なぜ女性管理職は少ないのか?増えない理由と企業が取り組むべき課題

2022/7/26 2022/07/26

ダイバーシティ

女性の管理職のイメージ

女性の社会的な活躍が増えたことにより、女性の管理職としての登用にも関心が寄せられるようになりました。しかしながら、いまだ男性優位や男女格差が組織内に根強く残っているという声が多いのが実状です。本記事は、女性管理職が増えない理由、そして、今後企業が取り組むべき課題を紹介します。

女性管理職が少ない理由とは?

女性管理職が少ない理由には、主に以下の3点がよく挙げられています。

ライフステージの変化による影響

一般的に女性は、結婚や出産、育児などのライフステージの変化による影響を受けやすくなります。

このような変化においては、どうしても仕事とプライベートの両立が難しい時期もあるでしょう。管理職になれば、さらにワークライフバランスをとることが難しくなると考えている女性も多く、管理職への昇進を前提にしたキャリアパスが描きにくいのです。

管理職における仕事量や責任への不安

管理職になれば自分の仕事だけでなく、部下の教育や指導をする機会も増えるでしょう。また、管理職には一定の決定権が与えられるため、それだけ責任も増えます。このように、管理職になることで仕事の負担が増幅するイメージがあるのです。

管理職になれば給与アップも期待できますが、企業によっては一般職と変わらないケースもあります。そのため、キャリアを重視していない女性は「負担だけが増えるのは避けたい」と、そもそも管理職を希望しないケースが多いのです。

社会に根付く風習

日本では、「仕事=男性」「家事=女性」という風習が長きにわたって根付いてきました。そして、今でもこの風習が完全になくなったわけではありません。

厚生労働省が行った育児休業の取得率に関する2020年度の調査結果では、女性の取得率が81.6%に対して男性は12.7%と依然として低いことが判明しており、このことからも育児の負担の割合が、女性に傾きがちであることがわかります。

また、女性管理職の前例が少ないことから、組織内にメンターやロールモデルが不在であることも女性管理職が増えない一因となっていると言えるでしょう。

[出典:厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」]

少ない女性管理職を取り巻く日本の現状

働き方改革の推進により、昔と比べれば女性管理職の登用が増えつつあります。しかし、日本の女性管理職の比率は、世界と比べると圧倒的に低いのです。

▼女性管理職の比率を主な諸外国と比較

管理職の女性比率
日本 10.7%
韓国 4.9%
中国 13.0%
アメリカ 28.2%
イギリス 34.7%
フランス 45.1%

[出典:国土交通省「令和3年版国土交通白書 第3節 多様化を支える社会への変革の遅れ ■2 世界各国との比較」]
※日本は2020年の数値、日本以外は2019年の数値

結果からは、日本のみならず、アジア諸国の女性管理職の少なさが目立っていることがお分かりいただけるかと思います。

女性管理職が必要とされている理由

現在、日本では少子高齢化が急激に進んでおり、それに伴う労働人口の減少も問題視されています。

そのため、「女性だから」といった合理性のない理由によって活躍の機会と可能性を奪うのではなく、性別に関係なく能力に見合った活躍の場を提供し、組織の労働力を最大限に活かす体制づくりが重要視されるようになったのです。

また、ビジネス環境における顧客ニーズの多様化を背景に、現代社会では、プロダクトやサービスにおける価値の多様性が求められるようになりました。

多様な人材による知識・経験・価値観を集約した新たな価値創造の重要性が高まったことにより、女性の活躍に対してもさらなる期待が寄せられているといった側面もあります。

女性管理職により得られる効果やメリット

女性管理職の存在が、企業にもたらす効果やメリットについて解説します。

多様な着眼点の確保

性別の違いに限らず、知見や価値観の違いが、「異なる着眼点」へとつながることは十分に考えられます。多角的な視点は、常識や前例を覆すイノベーションを起こす上で、必要不可欠な要素のひとつです。

また、顧客視点に立ったサービスの開発・改善をおこなう目的においても、組織において多様な着眼点が生まれる体制が整っていることは、大きなメリットとなるでしょう。

優秀な人材の確保

多くの女性管理職が存在する企業には、女性が働きやすい環境や制度が整備されているはずです。そのため、優秀な人材がライフステージの変化に伴い、本来望んでいなかった退職を強いられるといったケースを減らすことができます。

また、女性管理職が少ない現代で女性管理職の比率が高ければ、企業のイメージアップが期待できます。企業イメージの向上は、採用候補者の増加にもつながるため、優秀な人材を採用できる可能性がより高まる結果となるでしょう。

ロールモデルの確立

女性管理職は、「女性従業員本人が望まない」ケースも少なくありません。その原因のひとつとしては、「前例」がなく、興味はあるものの不安が勝ってしまう点が挙げられます。

そのような不安にもしっかりと耳を傾け、家庭との両立といった支援体制を整えた上で、女性管理職を登用することが大切です。

前例を作ることで、女性管理職としての働き方が明確になれば、そのほかの女性も管理職への昇進を視野に入れたキャリアパスが描きやすくなるでしょう。

女性が相談しやすい環境

女性管理職がいることで、女性の人間関係やプライベートの悩みを相談しやすい環境を構築できます。

人間関係やプライベート、体調に関する悩みのなかには、異性の上司には相談しづらい内容もあるかもしれません。特に生理休暇などは、女性ならではの休暇であるため、男性上司だと申告しにくく「制度を活用できない」といった声が確かに実在します。

女性管理職の増加により、このような相談がしやすい環境が整うため、部下の状況をより適切に把握することができるようになるのです。

女性管理職を増やすために企業が取り組むべき課題

女性管理職が重要視されつつも増えない現状のなかで、女性管理職を増やすためには、どのような課題に取り組めばよいのでしょうか。

ここでは、その方法を具体的にご説明していきます。

福利厚生や社内制度の見直し・整備

女性が働きやすい環境を整備するために、福利厚生や社内制度などを見直す必要があります。

出産・育児といったライフイベントによって女性がキャリアを中断することのないよう、育児休暇取得の促進やテレワークの導入など社内制度を整備しましょう。

意識の変化と多様な文化の構築

女性管理職の登用に対しては、組織全体の意識を変える必要もあります。

なぜ現代社会において「多様性」が注目され、重要とされているのか、その背景も周知することで、意識の変化や多様性の受け入れに対する理解度は自ずと高まるはずです。

多様性は現代のビジネスシーンにおいて、企業の競争力を左右する不可欠な要素であることを組織全体の共通認識として持つようにしましょう。

昇進などの評価基準を明確化する

女性管理職の登用に限ったことではありませんが、「何が」「どう」評価されるのか、また、どのように処遇に反映されるのかといった評価基準は、透明性を保つことが大切です。

出産においては、女性はどうしても仕事から離れざるを得ません。しかし、評価基準が明確になっていれば、ライフプランとキャリアをセットにした将来設計もしやすくなります。

女性のキャリア開発や人材育成

女性が仕事を継続しやすい制度や支援体制を整えたあとは、女性のキャリア開発や人材育成に注力し、実際に女性管理職の登用を促進していきます。

また企業の取り組みにおいては、女性の人材を育てるだけでなく、たとえば「残業ありきの労働環境」や「男性優位の企業風土」が残っているのであれば、それらを改善するための研修や教育も必要であることを理解しておきましょう

女性管理職を登用した企業の取り組み事例

女性管理職の登用を積極的に進めている企業の取り組み事例を5つ紹介します。

サイボウズ株式会社

サイボウズでは、離職率の高さを解消するため、働き方の多様化を目指しました。

主な取り組みは以下の通りです。

  • ワークライフバランスに合わせて選択できる働き方の提供
  • 性別にかかわらず取得できる6年間の育児休暇
  • 場所や時間にとらわれないウルトラワーク
  • 退社後、再入社できる制度
  • 複業の自由化

社員一人ひとりが希望する働き方に対応するための制度を設け、その結果、離職率が低下しただけでなく、女性社員の比率向上や女性管理職の登用にも成功したのです。

きっかけは離職防止だったものの、多様な働き方を提供することにより、同時に女性の働きやすい環境が整備された事例といえます。

株式会社メルカリ

メルカリでは、「男性ばかりの会社は成長が止まる」という考えのもと、女性の活躍推進に力を入れてきました。そして、導入されたのが「育休中の給与補償」です。

ほとんどの企業では育児休暇手当の支給のみで、給与は補償されません。しかし、メルカリでは女性社員は産前10週と産後約6ヶ月間、男性社員は産後8週の産休・育児休暇中に100%の給与補償をおこなっています。育児休暇中も給与が支払われるため、安心して育児に専念できるでしょう。

こういった取り組みから、女性社員の定着率が上がり、女性管理職の登用にもつながっています。

味の素株式会社

味の素では、結婚を機に退職する女性の割合が高いうえ、昇進を望まない女性が多いことが課題となっていました。そこで、女性社員が働き続けることのできる環境作りと意識を変革させるための取り組みを進めました。

主な取り組みは以下の通りです。

  • 時短勤務
  • 業務効率化を目的とした会議ルールの見直し
  • テレワークを推進する「どこでもオフィス」制度の導入

これらの取り組みで、働き方への意識が大きく変わったといいます。

今では女性管理職を30%まで高めることを目標に女性のキャリア支援をおこなっており、女性管理職の増加を目指しています。

アサヒビール株式会社

アサヒビールでは、女性管理職の割合を40%まで引き上げることを目標に、さまざまな取り組みをおこなっています。

女性の働きやすさを考慮し、「ウェルカムバック制度」という、育児や家族の介護などを理由に退職した女性が再入社できる制度を導入しました。この制度により、育児を理由に離職せざるをえなかった社員を再び雇用し、優秀な人材を確保することに成功しています。

また、女性を対象としたキャリア研修を実施しており、こういった取り組みが女性管理職向上に貢献しているといえます。

株式会社ディスコ

ディスコでは、社内の多様化を目指す取り組みの一環として、女性管理職を2030年度末時点で17.4%まで引き上げることを目標にしています。

それに伴い、出産・育児に関するさまざまな支援制度を導入。妊婦健診時に利用できる休暇や不妊治療支援なども実施しています。特に、不妊治療に関する支援は、新しくかつユニークな取り組みといえるでしょう。

企業成長に女性管理職の登用は重要な課題となる

企業の競争力を高めるため、あるいは、優秀な人材の流出を防ぐためなどの観点から、女性の活躍推進が求められている現在でも、実際は、なかなか女性管理職の割合が上がらないという実態があります。

しかし、多様な価値観や新たなサービス開発が必要な今、組織の創造性や生産性を高めるためには、女性管理職の登用は、欠かせない取り組みの一つであるといえます。

女性管理職を増やすためにも、女性が働きやすい環境づくりや社内制度の見直しを進めていきましょう。

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