ERPとは?意味や基幹システムとの違いを簡単にわかりやすく解説

最終更新日時:2023/04/26

ERP(基幹システム)

ERPとは

業務の効率化や最適化を叶える「ERP」。耳にしたことはあるけれど、ERPの詳細な意味や目的まではわからない、という人も多いのではないでしょうか。本記事では、ERPとは何か?ERPの概念や種類・機能を、基幹システムとの違いとあわせて簡単にわかりやすく解説します。

ERPとは?

ERPとは「Enterprise Resources Planning」の略称で、企業の持つ資源=ヒト・モノ・カネ・情報を正しく分配し、適切に活用していくための計画のことです。そのほかにも、企業の持つ資源を管理し、企業の環境全体を最適に保つ経営手法を指して呼ぶことがあります。

また、ERPに必要な情報システムをERPソフトとも呼び、生産や人事、財務などの企業運営に必要な全般的な機能が含まれています。このERPを導入することで、さまざまなメリットを得られ、作業の効率化につながるのです。

ERPが普及した理由

ERPが普及したのは2000年代以降、各業界の市場がインターネットの台頭と共に、グローバル化した時期にあたります。グローバルな事業展開をしている企業にとって、拠点間の密な連携は不可欠な要素であり、情報共有の速度や質がより重要になっていた時代ともいえるでしょう。

このような情報共有のスピード感が求められる中で、基幹システムによる部門ごとの独立管理は効率的ではありません。結果として、すべての経営資源を統合管理するERPが徐々に普及していきました。

ERPと基幹システムの違いとは?

ERPと基幹システムの違いとは効率的な企業運営が求められている点にあります。従来、人事や会計、生産、物流、販売など企業運営の核を成す業務は、部門ごとに個別のシステム、データベースで処理されていました。ERPはこれら別々の業務を一元的に管理処理できる特徴を持ったシステムです。

一方、基幹システムと呼ばれる企業の諸業務を支えるシステムがありますが、基幹システムは部門ごとに独立して存在しており、一つのデータベースで統合的に企業資源を管理していくERPとは決定的に異なります。

独立していた基幹システム内の情報をERPにより一元管理し、より部門間の相互連携がとりやすく、企業運営を効率的におこなおうとする点がERPと基幹システムの違いとして挙げられるでしょう。

ERPの基本的な機能一覧

ERPの概要や普及していった背景について分かったところで、より具体的な機能についてみていきましょう。ここでは、ERPの基本的な機能をそれぞれ解説していきます。

販売管理

ERPにおける販売管理とは、自社で生産した製品の販売状況を管理する機能を指します。たとえば、見積書の作成から受注・在庫管理、請求書の発行など、販売管理をするために必要な作業をサポートしてくれるのです。

このERPを活用することで、製品の販売アプローチが自社の状況にマッチしているかどうかを分析、判断し、今後の展開に活かせるようになるでしょう。

財務会計管理

財務会計管理は企業の財務状況、会計を管理できる機能です。企業のステークホルダーに対して、現在の経営状況を説明、明示する必要があるため、不可欠な機能といえます。また、法改正が頻繁に起きるジャンルであり、この法改正への適応性も製品を選ぶうえでは重要なポイントとなるでしょう。

人事管理

従業員の経歴や実績等、人事に関わる情報を管理できるのが人事管理です。ERPの人事管理を駆使することで、人事異動や採用を適切におこなうキッカケにもなり、企業の人事戦略を大幅に改善できるポテンシャルを秘めた機能となっています。

ERPの中には、従業員が取得している資格やスキルなどのタレントマネジメント的な機能が搭載されている製品もあります。

経費精算

ERPによる経費精算は、システム上から経費精算申請や提出された申請のチェックをおこなうことが可能です。

経費精算はジャンルも多岐に渡り、手続きも複雑なため、ミスが起きやすいといったデメリットがありました。そこで、経費精算をERPからおこなうことで、人的ミスも軽減することができ、従来よりも手間をかけずに経費精算処理が可能になったのです。

また、スキャンデータによる保存している製品もあり、電子帳簿保存法の改正にも柔軟に対応することができるでしょう。

ERPの種類

ERPには「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴について解説していきます。

クラウド型ERP

クラウド型とは、インターネット上にシステムを構築し、そこにアクセスして利用するタイプのERPです。そのため、導入の際にサーバーや必要な機器等もなく、初期費用とランニングコストが抑えられるといったメリットがあります。

一方で、インターネット上で気軽に利用ができるぶん、利用しているサーバーが攻撃されたりするなど、セキュリティ面では不安が残ります。

このことから、クラウド型ERPは、できるだけ初期費用や維持費用を抑えてERPを導入したい企業におすすめです。

オンプレミス(パッケージ)型ERP

クラウド型とは対照的に、自社内にシステムを構築して運用していくのがオンプレミス型です。オンプレミス型は、自社の状況に合わせてシステムをカスタマイズしていけるのが最大の強みで、既存システムとの親和性もとりやすいのが特徴です。

ただし、初期費用や運用コストが高いため、ある程度予算に余裕をもって導入に取りかかれる企業向けといえるでしょう。

ERPの導入形態

ERPにはいくつかの導入形態があります。ここでは、ERPにある3つの導入形態を紹介します。

統合型

統合型は、会計や販売などのすべての業務をカバーできるタイプのERPです。一つのERPで全領域をカバーするため、相互の部門連係がとりやすく、一元管理もしやすい点が大きな特徴といえるでしょう。

業務システム型

業務システム型は、ある特定の領域のみにERPを導入する形態のことです。ERPの必要な領域のみに導入できるため高い効果を得られ、その他の業務領域に変更をおこなわない分、導入にあたってのハードルも低いのが特徴となっています。

コンポーネント型

コンポーネント型は、特定の業務領域にのみERPを導入した後、必要に応じて追加、拡張していくERPの導入形式です。

コンポーネント型であれば、試験的に特定の部門へERPを導入した後、少しずつ導入部門を広げていけるため、時間をかけて馴染ませていきたい場合にマッチする導入形態といえます。

ERPの導入で得られる効果

ERPを導入した際、実際にどのようなメリット、効果が期待できるのでしょうか。ここでは、導入後に得られる効果を解説していきます。

企業に存在するデータをまとめて管理できる

ERPでは財務会計管理や販売管理などの企業が抱えているデータを一元管理できるため、部門ごとの管理によるミスを減らすのに役立ちます。

情報を部門の垣根を越えて共有することで連携も取りやすく、誤入力などの人的ミスも削減可能です。

システム連携によって業務を効率化できる

営業成績や会計情報などの異なるデータを一つのシステム内で管理することで連携が容易になり、業務効率化に役立てることが可能です。

たとえば、会計業務において過去の営業実績のデータなどが必要になった場合、ERPで管理していればすぐに任意のデータへアクセスでき、業務時間の短縮にもつながるでしょう。

ERPの導入方法

ERPの導入方法はどのようにおこなえばいいのでしょうか。各ステップをくわしく解説していきます。

1.導入目的を明確にする

まず、ERPを導入してどのような目的を達成したいのか明確にすることから始めましょう。自社の課題を解決したいのか、業務効率の向上を図りたいのかなど、目的が不明確なままERPを導入しても、かえって現場の混乱を招き逆効果になってしまう可能性があります。

そのため、導入目的を明らかにすることがファーストステップです。

2.リーダーを選出する

次に、ERP導入の中心を担うリーダーを選出しましょう。ERPでは部門間に跨る広い範囲をカバーする必要があります。

そのため、自社の業務理解の深い社員をできれば2人以上選出し、リーダーと各部門担当者の打ち合わせなどをおこなっていき、導入を推進していきます。

3.業務を洗い出して業務フローを再構築する

業務状況の洗い出して現状の把握をおこなうことで、どの部門にERPが必要とされているのか、現状の業務課題がどのようなところにあるのかを洗い出すことができます。このことにより、ERPを導入した場合の具体的なヴィジョンを描きやすくなるでしょう。

なお、業務の洗い出しをおこなったあとは、ERPを導入した部門の業務フローを再構築していきます。どの範囲までをERPでカバーし、それによってどのような業務フローの変更が生じるのかを分析、新たなフローの再構築をしていくことで、導入後の具体的な運用についてもイメージを描きやすくなります。

4.試験的運用を実施する

試験的なERP運用をおこなっていきます。従来の業務フローと併用しつつ、両者の効率などを比較しながら細かく効果の検証をしていきましょう。また、試験運用時に現場の声もしっかりとヒアリングしておくことも重要といえます。

5.運用ルールを策定し社内へ周知する

試験的運用を実施し、ある程度の目途が立ったところで、マニュアルも含めた運用ルールを策定したうえで、社内全体への周知をおこなっていきます。社内への周知が浸透しないまま本格導入をすると大きな混乱を招く可能性もあるため、必ず運用ルールを社内へ周知するプロセスは踏んでおくようにしましょう。

6.本格的な運用を開始し必要に応じたサポートをする

運用ルールを社内へ周知した後は本格的に運用を進めていきます。本格導入後をした後は放置するのではなく、常に経過を観察していきましょう。逐次効果の検証やフィードバック、新たに出た課題に応じたサポートなどをブラッシュアップするのが大切です。

ERPを導入し経営資源を最大限に活用しよう

部門間をクロスオーバーする業務が増えていく中で、ERPは非常に重要な役割を果たすことができます。ERPの導入によって、さまざまな業務を一元管理し、効率化につなげることが可能になるのです。RPAの導入を検討している場合は、本記事で紹介した内容を参考にプランニングをおこなってみてください。

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ビズクロ編集部
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