インプレッションシェアとは?目安や計算方法・改善に向けたポイント
表示可能な広告総数のうち、実際に表示された回数のことを「インプレッションシェア」と言います。インプレッションシェアは広告パフォーマンスの指標となりますが、どのように計算すればよいのでしょうか。本記事では、インプレッションシェアとは何か、目安や計算方法、改善ポイントを解説します。
目次
インプレッションシェアとは?
インプレッションシェアとは、運用型広告において、広告を表示できたはずの総数のうち、広告が実際に表示された回数を占める割合を指します。
例えば、ユーザーがある語句で検索を行った場合、自社の広告がユーザーの画面に10万回出るはずだと仮定しましょう。にもかかわらず、7万回しか広告が出なかったとしたら、インプレッションシェアは70%ということです。数字が100%に近ければ近いほど、機会損失が少ないと見なされます。
インプレッションシェアの仕組み
インプレッションシェアの数値を割り出すには、該当する日に実施した広告のオークションを対象に、ターゲット設定や品質、競合する広告の品質などの内部データを基に算出します。対象となるオークションは、広告が表示されたものだけではなく、条件上では表示可能だったものも含みます。
表示回数をインプレッションと呼び、インプレッションシェアは、インプレッションを広告を出せたと考えられる最大数で割って出た値です。
インプレッションシェアで分かること
広告のパフォーマンスは、インプレッションシェアを見ればチェックでき、数値が高ければ、競争力の高い広告を出稿できていると言えるでしょう。一方、低ければ、予算などの問題で機会を無駄にしていると考えられます。
マーケティング戦略の見直しに役立つので、定期的に数値を確認することが必要です。
広告種類別のインプレッションシェア
ひと口にインプレッションシェアと言っても、複数の種類があります。代表的な種類別に解説しましょう。
検索広告のインプレッションシェア
検索画面に表示される広告のインプレッションシェアは、次の3種類があります。
- 最上部インプレッションシェア
- 上部インプレッションシェア
- 完全一致のインプレッションシェア
それぞれの特徴についてお伝えするので、ご一読ください。
最上部インプレッションシェア
最上部インプレッションシェアとは、ユーザーがインターネットで情報を検索したとき、画面の一番上に広告が出ると見込まれるケースのうち、実際に広告が表示された回数の割合です。この位置は最もユーザーの目に留まりやすく、クリック数も多く望める場所と言えるでしょう。
数値は、次の計算式から分かります。
検索広告のページ最上部インプレッションシェア=検索広告が検索結果の一番上に出た回数÷オークションにかけられた回数
上部インプレッションシェア
上部インプレッションシェアとは、検索画面の一番上とオーガニック結果の間の広告枠に広告が出る見込みがあった数のうち、本当にその位置に広告が表示された割合です。
次の計算式を使えば、計算できます。
検索広告のページ上部インプレッションシェア=検索広告がページ上部の広告枠に出た回数÷オークションにかけられた回数仮に入札単価や予算の引き上げを行った場合、現状よりも上位に広告が出るのかを知りたいときなどに、最上部・上部インプレッションシェアの数値をチェックします。
完全一致のインプレッションシェア
完全一致のインプレッションシェアとは、マッチタイプで「完全一致」を選んだ場合、完全一致で広告が表示される見込みがあった数のうち、実際にキーワードと完全に一致する検索語句で広告が表示された割合を指します。なお、完全一致で広告が表示される見込みがあった数は、推定値です。
数値は、次の計算式から算出できます。
完全一致のインプレッションシェア=設定キーワードと同一の検索語句で広告が出た回数÷完全一致で表示される見込みがあった回数
ディスプレイ広告のインプレッションシェア
ディスプレイ広告のインプレッションシェアとは、ディスプレイネットワーク全体において広告表示が可能だった回数のうち、実際に実現した割合です。ディスプレイネットワークとは、Google社が提供しているサービスや提携しているサービスを指し、例えばGmailやYouTubeなどが挙げられます。
ショッピング広告のインプレッションシェア
ショッピング広告のインプレッションシェアとは、ショッピング広告の表示が可能だった回数のうち、実際に表示された割合です。表示された回数を表示可能な回数で割れば、導き出せます。
特徴として、同じ広告主のショッピング広告が複数表示される可能性がある点が挙げられるでしょう。したがって重複してカウントしないように、同時に表示された広告の中で一番高いランクの広告に表示機会が割り当てられるようになっています。
ただし、最初の広告の配信後に同じオークションでインプレッションを獲得したとしても、インプレッションシェアには反映されないので注意してください。
ホテル広告のインプレッションシェア
ホテル広告のインプレッションシェアは、ホテル広告が表示できる回数のうち、実際に実現した割合です。回数は、ホテル広告予約モジュールのいずれの場所に広告が表示されるかで変わります。計算式は検索広告のインプレッションシェアと同様です。
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インプレッションシェアの計算方法
インプレッションシェアの計算方法は、次のとおりです。
インプレッションシェア=表示回数÷広告が表示可能だった合計回数
広告が表示可能だと判断される回数は、ターゲット設定や承認状況、品質などを基に判断されます。入札単価や広告予算の引き上げを検討する場合、仮に引き上げることで現状よりも多くのユーザーに広告を表示できるかが重要になります。その際に役立つのがインプレッションシェアで、表示の増減を見極めるうえで大切な指標と言えるでしょう。
インプレッションシェアの目安
インプレッションシェアの目安は、一般的に検索広告の場合は60~80%、指名検索の場合は95%程度とされています。商材や業界などによっても数値は変わるので、留意してください。数値が高ければ検索画面に広告が多く出るので、ユーザーの目に留まる可能性は高まります。ただし、数値はあくまでも表示機会の目安であり、クリック数やコンバージョン数につながるかどうかは、広告文やランディングページの内容にも左右されます。
インプレッションシェア損失率とは?
インプレッションシェア損失率は、広告を表示する機会があったにもかかわらず、実現しなかった回数を基に算出した割合を指します。損失理由には2種類あり、1つ目は予算、2つ目はランクです。
インプレッションシェア損失率(予算)
インプレッション損失率(予算)は、1日あたりの予算不足が原因で機会を逸失したケースの割合を示しています。キーワードと予算額が見合っておらず、1日の途中で予算の上限に達してしまい、その後は配信ができなくなったパターンです。
予算額が小さい場合は予算が原因と考えられるため、念のためチェックしてみてください。
インプレッションシェア損失率(ランク)
インプレッションシェア損失率(ランク)は、広告の入札額や品質スコアが競合他社よりも低いためにオークションで競り負けて機会を逸失したケースの割合を示しています。品質が高ければ、その分広告ランクが上がり、損失率は減ります。
改善するには、入札額の見直しやキーワードの選定、ランディングページの改善などが求められるでしょう。
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インプレッションシェアの確認方法
インプレッションシェアは、キャンペーン単位・広告グループ単位・商品グループ単位・キーワード単位で確認できます。検索エンジンごとの調べ方について解説しましょう。
Google広告の確認方法
Google広告での調べ方は以下のとおりです。
- 管理画面で「表示項目」からキャンペーンの場合は「表示項目の変更」を選びます。
- 「キャンペーンの表示項目を変更」にある「競合指標」を選び、「検索広告のインプレッションシェア」「インプレッションシェア損失率(ランク)」「インプレッションシェア損失率(予算)」にチェックを入れましょう。
- 管理画面上に詳細をチェックできる画面が出てきます。
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Yahoo!広告の確認方法
次にYahoo!広告での調べ方を紹介します。なお、ここで紹介している方法は、キャンペーンなどの一覧画面で確認する場合のやり方です。
- 広告管理ツールの「キャンペーン」もしくは「広告グループ」を選択し、「表示」をクリックしてください。
- 「表示項目を編集」を選び、表示項目一覧の中の「インプレッションシェア」「インプレッションシェア損失率(ランク)」「インプレッションシェア(予算)」にチェックを入れます。
- 「適用」ボタンをクリックします。
ご紹介したやり方で調べられるのは、キャンペーン単位と広告グループ単位のデータです。
インプレッションシェアの改善方法
インプレッションシェアの数値が低かった場合の改善方法をお伝えします。課題を抱えている企業は、ぜひ参考にしてください。
予算の不足が問題の場合は「1日の予算を増額する」
広告の品質に問題がないものの、予算が不足しているケースでは、1日あたりの予算の増額を検討しましょう。予算を増やせば、実際に広告が表示される回数が増え、インプレッションが改善されます。
予算を増やせない場合は、入札単価を下げ表示回数を減らすことを考えてください。キーワードやデバイス、スケジュールなどを見直せば、表示可能なのにもかかわらず表示できなかったという損失機会を減らせるかもしれません。ただし、同時に広告ランクも下がるので、インプレッションが減る可能性があることに注意しましょう。
広告ランクに問題がある場合は「入札単価を上げる」
広告ランクが低いために表示されないケースでは、入札単価を上げましょう。入札単価を上げると、表示の可能性が高まります。ただし、費用対効果が悪化する恐れもあります。また、入札単価を上げても必ずしも表示されるとは限らないので、注意してください。
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広告のキーワード・ターゲットを絞る
キーワードやターゲットを絞り込む方法もあります。キーワードやターゲットを絞り込めば、表示機会の逸失を防げるでしょう。
キーワードを絞る際は、クリック数やコンバージョン数などにつながっていないキーワードを「除外キーワード」に指定します。
ターゲットを絞る際は、まず配信レポートを見てコンバージョンにつながっている地域やデバイス、ネットワークなどを確認してください。そのうえで、コンバージョンにつながるターゲットだけに厳選します。
注意が必要なのは、絞り込み過ぎると、インプレッション数自体が減ってしまうことです。全体のバランスを見て仮説を立てながら絞り込みを行い、結果を見てさらに調整しましょう。
▷リスティング広告のキーワード選定のコツ|おすすめの調査ツールや注意点を解説
広告の品質スコアを改善する
広告ランクを上げる方法として、品質スコアの改善も挙げられます。品質スコアを上げるためには、ユーザーの利便性を考慮し、広告文や遷移先となるランディングページの見直しを行いましょう。
広告文は、自社の商品やサービスの魅力や強みが伝わるような内容を目指してください。ランディングページを改善するには、広告文との一貫性や読み込み速度の最適化が求められます。
こうした改善は、品質スコアの向上だけではなく、コンバージョン率向上にも寄与するでしょう。
▷リスティング広告のコンバージョン率の平均とは?低い原因や改善する方法
インプレッションシェアの改善事例
インプレッションシェアを改善した事例をご紹介しましょう。
通販サイトを運営するA社は、インプレッションシェアが50%以下でした。そこで、次のような施策を実施しました。
損失率の改善は、予算と広告ランクの両面から行ったそうです。予算面では広告グループ単位ではなくキーワード単位での入札に切り替え、適切な入札価格に設定しました。さらにキーワードを見直し、「除外キーワード」を設定したことで、クリック率も大きく向上できたのです。
その結果、インプレッションシェアの改善が実現し、コンバージョンも4倍に増えました。
インプレッションシェアを活用し広告パフォーマンスを改善しよう
運用型広告を活用し、商品やサービスの購入などを促進するにあたっては、インプレッションシェアの仕組みや改善方法を知っておくと、さらに効果につなげられるでしょう。本記事を広告パフォーマンスの改善に役立てください。
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