労務管理士とは?年収や仕事内容・資格の取得方法を解説!

最終更新日時:2023/05/15

労務管理システム

労務管理士とは

労務管理業務全般を担う「労務管理士」。国家資格の「社会保険労務士」と混同されることもありますが、労務管理士に求められる役割とはどのようなものでしょうか。本記事では、労務管理士とは何か?仕事内容や資格の習得方法、社会保険労務士との違いなどを詳しく解説します。

労務管理士とは?

労務管理士とは、労働基準法や労務管理など専門知識の習得を証明する資格です。主に人事や労務の分野で活かされ、20歳以上であれば性別や学歴に関係なく受験ができます。

労務管理士は、一般社団法人日本人材育成協会と一般社団法人日本経営管理協会が運営する民間資格で、国家資格ではないため、「労務管理士の資格を取得しても意味がないのでは?」と軽視されることがあります。

しかし労務管理士は、労務管理のスペシャリストであるため専門知識を持っているため社内での役割は非常に重要です。そのため企業の労務関係に資格を活かせるため、就職や転職の際にはアピールの一つになります。

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社会保険労務士との違いとは?

労務管理士とよく混合されるのが、国家資格の社会保険労務士です。労務管理士と社会保険労務士には、どのような違いがあるのでしょうか。

それぞれの違いや特徴は以下の通りです。

 労務管理士社会保険労務士
仕事の内容人事制度の構築や労務の管理人材管理やコンサルティング、書類の作成など
活躍の場主に企業内企業内・独立開業
資格の種類民間資格国家資格

大きな違いは資格の種類です。労務管理士は民間資格で、社会保険労務士は国家資格です。

また社会保険労務士には独占業務があるものの、労務管理士にはありません。

社会労務士が行える独占業務は、以下の通りです。

  • 第一号業務:健康保険や年金保険などの各種書類作成、提出代行
  • 第二号業務:労働者名簿や帳簿書類などの書類作成
  • 第三号業務:人事に関するアドバイスやコンサルティング

上記の独占業務を労務管理士が行うと、社会保険労務士法に違反するため注意してください。

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労務管理士の仕事内容

企業内で活躍することの多い労務管理士ですが、実際にはどのような業務を行っているのでしょうか。ここでは、労務管理士の主な仕事内容を9つ紹介します。

雇用契約の締結

労務管理士は、雇用契約締結の業務を請け負います。企業が新しい従業員を雇用すると、雇用契約書や労働契約書を締結しなければなりません。

労働契約書には契約期間や勤務時間・業務内容・賃金・休憩時間など、厚生労働省が指定する方法で従業員への明示が必要です。労働基準法の知識を持つ労務管理士が業務を請け負うことで、書類発行や各種手続きがスムーズになります。

労働条件の変更・管理

昇給や昇進があると、従業員の労働条件が変更されます。労働条件の変更は、企業側が勝手にできるものではありません。従業員の同意が必要で、同意があっても労働者の不利益になるような労働条件は結べないように法律で規定されています。

労務管理士は企業側の提案内容が労働基準法や労働契約法に沿った内容になっているか確認し、適切な方法で条件変更の手続きを行う必要があります。複数の法律が絡む手続きにおいて、正しい手順で手続きが進められるのも労務管理士の強みです。

人事考課

人事考課とは、従業員の能力や適性に合わせて人員配置や給料・役職などを決める業務です。人事考課によって適切な評価をすることで、従業員のモチベーションが向上します。また適材適所で業務が遂行できるため、企業全体の作業効率もアップするでしょう。

ただし人事考課は、「自分は評価されていない」「この会社には必要ない存在だ」といった感情を抱かせるリスクもあります。従業員に人事考査を納得してもらうためには、労務管理士の公平な立場が求められます。

各保険の管理

一定の条件を満たしている従業員は、社会保険や労働保険に加入しなければなりません。契約書類は複数あり加入条件も異なるため、手続きの際は専門的な知識が必要です。また、一定条件をクリアすれば正社員だけでなくアルバイトやパートも加入できるため、従業員数の多い職場では大きな負担となるでしょう。

各保険の加入手続きに伴う労務も、労務管理士が行うことで正確性が高まります。

給与・勤怠管理

従業員の給与や勤怠を管理するのも、労務管理士の業務です。残業時間や休日出勤の有無などを確認し、労働条件に照らし合わせながら正しい給与計算を行います。特にインセンティブ制度を設けている企業では、個々の成績を給与や賞与に反映するため複雑な作業が求められます。

また、間違いがあるとその月の会計処理にも影響が発生するため、慎重さが求められる業務です。正確な作業が必要な業務だからこそ、労務管理士が担うことで責任の所在を明確にできるようになります。

従業員の健康管理

少子高齢化による労働力不足で、各企業は人材確保が重要な課題になっています。従業員に健康診断を促したり、運動できる環境を整えたりしながら健康管理を行うのも、従業員の健康管理も労務管理士にとって重要な仕事のひとつです。従業員は企業の労働力であり、できるだけ長く健康的に働いてもらえるよう働きやすい環境の整備が必要です。

また従業員50人以上の企業は、「メンタルヘルスチェック」が義務化されています。従業員の健康を守ることで企業経営を支えていくことも、労務管理士の大きな役割です。

労働環境の改善

「長時間労働や時間外労働が多い」「休みを取りにくい」「職場に居づらい雰囲気がある」といった労働環境は、従業員にとって働きやすい職場とは言えません。従業員の労働環境が悪化すると、離職率が上昇する恐れもあります。

福利厚生を整えたり従業員同士のコミュニケーションを促したりと、労働環境の改善に務めていく必要があります。企業にとってどのような課題があるのか、従業員の求めていることは何なのかを分析しながら適切な制度を導入することも、労務管理士に求められる重要な仕事です。

就業規則の管理

就業規則は、労働者が働くためのルールで企業によって内容が異なります。就業規則は常時10人以上の従業員を雇用している企業に義務化されており、就業規則を定めなければ法律により罰せられます。

就業規則による明確なルールが規定されていなければ、雇用者と従業員の間でトラブルに発展することもあるでしょう。労務管理士は企業の実態に合わせて、どのような規則が必要なのかチェックしながら就業規則を作成・管理していく必要があります。また、人材の採用や就業規則の内容に変更があった場合には、全従業員に周知徹底することも求められます。

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労務管理士の合格率・年収の相場

労務管理士の受験資格は「20歳以上であること」と定められており、性別や学歴・経験などは不問です。

ただし、具体的な合格率は公開されていません。しかし試験は、公開認定講座や通信講座などを受けてから受験できるようなシステムです。

また、労務管理士の年収も合格率と同様に公開されていません。参考として就職サイトの求人情報を見ると、入社1~2年目で約500万円、5年目約800万円です。厚生労働省の「2020年家計調査」によると日本の年収中央値は437万円であるため、一般的な仕事よりも高年収であるといえます。

[出典:リクナビNEXT「労務管理士などの求人」]

労務管理士の資格を取得するメリット

労務管理士は従業員の勤務状況を管理する重要な仕事です。専門的な知識も必要なため、労務管理士の資格を取得すれば多くのメリットがあります。ここでは、労務管理士の資格を取得するメリットについて紹介します。

労働法規に関する知識を得られる

労働法規とは、労働基準法や労働契約法など労働者を守り、地位向上のための法律です。労務管理士の業務には複数の労働法規の知識が必要なため、労働法規の知識を深く学習できます。

また、実際に業務する中で新しい知識を得られる点もメリットです。労働法規に付随して、その他の法律に関する知識も増えます。

人事業務にも活かせる

企業の生産性を向上させるためには、従業員を適切な場所に配置し業務効率を上げる必要があります。また、従業員の雇用を守るという意味では、適切な役職を用意し正しい給与の算出が大切です。

人事業務は専門性が高く責任も大きいため、労務管理士の知識や経験を求める企業が多いです。労務管理士の資格があれば、人事課として働くこともできます。

資格手当がつく可能性がある

資格手当は、企業が従業員に提供する福利厚生のひとつです。企業が規定する資格を保有していれば、その分の手当が給与に上乗せされます。そのため、労務管理士の資格を保有することで資格手当を増額できる可能性があるでしょう。

対象となる資格は、企業により異なります。ただし、働き方改革が進み従業員にとって働きやすい職場環境が整いつつある中では、資格手当の対象となる資格の幅も広がっています。知識や経験を得られるだけでなく、資格取得に伴い発生するコストの削減が見込めるのも労務管理士の資格を取得するメリットです。

スキル向上につながる

労務管理士の資格は、転職活動をする際に有利になるケースもあります。資格取得で労働法規や人事などに関する知識を深められるため、労務管理士の資格を保有することは、知識やスキルの証明になります。

労務管理士の資格保有者を募集している企業もあるため、転職時の選択肢が増える点もポイントです。

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労務管理士資格の取得方法

労務管理士の資格を取得することで、自分のスキルを向上させたいと考えている方も多いはずです。ここでは、代表的な資格取得方法を4つ紹介します。労務管理士資格の取得方法を確認し、自分にあった取得方法を見つけてください。

公開認定講座

公開認定講座は、日本全国で開催されている講座です。公開認定講座を受けると、公開認定講座で行われる資格認定試験を受験できるようになります。

公開認定講座では講師の先生から直接知識を習得ができるため、独学よりも効率的に学習を進められます。また疑問点をすぐに質問できるのも、公開認定講座を受けるメリットです。

通信講座

公開認定講座が受けられない場合は、規定の通信講座を全て履修することで、到達度試験の受験資格が得られます。到達度試験に合格すれば、資格取得に必要な知識があると認められ、労務管理士の登録手続きを行うことが可能です。

通信講座は、自宅で学習できる点が魅力です。仕事の後や休日に時間を作りにくい方、忙しい方は通信講座をおすすめします。

Web資格認定講座

Web資格認定講座は、公開認定講座を受けられない人向けの講座です。

所定のeラーニングを全て受講すると、インターネット上で資格認定試験(Web資格認定試験)の受験が可能です。受験に合格すれば、資格認定試験合格と同等の知識が身についたものと見なされ、労務管理士として登録できます。

なお、Web資格認定講座は受講料と受験料が最も抑えられる学習方法です。講座受講の時間や場所を自由に決められる点はメリットです。

書類審査

書類のみで労務管理の審査を受けられます。書類審査を受けるには、以下の2つが必要です。

  • 労務管理に関する3年以上実務経験の証明(経歴書、または職務証明書)
  • 労務管理士資格取得者からの推薦

書類内容に基づいて、協会審査委員会による審査が行われます。審査に通過すれば労務管理士としての登録が可能です。

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労務管理士に適している人の特徴

労務管理士は、どのような人に適しているのでしょうか。適している人の特徴は、以下の通りです。

  • 几帳面
  • 責任感が強い
  • 人の役に立ちたい
  • コミュニケーション能力がある

法律に関する業務を行うこともあるため、正確性や慎重さが求められます。几帳面で責任感が強い方は向いているでしょう。

また人事業務において、従業員とのコミュニケーションは欠かせません。さまざまな人の性格や適性を見極めることも、労務管理士の仕事です。どのような方とも臆せず話ができる人や相手の話を親身になって聞ける人など、コミュニケーション能力の高い人は労務管理士に向いています。

「労務管理士資格は意味ない」は誤解スキル向上に役立てよう

労務管理士の資格は、民間資格です。国家資格ではないため、「意味がない」「使えない」といったイメージがあるかもしれません。しかし、労務管理士は人事業務や労働法規に関する業務を遂行する際に重宝される資格です。

資格を保有することで、専門的な知識やスキルの証明になりますできます。責任感が強い人や、いずれ人事の仕事をしたい人は、労務管理士の資格取得を目指してはいかがでしょうか。労務管理士の仕事内容やメリット、資格の取得方法などを紹介した本記事もぜひ参考にしてください。

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