ストレスチェックで高ストレスだった社員の放置はNG!アプローチ方法を解説

最終更新日時:2023/06/22

健康管理システム

ストレスチェックでの高ストレス

ストレスチェックは、労働安全衛生法により特定の事業場に対して年1回の実施が義務付けられています。また、検査によって高いストレス度合いにあると判定された高ストレス者に対しては、適切なサポートをする必要があるでしょう。そこで本記事では、そのような従業員に対するアプローチ方法について詳しく解説していきます。

ストレスチェックで分かる高ストレス者とは?

ストレスチェックは、定期的な検査によって従業員自身のストレスへの気づきを促し、メンタル不調を未然に防ぐほか、企業側が従業員個人のストレス度合い、さらには、集団分析によって組織全体の高ストレス者の割合を把握することにより、 職場環境改善を推進する目的において実施されています。

では、ストレス度合いは、どのようにして判定されるのでしょうか。まずは、高ストレス者の選定基準と判定方法について詳しく解説します。

高ストレス者の選定基準

厚生労働省が発行する「ストレスチェック制度 簡単!導入マニュアル」では、高ストレス者を、以下の状態にある者としています。

自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者を高ストレス者として選びます。

[引用:厚生労働省「ストレスチェック制度 簡単!導入マニュアル」より]

また、同じく厚生労働省が発行した「ストレスチェック指針」においては、高ストレス者の選定方法として、こう定義されています。

① 調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が高い者 ② 調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点 数の合計が一定以上の者であって、かつ、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目」の評価点数の合計が著しく高い者

[引用:厚生労働省「ストレスチェック指針」]

ただし、同指針には、選定基準は実施者の意見及び衛生委員会等での調査や審議を踏まえて事業者が決定する、との記載もあることから、実際の選定基準については、各企業において設定する必要があると考えられます。

高ストレス者の判定方法

企業におけるストレスチェックは、主に企業独自の質問票、もしくは、厚生労働省の「職業性ストレスチェック簡易調査票」を使用する場合の2つのパターンがあります。

後者の場合、「心身のストレス反応」「仕事のストレス要因」「周囲のサポート」の3つの項目からなる質問項目の回答結果をもとにストレス度合いが判定されます。

最終的な高ストレス者としての判定は、ストレスチェックによる結果をもとに、実施者(事業者)が行いますが、多くの場合、ストレスチェックによる評価が一定以上であれば、即座に高ストレス者として判定されるわけではありません。産業カウンセラーとの面談、医師や保健師のほか、公認心理士や臨床心理士などの診断や面談による結果を踏まえて判定されるケースが多いでしょう。

ストレスチェックとは?義務化された背景や目的・実施方法を簡単に解説

ストレスチェックで高ストレス者が出た場合の流れ

ストレスチェックで高ストレス者が出た場合の流れは以下の通りです。

  • ストレスチェックの結果を共有
  • 面接指導を実施
  • 報告書をまとめて労働基準監督署に提出

各段階ごとに詳しく見ていきましょう

ストレスチェックの結果を共有

ストレスチェックにより高いストレス度合いにあるとの結果が出た場合、次のステップとして、その結果を本人に通知・共有する必要があります(労働安全衛生規則 第五十二条の十二)。

本人に対して、ストレスチェックの結果を伝え、その上で必要に応じて産業カウンセラーや医師、保健師による個別面談の実施を検討します。また、企業側は、調査の内容からストレスの原因や傾向などについて把握し、これらの情報をもとに改善策を講じなければなりません。

面接指導を実施

面接指導(産業医面談)は、高ストレス状態にある従業員本人と、主に産業カウンセラーや医師との一対一で行われ、労働状況・体調などの普段の様子のほか、仕事やプライベートでのストレス要因の有無、本人の希望などのヒアリングをします。さらに、面接指導にて話した内容は、本人の了承なく事業者側に開示されることはありません。

また、面接指導は、本人からの希望がある場合にのみ実施され、事業者側が強制することはできません。ただし、希望があった場合には、面接指導申出書などが提出されてから30日以内に面接を設定しなければならないとされています。

この面接によりストレス度合いや体調面の不調が深刻であると判断された場合には、医療機関の受診を勧めることもあります。

報告書をまとめて労働基準監督署に提出

ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づき、労働者が常時50人以上いる企業においては、その実施することが義務付けられています(労働安全衛生法 第六十六条の十)。また、ストレスチェックを実施した企業は、高ストレス者の情報を含む報告書をまとめて労働基準監督署に提出しなければなりません。

報告の際は、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)」の様式が用いられ、主にストレスチェックの実施状況と結果、面接指導の実施状況などを記載します。

ストレスチェックの実施が義務付けられている事業者においては、報告書の提出も義務となっている点に注意しましょう。

[参考:厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」]

高ストレス者の面接指導をオンラインで実施する際の注意点

医師による面談指導は、オフラインでの対面だけでなく、オンラインでの実施も可能です。

ここでは、オンラインで実施する際の注意点を解説します。

事前に社内に周知する

オンライン実施に限ったことではありませんが、面接指導については、どのような実施方法があるのかを事前に社内に周知しておくことも義務付けられています。

先にお伝えしたように、面接指導は本人の申出から30日以内での実施が求められるため、テレワークを導入されている企業などにおいては、オンラインでの面接指導も積極的に取り入れる必要があるでしょう。

また、事業者側が指定する産業医との面接指導だけでなく、本人が希望する主治医などによって面接指導を行うことも可能です。ただしその場合は、必要事項を記載した面接指導結果の証明書を提出してもらうことになる点も併せて周知しておきます。

安定した通信環境の下で行う

高ストレス者の面接指導をオンラインで実施する場合、安定した通信環境を確保することが重要です。通信が途切れたり音声や映像が乱れたりすると、面接指導の内容が伝わりにくくなり、高ストレス者の不安感をさらに増大させることになりかねません。

そのため、事前に通信環境を確認し、安定した通信が可能な環境で面接指導をおこなえるよう心がけましょう。もしも通信が途切れてしまった場合に備え、事前に再接続方法やバックアップの手段なども用意しておくと安心です。

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高ストレス者を企業が放置した場合のリスク

高ストレス者を企業が放置した場合のリスクは、主に2つ挙げられます。

各リスクについて、詳しく見ていきましょう。

うつ病などの精神疾患の発症

メンタルヘルス不調などの兆候が確認されている高ストレス状態にある従業員が放置されてしまうと、うつ病などの深刻な精神疾患を発症するリスクも高まってしまいます。

メンタルヘルスに不調を抱える状態での勤務は、本人が体調面で辛さを抱えてしまうのはもちろんのこと、思考力や判断力も低下してしまうため、生産性にも影響が出てしまうでしょう。また、企業に安全配慮義務に違反する事情が認められた場合には、補償金の支払いなどの責任が生じることもあります。

離職リスクの増加

高ストレス者に対する適切な支援を怠った場合、本人が会社を辞めてしまうリスクも高まることになるでしょう。

高ストレス状態にある従業員は、ストレスや過剰な労働による精神的・身体的な負荷が常に高い状況下にあります。そのような中で、ストレスを軽減するための一つの手段として休職や退職といった選択をするのは、認められた権利、あるいは、必要な措置であり、ある意味では当然とも言えるのです。

大切な人材を失うことになってしまうのは、企業にとって大きなリスクに他なりません。

高ストレス者を増やさないための対策方法

それでは、企業において「高ストレス者」を増やさないための対策方法はあるのでしょうか。

ここからは、効果が期待できる3つの対策についてご説明します。

労働環境の見直し・改善

労働環境の見直し・改善は、高ストレス者を自社で増やさないための重要な対策方法です。

まずは労働環境に関するアンケート調査を実施し、従業員の声を集めましょう。その上で、労働環境における課題やストレス要因を洗い出し、改善策を検討します。

たとえば、慢性的な長時間労働(残業)、業務内容の重圧やミスマッチ、人間関係、働き方への不満などは、ストレスの原因となることの多い問題です。これらの問題に対しては、本人へのヒアリングなどにより、より詳細な課題を把握し、働き方や担当業務の見直し、コミュニケーション不全の解消や福利厚生といった制度の構築などをスピーディに実行しましょう。

企業は、従業員の健康と働きやすい環境づくりを推進することで、持続的な成長を実現できる可能性が高まります。

相談窓口の設置

相談窓口は、不正の通報や不満への是正を求める場としてだけでなく、悩みやつらさを抱えている従業員の逃げ場にもなり得ます。いざという時に話を聞いてもらえる、頼れる場があることが、ストレスの軽減につながることもあるでしょう。

相談窓口は主に企業が、組織内に設置する場合と、外部の専門機関を利用する場合の2つのパターンがあります。

ただし、相談窓口を設置する際は、従業員が利用しやすい手段、かつ、匿名で利用できる運用にすることが重要です。また設置だけではなく、相談内容に対して適切なアドバイスや支援策を提供するために、専門のカウンセラーや心理士を常駐させるなどの体制整備も必要でしょう。

さらには、相談者の意向に関係なく、個人情報や相談内容が外部に漏れることのないよう、情報の取り扱いにも十分注意しなければなりません。

メンタルヘルス研修の実施

メンタルヘルス研修の実施は、従業員のストレスへの気づきを促し、高ストレス者となってしまうことを未然に防ぐ効果的な手段のひとつです。

研修内容は「ストレスの原因やストレスを軽減する方法」「メンタルヘルス不調への理解や予防」「適切な休養方法」などが含まれます。

自分自身のストレス状態について、何らかのメンタルヘルス不調が出てから初めて気づくケースも多く、予防対策を講じるのは意外にも難しいものです。メンタルヘルス研修は、まず自分のストレスに気づくことができる知識の習得、また、早期に講じられる対処方法を学ぶ機会となるでしょう。

ただし、メンタルヘルス研修は一度実施しただけで大きな効果が得られるわけではありません。継続的な取り組みの一つとして、メンタルヘルスを意識する環境づくりを行うことが重要です。

高ストレス者は放置せず適切なアプローチ方法でサポートしよう

高ストレス者を放置することは、その人自身だけでなく、企業にとっても大きなリスクとなってしまいます。

現在、ストレスチェックは「労働者が常時50人以上いる事業場」においてのみ実施が義務付けられていますが、その目的を考慮した場合には、義務とされていない企業においても、実施するのが望ましいと言えます。

また、ストレスチェックは実施するだけでなく、高ストレス者と判定された従業員への適切なサポートと、必要に応じた労働環境の改善が本来の目的であることを忘れてはなりません。従業員が安全かつ健全に働き続けることができるよう、適切な運用を心がけましょう。

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