ストレスチェックの結果の保管方法とは?保存期間や保存場所を紹介
従業員のストレス度を測るため行われるストレスチェック。しかし、ストレスチェックの結果は大切な個人情報になるため、適切に保存・管理されなければなりません。そこで本記事では、そんなストレスチェック結果の適切な保管方法について、期間や場所など詳しく解説していきます。
目次
ストレスチェック結果の適切な保管方法とは?
ストレスチェックの結果は大切な個人情報なので、閲覧できるのは労働者本人に加え、実施者、実施事務従事者のみと決まっています。実施者とは、医師や保健師などストレスチェックを行う人で、調査票の回収など実務補助を担うのが実施事務従事者です。
ストレスチェックの結果は、上司や同僚はもちろん、人事担当者も閲覧できません。ストレスチェックの結果を第三者が知ったがゆえに、人事面などで労働者が不利益を被る可能性があるからです。労働者に不安なく受検してもらうためには、情報が漏洩しないように対策をとったうえで、ストレスチェックの結果を適切に保管しなければなりません。本記事では、ストレスチェックの結果の保管方法をお伝えします。
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ストレスチェック結果の保管者
ストレスチェックの結果を保管するのは、事業者または実施者とされています。労働者が「自身のストレスチェックの結果を事業者に提供してもよい」と合意した場合は事業者が保管でき、合意が得られない場合は実施者が保管します。仮に実施者が保管するとなったら、事業者は実施者が適切に保管できるように必要な対応をとってください。
ストレスチェック開始後に混乱を生じさせないためにも、前もって衛生委員会で保管者や保存場所について話し合っておきましょう。話し合いの結果は社内規程に反映させるとともに、労働者全員に通知します。
ストレスチェック結果の保存期間
ストレスチェックの結果は、5年間保存しなければなりません。保存しなければならない記録は、次のとおりです。
- 個人のストレスチェックのデータ
- 高ストレス評価の結果
- 面接指導の対象者か否かの判定結果
労働者が記入・入力した調査票の原本は、保存しなくても問題ありません。
ストレスチェック結果の保存方法
ストレスチェックの結果の保存方法は、紙媒体でも電磁的媒体でも構いません。自社に合った方法を選択しましょう。ただしデータで保存する場合は、必要に応じて出力できるようにしておかなければならないので、注意してください。
ストレスチェック結果の保管場所
保管場所は、衛生委員会などで検討したうえで事業者が決定します。紙媒体の場合は資料室など、データの場合は会社のサーバー内などで保管が可能です。外部機関に委託している場合は、外部機関の保管場所での保管も認められています。どのような場所を選択したとしても、第三者に情報が漏洩しないように十分にセキュリティ対策をしてください。
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医師との面接指導による記録の保管方法
ストレスチェックを実施した結果、高ストレスと判定された労働者は医師による面接指導を受けます。医師との面接記録の保管方法について、ご紹介しましょう。
作成する記録内容
医師が労働者と面接指導を実施したあと、以下の内容を記録したうえで、保存しなければなりません。
- 面接指導を実施した年月日
- 面接指導を受けた労働者の氏名
- 面接指導を行った医師の氏名
- 労働者の勤務・ストレス・その他心身の状況
- 就業上の措置に関する医師の意見
記録にあたっては、様式には特に決まりはありません。医師からの報告をそのまま保存することも認められています。
面接指導を行う前には、労働者から面接指導を希望する旨の申し出があります。申し出に関しても、保存が求められます。事業者は5年間保存するようにしてください。
保存期間・保存者
面接指導の結果は、ストレスチェックの結果と同様に事業者が5年間保管しなければなりません。漏洩しないように対策をとりながら、事業所で保管してください。
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ストレスチェックの集団分析結果の保管方法
職場ごとのストレスの状況を見える化し改善につなげるために、ストレスチェックの結果を職場や部署などの単位で集団分析することが推奨されています。集団分析を行った際の結果の保管方法をご説明します。
10人以上の集団で分析した場合
ストレスチェックの結果を10人以上の集団で集計・分析するのであれば、分析結果から個人のメンタルヘルスの状況が特定される恐れは少ないでしょう。そのため、労働者の同意がなくても、集計・分析が可能です。
ストレスチェックの結果は、単年度だけではなく、複数年度にわたって変化を見ることで、職場のストレスの状況や原因をより把握しやすくなります。したがって、集団分析を行った結果については、事業者が5年間保存することが推奨されています。
10人未満の集団で分析した場合
ストレスチェックの結果を10人未満の集団で集計・分析した場合、分析結果から個人のストレスチェックの結果が特定される懸念があります。そのため集計・分析するには、対象となる労働者全員から同意を得たうえで行うか、平均値を分析するのみなど、個人が特定されない方法をとることが必要です。同意を得ておらず、さらに個人が特定される可能性がある方法で集計・分析した場合、結果を事業者に提供はできません。
適切な方法で集計・分析した場合は、その分析結果は5年間保存してください。
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ストレスチェックの結果を保管する際の注意点
ストレスチェックの結果を適切に保管しなければ、労働者は漏洩の不安から受検に二の足を踏む可能性があります。労働者に安心して受検してもらうには、第三者が閲覧できない方法で保管する必要があります。保管する際のポイントをお伝えしますので、ご一読ください。
第三者への報告は絶対にしない
ストレスチェックの結果は、労働者が不利益を被るのを防ぐため、上司や人事担当者など第三者に報告してはいけません。実施者や実施事務従事者には守秘義務が課されているので、仮に情報を漏洩した場合、刑罰が科される場合もあります。
ストレスチェックの結果は、第三者が閲覧できないような方法を使い直接本人に伝えましょう。
事業者がストレスチェックの結果を不正に入手することも禁じられており、加えて、社長や人事部長など、人事権を持つ人はストレスチェックの実施者にはなれない点にも気を付けましょう。
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セキュリティ管理を万全にする
自社のサーバーで保存する場合、セキュリティ管理にも注意してください。システムへのログインやファイルへのアクセスで使用するパスワードの取り扱い方法を事前に定め、決められた手続きに則って保管しましょう。USBメモリなどの電磁的記録媒体や紙媒体で保存するケースでは、紙媒体などを収納するキャビネットに施錠し、鍵の保管方法にも気を付けてください。
ストレスチェック結果の適切な保管方法を押さえておこう
ストレスチェックの結果は個人情報であり、漏洩しないように十分に対策をとりながら保管しなければなりません。保管にあたっては、厚生労働省のWebサイトなどを参照し、適切な方法を確認しましょう。
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