健康経営とは?意味や得られる効果・具体的な導入方法まで簡単に解説!
企業経営で一定の成果を出すには、従業員の健康面への配慮は重要です。従業員の体調不良は、経営上のリスクを生みかねません。本記事では、健康経営とはどのような経営手法なのか、導入する意味から得られる効果や具体的な導入方法まで解説します。
目次
健康経営とは?
健康経営とは、従業員の健康を管理することで組織の成長や生産性向上を目指す経営手法です。これまで健康管理は個人の自己責任とされてきましたが、従業員が健康になると高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。その結果、業務効率や生産性の向上が期待できるという考え方です。
ジョンソ・エンド・ジョンソンの調査によると、「健康経営に対する投資1ドルに対して、リターンは3ドルになった」という結果が出ています。会社の発展には「従業員の健康」が重要な要素であり、経営課題として認識する必要があるのです。健康経営の考え方は、日本の成長戦略としても重要視されており、政府も企業における健康経営を後押ししています。
[出典:経済産業省「健康経営の推進について」]
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健康経営が注目されている背景
日本で健康経営が注目されている背景として、以下の要因が挙げられます。
- 人材不足が深刻な問題になっているため
- 職場の高齢化が進んでいるため
- 従業員の健康状態を良好に保つため
- 労働環境の変化が課題として挙げられるため
少子高齢化や働き方改革の推進など社会的な変化の影響を受け、健康経営に取り組む企業は増加傾向です。それぞれの要因を詳しく解説します。
人材不足が深刻な問題になっているため
日本企業のほとんどが深刻な人手不足で、人手不足の要因のひとつが少子高齢化です。総務省によると、生産年齢人口といわれる15〜64歳の人口は1995年を境に年々減少しており、今後も減少の一途をたどると予想されています。人材の確保が難しくなったことと、長時間労働やハラスメントなどによる離職も人手不足を加速させています。近年は、人手不足で経営が回らなくなる「人手不足倒産」が増加しているほどです。
そこで健康経営を導入して従業員が健康的に生き生きと働ける環境を整えることで、一人ひとりのパフォーマンス向上や人材確保につなげることが期待されています。
[出典:総務省「令和4年版情報白書 第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~」]
職場の高齢化が進んでいるため
日本企業では、職場の高齢化も進んでいます。これを受けて政府は、「高年齢者雇用安定法」における定年年齢の引き上げを行いました。2021年に改正された現行制度では、65歳までの雇用確保の義務化、70歳までの終業確保の努力義務化が定められています。少子化が止まらないなか、高齢者層の人材は企業にとって貴重な存在です。
一方で、年齢が上がると体力が低下したり、病気やけがのリスクが高まったりするのも事実です。大切な従業員に元気で長く働いてもらうためにも、会社側が積極的に従業員の健康管理をサポートする動きが出ています。
[出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要」]
従業員の健康状態を良好に保つため
企業が健全に機能するためには、従業員の健康状態を良好に保つ必要があります。しかしながら、「アブセンティーズム」や「プレゼンティーズム」が課題となっている企業は多いのではないでしょうか。
アブセンティーズムとは、従業員が欠勤や休職している状況のことです。労働力が減る一方で、休職中であっても社会保険料などは会社側で負担するため高コストになります。
プレゼンティーズムとは、心身の不調によって従業員が本来の力を発揮できない状態のことです。こちらも、本来は会社側が得られるはずの労働力が提供されずに生産性が低下するため、会社にとって大きな損害となります。
従業員の健康を保つことは従業員本人だけでなく、経営の観点からも重要であるのです。
労働環境の変化が課題として挙げられるため
近年、労働環境は大きく変化しています。特に新型コロナウイルスの感染拡大を機に、在宅でリモートワークを行う人が増加しました。
在宅ワークは通勤時間の削減や場所に捉われない働き方ができるというメリットがあり、新たな働き方として確立しつつあります。その一方で、「運動不足になった」「コミュニケーションが減ったことで、孤独感が増した」など、心身の不調を訴える声も多く聞かれます。
従業員の健康状態に気付きにくい働き方だからこそ、健康管理につながる施策を会社側で積極的に行う必要性が高まっているのです。
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健康経営はいつから始まったのか
近年注目が高まっている「健康経営」ですが、いつから始まったのでしょうか。ここでは、健康経営の歴史を解説します。
健康経営は1990年代のアメリカで生まれた概念
健康経営の発祥はアメリカといわれています。1992年にアメリカの心理学者ロバート・H・ローゼン氏が、著書「The Healthy Company」を出版したことを機に健康経営の概念が確立され広がりました。
アメリカで健康経営が注目された理由は、企業が負担する医療費の圧迫にありました。アメリカは日本と異なり、国民皆保険制度ではありません。もし労働災害が発生した場合、公的医療保険が受けられないため企業側が医療費を負担しなければなりません。そのため、従業員の病気やけがが増えるほど会社は大きな打撃を受けます。そこで、従業員の健康維持が経営課題として重要視されたのです。
2000年代からは日本でも注目が集まった
日本では2000年代から健康経営に注目が集まるようになりました。少子高齢化による人手不足のほか、長時間労働やハラスメントの問題・健康保険料の増大など、企業を取り巻く環境の変化が背景にあります。
また、仕事だけでなくプライベートも大切にする「ワークライフバランス」が重要視されるようになったことで、従業員や求職者が健康的に働ける職場作りが求められるようになりました。
健康経営の取り組みには、働き方の見直しや健康診断の推進・専門家による生活習慣指導・女性や高齢者が働きやすい環境づくりなど、企業によってさまざまです。健康経営を行う企業は増加傾向にあり、国や自治体でも取り組みを後押ししています。
健康経営の導入により得られる効果
健康経営を行うことで、以下のような効果が期待できます。
- 企業全体の生産性向上が見込める
- 欠勤・離職率などの低下につながる
- 企業のブランディング・イメージアップにつながる
- 健康経営の認定制度によりインセンティブを受けられる
それぞれ詳しく説明します。
企業全体の生産性向上が見込める
健康経営を導入することで、企業全体の生産性向上が期待できます。従業員の健康状態が悪いと、集中力の低下によるミスや作業事故・業務効率の低下などが発生し、生産性を低下させる恐れがあります。一方で、ビジネスパーソンによる調査では、「自社の健康投資レベルが高いと感じている従業員は、健康状態や仕事のパフォーマンスが良い」という結果が出ています。
生産性を高めるためには、従業員それぞれが高いパフォーマンスを発揮しなければなりません。そのためにも、健康経営によって心身共に健康な状態を維持することが効果的でしょう。
[出典:経済産業省「健康経営の推進について」]
欠勤・離職率などの低下につながる
健康経営は、従業員の欠勤や離職率の低下にもつながります。従業員が体調を崩してしまったり離職をしてしまったりする要因には、職場の労働環境が大きく影響しています。
無理な長時間労働や低い有給取得率・女性や高齢者が働きづらいなどがあれば、従業員の満足度は低下するでしょう。従業員が健康的に働ける環境を整えることは、働きやすさやエンゲージメントの向上にもつながるため、欠勤や離職を防止できます。
経済産業省によると、健康経営に取り組む企業は、そうでない企業に比べて離職率が低い傾向にあることも分っています。
[出典:経済産業省「健康経営の推進について」]
企業のブランディング・イメージアップにつながる
健康経営は、企業のブランディングやイメージアップにもつながります。健康経営が行われている組織は、「従業員が働きやすい組織」「健全でホワイトな組織」という印象を与えます。求職者に選ばれやすくなるのはもちろん、中長期的な成長が見込まれるため取引先企業や金融機関・投資家にも良い印象を与えられるでしょう。
国や自治体では、健康経営に取り組む企業を認定・表彰する制度があり、認定を受けることで社会的な信用が一段と高まります。また、健康経営に関する取り組みを積極的にPRすることでメディアへからの取材を受ける場合もあるため、知名度アップも期待できるでしょう。
健康経営の認定制度によりインセンティブを受けられる
健康経営優良法人認定制度などで健康経営に対する取り組みが認定されることで、国や自治体・金融などからインセンティブを受けられる場合があります。インセンティブの内容は、融資の優遇や保証料の減額・免除、補助金、入札加点などさまざまです。健康経営導入企業を示す認定ロゴマークの使用も認められるため、企業のPRにもつながるでしょう。
これらのインセンティブは健康経営の導入を促すために設置されており、企業側にとって大きなメリットといえます。しかし、各制度にはそれぞれ認定条件が設定されているため、事前に確認して健康経営に向けた施策の構築が必要です。
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健康経営を導入する際の注意点
健康経営を導入する際は、以下の3点に注意する必要があります。
- 経営者の理解を得なければならない
- 企業全体に周知する必要がある
- 効果を実感しにくい
経営者の理解を得なければならない
健康経営を導入する際は、まず経営陣の理解を得る必要があります。健康経営では、環境整備やツール導入・専門家と連携などを行うためコストがかかります。十分な予算を確保するためにも、経営者の理解は不可欠です。また経営者が健康経営をしっかり理解し従業員の手本となることで、組織に文化を形成しやすくなります。
「なぜ健康経営が求められているのか」「健康経営を遂行しないとどのようなリスクがあるのか」などを説明し、理解を得ましょう。
企業全体に周知する必要がある
経営陣だけでなく、企業全体にも周知する必要があります。健康経営は従業員の健康を守るための施策です。しかし場合によっては、これまでと勤務体制が変化したり新たな制度が導入されることによって、一時的に従業員の負担が増える場合があるかもしれません。また個人のプライベートな健康情報を会社に管理されることに対して抵抗を覚える従業員もいるでしょう。
企業全体に対しても健康経営の重要性を訴えると同時に、「健康経営を行うと従業員にどのようなメリットがあるか」を具体的に示すことが大切です。
効果を実感しにくい
健康経営は、効果を実感しにくいというデメリットがあります。健康経営は、継続的な実施で将来的な組織の改善が期待されるものです。つまり施策を行った直後に生産性が向上したり、心身の健康状態が改善したりするわけではありません。
すぐに効果が実感できないことで従業員のモチベーションが下がったり、途中で挫折したりしないよう、「健康経営は中長期的な取り組みである」という旨を事前に共有しておくことが大切です。さらに、「短期目標を設置して成果を分かりやすくする」「ツールなどを活用して結果を数値化する」など効果を実感しやすくなる工夫がおすすめです。
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健康経営の導入方法
ここからは、健康経営の導入方法を説明します。健康経営は以下の手順で進めていきます。
- 運営するための体制や環境を整える
- 自社の課題を明確にする
- 課題に対する対策を練る
- 対策を実施して評価する
- 取り組みに関して社内外へ告知する
運営するための体制や環境を整える
まずは、健康経営を行うための体制や環境を整えましょう。具体的には、健康経営をけん引するためのチーム結成やリーダーの選出を行います。健康経営は部署や役職をまたいで行うため、マネジメント力のある人物や従業員が相談しやすい人が適任です。
また、チームのメンバーは健康経営に関する知識を習得する必要があります。外部研修の参加や健康経営専門のアドバイザーに依頼するなどして、人材を確保しましょう。同時に使用できる予算を確認しておくことで、後の戦略立案がスムーズに行えます。
自社の課題を明確にする
次に、自社の課題を明確にしましょう。健康経営につながる取り組みはさまざまですが、企業によって課題は異なるため、自社に足りないものは何かという分析が大切です。たとえば、以下のものを分析します。
- 健康診断の受診率
- ストレスチェックの結果
- 残業時間
- 有給消化率
- 年齢層の割合
職種や役職・年齢層によっても課題は異なるため、それぞれの課題を一度整理しておきましょう。
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課題に対する対策を練る
課題が明らかになったら、次は対策を練っていきます。例として、実際に健康経営を行っている企業などでは以下のような取り組みが行われています。
- 産業医との連携
- 食事指導やバランスの良い社食の提供
- 労働時間の是正
- メンタルヘルス窓口の設置
- スポーツイベントの開催
- 就業時間内の禁煙や分煙
対策を考える際のポイントは、従業員の重荷にならないようにすることです。たとえばスポーツイベントを強制参加にしてしまうと、参加したくない人にとっては精神的なストレスとなり意味がありません。手段と目的が入れ替わらないように注意しましょう。
対策を実施して評価する
対策が決まったら実行と評価を行います。評価には従業員へのアンケート調査や健康経営向けの業務ツールを活用し、できる限り数値化すると良いでしょう。効果が目に見えると評価しやすくなり、従業員のモチベーションアップにもつながります。
実施することで新たな課題や問題が発生する場合もあるため、従業員の声を参考にしながら柔軟な対応が大切です。PDCAサイクルを回しながら、より効果的な健康経営を目指しましょう。
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取り組みに関して社内外へ告知する
健康経営に関する取り組みは、積極的に社内外へ告知しましょう。特に社外への告知は、企業のイメージアップや信頼にもつながります。告知方法は、企業のホームページで取り組み状況を紹介したり、プレスリリースで発信したりする方法があります。また国や自治体から健康経営の認定を受け、認定をアピールすることも有効です。
積極的に発信することで、従業員に対しても「健康経営に真剣に取り組んでいる」という姿勢を示すことができ、エンゲージメントの向上につなげられます。
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健康経営への国による取り組み
国を中心に官民一体となって健康経営の拡大を図っている取り組みがあります。ここでは、その取り組みの一部をご紹介します。
日本再興戦略
政府は、2013年に「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」を閣議決定し、戦略市場創造プランを掲げました。そのうちひとつが、「国民の『健康寿命』の延伸」です。具体的には、以下の対策を提示しています。
- 健康に過ごせる社会作りに向け、予防サービスや健康管理を充実
- 最先端の医療が受けられる社会に向け、医療産業を活性化
- 病気やけがをしても復帰できる社会作りに向け、医療・福祉サービスの連携を強化
病気の予防から復帰までの体制を整えることで、国民の健康維持を図る取り組みです。これを機に、国は健康経営の推進を本格化させました。
[出典:厚生労働省「新たな成長戦略 ~「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」~ 戦略市場創造プラン(成長戦略2013)」]
次世代ヘルスケア産業協議会
経済産業省は、2013年に健康寿命延伸に対する具体策を官民一体となって検討する場として、「次世代ヘルスケア産業協議会」を設置しました。
次世代ヘルスケア産業協議会では、新事業創出・健康投資・未来イノベーションという3つのWG(ワーキンググループ)を設置しています。健康経営促進のためには、健康寿命延伸に寄与する産業の発展が欠かせません。したがって健康にまつわる製品およびサービスの把握や課題抽出、健康経営の促進などを行っています。また各企業の健康経営事例などを分析しながら、健康経営推進手法の検討や取り組みの普及に努めています。
[出典:経済産業省「次世代ヘルスケア産業協議会」]
健康経営銘柄
健康経営銘柄は、健康経営に関して優れた取り組みをした企業を選出する制度です。対象は東京証券取引所の上場会社とされています。投資家に健康経営を行う企業をPRすることで、健康経営を促進することが目的です。
経済産業省によると、主に以下の観点で評価されます。
- 健康経営が経営理念・方針に位置づけられているか
- 健康経営に取り組むための組織体制が構築されているか
- 健康経営に取り組むための制度があり、施策が実行されているか
- 健康経営の取り組みを評価し、改善に取り組んでいるか
法令を遵守しているか
2023年は31業種から49社が選定されました。
[出典:経済産業省「健康経営銘柄」]
健康経営優良法人認定制度ホワイト500・ブライト500
健康経営優良法人認定制度は、地域の健康課題解決や日本健康会議が掲げる目標達成に向けて、優良な健康経営を行う企業を評価する制度です。
大企業だけでなく中小企業も対象で、上場・非上場は問いません。認定制度で健康経営を導入する企業を「見える化」し、従業員や求職者・取引先企業・金融機関などから社会的評価を得られるよう設置されました。
2023年は大規模法人部門に2,676法人、中小規模法人部門に14,012法人が認定されました。さらに大規模法人の上位法人には「ホワイト500」、中小規模法人の上位法人にはブライト「500」の称号が与えられます。
[出典:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」]
ホワイト500
ホワイト500は、大規模法人部門の上位500法人に与えられる称号です。社会的影響力の高い大企業には、健康経営をけん引する「トップランナー」としての役割が期待されています。
ホワイト500の認定を受けるためには、経済産業省が実施する「従業員の健康に関する取り組みについての調査」に回答し審査を受けます。認定要件は、「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つの観点から設けられており、健康経営に向けた各取り組みが評価されます。
[出典:経済産業省「健康経営の推進について」]
ブライト500
ブライト500は、中小規模法人部門の上位500法人に与えられます。日本企業の多くは中小企業です。そこで、インセンティブを設けて各社の取り組みを積極的に評価することで、全国に健康経営の拡大を図っています。
ブライト500の認定を受けるためには、加入している保険者が実施する健康宣言事業に参加する必要があります。その後、「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」からなる評価項目に沿って審査が行われ、認定を受けます。
[出典:経済産業省「健康経営の推進について」]
日本健康会議
日本健康会議は、健康経営優良法人の認定を行っている団体です。経済界や医療関係団体・保険者団体・自治体が連携することで、健康寿命の延伸と医療費の適正化を目指しています。日本健康会議では、「健康づくりに取り組む5つの実行宣言2025」として以下を掲げています。
宣言1:地域づくり・まちづくりを通じて、生活していく中で健康でいられる環境整備に取り組む自治体を1,500市町村以上とする。
宣言2:47都道府県全てにおいて、保険者協議会を通じて、加入者及び医療者と一緒に予防・健康づくりの活動に取り組む。
宣言3:保険者とともに健康経営に取り組む企業等を10万社以上とする。
宣言4:加入者や企業への予防・健康づくりや健康保険の大切さについて学ぶ場の提供、及び上手な医療のかかり方を広める活動に取り組む、保険者を2,000保険者以上とする。
宣言5:感染症の不安と共存する社会において、デジタル技術を活用した生涯を通じた新しい予防・健康づくりに取り組む保険者を2,500保険者以上、医療機関・薬局を20万施設以上とする。
[引用元:日本健康会議「健康づくりに取り組む5つの実行宣言2025」より]
少子高齢化が進み、生活習慣病や感染症への不安も尽きないなか、誰もが健康的に活動できる社会づくりを目指しています。
[出典:日本健康会議「日本健康会議について」]
健康経営会議
健康経営会議は、2013年から健康経営会議実行委員会によって行われている取り組みです。健康経営は登場して間もない取り組みであり、企業に対して十分に情報が共有されていません。そこで、健康経営を行う企業や団体・有識者が情報を発信し、情報共有できる場を設けるために設置されました。健康経営会議では、健康経営に関するセミナーやパネルディスカッションなどが行われます。
毎年テーマが定められており、2022年は「健康経営×人的資本経営」をテーマにオンラインにて開催されました。健康経営に対する理解を深めることで、国が推進する「国民の健康寿命の延伸」を目指しています。
[出典:健康経営会議実行委員会「健康経営会議実行委員会設置の件」]
一般社団法人 社会的健康戦略研究所
一般社団法人 社会的健康戦略研究所は、2019年に設立された団体です。日本の高齢化が深刻になり社会構造が変化するなかで、どのように対応していくべきかを健康の視点から研究・発信しています。職域部会・地域部会・学域部会・国際標準化部会などが設置され、具体的には以下のような活動をしています。
- 健康経営の研究や情報共有
- 健康経営に関するフレームワークの開発や実装
- ヘルスリテラシー教育の検討
- ヘルスケアサービスの国際標準化に向けた取り組み
家庭・就労・地域の3つの視点で健康に向き合い、日本だけでなく世界レベルでの健康経営実装を目指している団体です。
[出典:一般社団法人 社会的健康戦略研究所「一般社団法人 社会的健康戦略研究所」]
健康経営への企業や団体による取り組み
企業や各団体同士も連携しながら健康経営の発展に向けて活動をしています。ここではその取り組みを一部紹介します。
Kenko企業会
Kenko企業会は健康経営に取り組む企業で構成されている団体で、以下8つの分科会に分かれて活動しています。
- メンタルヘルス分科会
- ウォーキング分科会
- 禁煙分科会
- 食事分科会
- データヘルス推進データ分析分科会
- 女性の健康分科会
- 睡眠分科会
- 健康経営推進勉強会分科会
2023年現在で48社が加入しており、健康経営に関して意見交換を行い、施策レベルの向上を図っています。
[出典:Kenko企業会「Kenko企業会」]
健康経営研究会
特定非営利活動法人の健康経営研究会は、健康経営の推進を目的に2006年に設立された組織です。企業のマネジメントにおいて、人を資本とする考えを基準に従業員が心身共に健康で働ける環境作りの拡大を目指しています。
具体的には、有識者を交えたセミナーや賛助会員同士の情報共有の機会を設け、健康経営推進に向けた取り組みなどです。健康経営を通じて、企業と従業員がWin-Winとなる関係性の構築に向け、活動の幅を広げています。
[出典:特定非営利活動法人 健康経営研究会「健康経営研究会について」]
ウェルネス経営協議会
ウェルネス経営協議会は、健康経営を推進する企業20社が発起人となり2015年に発足した団体です。主な活動内容は以下の通りです。
- 企業の事例を発信および健康経営の啓蒙活動
- 従業員の健康と企業業績の関係についての研究
- 生活習慣データによる予防分野の研究
- 健診受診率向上に向けた活動
- 食事、運動に関する啓蒙活動
各社における健康経営の効果を分析・共有し、国内外へ情報発信することを目的としています。
[出典:SoftBank「「ウェルネス経営協議会」の発足について」]
健康経営とは企業成長のために従業員の健康管理を行う取り組み
本記事では、健康経営の概要や導入方法・国や企業の取り組みなどを紹介しました。従業員の健康は、パフォーマンスや業績向上に深く関わる重要な要素です。
健康的に働ける環境作りは、従業員にも会社にも大きなメリットがあります。健康経営を通して、組織の発展を目指しましょう。
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