ERPとMRPの違いとは?仕組みや特徴・導入するメリットを紹介
ERPとMRPは、企業の業務を手助けするシステムです。どちらも基幹業務を効率よく進めるシステムですが、導入を検討する際はそれぞれの特徴について理解しておく必要があります。そこで今回は、ERPとMRPの違いや導入するメリットなどを解説します。
目次
MRPとは
MRPは「Material Requirements Planning」の略称で、日本語では資材所要量計画を意味します。これは、製造業において必要な資材の量や納期を計画するための手法、またはそれを実現するシステムのことを指します。
MRPを導入することで、原材料の在庫の過剰や不足をなくし、効率的な生産活動を行うことが可能です。
MRP2の誕生
MRP2は「Manufacturing Resource Planning」として知られ、MRPを発展させた統合的な生産管理手法です。
1980年代初頭に導入が始まり、アメリカを中心に徐々に拡大していきました。資材調達の最適化を実現するMRPに対し、ヒト・モノ・カネなどの製造能力を総合的に管理できるのが特徴です。そのためMRP2は、生産効率を向上させることを目的に導入されます。
ERPとは
ERPは、MRPやMRP2を発展させた企業内の経営資源を一元的に管理する手法、またはそれを実現するためのシステムを指します。
ERPでは企業のあらゆる業務プロセスを一元的に管理し、企業全体の業務を最適化することが可能です。製造・販売・購買・会計・人事などの基幹業務を一つのプラットフォーム上で連携させ、データの一貫性を保ちながら迅速な意思決定をサポートします。
▷ERPとは?意味や基幹システムとの違いを簡単にわかりやすく解説
ERPとMRPの違い
ERPとMRPには、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、ERPとMRPの違いについて詳しく解説します。
システムの対象範囲
ERPとMRPでは、対象となる範囲が異なります。MRPは製品の生産に必要な資材や部品の計画を主眼としたシステムです。一方ERPは、企業全体の資源や業務プロセスを統合的に管理し、最適化するシステムとなっています。そのため、より幅広い業務範囲をカバーすることが可能です。
システムを導入する目的
ERPとMRPは、導入目的についても違いがあります。MRPの導入目的は、製造業における生産計画の最適化や適切な材料調達、在庫管理の効率化が挙げられます。一方ERPは、企業全体の業務プロセスを一元化し、情報の共有を促進することが目的です。
これにより、各部門間の連携が強化され、経営資源の有効活用や迅速な意思決定、業務の効率化を実現できます。MRPは資材調達を最適化してジャストインタイムを実現するもの、ERPは企業全体の業務統合と効率化を可能にするものと捉えるとよいでしょう。
ERPを活用するメリット
ERPを導入することで、多岐にわたる効果が期待できます。ここでは、ERPを活用するメリットについて見ていきましょう。
業務の効率化が見込めて社員の負担を軽減できる
ERPシステムの導入により、業務プロセスの一元化と自動化が可能となります。各部門が独立して行っていた業務が統合されることで、重複作業の削減や情報のリアルタイム共有が実現され、業務をスムーズに進めることができるでしょう。
また、手作業によるミスを減少させることもできるので、業務の質も向上します。これらの効率化により、社員一人一人の負担を軽減することが可能です。
経営状態を可視化できる
ERPでは、組織全体の業績や業務状況をリアルタイムで把握することが可能です。そのため、正確な経営情報をもとに意思決定を行うことができます。
たとえば、各部署で発生しているコストやプロジェクトの進捗状況を瞬時に把握することで、仮に問題が起こった際にもすばやく対応できるでしょう。また、定期的な報告作業の手間の削減やデータベース解析も可能となり、戦略的な経営判断を下す上で有益な情報を得ることができます。
生産工程の管理や調整がしやすい
ERPを活用することで、生産工程全体の管理を一元的に行うことができます。そのため、業務の効率性や透明性が大きく向上するでしょう。たとえば、突発的な生産ラインのトラブルや予期せぬ受注増加時にも、必要なリソースの再配分やスケジュールの再調整をスムーズに行えます。
また、生産効率や品質管理の指標を随時確認しながら、継続的な改善活動を進めることも可能です。ERPシステムの導入により、各工程間での情報共有が円滑になり、柔軟に生産工程の管理や調整が行えるようになります。
ERPを活用するデメリット
ERPの活用には多くのメリットがある一方で、注意すべき点も存在します。ここでは、ERPを活用するデメリットを紹介します。
導入コストが大きい
ERPのデメリットとして、導入コストが大きいことが挙げられます。導入時には、システム購入費用はもちろん、カスタマイズや組織内での導入支援、研修費用などさまざまなコストが発生します。
とくにオンプレミス型のERPを選択する場合や、業務内容に合わせて多くのカスタマイズが必要となる場合は注意が必要です。導入コストをできるだけ抑えたい場合は、クラウド型のERPを検討するとよいでしょう。
種類が多いため選定が難しい
市場にはさまざまなERPが存在するため、自社のビジネスモデルや業務内容、将来的な展望に最も合致するERPを選ぶのは容易ではありません。誤ったシステムを選択すると、後で大きな手間やコストが発生する可能性もあり、慎重に選定することが求められます。
また、選定の際にはシステムの拡張性やカスタマイズの容易さ、サポート体制なども考慮する必要があるでしょう。そのため、導入目的や自社のシステム環境についてしっかりと理解しておくことが重要です。
▷【2023年最新】おすすめのERP徹底比較!大企業・中小企業向けで紹介!
おすすめのERP3選比較
ここでは、おすすめのERP製品を3つ紹介します。導入する製品を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
ZAC
「ZAC」は、ベンチャーから大手企業まで900社以上が導入するERPシステムです。使い勝手のよさと拡張性の高さを兼ね備え、さまざまな業種や業務に合わせたカスタマイズが行えます。
また、クラウドベースでの提供となっているため、初期投資を抑えることが可能です。トラブル時などのサポート体制も充実していて、高度なIT知識を持った担当者を用意する必要がありません。
提供元
| 株式会社オロ
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初期費用
| ZAC初期設定費用:10万円 導入支援費用:要問い合わせ
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料金プラン
| ライセンス費用:要問い合わせ 保守費用(データセンター利用料):60,000円~/月
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導入実績
| 900社以上
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機能・特徴
| 予定表、コンタクト管理(CRM)、文書管理、販売管理、勤怠・工数管理、購買管理、経費管理、工程管理、在庫管理、経営モニタリング、内部統制など
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URL
| 公式サイト |
マネーフォワード クラウドERP
「マネーフォワード クラウドERP」は、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応したクラウド型のERPシステムです。とくに、スタートアップや中小企業などで利用が進んでいます。
ユーザーフレンドリーなインターフェースと直感的な操作感により、初めてERPを導入する企業でも使いこなせるでしょう。
提供元
| 株式会社マネーフォワード
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初期費用
| 要問い合わせ
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料金プラン
| IPOを目指す企業向け プラン01(内部統制を強化する):要問い合わせ 中堅〜上場企業向け プラン02(財務会計・管理会計を効率化する):要問い合わせ プラン03(電子帳簿保存法に対応する):要問い合わせ
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導入実績
| シリーズ累計10万社以上
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機能・特徴
| 債権管理、請求書発行・送付、管理会計、連結決算、年末調整、財務会計、社会保険事務、債務管理、経費精算、固定資産、個別原価管理、給与計算、マイナンバー管理、請求書受取、勤怠管理、人事管理など
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URL
| 公式サイト |
GRANDIT
「GRANDIT」は、先進的な機能と高い拡張性を持つERPシステムです。製造業や商社、情報サービス業など業種や目的別のソリューションを提供していて、幅広い企業に適応するシステムとなっています。
ワークフローやBI(ビジネスインテリジェンス)などの機能も標準搭載されているため、企業のグループや取引先とのスムーズな連携が可能です。また、マルチブラウザや多言語対応も可能で、ビジネス環境の変化にも柔軟に対応するシステムといえます。
提供元
| GRANDIT株式会社
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初期費用
| 要問い合わせ
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料金プラン
| 要問い合わせ
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導入実績
| 1,400社以上
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機能・特徴
| 経理、債権・債務、販売計画、生産計画、在庫、出庫、原価、発注、入庫、受注、出荷など
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URL
| 公式サイト |
ERPとMRPの違いについて理解を深めて業務へ活用しよう
ERPとMRPは、どちらも企業の業務プロセスを効率化するための重要なツールです。しかし、それぞれの対象範囲や導入目的は異なります。これらの特徴や違いを理解して、自社に最適なシステムの導入を検討しましょう。
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