントロールに関しては、アンガーマネジメントの考えが有効です。アンガーマネジメントとは、自分の怒りを適切に処理する方法です。例えば、以下のような方法が有効とされています。

  • 怒りを感じたら、6秒だけ我慢して感情が治まるのを待つ
  • 怒りを数値化して、客観的に観察する
  • 一旦、その場から離れる
  • 相手に「~すべき」を求めない

自分の感情をコントロールできるようになれば、衝突が起こったときでも適切な対処が可能になります。

問題解決能力

問題解決能力も、ダイバーシティでは必要不可欠です。さまざまなタイプの人間が集まるダイバーシティでは、しばしば考え方の違いからトラブルが起きたり、問題が生まれたりします。例えば、LGBT/LGBTQへの無配慮や、コミュニケーションの齟齬などです。

そのような問題に対して、適切な解決方法を導き出すことが個々人に求められます。個人を尊重しながらも公平性を保った提案をしたり、スムーズに業務が回る仕組みづくりに取り組んだりといった工夫が必要になるでしょう。

ダイバーシティにおいて個人が目標とすべきこと

ここからは、ダイバーシティ社会で個人が目指すべき目標について解説します。それぞれの目標を達成することで、多様化社会に順応し、周囲と良好な関係を築けるようになるでしょう。

まずは「自分の価値観」を知る

最初に、自分がどのような価値観を持っているのかを認識しましょう。多くの人々は、自分の価値観を「普通」で「常識的」なものだと考えがちです。

しかし、さまざまな文化や価値観の入り交じるダイバーシティ社会では、普通で常識的な価値観というものはありません。誰しもが、ある程度は偏った考え方をしているものなのです。

そのような社会で自分の価値観が普通だと考えることは、他の価値観を「普通ではない」と否定し、排他的で傲慢な言動や行動を引き起こしかねません。

「自分の価値観は、数え切れないほどの価値観のなかのひとつでしかない」、という事実を認識しましょう。そうすることで、自分と異なる考えを持つ人間を受け入れる心の準備が整います。

自覚なき偏見や差別の軽減

偏見や差別はよくないことだと、誰もが認識していることでしょう。しかし、人間は自分でもわからないまま、偏見や差別をおこなってしまうことがあります。そのような意識していない歪んだ認識を、無意識バイアスと呼びます。

ダイバーシティ社会において、無意識バイアスによる歪みは、可能なかぎり改めなければなりません。無意識バイアスと向き合うには、まず「人間は誰でも無意識バイアスがある」と自覚することから始めます。

「自分は差別しない人間だ」と思っていると、自分の考えはすべて正しいように思えてしまいます。逆に「自分は色眼鏡で物事を見ているかもしれない」と考えることで、自分の行動・言動を客観的に見られるようになります。

また、他者から指摘してもらえるよう、周囲の人たちと良好な関係を築いておくことも大切です。多様な価値観を持った友人からのアドバイスは、今まで知らなかった自分の一面に気づかせてくれるでしょう。

ダイバーシティにおける個人の取り組み事例

ここでは、男女共同参画局のホームページ上で紹介されている、個人によるダイバーシティへの取り組み事例を一部チェックしていきましょう。

[参考:男女共同参画局「働き方の見直しや男性の家事・育児参加を進めるキーパーソン」]

「仕事優先」の生活バランスを改善

株式会社クボタの小倉さんは、仕事優先の生活を送っていました。しかし、育児や家庭に取り組めていない状況からの脱却を図るため、働き方の見直しを決断しました。

具体的な取り組みは、退社時間の見える化です。その日の退社予定時間を書いた紙を自分のデスクに掲示しておくことで、「この時間までに仕事を終わらせる」という意識が芽生え、業務効率化を図れるようになりました。

職場の人たちにも小倉さんの退社予定時間が可視化されたことで、遅い時間帯に仕事を頼まれる回数が減ったそうです。また、小倉さんの取り組みに影響を受け、ほかの社員も無駄を省いた労働を心がけるようになるなど、働き方に対する意識改革が社内に見受けられるようになりました。

個人のちょっとした工夫が、社内のダイバーシティ促進に繋がった事例です。

社内コミュニケーションの活性化によるチームワーク強化

第一生命保険株式会社に勤務する中井さんは、所属部署の社員約160名が同じフロアで働くようになったことから、社員間のコミュニケーションの必要性を感じました。そこで取り組んだのが「おめでとうWEEK」の導入です。

「おめでとうWEEK」では、社員の記念日(子供やペットの誕生日や、結婚記念日など)を事前に情報収集しておき、毎週月曜日に社内でその記念日を祝います。お祝い対象の社員には、自分のデスクに風船と寄せ書き用紙を飾ってもらい、それを見たほかの社員たちがお祝いの言葉をかける仕組みです。

この取り組みにより、社員間のコミュニケーション量が増え、職場の雰囲気は明るいものへと変わりました。また、子供の誕生日などを周囲が知ることで、「今日は早く帰っていいよ」といったワークライフバランスに繋がるやり取りも発生しているようです。

ダイバーシティ委員会の開催を通じた働き方改革

カルビー株式会社の武士さんは、ワークライフバランスに関するセミナーの受講で学んだことを、自社にも活かそうと複数の取り組みを企画し、実行に移しました。

そのひとつが、ダイバーシティ委員会の開催です。人生のさまざまなステージに立つ社員を集め、多様な働き方を提案しています。ダイバーシティについての理解を深める場を設けることで、社員が働き方を考える機会が持てるようになりました。

定期的にダイバーシティ委員会を開催した結果、働き方に関する社員の意識も変化していき、以前と比べて残業時間が減少傾向にあるようです。

ダイバーシティにおいて重要な個人の考え方を理解する

ダイバーシティ社会では、自分とは価値観の異なる多様な人々と関わり、協力する必要があります。そのような環境において、自分の価値観は絶対でも多数派でもなく、数ある価値観の中のひとつにすぎません。

社会には多様な人々がいて、さまざまな考えや個性を持っています。自分と違う人間とどう接し、どのように協調し合えるか考えるマインドを持つことで、新しい人間関係が広がり、自身の研鑽の助けになるでしょう。

ダイバーシティ社会における個人のあるべき姿を学び、多様な文化や価値観との共生を図っていきましょう。

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