ERPのメリット・デメリット|目的や導入の流れを紹介

最終更新日時:2023/10/25

ERP(基幹システム)

ERPのメリットとデメリット

世界中で導入されている「ERP」。企業の経営資源をまとめて管理し、効率的かつ効果的に活用することを目的としていますが、他にどのようなメリットがあるのでしょうか。本記事では、ERPのメリット・デメリットをはじめ、導入までの流れについても紹介します。

ERPとは?

ERPとは、組織のあらゆる業務プロセスを統合し、リソースの効率的な管理を実現するための情報システムのことを指します。

ERPを活用することで、情報の透明性を高め、迅速な意思決定をサポートすることが可能です。企業が競争力を維持・向上させるための重要なツールとして、多くの企業で導入が進められています。

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ERPの目的・役割

ERPの主要な目的は、企業内の情報を一元化し、業務プロセスを統合・最適化することです。これにより、データの重複入力や非効率な業務フローを排除し、業務効率を向上させます。

ERPの役割は、「ヒト・モノ・カネ」といった経営資源の適切な配置と効率的な利用をサポートすることです。情報の透明性を確保することで、迅速かつ正確な意思決定を可能にし、企業の競争力を向上させる役目も果たします。経営戦略の策定やビジネスの拡大のためには欠かせないシステムといえるでしょう

ERPの機能

ERPシステムは、多岐にわたる業務機能を統合的に提供します。主な機能を以下の表にまとめました。

機能
内容
財務管理
経営状況を示すために必要な財務会計や、経営における意思決定のための会計管理など
販売管理
商品やサービスの受注・請求・出荷などを管理
購買・在庫管理
発注や仕入れ在庫の管理など
生産・開発管理
生産計画や調達計画の立案など
資産管理
保有するソフト・ハードウェアなどの資産を管理
債権・債務管理
回収や支払の期限管理、督促機能や遅延アラートなど
人事・給与管理
社員情報の管理、給与計算や勤怠管理など

これらの機能を通じて、現金フローの最適化や人材の適切な配置、生産効率の向上などの業務最適化を図ることができます。また、これらの基本機能を核としつつ、導入する企業の特性やニーズに合わせてカスタマイズされることも多いです。

最近では、BI(ビジネスインテリジェンス)やCRM(顧客関係管理)を統合したERPも増えており、より高度な意思決定をサポートします。

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ERPを導入するメリット

ここでは、ERPを導入するメリットについて詳しく解説していきます。

社内データを一元管理できる

ERPの導入により、企業内で取り扱われるデータを統合的に管理することが可能です。異なる部門や業務ごとに存在していたデータベースやシステムを一つにまとめることで、データ収集や加工などにかかる時間を大幅に短縮できます。

また、情報の透明性も高まるため、スピーディーな意思決定にもつながります。情報の一元管理により、社内全体での情報共有がスムーズとなり、業務連携の強化が実現できるでしょう。

業務効率・生産性につながる

ERPは業務プロセスの最適化と効率化に大きく寄与します。たとえば、製品の発注があった場合、各部門に生産スケジュールを確認する必要があるでしょう。

ERPを導入することで、異なる業務間での情報の連携がスムーズとなり、確認のための作業や手間が大幅に削減されます。また、部署ごとに同一のデータを入力するといった作業を行う必要もないため、それにともなう人的ミスを防ぐことも可能です。

意思決定をスピーディに行える

意思決定を迅速化できるのも大きなメリットのひとつです。ERPには、経営状況を把握できる機能が搭載されていることが多く、経営者が必要な情報をタイムリーに取得できるようになります。現場からの最新の情報やトレンド、業績データなどを基に、迅速かつ的確な意思決定を行えるようになるでしょう。

このスピーディな意思決定は、市場の変化や競合他社の動向に対して、迅速に戦略を見直したり、新たな方針を打ち出す際に大変有効です。また、データベースに蓄積された情報を分析することで、将来のビジネスの方向性や機会を早期に捉えることも可能となります。

ガバナンスの強化につながる

ERPの導入は、企業ガバナンスの強化にも貢献します。ERPで情報の一元管理を行うことで、経営層は業績のモニタリングやリスク管理を行うことができ、不正や不適切な業務処理の早期発見が可能です。

さらに、監査証跡機能を活用すれば、取引の履歴や変更点を追跡できるため、透明性の高い経営を実現できるでしょう。これにより、ステークホルダーからの信頼を獲得しやすくなり、企業の持続的な成長と価値創造をサポートする土壌が築かれます。

企業活動にかかる費用を削減できる

ERPによって、企業活動にともなう多くのコストを削減することも可能です。ERPを導入して業務が一元管理されることで、無駄な作業を減らし人件費を削減できます。

同じ業務内容を短時間で遂行できるようになるため、人的リソースをより価値ある活動に注力させることができるでしょう。また、在庫コストの削減も大きなメリットのひとつです。

ERPによる在庫管理の最適化は、過剰在庫の発生を防ぎながら、必要な商品や部品が適切なタイミングで利用できるよう調整します。調達や製造プロセスを最適化することで、原材料や部品の購入コストの削減にも寄与するでしょう。

経営データを見える化できる

ERPの導入は、経営に関連する重要なデータを視覚化する上での強力なツールとなります。統合された情報システムにより、営業・販売・経理などのさまざまなデータをリアルタイムに確認することが可能です。

そのため、経営者や管理層は企業の現状やトレンドを把握でき、それを基に迅速な意思決定を下すことができます。また、異常や偏りが発生した際にも原因を特定し、早期に対応策を立てることができるでしょう。

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ERPを導入するデメリット

ERPの導入は、メリットばかりではありません。デメリットについても把握したうえで導入を検討しましょう。

導入・維持するためには費用がかかる

ERPの利用には、多くの費用がかかります。ERPを導入する際は、システムのライセンス購入やカスタマイズ、ハードウェアの設備投資、教育費用などのコストが発生します。

さらに、導入後も定期的なアップデートやシステムの保守・運用、障害時の対応、追加機能にかかる費用などの継続的な出費が必要となるでしょう。

導入するための事前準備に時間・手間がかかる

ERPシステムの導入を成功させるためには、充分な事前準備が不可欠です。ERPは社内の情報を集約して一元管理することでデータを活用します。各部門がそれぞれのルールで情報を登録している場合、社内のデータ整理が必要となるでしょう。

また、業務プロセスの見直しや標準化、必要な機能やカスタマイズの範囲の特定など、多岐にわたる準備作業が求められます。これらの準備には、時間と専門的な知識が必要です。ERP導入は単なるシステムの導入ではなく、組織全体の変革プロジェクトとも言えるため、十分なリソースや期間の確保、そして経営層の強力なバックアップが欠かせません。

導入の目的やルールを周知徹底する必要がある

ERPシステムの導入は、組織の業務プロセスや文化に大きな影響を与えるものです。そのため、導入の目的やシステムを使用する際のルールを明確にし、すべての関係者に周知徹底することが重要です。また、セキュリティーポリシーについても整備しておく必要があります。

ERPにはさまざまな情報が集約されるため、不正アクセスや事故による情報漏えいが起こる可能性も否定できません。システムや機密情報を保護するためには、ガイドラインを作成するなど、社員に対する情報セキュリティ教育を実施することが求められます。

ERP導入の流れ

ここからは、ERPを効果的に導入するための手順を解説していきます。

1.導入目的を明確にする

最初のステップは、導入目的を明確にすることです。導入の背景や目標、組織が直面している課題などを詳細に洗い出すことで、適切なシステム選定やカスタマイズの方針が決定されます。

明確な目的設定は、プロジェクトの方向性を示すだけでなく、関係者のモチベーションや経営資源の適切な配分を促進するでしょう。

2.導入体制を整える

導入の目的が明確になったら、導入体制の構築を行います。ERPの導入を成功させるためには、専任のプロジェクトチームの編成や適切なリーダーシップが必要です。

導入の全過程を監督し、関連する各部門と連携を取りながら進行できるプロジェクトマネージャーを決めておきましょう。また、システムを効果的に活用するためには、経営層との連携も欠かせません。

3.ERPを選定する

自社にとって最適なERPを選定することも重要なポイントです。企業のニーズや要件に合わせて、適切な機能や拡張性を持つシステムを選ぶようにしましょう。提供形態についても、クラウド型・オンプレミス型のどちらが適しているかは企業によって異なります。

ベンダーによるプレゼンテーションやデモンストレーションを通じて、コストやカスタマイズの容易性、サポート体制が充実しているかなどのポイントを評価しましょう。

4.導入計画の策定・業務フローを再構築

導入する製品を選定したら、具体的な導入計画を策定しましょう。導入スケジュール・組織体制・関連タスク、タスクの管理方法などを明確にします。また、ERP導入は業務の再構築の機会ともなります。

部門ごとに異なる業務フローを採用している場合や、各種申請や稟議のプロセスが非効率な場合は、ERPの機能に合わせるための業務改善が必要です。既存の業務フローを見直し、効率化や標準化を図ることで、ERPの導入がより効果的なものになるでしょう。

5.初期設定を行う

ERPシステムの導入を進める中で、初期設定は欠かせないステップです。具体的な業務要件に合わせたシステムのパラメーターやマスタデータの設定を行いましょう。

たとえば、取引先情報や商品マスタ、組織構造などの基本データの入力や、業務フローに応じたワークフロー設定などが挙げられます。適切な初期設定を行うことで、業務運用の際のトラブルを未然に防ぎ、システムを最大限に活用できるでしょう。

6.ルール策定・社員教育を実施する

ERPの導入後は、運用ルールの策定と社員の教育が不可欠です。運用ルールを策定することで、情報の一貫性を保ち、誤操作によるトラブルを防止します。

また、導入システムの特性や機能を社員に理解させるための教育は、システムの効果的な活用を促進することにもつながります。実践的なトレーニングやワークショップを通じて、社員のスキルアップや問題解決能力を高めていきましょう。

ERPのメリットを最大限に活かし企業活動の効率向上を目指そう

ERPの導入は、企業の業務効率化や情報の一元管理、迅速な意思決定を可能にします。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、適切な導入手順を踏むことが大切です。

本記事で解説した導入の流れや注意点を参考に、企業独自の課題やニーズに合わせた最適な選択を行いましょう。ERPを正しく活用することで、業務の生産性向上やコスト削減、そして顧客満足度の向上を実現し、企業の競争力を高めることができます。

今後のビジネス環境の変化に柔軟に対応するための強力なツールとして、ERPの導入と活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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ビズクロ編集部
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