製造業向けのおすすめERPシステム|必要な機能や導入するメリット

最終更新日時:2023/10/26

ERP(基幹システム)

製造業向けのERP

ビジネスプロセスの最適化などを目的に導入されるERPは、生産管理の効率化にも役立つことから、製造業においても導入が進んでいます。本記事では、製造業向けのおすすめERPをはじめ、製造業でのERP導入事例や導入メリットを紹介します。

ERPとは

ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業のさまざまな業務プロセスを統合的に把握し、経営資源を有効に使うための管理手法およびシステム(ツール)を指します。

ERPの導入は、販売、購買、在庫、生産、財務などの各部門のデータを一元化し、リアルタイムでの情報共有を可能にします。一元的に可視化されたデータは、業務効率の向上に役立つだけでなく、迅速で的確な意思決定にも活用されることから、企業の競争力を高められるのです。

特に製造業においては、多岐にわたる業務を効率的に連携させるための強力なツールとして、多くの企業が導入を進めています。

また、ERPのメリットを最大化するためには、MESやPSIとの連携も求められます。

MESとは

MES(Manufacturing Execution System)は、製造業の現場における生産活動の実行段階を管理・最適化する製造実行システムのことです。ERPが企業全体の業務を統合的に捉えるのに対して、MESは生産現場レベルでの業務を詳細に追跡・制御します。

具体的には、生産計画、生産スケジューリング、作業指示、品質管理、設備の稼働状況、生産データの収集といった機能を持ち、生産管理の効率化や品質の向上を目的に多くの生産現場で取り入れられているシステムです。

PSIとは

PSI(Production, Sales, and Inventory)とは、生産(Production)、販売計画(Sales)、在庫(Inventory)の3つの頭文字を取った言葉です。PSI管理は、これら3つの要素をバランスよく最適化するための手法で、特に製造業における過剰な在庫や欠品を最小限にするための計画を立てる際に使用されます。

具体的には、生産計画や販売計画の策定、在庫の最適化などを目的とし、それぞれの情報をリアルタイムで共有しつつ調整を行います。

PSI管理の導入は、需要予測の精度向上、在庫コスト削減、納期の遵守など、企業の業績向上に直結する多くのメリットがあり、ERPやMESと連携させることで、企業全体の業務運営をより効率的にすることも可能です。

ERPとは?意味や基幹システムとの違いを簡単にわかりやすく解説

ERPのメリット・デメリット|目的や導入の流れを紹介

製造業におけるERPの必要性

製造業は多岐にわたる業務プロセスや複雑なサプライチェーンを持つ特性から、情報の一元管理やリアルタイムでの共有が極めて重要となります。このニーズに応えるのがERPの導入です。

ERPは、購買、生産、在庫、販売、財務といった各部門のデータを統合し、その全体像を捉えることで、生産計画や在庫調整の精度を高められます。

生産計画の最適化、在庫コストの削減、業務の標準化、リードタイムの短縮など、製造業における経営課題の解決、競争力向上のための要素を統合的にサポートする強力なツールとして、ERPの導入は不可欠といえるでしょう。

製造業が抱える課題

製造業は絶えず変動する市場ニーズや技術進化の中で、競争力の低下やノウハウの属人化など、多くの課題に直面しています。

ここからは、製造業が抱える主な課題を4つ紹介します。

競争力が低下してきている

製造業における競争は日々激化しており、多くの国内企業が、海外企業の成長や市場参入に苦戦しています。グローバル市場での競合他社との価格競争、技術革新による製品ライフサイクルの短縮、そして顧客の高まる要求に迅速に応える必要性など、多くのプレッシャーが企業を取り巻いています。

特に、製品の差別化を図ることが難しくなり、顧客ロイヤルティの獲得や維持が以前よりも困難となっているのが現状です。このような状況下で、企業は生産効率の向上やコスト削減、新たなビジネスモデルの探求といった手段を通じて、持続的な競争力を確保しようと試みています。

しかし、これらの課題に取り組むためには、経営戦略に対する組織内全体の解像度を上げ、シームレスな情報共有を実現する必要があるのです。

レガシー化したシステムを使い続けている

多くの製造業企業では、長年にわたり使用してきた情報システム、いわゆる「レガシーシステム」に依存しているのが現状です。これらのシステムは、かつてのビジネスニーズに合わせて構築され、多くの業務データやノウハウが蓄積されています。

しかし、技術の進化やビジネス環境の変動が激しい現在においては、レガシーシステムの柔軟性の低さが、生産性向上や効率化の妨げとなることもあるでしょう。結果として、データの非統合性による業務スピードの鈍化、さらにはセキュリティの脆弱性といった問題が生じているのです。

ERPのような基幹システムの更新や移行は、コストや時間、リスクなどの大きな負担を伴う決断になりますが、レガシーシステムの利用が、競争力を維持するうえでの足かせとなっているようであれば、喫緊の対応が必要な課題であるといえます。

レガシーシステムとは?課題や放置するリスク・脱却する方法をわかりやすく解説

製造業務が属人化している

経験やノウハウが一部の従業員に集中している状態、すなわち「属人化」も、製造業の大きな問題の一つです。

属人化は、特定の従業員が欠勤や退職をすると、業務の遂行に支障をきたす可能性が高まります。また、ベテラン従業員の経験や知識が明文化されていないことで、新たな従業員の教育や業務の継承が困難となることもあるでしょう。

属人化は、企業の持続的な成長や業務の効率化、品質向上を阻害し、大きな損失を招く要因となります。組織全体での知識の蓄積と共有を促進し、属人化のリスクを低減するための取り組みを行うことが重要です。

トレーサビリティが確保できていない

製造業における「トレーサビリティ」とは、製品や部品の生産過程や流通履歴を明確に追跡・確認できる体制のことを指します。

部材の調達源や製造過程、品質データ、出荷履歴など、膨大な情報を手動で管理している企業においては、データの欠落や誤りが生じるリスクが高いことから、トレーサビリティを完全に確保することは難しいのが現状です。

トレーザビリティが確保されていなければ、製品の不具合が発生した際の原因を特定できず、必要以上に多くの製品のリコールを受け付けることになるほか、原因が追求できなければ、顧客や社会から信頼を失うことにもなりかねません。

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製造業におけるERPの導入メリット

ここでは、ERPの導入が製造業に与える実際の効果と具体的なメリットについて解説します。

業務を効率化できる

ERPの導入により、製造業の業務プロセス全体が効率化されるのは明らかです。

まず、情報の一元管理が可能となり、異なる部門間でのデータの重複入力や手作業による誤りが大幅に減少します。これにより、生産計画の策定や材料の発注、在庫の管理といった業務が迅速かつ正確に行えるようになります。

また、リアルタイムでの情報共有が実現されるため、迅速な意思決定や業務の連携が可能です。さらに、ERPの分析機能を利用すれば、生産のボトルネックや無駄なコストを特定し、それらを最適化するアプローチが取れるようになるでしょう。

このような効率化は、製造業におけるリードタイムの短縮や生産コストの削減、そして顧客サービスの向上といったビジネスメリットにつながります。

生産性を向上できる

ERPの導入は、製造業の生産性の向上に直接的に寄与します。

ERPシステムの中核とされる、生産計画やスケジューリング、品質管理といった製造プロセス全般の最適化機能により、生産ラインの稼働率を最大化させることで、無駄なダウンタイムや材料のロスを最小限に抑えることが可能です。

また、在庫の過不足がリアルタイムで把握できる機能は、ストックアウトや過剰在庫のリスクを軽減し、キャッシュフローの最適化を実現できるでしょう。

品質・顧客対応の向上が期待できる

ERPには、生産過程の各ステップにおける品質データを収集・分析する機能が備わっており、品質のばらつきや問題点を迅速に検出することで、一貫した高品質の製品を供給できるようになります。

顧客対応の面では、生産管理と在庫管理が、より的確に行えるため、無駄のない生産スケジュールのもと、納期の要望にも柔軟に応えやすくなるでしょう。また、ERPでは、顧客の注文履歴、問い合わせへの対応などの情報も集約されるため、顧客の要望や問い合わせへの対応品質が大幅に向上し、高度なカスタマーサポートが実現可能です。

企業のグローバル化に対応できる

多言語や多通貨に対応したERPシステムは、国境を越えたビジネス展開をスムーズにサポートします。

たとえば、異なる国や地域での法規制、税制、会計基準などの違いに対応したERPを導入すれば、現地の法律に則った販売や税制への対応が柔軟に行えます。また、サプライチェーンの最適化をグローバルな視点で行うことができ、国際的な物流や調達戦略の実行をサポートすることも可能です。

グローバル市場での競争力を維持・強化するためには、迅速かつ正確な情報の取得と分析、そして経営戦略の実行が不可欠です。ERPはこれらの要求に応え、企業のグローバルな展開を実現する強力なツールとなります。

製造業向けのおすすめのERP

製造業に特化したERPは数多く存在しますが、ここからは特に実績や機能性が高いと評価される製造業向けのおすすめERPを紹介します

Infor

Inforは、業界特化型ソフトウェアを販売しているインフォアジャパン株式会社が提供するクラウド型のERPです。

生産、在庫、財務、購買、人材管理などの核となる業務機能に加え、先進的な分析ツールや人工知能を活用した予測機能など、最新技術が統合された機能により、効率的な業務遂行と生産管理をサポートします。

提供元
インフォアジャパン株式会社
初期費用
要問い合わせ
料金プラン
要問い合わせ
導入実績
60,000社以上(※2023年10月時点)
機能・特徴
顧客のビジネスの成長に合わせて拡張、わずか16週間以内で本稼働、24時間年中無休のカスタマーサポートほか
URL
公式サイト

マネーフォワード クラウドERP

マネーフォワード クラウドERPは、日本のテクノロジー企業である株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型のERPです。中小企業向けに設計されており、シンプルで使いやすいインターフェースが特徴としてあげられます。

財務、経費管理、人事・給与などの基本的な業務機能を一元的に提供。販売管理や在庫・購買管理は、他社システムとの連携が必要ですが、同シリーズのサービスや外部のビジネスツールとの連携機能が豊富なため、組織全体の業務効率化が図れます。

セキュリティ面でも、最新の暗号化技術や二段階認証を採用しており、データの安全性が確保されていることが特徴です。日本のビジネス環境に特化した機能やサポート体制が整っているため、国内の製造業においても高い信頼性と評価を受けています。

提供元
株式会社マネーフォワード
初期費用
要問い合わせ
料金プラン
要問い合わせ
導入実績
シリーズ累計10万社以上(※2023年10月時点)
機能・特徴
会計から人事労務までバックオフィス全体をシームレスに連携、面倒な手作業を自動化、インターネットがあればどこでも使える、システムはそのままで最新の法制度に素早く対応、低コスト・最短1ヶ月で導入可能ほか
URL
公式サイト

製造業向けERPに必要な機能

Inforなどの製造業に特化したERPは、特化型ERPならではの機能を備えています。

製造業向けERPの機能は、主に以下の通りです。

  • 需要予測機能
  • 生産計画機能
  • 購買・在庫管理機能
  • 部品構成・設計変更管理機能
  • 製造原価管理機能
  • 販売・出荷管理機能

主要な機能である生産計画機能では、需要予測や所要量計算などをもとに、現場での生産計画が立てられます。また、生産計画機能によって算出した値に従い原材料や部品を調達する購買管理機能や、製品の在庫を管理する在庫管理機能なども製造業に必須の機能といえるでしょう。

製造業におけるERPの導入事例

最後に、製造業における実際のERP導入事例を紹介します。その効果や成功のポイントなどの参考として、お役立てください。

株式会社ソード

組み込み製品開発やソフト&ハード開発支援などを行う株式会社ソードは、業務の効率化と生産性向上を目指してERPシステムを導入しました。

導入の背景には、Windows2003サーバーのサポート期間終了や海外展開による多言語・多通貨のシステムの必要性などがあげられます。

ERPの導入により、発注業務の効率化や内部統制強化を行い、当初の導入目的を達成したほか、基幹業務上の申請を電子承認へと移行したことで、承認待ちの時間がなくなり生産性が向上したなどのメリットもあったといいます。

日本コンベヤ株式会社

大型コンベヤのトップメーカーである日本コンベヤ株式会社は、属人的なシステムの脱却と内部統制の強化を目指してERPの導入を決定しました。

ERP導入により、生産管理や販売管理におけるデータがスムーズに共有され業務効率が高まり、販売管理や調達在庫管理などが最適化されるようになりました。さらに会計や原価管理にもERPを活用し、経営に役立つデータを集約、迅速に把握することで経営最適化を実現しています。

株式会社マツオカコーポレーション

株式会社マツオカコーポレーションは、製造業の中でも独自のビジネスモデルや製品ラインを持つ企業として、情報の迅速な収集と分析、業務の効率化が求められていました。

それらのニーズを叶えるシステムとしてERPを採用。生産管理、在庫管理、販売、財務などの各部門の情報が一元的に管理されるシステムの構築を実現しています。

ERP導入により、データのリアルタイムな共有、迅速な意思決定、そして業務の最適化が可能となり、企業の競争力を一段と高めることができました。

ERPを導入して成功した事例!導入に失敗しないための秘訣

製造業にERPを導入し企業を発展・成長させよう

製造業は、常にビジネス環境やニーズの変化と進化の渦中にあり、市場の要求や技術の進歩に迅速に対応する必要があります。この複雑な環境下で、ERPの導入は企業の競争力を高め、持続的な成長をサポートする強力なツールとなるでしょう。

紹介した導入事例からもわかるように、ERPは製造業の各種課題を解決し、ビジネスの最適化を実現する機能を備えています。ERPの機能を最大限に活用することで、業務の効率化や最適化を実現し、さらなる事業成長を目指しましょう。

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ビズクロ編集部
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