タバコは休憩・労働時間どちらに含まれる?労務管理で押さえておきたいポイント
職場の中でも不公平感の声が度々上がるタバコ時間。しかし、そもそもタバコ時間が休憩・労働時間のどちらに含まれているのか、知らない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、そんなタバコ時間について、労務管理で押さえておきたいポイントを徹底解説していきます。
・タバコ休憩の具体的な基準は定められていない
・禁煙の呼びかけや非喫煙者を優遇する制度を作るなどが不平を生ませないポイント
目次
タバコは休憩?労働時間?
仕事中のタバコは休憩時間なのか、それとも労働時間なのか。これを結論づけるには、まず労働時間の定義を理解する必要があります。
労働時間の定義とは?
労働時間の定義とは、「労働者が使用者の指揮命令下にある時間」を指します。つまり、具体的な業務や作業を行っていなくても、業務指示があればすぐに着手できる待機時間も労働時間に含まれると解釈できます。
たとえば、デスクで食事をしている場合はすぐに電話対応などの業務に移れるため、労働時間に含める必要があります。
タバコ休憩が労働時間に含まれるか
タバコ休憩が労働時間に含まれるかどうかは、「その時間が使用者の指揮命令下にあったかどうか」が判断基準になります。
状況によって判断が異なるため、過去の判例においてもタバコ休憩を労働時間に含める判例と、労働時間から除外するという両方の判例が存在しています。
具体的には、以下のような基準から総合的に判断するのが一般的です。
- 喫煙休憩1回あたりの時間
- 喫煙休憩の頻度や回数
- 喫煙休憩中に業務指示が行われた頻度や回数
- 喫煙休憩の場所と仕事現場の距離
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タバコ時間における労務管理で押さえておきたいポイント
労務管理の観点から、タバコ時間の扱いを決めるうえで抑えておきたいポイントを2つ解説します。
社内ルールで設定する
状況に応じて、社内ルールの設定を検討しましょう。これは著しくモラルに欠ける休憩に対して注意喚起できる基準・規制が必要なためです。
ただし、トイレやコーヒーブレイクなどの小休憩の理由はさまざまです。「喫煙」のみに限って、厳格なルールを設けてしまうのは、不公平さから喫煙者の不満の声が大きくなってしまうため注意しましょう。
場合によって指導対象にする
あまりにも喫煙回数が多かったり、1回あたりの喫煙時間が長かったりと、明らかに業務や周囲に影響が出ている場合は、客観的なデータを取って指導しましょう。社内ルールが設定されていれば、ルールに則った明確な基準を元に指導できます。
一方で、このような行動には健康上の問題や職場・家庭でのストレスなど、何かしらの問題が影響している場合があります。単に喫煙行為を指導・指摘するだけではなく、本人の体調や状況などもヒアリングしつつ、根本的な問題の解決を目指すのが理想です。
タバコ時間による不公平感を解決する制度の整え方
タバコ時間に対する不公平感を解決するための制度の整え方を2点解説します。
非喫煙者を優遇する制度を整える
喫煙者に罰則を与えるだけでなく、非喫煙者を優遇する制度を整えるのもひとつの方法です。たとえば、以下のような制度が考えられます。
- 非喫煙者にも追加で一定時間、一定回数の休憩を与える
- 非喫煙者に年間数日の特別休暇を与える
非喫煙者の不満の原因は、喫煙者はタバコを理由に休憩できること、仕事から開放されることにあります。従って、非喫煙者にも同様の休憩時間を与えることで不公平感が軽減する可能性があります。
逆に、非喫煙者はタバコ休憩をしないぶん、喫煙者よりも労働時間が長いとも解釈できるため、非喫煙者に追加で手当を支給するのも良いでしょう。
ただし、ひと口に「喫煙者」といっても、1日1〜2回の喫煙の人もいるなど、必ずしも非喫煙者より労働時間が短いとは言い切れない場合もあります。また、禁煙中は特別休暇や手当の付与をどうするのか、といった判断も求められるでしょう。
いずれも、不公平感を是正するための制度が、新たな不公平感の原因とならないよう、注意が必要です。
全社的に禁煙を推進する呼びかけを実施する
社内報や社内SNSなどで、全社的に禁煙推進の呼びかけを実施する方法もあります。
具体的には、喫煙が体にどのような悪影響を及ぼすのか、禁煙するとどのようなメリットがあるのかなどを定期的に呼びかけます。
実際、2020年4月の健康増進法の施行以降、積極的に禁煙への取り組みを進める企業は増えています。実施例としては、「就業時間内の喫煙禁止」や「屋内の喫煙所の撤廃」などですが、会社として公式にスタンスや方向性を示すことは、より良い環境づくりにおいて非常に重要といえるでしょう。
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労務管理では喫煙者・非喫煙者の両方の立場を尊重しよう
昔から度々問題になるタバコ休憩問題。非喫煙者のなかには、「喫煙者のほうが自分たちよりも休憩が多い」と感じて不満を抱く人も少なくありません。
とはいえ、依存症やストレスなどの問題が喫煙行動を誘発している場合も多く、該当する従業員の健康状態が懸念されるという側面もあります。
労務管理においては、喫煙者・非喫煙者両方の立場を尊重して、双方に不公平感が残らないようルールや制度を整備することが大切です。
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