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労務管理効率化にはDXが重要!推進するポイントやおすすめのツール

2023/11/28 2023/11/28

労務管理システム

労務管理のDX

デジタル技術を活用してビジネスに変化をもたらし、企業の優位性を高めるDX。働き方改革と同様に推進される業務のDXですが、労務管理業務も例外ではありません。本記事では、労務管理におけるDXの必要性や、労務管理のDXが進まない理由を解説します。

労務管理のDXとは?

労務管理のDXとは、雇用契約や給与計算など、従業員の労働に関する各業務にデジタル技術を活用して効率化・最適化する取り組みを指します。

労務管理とは

労務管理とは、従業員の労働環境を整え、管理する業務全般のことです。具体的には雇用契約や給与計算、勤怠管理、健康診断など、従業員の「働く条件・環境」に関する管理業務を行います。

一方、人事業務も労務と同様に企業のヒトにかかわる業務ではありますが、一般的に人事と労務は、その業務内容が異なります。人事業務は、採用や人材育成、人材評価、研修の実施など、従業員の活用、処遇に関する業務、従業員のキャリアや成長にかかわる業務が中心です。

企業規模によっては、人事部と労務部でそれぞれに独立した部署が設けられていることもありますが、人事評価によって給与が決定するなど、業務が密接な関係にあることから、人事部が労務管理を担うことが多いといえます。

労務管理とは?どんな仕事?具体的な仕事内容や重要性を詳しく解説!

DXとは

DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称です。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」によって、国内で注目されるようになりました。

経済産業省が2020年に策定した「デジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)」では、以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

[引用:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)」p.1|]

このことから、DXはデータやデジタル技術による業務効率化だけでなく、ビジネスモデルや組織全体の変革を指すことが分かります。単に新しい技術を導入するだけでなく、技術を活用することでビジネスモデルや組織文化を根本から見直し、イノベーションを起こすことが求められるのです。

デジタルトランスフォーメーションはなぜDXと略される?"X"が指す意味とは

労務管理をDXするメリット

労務管理のDXは、業務効率の向上やヒューマンエラーの防止、ペーパーレス化の推進など、さまざまなメリットをもたらします。

業務効率の向上や属人化の防止が見込める

労務管理にDXを導入することで、多くの業務プロセスが自動化・効率化されます。

例えば、出勤・退勤の管理、給与計算、休暇管理などの業務は、タイムカードや出勤簿などの紙ベースでの管理からデジタルに移行することで、労働時間や給与の自動計算が可能となり、労務担当者の管理業務や締日の作業負担を大幅に軽減することができます。

また、別々に管理されていた勤怠情報や給与、雇用契約などの業務上、親和性の高い情報がデジタルツールによって一元化されるため、業務効率が上がるのはもちろん、情報共有や可視化が手間なく行える環境は、業務の属人化防止にも効果的です。

ヒューマンエラーを防止できる

勤怠管理における労働時間の集計作業や、勤怠情報の給与計算業務への反映、給与計算などの業務は、定期業務であるうえに、多くの場合、作業が短期間に集中してしまう業務です。そのため、すべてを手作業で行う場合、集計ミスや転記ミスなどを完全に排除することは難しく、どうしてもヒューマンエラーによるミスが起きるリスクが伴うでしょう。

DXによってシステム化、システム間のデータ連携を実行することで、労務管理で発生していた計算や入力などの手作業を自動計算や自動転記へと移行できるようになり、ヒューマンエラーが発生しにくい環境を整えることができるのです。

ペーパーレス化の推進につながる

労務管理のDXは、ペーパーレス化の推進にも寄与します。

例えば、給与システムでは、給与明細書をPDFで発行してメールで送信する、あるいは、各従業員のアカウントで閲覧できるようにすることでペーパーレス化が可能です。また、雇用契約なども電子契約システムを導入することで、オンライン上で完結できるようになります。

労務業務で発生する文書は、法律で長期間の保管が義務付けられているものも多いため、ペーパレス化は、オフィススペースの有効活用やコスト削減、情報アクセスの迅速化など、多くのメリットが期待できます。

ペーパーレスとは?推進の必要性やメリット・デメリットを徹底解説!

労務管理のDXが進まない理由

労務管理のDXは、企業に多くのメリットをもたらしますが、依然としてDXが進まない企業は少なくありません。

なぜDXが進まないのか、その代表的な理由を詳しく説明します。

DXを推進できる人材が少ない

DXの進行には、デジタル技術とデータ活用のスキルを持った人材が欠かせませんが、多くの企業で専門的な人材が不足しています。

また、業務のDXを推進する際には、ITの知識だけでなく、自社のビジネス戦略や組織状況に関する深い理解も求められます。会社のビジョン、目標を理解し、DXを推進することで社内にどのような利益が生じるのか、従業員に提案し、共感を得ながら推し進める交渉力も必要でしょう。

DXを推進できるスキルや思考を持つ人材、いわゆる「DX人材」自体が、社会的に不足している中で、自社の業界や事業、社内事情にも精通したDX人材を育成するのは、容易ではありません。そのため、業務のデジタル化やクラウド化へ移行したくても進めることができないという企業が多いのです。

DX人材に必要なスキルや知識とは?育成方法やマインドセットも解説

DXの必要性を理解していない

DXの推進には、組織全体の協力が不可欠ですが、多くの企業や組織において、DXの意義や必要性が十分に理解されていない場合が見受けられます。

DXは単なる技術導入でなく、組織の文化や価値観、業務プロセスの根本的な変革を意味します。DXによって新たな事業に着手したり、顧客層を変更したり、社内の人事評価制度を大きく変えたりと、多種多様な効果を得ることができるのです。

しかし、経営層や中堅層が、現行のビジネスモデルや業務プロセスに固執する傾向がある場合、DXの取り組みは「新しい技術の導入」という表面的な理解にとどまりがちです。

マネジメント層が、DXにより得られる本来のメリットを理解していない場合、DXにコストを割くことは難しく、結果、DXが進められなくなってしまいます。

DX推進に潜むリスクとは?デジタルリスクマネジメントの重要性も解説

予算を確保するのが難しい

労務管理のDXには、システムの初期導入費や運用費、維持費がかかり、まとまった予算が必要です。そのため、予算の確保が難しいという企業も多いでしょう。

また、ROI(投資対効果)がつかみにくい、短期間での回収を見込める確証がないことを理由に予算の承認を得られない場合があります。企業によっては、現行の業務プロセスに大きな問題がなく、将来を見据えた変革の必要性について経営層から共感を得られないことも考えられます。

予算確保のためには、経営層や従業員にDXの意義や必要性を伝えることが重要です。

労務管理のDXの主な流れ

労務管理のDXを実現するには、まず自社の現状分析から行います。

現在の労務管理の業務内容とそれらにかかる時間、業務の流れを棚卸しし、使用しているツールやシステムについても、関連する業務も含めて整理します。併せて、現在感じている課題や、ボトルネックとなっている作業なども把握しましょう。

次に、DXの目的や目標を明確に設定し、その基準に合わせて最適なデジタルツールやソリューションを選定します。選定したシステムを導入する際は、使用者への研修・教育のスケジュールも計画しましょう。

最後に、導入後の運用を確認し、必要に応じて改善や最適化の取り組みを進めます。取り組みのペースは、運用の進捗や社内の反応を見ながら、柔軟に変更・調整し、計画的に進めましょう。

労務管理のDXを成功させる秘訣

ここからは労務管理のDXを成功に導くための要素を詳しく紹介します。

DXを推進できる人材を確保する

DXの成功の鍵は、DX推進を担う人材の確保です。DXを進めるには、デジタル技術に関する知識のほか、業務プロセスや組織の文化に対する深い理解が求められます。

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)では、DX人材が持つべき6つの適性を次のように定義しています。

  • 不確実な未来への創造力
  • 臨機応変/柔軟な対応力
  • 社外や異種の巻き込み力
  • 失敗したときの姿勢/思考
  • モチベーション/意味づけする力
  • いざというときの自身の突破力

[引用:IPA(情報処理推進機構)「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査:p.30」]

課題設定力や主体性、周りを巻き込む力がある人材が推進することで、組織内のDXに対する理解やモチベーションの向上が期待できます。

組織としては、積極的な採用活動や研修、キャリア形成のサポートなど、人材の確保と育成に注力することが必要です。専門的な知識と推進力のある人材の存在は、労務管理のDXを成功へと導く重要な要素の一つと言えるでしょう。

スモールスタートで始める

労務管理のDXを進める際、大規模なプロジェクトを一気に推進するのではなく、スモールスタートとして小さなステップから始めるアプローチが推奨されます。例えば、まずは勤怠管理のデジタル化から着手し、運用が定着した段階で給与業務のデジタル化を図るなどです。

特に労務管理は、遵守すべき労働関連の法令があったり、従業員の利益に直結する業務が含まれたりすることから、ミスは許されません。システム導入による業務フローの変更時には、多少なりとも混乱が生じるはずです。ミスなく迅速に対応できるよう、スモールスタートと無理のない計画の2点を意識し、着実に進めるようにしましょう。

DXプロジェクトの進め方とは?重要性や成功させる秘訣を紹介

DXの必要性を浸透させる

DXを成功させるには、組織全体でその必要性を認識し、共有することが極めて重要です。導入のメリットや成功事例を全社的に共有するほか、簡単な動画を作成して配信、説明会を開催するなど、さまざまな手法で伝えるといいでしょう。

また、経営層や管理者層が積極的にDXの価値やビジョンを伝え、従業員に模範となる行動を示すのも効果的です。このような継続的なコミュニケーションを通じて、組織の文化や価値観にDXの考え方を根付かせつつ、組織全体にDXの必要性に対する共通理解を浸透させていきましょう。

DX推進を成功させる組織とは?組織変革のポイントや成功事例を解説

労務管理におすすめのツール3選

最後に、DXによる労務管理を行う際に役立つ3つのツールを紹介します。

SmartHR

SmartHRは、クラウド型労務管理ツールです。特に中小企業を中心に、人事・給与の手続きを大幅に効率化するソリューションとして広く採用され、ユーザーフレンドリーなインターフェースやシンプルな機能設計が、多くの企業から高評価を受けています。

基本的な労務業務を一元的に管理でき、定期的なアップデートで法改正にも迅速に対応。企業のコンプライアンスをサポートします。

提供元株式会社SmartHR
初期費用無料
料金プラン要問い合わせ
導入実績50,000社以上(※2023年10月時点)

※ SmartHR上で事業所登録を完了しているテナント数

機能・特徴

■人事・労務管理

  • 雇用契約・入社手続き
  • マイナンバー管理
  • Web給与明細
  • 年末調整 など

■タレントマネジメント

  • 従業員データベース
  • 人事評価
  • 配置シミュレーション
  • スキル管理 など
URL公式サイト

Kintone

Kintoneは、サイボウズが提供するクラウド型の業務アプリケーションプラットフォームです。

プログラミングの知識がなくても、ノーコードで業務アプリを迅速に作成できるため、勤怠、給与、人事評価など、自社のニーズに合わせたアプリを容易に構築できます。また、Kintoneにはチームコミュニケーションを強化する機能も充実しており、労務データの共有や業務フローの最適化をサポートします。セキュリティ性も高く、機密性の高い労務データの管理も安心です。

提供元サイボウズ株式会社
初期費用無料
料金プランライトコース:858円(税込)/月/ユーザー

スタンダードコース:1,650円(税込)/月/ユーザー

導入実績30,000社以上(※2023年06月)
機能・特徴

■人事・総務

  • 勤怠管理
  • 休暇申請
  • 社員名簿管理
  • 採用管理
URL公式サイト

freee人事労務

freee人事労務は、freee株式会社が提供するクラウド型の労務管理ソフトウェアです。

特に中小企業向けに、煩雑となりがちな労務業務をシンプルかつ効率的に管理することを目的としています。給与計算、社会保険手続き、雇用契約の作成など、多岐にわたる労務タスクを一元的にサポートする機能を持つのが特徴です。また、使いやすいインターフェースや自動計算機能により、労務管理のミスや手間を大幅に削減。法改正時の自動更新機能も備えており、常に最新の労務管理を実現可能です。

提供元freee株式会社
初期費用無料
料金プラン

■年払い

  • ミニマム:2,200円(税込)/月
  • スターター:3,300円(税込)/月
  • スタンダード:4,400円(税込)/月
  • アドバンス:6,050円(税込)/月

■月払い

  • ミニマム:2,860円(税込)/月
  • スターター:4,290円(税込)/月
  • スタンダード:5,720円(税込)/月
  • アドバンス:7,865円(税込)/月
導入実績46万社以上(※2023年3月末時点)

※freeeサービス全体

※有料課金ユーザー企業数

機能・特徴

■労務管理

  • 勤怠管理
  • 年末調整
  • 給与計算、給与明細作成
  • 入退社手続き
  • マイナンバー管理
URL公式サイト

労務管理をDXし業務効率・生産性を向上させよう

労務管理のDXの重要性や取り組み方、効果的なツールを紹介しました。現代のビジネス環境では、DXの推進は不可避であり、労務管理の領域もその例外ではありません。

DXを進めることで、業務効率の向上、ヒューマンエラーの減少、ペーパーレス化の促進など多くのメリットが生まれます。一方、DX推進のためには組織全体の理解と協力、適切な人材の確保、そして効果的なツールの採用が必要です。今後も変化し続ける労務環境に柔軟に対応し、生産性の向上を目指したDXの取り組みを積極的に進めましょう。

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