管理会計と財務会計の違いとは?目的や役割・メリットなどの基礎知識を解説

最終更新日時:2024/02/06

管理会計システム

管理会計と財務会計の違い

会計手法は主に、経営判断の材料として活用する管理会計、企業の財務状況を利害関係者に開示する財務会計の2つがあります。これらの会計手法は、企業戦略や意思決定にどのような影響を与えるのでしょうか。本記事では、それぞれの目的やメリットなどについて詳しく解説します。

この記事の要約

・管理会計とは、経営者が意思決定を行うために情報を提供するもの
・財務会計は、決算日時点で財政状態、経営成績を外部の関係者に提示するために行われるもの
・管理会計が経営を管理するために行われる「社内向けの会計」であるのに対し、財務会計は財政状態や経営成績を外部に伝えるために行われる「外部向けの会計」である点が大きな違い

管理会計を行う目的

管理会計は、経営者が効果的な意思決定を行うために必要な情報を提供するものです。管理会計で得られた情報は、経営者や各部門の管理者が意思決定を行うのに役立てられます。

なお、管理会計は予算管理と原価管理の2つに分けられます。これにより、企業の売上目標の達成に必要なリソースを把握したり、適正な原価へと改善していくことが可能です。

経営管理に欠かせない管理会計を導入するメリット

管理会計を実施するかどうかは、企業の任意となっています。しかしなぜ、多くの企業で管理会計が取り入れられているのでしょうか。ここでは、管理会計を導入するメリットについて紹介していきます。

セグメント分析ができる

企業の売上や利益、財務状況などを事業ごとに分けたセグメント情報を活用した分析が行えます。企業の各部門や製品ラインの成績を明確に把握することで、どの部門が利益を生み出し、どの製品が市場で成功しているかを特定することが可能です。

また、改善が必要な部分も明確になるため、どの分野に力を入れていくべきかなど、今後の方針策定にも役立てられます。

コストの管理がしやすくなる

管理会計にセグメント情報を活用することで、適切なコスト管理が実現できます。製品の製造やサービスの運用にかかるコストが可視化されるため、コストの投入量などの判断がしやすくなり、コスト管理やコスト削減につながるでしょう。

経営状況を定量的に分析できる

管理会計では、財務諸表を活用した経営分析を行うことが可能です。経営分析に活用される指標としては、「自己資本比率」「売上高営業利益率」「純資本回転率」などが挙げられます。

これらの指標について財務諸表などの数値をもとに算出することで、自社の経営状況を客観的に評価できる点もメリットといえるでしょう。

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管理会計の主な業務

ここからは、管理会計の主な業務を紹介していきます。

経営分析

経営分析は、企業の現状と将来の方向性を把握するための業務です。財務諸表や調査報告などをもとに経営状態の分析を行い、とくに重要とされているのが収益性と安全性の分析です。

収益性の分析では売上高営業利益率や売上高総利益率、安全性の分析では自己資本比率や流動比率といった指標を用いて分析を行います。これにより、企業の強みや課題が明らかになり、経営上の意思決定につなげることが可能です。

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予算・実績管理

予算・実績管理は、企業の財務目標と実際の成果を照らし合わせる業務です。年間予算を策定し、予算と実際の業績の比較を行います。

これにより、予算超過や不足などを早期に特定し、適切な調整を行うことが可能になります。また、予算と実績の比較によって、将来の予算計画の改善にも役立つでしょう。

資金繰り管理

資金繰り管理は、企業の健全な財務運営において欠かせない業務です。この業務では、企業の入出金の流れを把握し、資金の過不足がないよう調整を行います。

資金繰りを適切に管理することで、支払い遅延や資金不足のリスクを避け、安定した運営を実現することが可能です。また、債権の現金化のタイミングが明確になり、資金調達の目途が立てやすくなります。

原価管理

原価管理は、製品やサービスの生産にかかるコストを効率的に管理する業務です。この業務では、材料費や人件費、製造費など、製品の製造やサービスの提供に必要な費用の分析を行います。

これにより、コストの無駄を省いて利益率を高めることが可能です。また、製品の価格設定や利益目標の設定にも役立ちます。

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財務会計を行う目的

財務会計は、決算日時点での財政状態と経営成績を外部の関係者に提示するために行われるものです。投資家や金融機関などに対して経営状況を明らかにするため、貸借対照表や損益計算書などの書類を作成します。

また、税務署への提出書類を作成することも重要な目的のひとつです。これらの書類は、任意で実施される管理会計とは異なり、一定のルールに沿って作成しなければならない点に注意しましょう。

財務会計が持つ2つの機能と効果

財務会計は、利害調整機能と情報提供機能という2つの重要な役割を担っています。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

利害調整機能

財務会計における利害調整機能は、企業とその利害関係者間のバランスを保つために重要です。利害は関係者の立場によってもさまざまですが、代表的なものとしては株主と経営者の利害が挙げられます。

株主は投資した資金が適切に運用され、株が値上がりしたり配当を得たりということを期待しています。一方企業側は、株主が投資した資金を経営者自身の役員報酬や交際費として使用してしまうかもしれません。

そこで経営者が財務諸表を開示することで、資金を適切に運用したことを報告できます。これにより株主は資金の流れを把握でき、その結果として利害が調整できるのです。

情報提供機能

財務会計の情報提供機能とは、利害関係者に対して投資や融資の判断材料となる情報を提供する機能です。

投資家や債権者、株主などの関係者に対して財務書評を提出することで、企業の経済状態や返済能力などを把握します。この報告をもとに企業の分析を行い、投資や融資の可否を判断することが可能です。

財務会計の主な業務

財務会計の業務は、大きく「仕訳・記帳」「固定資産管理」「決算書の作成」の3つに分けられます。ここでは、それぞれの業務内容を紹介していきます。

仕訳・記帳

仕訳と記帳は、企業のお金の取引を記録する業務です。日々の取引を詳細に追跡し、財務状況を正確に反映するための記録を作成します。

買掛金の支払いや売掛金の収入、経費の計上など、企業活動に関連するすべての金銭の動きがこの業務を通じて記録されます。多くの企業では、会計ソフトなどに入力して業務を進めるのが一般的です。

固定資産の管理

固定資産の管理とは、企業が所有する土地や車、パソコンといった資産の管理を行う業務です。これらを使用している場合、減価償却の計上や資産評価などの作業が必要になります。また、固定資産を取得する際は、社内規定に基づいた申請や支払いなどの業務も行います。

さらに、固定資産を手放した場合は、帳簿からその項目を除去することも忘れてはいけません。固定資産の適切な管理により、資産の現在の価値と将来的な経済的利益を正確に把握することにつながります。

決算書の作成

決算月には、仕訳票や伝票をもとに書類を作成する必要があります。具体的には、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などです。

これらは、外部の株主や投資家、貸し手に対して企業の経済的健全性を伝えるための重要な書類であり、企業の透明性と信頼性を高めるのに役立ちます。

管理会計と財務会計の違いとは?

管理会計は、経営者などが経営を管理するために行われる「社内向けの会計」です。一方財務会計は、財政状態や経営成績を外部に伝えるために行われる「外部向けの会計」と言えます。

管理会計と財務会計を比較すると、以下のような違いがあります。

管理会計財務会計
利用者経営者や管理責任のある従業員など社外の利害関係者
目的経営管理に役立てる企業の財務状況や経営成績を報告
書式レポートや資料など任意の書式財務諸表
内容企業ごとに必要な情報を取り入れる会計基準にもとづいて行う
集計単位金額(円)・重さ(kg)・容量(L)など任意の単位金額(円)
対象期間1年・1月・1週など、任意の期間原則として1年。ただし、上場企業は四半期ごとに開示を行う

財務会計と税務会計も違う?

税務会計は、法人税法に基づき、企業の課税対象となる所得額を算出するための会計です。そのため、主に外部の関係者へ報告するために行われる財務会計とは目的が異なります。

また、税務会計は法人税など国の法律の規定をベースに行うのに対し、財務会計は会計基準に基づいて財務諸表の作成を行います。このように、収益や費用の算出方法に関する規定も異なるため、それぞれの記載内容が必ずしも一致するとは限りません。

管理会計と財務会計の違いを理解して、正しく機能させよう

管理会計と財務会計は、それぞれ目的が異なるものです。管理会計は、経営者など社内の人が行うマネジメントに役立つ情報を提供します。一方、財務会計は社外の利害関係者への財務報告のために行われるものです。

管理会計と財務会計は性質が異なるものの、どちらも企業にとって重要な要素であるため、これら二つの会計を適切に理解し、企業の運営に役立てていきましょう。

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