ストレスチェックの実施者と実施従事者とは?役割や要件を解説

2023/07/19 2023/07/20

健康管理システム

ストレスチェックの実施者とは

ストレスチェックを実施するには、実施者と実施従事者を立てる必要があります。しかし、それぞれの役割について正しく理解できていない方も少なくありません。ストレスチェックの実施者と実施従事者の違いについて、役割や要件を解説します。

ストレスチェックの実施者とは

ストレスチェックの実施者とは、ストレスチェックの実施計画や調査票の選定・評価方法について確認する人です。調査結果にも目をとおすなど、中心的な役割をこなします。実施者の詳細な役割と要件、必要な資格について説明していきましょう。

実施者の要件・必要な資格

労働安全衛生規則第52条の10によれば、ストレスチェックの実施者について下記のとおりに定められています。

一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師

これらの資格を持たない場合は、ストレスチェックの実施者として登録できません。事業者は、実施者候補が資格を有しているかを確認する必要があります。

[引用:e-Gov 労働安全衛生規則 第52条の10]

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実施者が担う役割

実施者は主に次のような役割を担っています。

  • 専門的な観点からアドバイスを行う
  • 調査票の内容や基準について確認を行う
  • ストレスチェックの結果確認や高ストレス者の選定を行う
  • 面談指導が必要な者への支援を行う
  • ストレスチェックに関する事務作業などを行う

ストレスチェックの実施者は、専門的な目線で事業者にアドバイスをする役目があります。調査項目の内容や、評価基準の設定方法に対する助言などが例です。調査内容を確認し、結果に基づいて高ストレス者を選定するのも実施者が担います。医師による面談の必要性を提示したり、面談希望を出さない人に支援機関の紹介を行ったりもするのです。

ストレスチェックの実施には、調査票の集計や結果通知といった事務作業も多く発生します。実施者が行う業務でもありますが、実施者の指示のもと実施従事者が担当するケースもあるでしょう。

実施者を外部に委託する場合

社内に実施者がいない場合は、外部委託しなければなりません。外部委託する場合でも、自社の人員から共同実施者として参加させるのが理想です。

厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」では、自社の産業医等が共同実施者として密接に連携することが推奨されています。

ストレスチェックの実施を外部機関に業務委託する場合にも、産業医等の事業場の産業保健スタッフが共同実施者として関与し、個人のストレスチェックの結果を把握するなど、外部機関と事業場内産業保健スタッフが密接に連携することが望まれます。

[引用:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」]

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ストレスチェックの実施従事者とは

ストレスチェックの実施従事者とは、実施者のサポートを行う人のことです。厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」では、下記のように定義されています。

実施者のほか、実施者の指示により、ストレスチェックの実施の事務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力又は記録の保存(事業者に指名された場合に限る)等を含む。)に携わる者をいう。

[引用:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」]

実施従事者の詳細な役割と要件、必要な資格について説明していきます。

実施従事者の要件・必要な資格

実施従事者の要件は、労働安全衛生規則第52条の10の2にて、以下のように記されています。

検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。

[引用:e-Gov 労働安全衛生規則 第52条の10の2]

会社の経営者や役員を除き、人事権のない人から選任しなければなりません。実施事務従事者は、社内の衛生管理者や産業保健スタッフ、事務職員から選ぶとよいでしょう。

実施従事者が担う役割

実施従事者は、実施者の指示を受けてさまざまな業務を行います。主な役割は以下のとおりです。

  • ストレスチェックに関する事務作業などを行う
  • 高ストレス者の選定を行う

実施従事者は、集計内容のデータ化や結果通知に伴う作業など、ストレスチェックに関する事務を担当することが多くなります。日程を調整したり、面談対象者がいれば面接を勧めたりするのも仕事の一部です。実施者が担う業務の一端をサポートする形となるでしょう。

高ストレス者の確認や選定を行う際は、実施者が出した評価結果に基づいて遂行しなくてはなりません。いずれの業務も、実施者の指示のもとで行うこととなります。

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守秘義務違反の場合は罰則もあるので注意

ストレスチェックの実施者・実施従事者には、労働安全衛生法第104条に基づき秘密の保持義務が課されます。保持義務に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があるのです。

ストレスチェックで得た情報が漏えいしないように、関係者は情報管理を厳重に行いましょう。実施者と実施従事者はもちろん、情報を共有する可能性がある職員には守秘義務の周知を徹底すべきです。

ストレスチェックの結果は、セキュリティ対策を講じた安全なデータベースや情報管理システムへの保存が望ましいとされています。データの漏えいや不正アクセスを防止するため、暗号化やアクセス制御などの技術的な対策も検討しましょう。

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ストレスチェックを行う際は実施者と実施従事者の違いを理解しておこう

ストレスチェックを行う際の実施者と実施従事者の違いを解説しました。

実施者はストレスチェックについて事業者に専門的な助言をし、調査結果をもとに高ストレス者の選定や支援などを行います。実施者の指示で動く実施従事者の役割は、ストレスチェックに関するサポート業務や各種事務作業などです。

実施者と実施従事者は必要な資格や役割が違うため、しっかり概要を把握して適切なストレスチェックを行いましょう。

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