ダイバーシティ経営とは?重要性や導入メリット・企業の推進事例を解説

記事更新日:2022/06/12

ダイバーシティ

ダイバーシティ経営

近年働き方改革やグローバル化などにより注目されているダイバーシティ経営。グローバル社会で生き残るために必要なダイバーシティ経営とは、一体どのような経営なのでしょうか。本記事では、そんなダイバーシティ経営について、メリットや企業事例など詳しく解説していきます。

ダイバーシティ経営とは?

ダイバーシティ経営とは「多様な人材を活かし、一人ひとりの能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し価値創造につなげていく経営のこと」と経済産業省で定義されています。

なお、ここでいう「多様な人材」とは性別や国籍、障害の有無だけでなく、キャリアや働き方などの多様性も含まれます。

ダイバーシティ経営は、企業の福利厚生やCSR(企業の社会的責任)とは異なるものであるとともに、企業はダイバーシティの推進により生産性が向上し、自社の競争力強化にもつながるとされています。

[出典:経済産業省「ダイバーシティ経営の推進」]

ダイバーシティ経営の重要性|注目されている3つの背景

アメリカが発祥の地であるダイバーシティの考え方は、日本では2010年代以降に注目を集め、2012年度からは経済産業省が「新・ダイバーシティ経営企業100選」と題し、多様な人材の活躍を通じて、経営成果を上げている企業の選定を開始しました。

ここでは、このようにダイバーシティ経営が注目されるようになった背景にある「3つの要因」について解説します。

1.ビジネスのグローバル化

近年ビジネスのグローバル化に伴い、国外を問わず企業との競争が激化し、外部環境も著しい変化が見られています。

このようなビジネス環境の変化に対し、従来の日本社会や企業の経営スタイルでは、迅速かつ柔軟な対応は困難であるとされています。

このようにビジネスのグローバル化が進む中、日本企業の成長には革新的な発明やイノベーションが必要不可欠であるため、ダイバーシティ経営に注目が集まっています。

2.労働人口の減少

日本の少子高齢化による労働人口の減少も、ダイバーシティ経営が注目される要因のひとつとなっています。

日本の少子高齢化は諸外国よりも進行が早く、労働条件によってはすでに人材の確保が困難になるケースも散見されています。

このような人材不足を解消するには、企業は女性やシニア世代、障がいを持つ人といった、多様な人材の積極的な受け入れ体勢が求められており、これがダイバーシティ経営の注目される要因となっています。

3.消費行動の多様化

多様化した顧客の消費行動も、ダイバーシティ経営が注目される要因のひとつです。

インターネットの普及を機に消費者のニーズは細分化され、このような環境下で企業が新たなヒット商品や顧客のニーズにマッチしたサービスを生み出すには、今まで以上に多様な視点が求められるため、打開策としてダイバーシティ経営が注目されています。

ダイバーシティ経営を導入するメリット

ダイバーシティ経営の導入には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、企業がダイバーシティ経営を導入するメリットについて解説します。

優秀な人材の獲得

ダイバーシティ経営の導入は、優秀な人材の獲得につながるだけでなく、若手人材の採用にも効果を発揮します。

特に「Z世代」と呼ばれる1995年以降生まれは、ITリテラシーの高い人材が多く、仕事に対する価値観が多様化しているため、多くの企業はZ世代の採用に苦戦する傾向にあります。

ダイバーシティ経営を導入することで、企業はZ世代をはじめ若手人材に対して強いアピールが可能になるため、優秀な人材の獲得へ向けた足がかりを築けます。

企業のイメージ評価アップ

ダイバーシティ経営を導入し、多様な人材を受け入れることは、企業のイメージアップにもつながります。

多様な人材の受け入れは、企業が社会のニーズに応える姿勢を感化させるため、結果的に顧客や市場からの信頼性向上が期待できます。これは企業のイメージアップだけなく、ひいては収益や業績の維持・向上にも紐づいてきます。

リスク管理の強化

ダイバーシティ経営の導入は、グループシンキングが生じやすい組織におけるリスク管理の強化に有効です。

グループシンキングなどの単一的な価値観は、正確な状況判断や正しい対応を妨げる要因になり得るため、ダイバーシティ経営による多様な価値観の存在は、企業におけるリスク管理の強化につながります。

多様なイノベーションの創出

ダイバーシティ経営の導入により、多様な人材の持つ専門的な知識や経験、価値観などを持ち寄ることで、企業は多様なイノベーションの創出が可能になります。

一方で、ダイバーシティ経営の導入はイノベーションの創出だけでなく、企業における生産性の向上に欠かせない土壌づくりの一面も持ち合わせています。

働き方改革の推進

ダイバーシティ経営の導入は、企業において働き方改革を推進する役割も担っています。

ダイバーシティ経営により、異なる知識や価値観を持った多様な人材が従来の業務内容を見直し業務改善をすれば、結果的にテレワークを筆頭とした企業の働き方改革が牽引されることになります。

ダイバーシティ経営によるデメリットや懸念点

企業におけるダイバーシティ経営の導入にも、残念ながらデメリットが存在します。ここでは、企業がダイバーシティ経営を導入するデメリットについて解説します。

コミュニケーションにおけるストレス増加

ダイバーシティ経営の導入は、組織のコミュニケーションにおけるストレスを増大させます。

ダイバーシティ経営により、さまざまな価値観を持つ社員同士が共に働くことになるため、文化や言語の違い、業務に対する考え方の相違などが生まれ、コミュニケーションにおいてフラストレーションの増大が危惧されます。

パフォーマンスの低下リスク

ダイバーシティ経営の導入により、個々の仕事におけるパフォーマンス低下の恐れが考えられます。一人ひとりの社員は、これまでの経験や成果などにより、誰もが無意識の偏見や固定観念を持ち合わせているものです。

ダイバーシティの推進を無理やり進めようとすると、培われてきた仕事の経験や価値観、独自の手法を潰してしまうリスクがあり、結果的に個々の社員におけるパフォーマンス低下の原因となり得ます。

ダイバーシティ経営を行う企業の推進事例

ここでは、日本企業におけるダイバーシティ経営の推進事例を3つ紹介します。

1:女性の活躍事例

キリンホールディングス株式会社は、ビール市場全体が縮小する中、市場の新規開拓を目的として「働く女性」をターゲットとした商品開発に力を注ぎました。

商品開発にあたり女性社員の企画提案に重きを置くことで、男性社員だけではない多角的な企画提案を実現。これがダイバーシティ推進のきっかけとなり、営業や生産現場にも女性が活躍する場が生まれました。

その結果、女性社員の管理職比率が上昇し、配偶者転勤による最大3年まで可能な求職制度や、醸成リーダーの育成プログラムといった新しい取り組みも誕生しています。

2:外国人の採用事例

カシオ計算機株式会社は、外国人従業員の働きやすい環境作りを目的として、企業が従業員におけるビジネス日本語検定受験料の補助に力を入れたことにより、従業員同士の円滑なコミュニケーションを促進しました。

このほかにも「母国帰国休暇」の制度を設けて、外国人従業員の積極的な有給休暇取得を促し、オフィス内にイスラム教信者の従業員向けに「お祈り部屋」を設置するなど、外国人従業員向けにさまざまな施策を実施しています。

3:高齢者の採用事例

「株式会社小川の庄」では、「60歳入社」「定年なし」をスローガンに高齢者の積極的な採用を促進しました。

これを受け、採用された高齢者はこれまでの自身における経験や知見、そして高齢者ならではの気配りなどを発揮し、経営陣は年齢による強みを十分に考慮した、適切な枠割分担が可能になり、チームパフォーマンスの向上を実現しています。

ダイバーシティ経営を導入して新たなビジネスチャンスを

今回は、ダイバーシティ経営の定義や注目される背景、そしてメリットデメリットなどについて解説しました。

ダイバーシティ経営とは、多様な人材を活かし、一人ひとりの能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し価値創造につなげていく経営のことです。

近年、ビジネスのグローバル化や少子高齢化などの社会全体が変化する中で、ダイバーシティ経営の重要性が叫ばれています。

企業におけるダイバーシティ経営の導入には多くのメリットがある一方でいくつかのデメリットもあるため、企業における業務の問題点に焦点を当てて、各企業に合うダイバーシティ経営の導入が望まれます。

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