健康経営を実現する福利厚生|種類やメリットを解説
企業が健康経営を目指す際、重要になる福利厚生。しかし、福利厚生にもさまざまなサービスがあり、どれを選べば良いのか迷ってしまう方も多いはずです。そこで本記事では、健康経営を実現する福利厚生について、種類やメリット、選び方、おすすめなどを徹底解説していきます。
目次
健康経営とは?
健康経営とは、企業が従業員の健康を重視し、その健康状態の向上や維持を経営戦略の一部として位置づけ、取り組むことを指します。
具体的には、健康診断の実施、ストレスチェックの提供、健康増進プログラムの導入、食事や運動のサポートなどが含まれ、平成28年度には取り組みを評価する指標として「健康経営優良法人認定制度」が、経済産業省により創設されました。
近年、健康経営が注目される背景には以下のような要素が挙げられます。
高齢化社会と労働力不足
少子高齢化による労働人口減少による労働力不足は、この先も深刻化すると考えられています。そのため、従業員一人ひとりが健康で長く働ける環境を整えることが求められているのです。
働き方改革
長時間労働や過重労働といった労働環境の改善など、より良い労働環境の構築は、今もなお企業が取り組むべき重要事項の一つです。その一環として、従業員の健康を守るための施策もまた重要視されています。
企業価値の向上
従業員の健康を管理し、生産性を向上させることで企業価値を高めることができます。また、従業員の健康管理に取り組む企業は、社会的な信頼や評価を得やすくなる点も大きな要因といえるでしょう。
法制度の整備
2015年に創設された「健康経営優良法人認定制度」により、企業の健康経営への取り組みが評価されるようになりました。制度開始は、企業が健康経営に取り組む動機付けとなり、健康経営が、社会的な信頼度を表す基準の一つとなることを後押しする結果にもなったのです。
以上のような背景から、健康経営は企業にとって重要な経営戦略となっています。
▷健康経営とは?意味や得られる効果・具体的な導入方法まで簡単に解説!
健康経営と福利厚生の違い
健康経営は、従業員の健康状態の維持・改善を通じて企業の生産性を高めることを目的とした企業運営の在り方です。一方、福利厚生は、企業が従業員の生活環境や労働環境の向上・改善をするために提供する制度やサービスを指します。
このように、健康経営は経営戦略の一種であり、福利厚生は、従業員が安心して働き続ける環境を整えるために提供するサービスそのものといった違いがあります。ただし、健康経営によって従業員の健康を保つことが、福利厚生の一部となるなど、両者は密接な関係にあるといえるでしょう。
福利厚生の2つの種類とその違い
健康経営とも関わりが深い福利厚生には、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があります。両者の定義や違いを理解しておきましょう。
1.法定福利厚生
法定福利厚生とは、法の定めにより企業が労働者に対して提供しなければならない福利厚生のことです。具体的には健康保険、厚生年金保険、労災保険、介護保険などが該当します。
すべて労働者が病気やケガ、失業などのリスクから身を守るための社会保障制度であり、事業主はこれらの制度に参加し、保険料を納付する義務があります。
2.法定外福利厚生
法定外福利厚生とは、企業が労働法などの法令により義務付けられた法定福利厚生を超えて、自主的に提供する福利厚生のことです。具体的には、社員食堂の提供、社員旅行や住宅補助のほか、独自の休暇制度、子育て支援などがあります。
法定外福利厚生は、主に従業員のモチベーション向上や生産性向上、離職の防止、採用活動時の優位性の獲得などを目的におこなわれます。なお、法定外福利厚生の内容は各企業で自由に決められるため、充実度や実施状況は、企業により異なります。
福利厚生を導入して健康経営に取り組むメリット
福利厚生を導入して健康経営に取り組むメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 離職率の低下につながる
- 採用活動時の企業アピールになる
- 生産性の向上を期待できる
それぞれを具体的に解説します。
離職率の低下につながる
福利厚生を充実させて健康経営に取り組むと、従業員は、企業が自分を大切にしてくれていると感じます。その結果、従業員の仕事や会社への満足度やモチベーションが向上し、長期的に働く意欲が高まるでしょう。また、提供されるサービスを通して従業員の心身の健康を保つことにつながるため、体調不良による離職のリスクも減少します。
労働人口が減少傾向にある昨今、離職者の増加問題には多くの企業が悩まされています。離職者を減らすことは、経営を続けるうえでも非常に重要です。健康経営によって離職率低下が期待できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
採用活動時の企業アピールになる
多種多様な福利厚生を導入し健康経営に取り組むことは、採用活動時の求職者へのアピールポイントになるというメリットもあります。
優れた福利厚生の制度は、従業員が企業に長く勤める一つの要因にもなり、従業員の定着率向上にも寄与します。採用コストや新人教育コストが削減されるのはもちろん、充実した福利厚生や安定した職場環境が総合的に「競合他社との差別化」として作用し、 優秀な人材を引きつける強力な手段にもなり得るでしょう。これにより企業の競争力向上も期待できます。
生産性の向上が期待できる
福利厚生を活用して従業員の心身が健康になると、働く活力が生まれ、モチベーションも上がります。結果的に生産性の向上にもつながるでしょう。
たとえば、社員食堂や宅配弁当の提供、ランチ代補助などの食事に関する制度のほか、独自の休暇制度といった福利厚生の導入は、従業員の満足度にポジティブな影響を与える制度の一例として知られています。特に、栄養バランスのとれた食事の提供は、従業員のよりよい健康状態の維持にもつながるため、体調管理を通じたパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。
▷健康経営のメリット・デメリット|実現させる方法や取り組み例を紹介
健康経営を実現する福利厚生の施策
健康経営を実現する福利厚生の主な施策として、以下の4つを紹介します。
- 食生活改善のサポート
- 運動不足の解消
- 心身の健康管理
- 禁煙支援
それぞれの内容の理解を深め、自社の施策立案の参考としてお役立てください。
食生活改善のサポート
健康経営の実現に向けて、従業員のライフスタイルを支援する取り組みは不可欠です。
栄養の偏った食生活などは生活習慣病の一因であり、長く健康に働き続けるためには改善が求められるでしょう。
食生活改善のサポート施策としては、社員食堂の提供や栄養士・保健師などの専門家による個別指導などが挙げられます。また、健康食品の支給や割引制度の導入などもおすすめです。
運動不足の解消
従業員の健康維持のために、運動不足の解消につながる福利厚生を導入する企業も多くなっています。特にデスクワークが中心の企業は、運動に関する福利厚生を追加することで、従業員の健康促進のほか、ストレスの軽減の効果なども期待できます。
具体的な施策には、オフィスの一角に簡単な運動ができるスペースを設ける、あるいは、ジムやプール、スポーツクラブといった施設の利用費用補助などがあります。また、ウォーキングイベントの開催や、デスクワークの間にストレッチタイムを導入する企業も見受けられます。
心身の健康管理
心身の健康管理、いわゆるメンタルヘルス対策も欠かせません。
健康診断やストレスチェックの実施、相談窓口の設置などが挙げられます。ただし、健全なメンタルヘルスを維持するためには、制度の充実だけでなく、人間関係や業務内容に関する悩みを聞き、適切な処置を早期にとることができる体制を組織全体で構築しておくことが大切です。
禁煙支援
禁煙外来への通院費用の一部を会社が負担してくれる禁煙支援策なども、喫煙や受動喫煙による健康被害を抑える効果が見込める福利厚生です。
治療費補助のほか、禁煙エリアの設定や喫煙時間の制限、禁煙支援プログラムや禁煙パッチの提供などがあります。また、禁煙成功者へのインセンティブ制度を導入したりするのも効果的です。
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福利厚生を導入する際の注意点
続いて、福利厚生を導入する際の注意点についても確認しておきましょう。
コストのバランスに注意する
福利厚生の導入や拡充には、多くの管理コストが発生します。
従業員にとって福利厚生はあればあるほどよいものですが、福利厚生の原資は、主に事業利益から確保しなければなりません。そのため、管理コストを考慮せずに導入してしまうと、そのほかの重要な予算を圧迫してしまうこともあるでしょう。
予めコスト計算をしたうえで、バランスを見ながら導入することが重要です。従業員が喜ぶ福利厚生は何か、不要なものは何かを見極めながら導入・拡充をおこないましょう。
効果が表れるまでには時間がかかる
福利厚生の導入効果は、すぐに表れない点にも注意してください。従業員の健康状態を短期間で改善するのは難しく、継続的な取り組みが求められるためです。
さらに、新たに福利厚生を導入しても、最初のうちは利用方法が理解されず、十分に活用されない可能性もあります。長期的な利用が必要と理解したうえで、福利厚生サービスの導入を検討するようにしましょう。
▷健康経営におすすめのサービス18選を比較|種類や市場規模・導入の流れを解説
健康経営を実現するおすすめの福利厚生7選
健康経営を実現するおすすめの福利厚生サービス7選を紹介します。
1.チケットレストラン
チケットレストランは、日本で最も多く導入されている食事補助の福利厚生サービスです。同サービスで発行する電子マネーを利用すれば、全国25万店以上のコンビニや飲食店で食事を楽しめます。使用すると、食事補助の金額が非課税となるため、企業にとっては税制面のメリットもあります。
提供元 | 株式会社エデンレッドジャパン |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入企業数 | 2,000社以上 |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
2.オフィスおかん
オフィスおかんは、オフィスに冷蔵庫を設置し、毎月お惣菜を届けるサービスです。従業員は、管理栄養士が監修したお惣菜を1品100円で楽しめます。ランチタイムに限らず、朝食や残業時の夜食にしたり、持ち帰って自宅で食べたりすることも可能です。
「オフィスおかん仕送り便」では、テレワーク中の従業員の自宅にお惣菜を届けることもできます。
提供元 | 株式会社OKAN |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入企業数 | 2,500社以上 |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
3.OFFICE DE YASAI
OFFICE DE YASAIは、無添加や国際食材にこだわった惣菜やサラダ、フルーツなどをオフィスに届けてくれるサービスです。オフィスに設置した冷蔵庫や冷凍庫から、好きなタイミングで食べ物を取り出して利用できます。10名から20,000名まで幅広い企業規模に対応しており、サービス継続率も98.4%と満足度の高さが伺えます。
提供元 | 株式会社 KOMPEITO |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
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導入企業数 | 7,000拠点 |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
4.HELPO
HELPOは、従業員の健康をサポートするサービスです。体調不良や体の不安について、24時間365日好きなタイミングで医療専門チームに相談できます。また、チャットを利用して気軽に相談できるのも特徴といえるでしょう。また、病院検索やヘルスケア商品の購入、オンライン診療や特定保健指導も受けられます。
提供元 | ヘルスケアテクノロジーズ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
5.ベネフィット・ステーション
ベネフィット・ステーションは、従業員のライフサポートをするサービスです。健康や食事、Eラーニングやレジャーなどさまざまなサービスを特別価格で利用できます。利用サービス数も約140万件と豊富。従業員だけでなく、2親等以内の親族も利用できます。
提供元 | 株式会社ベネフィット・ワン |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
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導入企業数 | 16,719社(2023年4月時点) |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
6.BOOST ACTIVE
BOOST ACTIVEは、スポーツイベントの企画・運営やアスリートのマネジメントなどをおこなっている株式会社ブーストが提供するサービスです。
ヨガやストレッチ、フィットネスなど好きなプログラムを自由なペースでおこなえるため、運動習慣を身につけるのに最適です。なお、オンラインプログラムサービスもあるため、テレワーク実施中の企業でも利用できます。
提供元 | 株式会社ブースト |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 基本料金
オプション
オンラインメニュー
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導入企業数 | 200社以上 |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
7.オフィスdeリラックス
オフィスdeリラックスは、リラクゼーションの出張サービスです。心身の疲れやストレスの軽減や解消を目的としたサービスで、導入企業における社員利用率は90%以上と高くなっています。
会議室や応接室など、3畳程度のスペースを確保できれば利用が可能。なお、地域によって対応可否が異なるため、気になる場合は、事前に一度相談するとよいでしょう。
提供元 | 株式会社イーヤス |
初期費用 | 定期訪問プラン:55,000円(税込)/年 社内イベントプラン:無料 |
料金プラン | 定期訪問プラン
社内イベントプラン
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導入企業数 | 訪問実績270社以上 |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
自社に最適な福利厚生で健康経営を実現しよう
健康経営には、福利厚生の充実が欠かせません。ただし、制度の拡充には、必ず管理コストがかかります。実施すべき優れた福利厚生と予算のバランスを見極めながら、自社に最適な福利厚生を導入し、健康経営を実現しましょう。
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